石田衣良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
衝撃的な「酒鬼薔薇事件」を下敷きに書かれた小説。
事件を起した子の兄の視点から、その家族の悲しみ苦しみ悩む姿も描いている。
そう、加害者にも被害者にも家族が居るのだ、ということを教えてくれる。
この14歳兄の成長が好感度だ。力になってくれた新聞記者の言葉
「大人になること。正しさの基準を外側にではなく、自分自身を中心に据えること。」
押しつぶされそうな事実をも勇気を持って見つめられたらすばらしい。つらいだろうけどそれでも、若いということは…最後の文章にほっとする。
「この幸せがあと永遠の半分は続くってことを。」
ああ、「永遠」があった日々を思い出してしまった。いいなー、瑞々しいってのは。事実そのものは決して明るくないのだけれど、希望もあるではないかと言えるから。 -
Posted by ブクログ
ずっとセックスの話ばっかりしてるな…と思ってたら、最後の短編で全てが腑に落ちて、読後感が良い感じになる不思議。
『スローグッドバイ』
著︰石田衣良
2005年 集英社文庫
『泣かない』
失恋の後に泣けない女性と、ぼく。
泣ける映画のタイトルが大体分かるのがおもろい。
『十五分』
夏の間ひたすらセックスし続けた思い出の話。
『You look good to me』
アヒルの子と僕の、チャットから始まる恋。
美醜。
『フリフリ』
熱心に恋人候補を紹介してくるカップルに半ばうんざりした僕と潤子は、付き合う「フリ」をすることで今後の煩わしさを解消する。
『真珠のコップ』
コールガールとの出会いからの、本気。
『夢のキャッチャー』
シナリオライターを目指す彼女がどんどん高みに昇っていく。その様に、自分が置いていかれるような気がする男。
『ローマンホリデイ』
ネットで出会った女性と「ローマの休日」の話で盛り上がり、ついに会ってみると…
良い話。オチも素敵。
『ハートレス』
仕事が忙しくすれ違いばかりのカップルの、セックスレスの話。
『線のよろこび』
才能を見抜く力のある女が次に見出したのは、地下鉄の職員!
『スローグッドバイ』
「内臓が本来の場所からずれ落ちていくように感じた」
キレイに別れるためのサヨナラデート。
女は物書きの男に、いつかこの事を書いて、と頼む。
男は沢山の物語を書くと確信する女。この別れを機に、沢山の物語が湧き上がる男。
この短編集のラストにふさわしい、全体を暖かく包み込むようなエンディング。鮮やかで強い。