あらすじ
小学生でデビューし、スランプに陥っていた高校生小説家・綴喜文彰。また傑作を書けるようになると誘われ、あるプロジェクトに参加する。向かった山奥には料理人、ヴァイオリニストなど5人の元・天才たちがいた。彼らのミッションとは、AI・レミントンの力を利用し、天才として世間に返り咲くこと――。借り物の才能で幸せになれるのか? 天才ではない自分に価値はあるのか? 等身大の悩みが胸に突き刺さる、共感必至の青春小説!
解説・桜庭一樹
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かったです!
夢中になって一気に読んでしまいました。
元天才たち×AIという題材も興味深かったです。
私は元天才でも天才でもないですが、好きなものに対する気持ちや考え方には共感できる部分が多かったです。
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chatGPT前後で読み方が分かれてしまう本だと思った。
最早小説すら書けてしまうAI相手に人間はどう向き合うべきなのか。
6人の天才たちそれぞれの向き合い方を通して、自分の向き合い方を問われているように感じた。
Posted by ブクログ
私は天才だったことも天才だと言われたこともないのにやけに共感して、自分の心の深い部分に踏み込んでしまった感じがした。昔の傷をそっと撫でるような、思い出すような、そんな時間だった。読み終わりたくなかったし、読み終わった後、疲労感と余韻でしばらく動けなかった。でもこの小説に出会えてよかった。
Posted by ブクログ
1度は天才と注目されるも
今は元天才としてスランプを抱える子供たち。
過去の自分に未練がありながらも返り咲けない、
そんな中あるプロジェクトに招集され
AIの力を借りることに。
AIという借り物の才能で本当にいいのか、
自分はどうなりたいのか、本心はなんなのか、
出会った元天才達と比較してしまい感じる劣等感。
若さゆえの葛藤やAIに置き換わってしまう恐怖も
見事に描かれた青春小説。
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高校生から感じていた自分は何者なのだろうかという漠然とした不安と、大学に入って自分は凡人でそれでも良いんだっていう納得と諦観が書き出されていて共感できた。思春期の自我の葛藤がAIも交えてよく書き出されている。
Posted by ブクログ
ある場所に中高生が集められ、巨大な「何か」に対峙するというフレームは自分の好きな辻村深月さんの『かがみの孤城」を彷彿とさせた。元天才たちの葛藤とAIの不気味さが丁寧に描かれて引き込まれました。
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かつて天才だった子どもたち、より具体的には大勢の大人から認められる強みを持った子どもたち。そんな子どもたちが強みを失い、世間から認められなくなったらどうなるのか。自分をどう見つめていけばよいのかというテーマの作品。
いつになっても自分の価値は自分で定義しなくてはならないけど、なまじ過去の栄光が大きい人はその当時と比べて自分を低く見積もってしまうものだと感じた。ゴールデンタイムの呪いに縛られて苦しむ子どもが、生きていく上でどのような選択をとるのか。ゴールデンタイムの消費期限をどのように設定するのかという点が気になる人は読むべきだと思う。
概して本来の自分がどういう存在で、どういう存在意義があるのかということは良くも悪くも自分で決めるものであることを学びました。
また、大した栄光があるわけでもない自分自身に置き換えても、明日が好転するような自分の捉え方を模索しようと言う契機になりました。
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好きな事を仕事にすると嫌いになる。
上手くできない焦りや思い通りにいかない葛藤、第三者に指導されればこなせられる屈辱。
それぞれの天才が才能と好きを天秤にかけていく辛さ。これは天才じゃなくとも、直向きに時間を割いて来た人なら分かる感覚だと思う。
