斜線堂有紀のレビュー一覧
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米澤穂信の供米のために読んだ文庫本。
米澤穂信以外の作家の著作は読んだことがなく、それもまた新鮮で面白く読むことができた。
新川帆立 ヤツデの一家
これを女性作家が書いているのが見事と言うかなんというか。私には理解できない世界だが、短編として素晴らしいドンデン返し。
大代行時代 結城真一郎
短い中にも貼られた伏線は丁寧だが、先の展開が簡単に読めるところが残念。
人には得意不得意があるのは仕方ないが、注意されたら片付けよう。
妻貝朋希を誰も知らない 斜線堂有紀
この短編は少し不快だったので長いです。
治安の悪い、物事を知らない人達ばかりの地域は確実に存在するし、地方で新しい人が入ってこない街は数多く存在するから、その人達がタイトルの人物を理解できない、自分の色眼鏡で判別するというのはあると思う。他所から来た人でも最初から偏見で見てるところもあると思う。
でもそれを焦点に当てた作品を作ったところで、最初から読者には察することが出来るし、読者を知識無いと思い過ぎでは無いか?
それとも境界知能の辛さをひたすら描きたかっただけか。それならなおのこと趣味が悪い気がする。
一番彼のことを理解していたのは母親だろう。それでも支えることができなかった、支援や援助に繋げられる方法を知らなかったそもそも存在を知らなかった、逃げるしかなかった所で彼女もまた境界知能か知的ありの発達障害があるのが予想できる。
供米 米澤穂信
米澤穂信のシリーズ物長編も好きだが、短編の天才でもあると言わずにはいられない。
文系の知識高い人達の会話の言葉遣いが見事だし、伏線の回収の仕方が自然過ぎて、勿体ぶっていない知的さがある作品だった。
ハングマン 雛鵜 中山七里
シリーズ物の短編のようで興味が湧いた。少しドラマを意識しているような、所謂アニメっぽさラノベっぽさを感じる文章や内容だが、現代らしいテーマで映像化されても映えるだろうなと思った。
ミステリ作家とその弟子 有栖川有栖
実はこの作家も読んだことがなかったので、読めて良かったし、他の作品にも興味が湧いた。
ミステリ作家と弟子の会話が面白く、単なる会話劇としても楽しめ、弟子の思惑でまた楽しむことができた。 -
Posted by ブクログ
6篇のSF短編集。
色々考えされるお話ばかりだった。斜線堂先生のSFは初めて読んだけどとても面白かったです。天才。
『回樹』『回祭』では、何を持って真実の愛とするのか、が描かれていて人間の関係・感情って複雑だなぁと思った。『回祭』の終わり方が切なすぎる。
人間の死体が腐らなくなりやり場に困り始める世界のお話『不滅』も、大切な人の遺体をどう扱うかは人によって違うし倫理を取るか未来を取るかで考え方は分かれるし難しい問題ではある。自分が当事者だったらどういう気持ちになるだろうと考えさせられた。
白人と黒人と宇宙人の人種差別を超えた友情が育まれていく『奈辺』はハートフル?で好きだった。 -
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ネタバレ耽美的、幻想的な短編集。あまり怖くはない。話はどれも面白い。
表題作、「痛妃婚姻譚」「『金魚姫の物語』」「本は背骨が最初に形成る」がとくによかった。どの話も女性キャラクターが魅力的。
「本の背骨」二篇
物語を読むことの快楽についての話。騙りであろうと本当の話になりうるディストピアが舞台。内容の誤り=「誤植」をめぐる命がけの「版重ね」は法廷での弁論バトルのようであり、ポストトゥルースな現実の戯画のようでもある。十の語る(誤った)物語の方が本当の物語より魅力的に思えるのが可笑しい。
「痛妃婚姻譚」
