あらすじ
美しい異国の蝶が天井を埋めた部屋で殺害されていた男。何のために蝶の標本が天井に移されたのか。鮮烈なイメージの表題作ほか、小指ほどの小さな鍵の本当の用途が秘書殺しの謎を説く「鍵」など、おなじみ有栖川・火村コンビの名推理が冴えわたる傑作ミステリ全6篇。読者待望の〈国名シリーズ〉第3弾!
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火村とアリスが毎回違う切り口で事件に挑む。
ぶっ飛んだシュールなトリックもあれば、軽くてユーモアがあるものまで、作品ごとに味わいが変わるので全く飽きずに最後まで楽しかった。
『ブラジル蝶の謎』
大手サラ金社長の相続をめぐり、離島で暮らしていた弟が呼ばれ、会社役員たちと対立する。その構図だけで物語に引き込まれる。
博物館の蝶々オタク学芸員の話も興味深くて、思わず蝶々について調べてしまった。
火村の最後の一言が気になる。
『彼女か彼か』
「あらら〜ン、またいらしたの♡刑事さ〜ん」と、“Mr.マリリン”というバーの蘭ちゃんの語りで進んでいく構成が面白い。
Audibleのナレーターは、インパクト大の蘭ちゃん役が妙に上手くて楽しかった。
『鍵』
殺人事件よりも“何の鍵なのか?”に焦点を当てたところは、捻りがあって面白い。
始まりと終わりでまったく印象が変わった作品( ๐_๐)〣…。
『蝶々がはばたく』
蟹を食べに行こう!と計画する火村とアリスの仲良しぶりが、微笑ましい。
駅のホームで何かを見て驚愕した男性。
その男性から投げかけられた謎を解いていく安楽椅子探偵もの。
今まで安楽椅子探偵の面白さがわからなかったけど、初めてワクワクした。
余韻の残る読後感。あとがきに込められた有栖川さんの思いにぐっとくるものがあった。
★3.5
Audibleにて。
Audibleで国名シリーズを聴きながらだと、面倒な家事も気分が軽くなって楽しくなる。
気がつくと、いつもより丁寧に掃除をしている。
火村&アリスのおかげで家事の時間がご褒美タイムに変わった。
次は『英国庭園の謎』。楽しみ!
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ブラジル蝶の謎
長年無人島で暮らしていた被害者
妄想日記
何故死体を燃やしたのか
彼女か彼か
目撃証言の信憑性
鍵
事件関係者が嘘をつくのが事件に関することとは限らない
人喰いの滝
人が飲み込まれ出てこない滝
蝶々がはばたく
火村とアリスが蟹目当ての旅行
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国名シリーズの第三作目。本格ミステリの緻密な論理と、それから導かれる真相に驚かされる珠玉の短編集。表題作の『ブラジル蝶の謎』の派手な殺人現場と真相に驚いた。
有栖川有栖のイイとこ取り
どの作品もトリックが意表をついてて面白い。
そして人物もまた個性豊かで楽しめる。
蘭ちゃんなんてどこで会えるのか知りたいくらい。
最後の『蝶々がはばたく』が特にすごく好き。
まず、人が死なない。
初老の男性から投げかけられたひとつの謎に推理小説家脳を遺憾なく発揮するアリス。
冒頭出てくるバタフライ効果と解決がうまく絡み合っている。
阪神淡路大震災直後に書かれたことに作者の愛情を感じる。
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長編かと思ったら短編集だった!相変わらず火村がいい子…おばあちゃんのお見舞いばっかいってるやないか…。あとアリスと仲良いな…。いいな、ずっと仲良くしててほしい。
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1999年。再読。
確かにエラリークイーンの国名シリーズに南米はなかった。蝶といえばバタフライ効果。風が吹けば桶屋が儲かる。
「ブラジル蝶の謎」蝶々を収集する男が殺された。火村初期の話なので、フィールドワークの理由が語られる。
「妄想日記」何故死体は焼かれなければならなかったのか。ほー
「彼女か彼か」ジェンダー系は今にするとあたらしくはないけれど。浅はかな殺人だなぁ。
「鍵」なんの鍵なのか?