自分の消費期限を決めてしまうのは勿体ないよね。
Posted by ブクログ
天才だった元天才たちがAIであるレミントンを利用して再浮上しようとする話。天才だった過去があるゆえにそれに縛られたり才能を上手く発揮できない現状に悩んでいる描写が印象的だった。
人生においてゴールデンタイムのような良かった時期との落差が発生し苦しむことへの向き合い方。AIとこれからどのように付き合えばいいのかについても考えさせられる作品だと思った。
Posted by ブクログ
謎解き要素もあって面白かった!AIとの向き合い方とか才能について色々考えさせられた作品だった。これからAIが様々な分野で活用されて、人間を必要としなくなる仕事やタスクが出てくると思うけど、AIの新しい利用の仕方やそれに伴った仕事なんかも生まれるだろうし、社会の変化から目を背けずまずその事象や事物を知り向き合うのが大切なのかなと感じた。あとアイデンティティとか存在意義みたいなものについても考えさせられたなあ。
Posted by ブクログ
若さ故の自意識との葛藤が上手く描写されていて、思春期・20代の人なら誰しも共感できる作品だと思う。登場人物は、元・天才ゆえに過去の自分や他者と比較されることが多く、周りからの評価がいつしか自分の幸せの基準になっていて、、、でも人は存在しているだけで意味はあると自分達で気づいていく成長過程に感動した。
Posted by ブクログ
久しぶりに本を読んで続くか不安だったが、非常に読みやすくサクサクと読むことが出来た。途中、主人公の隠された過去が描写されるのだが、恐ろしい経験をもとにそれをネタとして小説を書こうという姿がとても情熱的で好きなシーンです。
Posted by ブクログ
綴喜文彰
十八歳。志野西高校三年。小学四年生から小説家。スランプで四年間小説を書いてない。小柴からあるプロジェクトの参加依頼を受ける。
小柴
文彰がデビュー時から世話になっている洋全社の担当編集者。
晴哉
文彰の従兄。宇宙を目指して日本を離れたが、事故に遭い帰国。一命を取り留めたが、自力で歩くことも寝返りを打つことも、声を発することも出来なくなった。
備藤
プロジェクトのマネジメント担当。
雲雀比等久
レミントン・プロジェクトの実質的な責任者。博士。
真取智之
天才料理人。文彰とは『ギフテッド・チルドレン』という番組で共演していたことがある。
秋笠奏子
ヴァイオリニスト。十八歳。小学生の頃から国内の賞を荘舐めした。
秒島宗哉
帝都藝大の三年。日本画専攻。
御堂将道
デビューから二十七戦無敗だった最年少棋士。
凪寺エミ
十八歳。映画監督。世界のナギデラの娘。
凪寺孝二
世界のナギデラ。日本を代表する映画監督。
楠木奏
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元天才×AIが混ざり合うとどうなるのか…!
面白い題材だと思った。
結末は現実的なきれいなまとまりだった。
ただ現実的な結末であるが故、
想像を超えるような…創造上の物語であるからこそのサクセス、を期待してしまいながら結末を追っていたので
すこし結末を物悲しく感じてしまった。
Posted by ブクログ
ゴールデンタイムが終わった、元・天才たちが集められて、AIのレクチャーをうける。天才に返り咲けるか?
飛び抜けた才能があるってことは、恵まれていると同時に、それに縛られてしまう。簡単に捨てれない。どう生きたいか、自分で選んでいいんだって気づけたところからまた始まる。
Posted by ブクログ
「才能」がある、いわゆる「天才」は、その人間の裏や過去も勝手に期待されてしまう。勝手に理想を押し付けられてしまう。才能とはなんだろうか。それは努力の先の肩書きにすぎないのではないだろうか。と思ってしまう。
たとえ優秀な小説家になれなくても、腕のすごい料理人になれなくても、賞を取り続ける映画監督になれなくても、「幸せ」にはなれる。つまり「何者」かにならなくても「幸せに生きる道」はあるじゃないかと未来に希望を持つことができる1冊だった。
長編ファンタジーの後に読んだからちょっとだけ物足りなさを感じてしまったけど(完全に自分のモチベ)すごく共感出来るシーンが多い斜線堂先生らしい物語だった。