表現をソフトにすればメルヘンになりそうな切ない恋の物語。本書でもっとも感銘を受けた。一体となった苦痛と美。痛みを他人に負わせても美しく偽装すれば誤魔化せると考える人間のエゴイズムの醜悪さ。最後の夜、愛しい男をかつての名で呼び、死の舞踏を踊るヒロインに胸打たれる。
「『金魚姫の物語』」
世間が何と言おうと物語に意味を与えるのは主体。復讐のために写真を撮らせる(あとで後悔するが)ヒロインとは正反対だけど、読んでいてヘンリー・ジェイムズ『鳩の翼』のミリー・シールを思い出した。病身であろうと、好きな男と会うときは女王のように装って病いを気取らせない女。愛した男には美しい姿だけを記憶していてほしかったから。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ百合作品といえば、ただただ男女の関係の男の方を女性に置き換えただけのものと思いがちだ。事実、私はこれを読むまでそう思っていた。
ただでさえ恋愛経験が少ないから、こういった感情の機微を理解するのは正直言って難しいところだけど、男女の関係以上に繊細なことだろうし、それぞれの心情の変化なんかもまったく違ったものになるだろう。それをそれぞれここまでうまく表現したものは他に類の見ないのではと思う。
私もまだまだ百合ビギナーであることを自覚したので、百合の教科を必修科目にしたうえで、教科書に全作品掲載して教師に解説したもらいたい。
特に好きな作品は5作品目、斜線堂有紀先生作の「百合である値打ちもない値打ちもない」
現代のeスポーツやライブ配信の文化が背景になっているので、世界観が理解できると自分が現代人として認められた錯覚が得られて、自己肯定感を満たすのにもちょうどいいです。 -
Posted by ブクログ
不気味さより、美しさが勝る装画
タイトルも色味も好き
7つの嘘の形、虚構や隠蔽
或いは恐怖と儚さの短編集
どの物語も表題作になり得る程
完成度が高い!!
特に『痛妃婚姻譚』は読んだ後余韻が凄まじく
すぐに次の物語に進めなかった
表題作の『本の背骨が最後に残る』
7つの物語の始まりと最後を締める物語
この国では「本」とは物語を語る「人」そのもの
タイトルが本の名前となる
その人の着飾る物、化粧等を装丁と呼ぶ
一般的な「本」は「肺を持たぬ本」と呼ばれる
稀に誤植が見つかる
その場合は本同士が向かい合い
物語の正しさを論じ合う
それを「版重ね」という
それを裁く者を「校正使」という
負けた方は焼かれ、最後に残るのは
「本」の背骨である
「本」とは命と人生そのもの、
焼かれるそのときまで美しい
故に人は憧れる「本」になりたいと
「版重ね」に魅入られていく・・・
やはり表題作というだけあってインパクト抜群
おぞましいが、物語に引き込まれる
独特の余白や頁数の位置
装丁や内容も含め、
あたかも。この本自体が読める芸術品のよう -
Posted by ブクログ
ネタバレそういうことか。と理解しかけていたのに、最後に消しゴムが出てきたことで訳が分からなくなり自分なりに希望込みで考察した。
景は小学生の頃から、才能と自分の快楽が人とは違うことには何となく気付いていた。
宮嶺と出会い、どんな手段を使ってでも手に入れて側に置いておきたくなった。
根津原を誘導しいじめを始めさせエスカレートさせた。
宮嶺の精神の限界が来たところで救う。
宮嶺に自分のためにそんなことまでしてくれたのかと思わせ恩を売ると同時に、自分の快楽をはっきりと自覚する。
きっかけとなったから、もしくはシリアルキラーが自分の功績を残しておくとの同じ感覚で消しゴムを持っていた。
なんにせよ宮嶺は景にとって「特別」であった。
ただ「最後までやり遂げる」っていうのが気になる。
最後とは、警察に捕まることなのか、宮嶺に罪をなすり付けることなのか、宮嶺を殺すことなのか…。