「人喰いの滝」おどろかすつもりが転落。長靴~
「蝶々がはばたく」20代のころ行方不明になった男女を、新感線の中から見た。孫といっしょで幸せそうだった。チリ地震があったから駆け落ち成功した男女。絶望の果てにも希望が見える話。これで星4つをつけてしまった。
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国名シリーズ第3弾。表題作を含む6篇からなる短編集。
今回も楽しく読ませてもらいました。
表題作の「ブラジル蝶の謎」が最も印象的でした。殺人事件の現場の天井に、色とりどりと羽を広げた美しい蝶々の標本が何十匹もいた。びっくりして誰でも天井を見上げてしまうでしょう。それが犯人の意図するところだったとは。
「彼女か彼か」の本筋も良かったですが、バー(?)の蘭ちゃんが個性的で面白いキャラクターでした。
最後の「蝶々がはばたく」は殺人が起きるわけでもなく、日常の謎に近いストーリー。ただ、ラストに阪神・淡路大震災が出てきて衝撃的でした。そういう時代に書かれた作品なんですね。
以下、収載作品。
ブラジル蝶の謎
妄想日記
彼女か彼か
鍵
人喰いの滝
蝶々がはばたく
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火村が下宿先のおばあちゃんを結構大事にしてたり、猫がすきだったり、意外と人間味あるんだなというのがふんわりわかってくる巻で、今までの数冊より親しみを持って読めた。
短編集。
『蝶々がはばたく』はたまたま居合わせた男性から昔の事件の断片を聞いた有栖川が「こんな不思議な話をされたんだけど」という切り口で火村に話を伝えて、火村がすべて想像で「こういうことだったんじゃないか?」と回答する。本当はどういう背景の事件だったのかは結局わからないままという変わった切り口のミステリでおもしろかった。
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火村英生と作家アリスのコンビが謎を解く、「国名シリーズ第3弾」
いつまで経っても大学生みたいなノリの二人の会話が楽しい。
アリスが興味深いものからしょうもないものまで、考えられる推理を次から次へと披露しては、片っ端から火村に打ち砕かれる、という場面が一作品に一度くらいは登場し、かなり面白い。
読者の推理もついでに打ち砕かれる場合も多い。
『ブラジル蝶の謎』
ロビンソンクルーソーな生活をしていた男はなぜ殺されたのか。
雉も鳴かずば撃たれまい・・・
『妄想日記』
読み進むうち、段々と事情が分かってくるが、衝撃的であり悲劇であった。
『彼女か彼か』
ちょっと軽さが面白い。
女装美人の魔法が解ける時とは・・・
『鍵』
今時そんなものあるの〜?
あるなら見てみたい。
『人喰いの滝』
トリックを施していく場面を想像すると、ビジュアルがシュールすぎて笑える。
よく思いつくなーと感心するしかない。
『蝶々がはばたく』
地球の裏側で起こった出来事が、若い二人の運命を後押しした?
Posted by ブクログ
短編6作品
ブラジル蝶の謎:被害者はサラ金社長の弟、社長は既に他界している。被害者は瀬戸内海の離島で社会と完全断絶していた。現場の豪邸は社長のコレクションの蝶が無数に貼り付けられていた。なぜ蝶なのか、なざ天井なのかの追求に火村と有栖が臨む。鮮やかな蝶の絵が思い浮かんでしまい方法や機会の推理を妨げられた。謎の解明はスマホ。最後に火村の言葉、人を殺したいと思ったことがあるから・・・
妄想日記:自分が起こした交通事故でノイローゼになった被害者は地下室で暮らしていた。その被害者の屋敷で火だるまになって死亡した事件。動機と方法は推測がついたと思っていたがチョット違っていた。記号の日記は関係するのだろうか?なぜ火だるまなのだろうか?ゴムをなぜ使っていたのか?疑問が火村と有栖によって明らかになった。
彼女か彼か:女装趣味の男が被害者だ。その男と揉め事を起こしていた3人が容疑者。恋敵、いとこ、隠し子の3人である。現場は被害者の自宅マンション。それぞれの証言をよく読むとおかしな点がある。それに気づく楽しみがある作品だった。
鍵:社長秘書が殺される。社長の別荘が現場である。遺体のそばに落ちていた鍵が謎解きのカギとなる。
鍵は何の鍵なのか、金庫や宝石箱や楽器やドアのような実用性(?)のある鍵ではない。中世ヨーロッパがヒントとなる。その鍵が動機を指し示している。
人喰いの滝:岩手の千人滝に老人が落ちて死亡するところから始まる。自殺なのか他殺なのか?前年の夏に同じところで女優が落ちて死亡していたが遺体はあがっていない。火村と有栖によってこの2つの点が線となり謎が解かれていく。トリックが秀逸だと感じた。
蝶々が羽ばたく:火村と有栖は北陸旅行に行くことに、火村が電車に遅れたために有栖一人が先に向かうが、偶然乗り合わせた紳士が35年前の謎の男女蒸発事件の2人を見つける。その紳士は途中で下車、有栖は火村と合流し、話だけで推理していく。
どの作品も面白い、楽しめた。
Posted by ブクログ
長編よりも短編の方が好きです。火村とアリスの掛け合いが好きなので、短編だと二人が早く合流してくれるから。
全作品おおっと思ったけど、私が一番好きなのは「鍵」!!!!
