有栖川有栖のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ学生アリスと作家アリスの両方が堪能できる短編集!
「女か猫か」
いや内容よりも待って、アリスってそんなにもマリアのこと思ってたの!?!?!?!?!紡ぐ言葉すべてが美しくて重い……ほんま尊いっす。
「推理研VSパズル研」
別のアンソロで読んでいたから再読なんだけど、よくもまあこんなことを思いつくのだと感嘆する。
いいなー瑞々しい学生生活。
「ミステリ作家とその弟子」
こちらも再読。ウサギとカメの別視点での話、すごく面白かった。オチは失速だけどいいのよ、これが読めただけで。千夜一夜物語とは言い得て妙。
「海より深い川」
そういうこと!?って新鮮に驚き。珍しくスピーディーに解決したわ。アリスの一言が火村の役に立って嬉しい。
「砂男」
表題作。やっぱ有栖川有栖のなにが好きって余韻がある終わり方よ。
「小さな謎、解きます」
さくっと読めるほのぼのミステリー!微笑ましい作品でした。 -
Posted by ブクログ
火村&アリスシリーズ最新作。
もう数えきれないほどの作品があるので何作目なのか分からない。詳しく知りたい方は巻末に掲載されているのでご覧ください。
ただ国名シリーズとしてはあとがきに書いてあった。11作目となるらしい。
舞鶴の浜辺で発見された記憶喪失の青年。
富士山が描かれた扇だけを所持していたことからオウギと名付けられた彼は、発見者の女性教師と交流しながら入院生活を過ごす。
だがその扇が元で無事に家族が見つかり、武光颯一という名前が判明した彼は女性教師との別れも交わさないままに家へ戻る。
だがその家〈玄武亭〉で、間もなく殺人事件が起こり、颯一は再び扇と共に忽然と消えてしまう。
何ともミステリアスな事件。
読み進めると、颯一は記憶喪失になる以前、自らの意志で家を出て、以来六年もの間行方知れずだったことが分かる。
その六年の間、颯一は何をしていたのか。なぜ記憶喪失になったのか。そのことが今回の殺人事件に関係があるのか。興味は尽きない。
だが火村は相変わらず現実的で、そもそも颯一は本当に記憶喪失だったのかと疑う。
一方のアリスは編集者から「日本扇の謎」というタイトルで本を書いて欲しいと依頼され、創作の苦悩の中にいる。
ページの六割くらいはフィールドワークと議論で進む。
見えてくるのは独特の家族関係ではあるが、そこまで突拍子の無い話でもない。
だが颯一の人となりがまだ分からず、事件の真相にも近づけない。
そこから章題の通り「急転」していくのだが、相変わらずアリスと同じ視点の私は、火村の見えているものが分からない。
明かされてみれば、火村が言う通り『シンプル』な事件だった。ただ私の読解力不足なのか、やはり颯一の心の中が分からない。
彼と僅かな間交わった人たち、舞鶴で彼を発見した女性教師などの気持ちを思うといたたまれない。
読み終えてみればただただ悲しく切ない話だった。
色んなものが空回りしてしまったような感じがする。
『うまいこといかんな』という科白が皮肉めいた印象すら残す。
最後にあるように、せめてアリスが彼らの気持ちを掬い取るような物語を書いてくれることを願う。
余談だが、下宿屋の大家さんと猫たちが元気そうで良かった。