Posted by ブクログ
2020年11月17日
「一冊に4篇」というのは、シリーズの最初から確立されていて、最近の作品にも受継がれている。
この一冊には…ネットで女性の居る部屋の様子の画を配信する商売を巡るトラブルを何とかしようとする一件…計数機を手に何でも数えているという不思議な少年と出くわして、その少年が巻き込まれた事件を何とかしようとする一...続きを読む件…続発していたオートバイを使うひったくりの被害に遭った老女が思わぬ大怪我を負ったことに憤慨している、同じ老人ホームに居る男性に協力する一件…、「女子高生監禁暴行」という凶悪な事件を起こした経過の在るグループが、ストリートギャングを襲撃、更に方々で強盗ということを仕出かしていて、その正体を探るという一件…という4篇が収められている。
比較的近年の作品から、この初期の作品までドンドン読み進めた。主人公であるマコトの、一人称の語りで綴られている本文の感じ、何処となく老成しているかもしれない眼で自身の周辺や社会を眺めるような調子は変わらないのだが、初期作品のマコトは「より瑞々しい」というような感は受ける。
表題作で、テレビドラマの原案にもなった『少年計数機』は、「はみ出した」という感じの独特な少年に、飽くまでも対等な個人同士として向き合おうとするような、マコトの温かさのようなモノが非常に好い。そしてそのことが事件の解決への鍵を掴むことに繋がるのだ…
凶悪な事件を起こした経過の在るグループの事件と向き合う『水のなかの目』は、なかなかにスリリングな“探偵モノ”である。アクションや、思わぬからくりを解き明かす展開が面白い。
これも非常に面白かった!!