何の鍵だろうな~と思ってたらまさかの結末で、うおおおって興奮してしまった。
今回は全部好きな作品でした。へへへ。面白かった。
Posted by ブクログ
さらっと読める短編集。
ちょこちょこと読み進めていける気楽さがいい。
なかなか派手な『ブラジル蝶の謎』も良かったけれども、『彼女か彼か』は大胆で面白かった!
『人喰いの滝』はできれば長編で、よりミステリアスな感じで読めたらなぁと思った。
次の国名シリーズにも期待!
Posted by ブクログ
国名シリーズ三作目。
前作が長編だったので少し物足りなさを感じましたが、色々なタイプの作品が楽しめるところは、短編集ならではだと思います。
特に「人喰いの滝」のオーソドックスな状況設定と、シュールなトリックとの落差が印象的でした。
Posted by ブクログ
国名シリーズ3冊目
こういう古いミステリ小説って
なんか落ち着いて読める
今と違う背景があるからかなぁ
昭和のドラマを見ているような感じ
頭の中は
窪田正孝&斉藤工なんだけど 笑
作者のあとがきと
著作リストがよかった
Posted by ブクログ
私の好みは「妄想日記」と「蝶々がはばたく」かな。
失語症の話は読みやすかったし、最後の燃やされた理由はドキッとした。
蝶々は少々間の悪いアリスがかわいかったし、東日本大震災があった上で読むと、少し心がギュッとなった。
Posted by ブクログ
作家アリスシリーズ。
・遺産相続した弟の殺害現場に蝶が飾られてた話
・精神病の男が謎の文字を残し殺された話
・女装家殺人事件の話
・ホテルに缶詰のアリスに陣中見舞い代わりに鍵と謎を届ける火村の話
・人喰いの滝で2人が死亡した話
・火村とアリスの北陸旅行の行きしなで聞いた人が消失した話
どれも味の違う短編で読んでて楽しい。火村とアリス仲良いよなぁとほのぼのする。それでもまだ犯罪者を狩る理由は「人を殺したいと思ったことがあるから」という火村の真意はわからず。
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短編集。
殺人がおこった部屋にきれいな蝶のペイントが。
その蝶に目が行くので、トリックに使う。
といったようなことがあるのですが、
短編なので深みはたりない。
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作家アリスシリーズ第6弾。
6つの短篇が入っています。
ロジカルな謎解きばかりで、本格ミステリ好きにはたまりません。
どれも、こ気味良いテンポで読みやすかったです。
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作家アリスシリーズで国名シリーズですね。
表題作を含む六作の短編集でした。
火村さんとアリスの活躍を見ることができました。
ロジカルな謎解きは読んでいて楽しいですね。
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初っ端の表題作が読んでてすこぶるビミョーだったんで、不安だったんですが、後の話は普通に面白かった。
特にラスト一行が印象的な「妄想日記」。
よく考えたら当たり前なんだけど、意外と盲点な所が証拠になる「彼女か彼か」が特に良かった。
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作家アリスの国名シリーズ三作目 短編集。表題作と宿から二人消失した謎を爽やかに解き明かす(蝶々がはばたく)がお気に入り アリスと火村の軽妙なやり取りが、最後まで楽しみつつ読み終えた。
Posted by ブクログ
作家アリスシリーズ6作目で、
国名シリーズ3作目となる本作。
発行は1996年。
「ブラジル蝶の謎」
「妄想日記」
「彼女か彼か」
「鍵」
「人喰いの滝」
「蝶々がはばたく」
の6篇を収録。
短編が溜まってきたから
国名シリーズを出すことになったものの、
肝心の国名がついたタイトルの作品がないことに気づき
慌てて表題作を書いたという面白いエピソードも。
蝶で始まり蝶で終わるタイトルも素敵です。
個人的には
色とりどりのアグリアスが美しく印象に残った
「ブラジル蝶の謎」が好きでした。
ラストには
本シリーズ中に度々出てきては火村の闇を覗かせる
例のセリフも出てきて、
ゾクっとさせられました。
Posted by ブクログ
今回も読みすすめる中で、自分の好みが分かって大変面白く読み進めた。
以下、面白かった順に番号を振っている。
⑤『ブラジル蝶の謎』
④『妄想日記』
③『彼女か彼か』
⑥『鍵』
①『人喰いの滝』
②『蝶々がはばたく』
やっぱり自分は島田荘司が好きなんだなと思いました。今回の短編集は「彼女か彼か」のような進め方も面白かったし、「蝶々がはばたく」のような消失トリックも面白かった。時代もあるのかもしれないが、当時読んでいたら面白さが違ったかも、と思う作品もちらほら。単純にいろんな作品に会えて読んでいて面白いので、国名シリーズは最後まで行こうと思います。
Posted by ブクログ
第3弾
「ブラジル蝶の謎」天井いっぱいの蝶。想像しただけで怖い。色々時代を感じる部分。
「妄想日記」 「彼か彼女か」複雑… 「鍵」缶詰アリスと火村のお話 「人喰いの滝」 「蝶々がはばたく」 ふたりの掛け合いがたくさん感じられる。 国名の中では印象が薄いのか、やっぱり長編が好き何だな。
Posted by ブクログ
火村シリーズ4作目かな?短編集。
短編集でも普通に一作一作がおもしろいんだけど、トリックの粗が気になったかも…
『妄想日記』、あんなにしっかり創作文字が資料として出たから意味があるのかと思ったのに意味ないんかーい…
でも焼死体になったことに関してはちゃんと理由があって、さすが有栖川有栖!てなった
『彼か彼女か』、火村が嘘と見破った場面、ニューハーフのひとなら永久脱毛してるだろうから髭は生えないだろ…って思ったけど時代的にまだそんな脱毛はメジャーじゃなかったのかなあ?
Posted by ブクログ
(短編)国名シリーズ3火村&有栖シリーズ6
ブラジル蝶の謎
妄想日記
彼女か彼か
鍵
人食いの滝
蝶々がはばたく
あとがき
文庫版あとがき
著作リスト
解説 椎谷健吾
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国名シリーズ第3弾。
天井に移された蝶の標本、庭で発見された焼死体、小指ほどの小さな鍵、消えた男女と2人の足跡。
各話の謎が解き明かされた後の反応は様々。
納得できるものもあれば、思わずニヤリとするもの、感慨深い気持ちになるものもあった。
特に「蝶々がはばたく」は印象的。
Posted by ブクログ
火村英生シリーズ第六弾
あとがきで筆者自身も書いている通り、蝶にサンドされた6編の短編集。
確かに時代背景に“ん?”って思う所はあったけど、短編集と言う事で私はあまり気にならなかったかなぁ。
相変わらずの火村先生の頭の中の抽斗の多さと思考にびっくり。
最後のお話なんかは特にそうで、珍しく安楽椅子探偵物になっているのだけど、産まれてもいない時代の事をよく推理できるなと…
と言うか砂浜に着いた足跡を消す=津波が起きたと言う発想になるのが純粋に凄い。