あらすじ
突如失踪した人気小説家・遥川悠真。その背景には、彼が今まで誰にも明かさなかった少女の存在があった。
遥川悠真の小説を愛する少女・幕居梓は、偶然彼に命を救われたことから奇妙な共生関係を結ぶことになる。しかし、遥川が小説を書けなくなったことで事態は一変する。梓は遥川を救う為に彼のゴーストライターになることを決意するが――。才能を失った天才小説家と彼を救いたかった少女、そして迎える衝撃のラスト! なぜ梓は最愛の小説家を殺さなければならなかったのか?
あなたは、敬愛する人を殺したくなったことがありますか?
突然失踪した売れっ子小説家・遥川悠真。彼の家を捜索すると、同棲していた少女の痕跡が現れた。その少女こそ、この物語の主人公・幕居梓だった――
小学生のときに、自殺しようとしていたところを遥川に助けられた梓。そこから始まる大好きな小説家との生活は、遥川のスランプにより思わぬ方向へ進んでゆく。「小説家・遥川悠真」を救うために梓が選んだ行動とは? そして、梓はその後どうなるのか? 「才能の枯渇」という重く苦しい題材を使い、痛切な感情を描き出した一作です。
作者の斜線堂有紀先生はミステリ・SF・恋愛と幅広く手掛ける作家です。
本作を読んだ後は、同作者の『ゴールデンタイムの消費期限』もオススメ! こちらも「才能の枯渇」というテーマを扱った作品です。
感情タグBEST3
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梓は小説家の先生のことが好きで、先生も梓のことを好きで。だけど、先生のスランプと梓の才能、信仰が2人の関係を変えてしまった。
先生が本当に梓の家族の代わりになろうと思っていたこと、互いを大切に思う気持ちは本物だった。最後までずっと。
迎える結末はあまりにも救われなくて、でも2人が出会った瞬間からこの結末は決まっていたのかななんて考えてしまう。
初めてのデート、小学校の卒業式、梓が小説を持ってきた日。先生視点があったら間違いなく数週間は引きずってた。
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小説の中に小説が多分私は好きなんだろうな。
めっちゃハマりました!
小説はある種の信仰に近い、ほんとにその通りだと思う。
敬愛するからこそのクローンのような小説。
先生と梓の互いの苦しさもしっかり描かれていてすきです!
タイトルもなんか好き!
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個人的には最高に良かった!
現代版ロミオとジュリエットとでも呼ぶべき作品。
小説家に救われた小学生の女の子が、タイトル通り小説家を殺すストーリー。精神的にも、肉体的にも殺されてしまう有名小説家は、少女にとっての神様だった。ふたりの関係性の設定がしっかりしているので、それに沿った心の動きがすごく魅力的だった。小説家ならではの独特な思考と精神状態にも引き込まれていく。
最初の設定はかなり強引にも感じたけど、今の世の中であればあり得る話ではある。
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やってはいけないよ、と言われているのに何度も自傷行為を繰り返すような痛々しさがある。
才能、神様、喪失、登場人物に大きな動きはないのにそれが語られる様は川の流れのようだ。上から見ると何の変哲もない水の流れだが、中では怒涛の勢いで水が絶えず動いている。
何故、人は人を殺すのか。嫌いだったから、邪魔だったから。色々な理由があるが実際にはそんな単純な理由はない。人間の業と哀しみが絡み合って結末に突き進む様が切なくも痛々しくて清々しい。
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全てを読み終わったあとまた最初の部分を読み直した
何も言わずに半分ビタミン剤に変えていたのが愛に感じて苦しかった
好きなもの同士でも言葉で伝えないと伝わらないことがあるし、それを放っておくと修復できないとこまで拗れていくのはよくある話で自分も気をつけようと思う
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これだけ一気に読み進められた小説は初めてでした。
語り部が一人に絞られていて、視点も変わらなかったのが個人的に読みやすかったです。
なぜ大好きだった小説家を殺さなくてはならなかったのか。 なぜ『殺すまで』という説明的な言葉だったのか。 最後まで読むとそれら全てが理解できて読む終わりは個人的にスッキリしました。
切ないけど心に刺さる作品
梓と遙川悠真の関係性が素晴らしい。この本を一言で表すなら共依存がいちばん相応しいと感じる。遥川悠真の梓に対する感情の変化を持ちながらも結局愛していた姿も梓の遥川悠真に対する幼い頃から見てきた小説家として姿への執着も遥川悠真に対する期待と愛もとても深くて面白い。人間が相手に理想像を押し付け求め憎悪し妬み、また愛す。その姿が生々しく綺麗に描写されているところが素晴らしいと思う、人間の醜く美しいほどの執着と愛情と嫉妬が詰め込まれている作品。メリーバットエンドが好きな人、人間の生々しい感情が見たい人には是非とも奨めたい
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なんだろう。グイグイ読ませる小説だ。ページをめくる手が止まらなくて物理的な何かが働いているとしか思えない!
ストーリー展開も面白かったけど、小説を書く人間の生態が興味深かった。
【読書体験が楽しい】と思える本に出会ったのは久しぶりだったかも。
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先生と女の子との関係性について当事者から見えている関係と外部からの見え方の対比が面白い。
度がすぎる理想や願望は信仰に繋がりやがて、期待という圧力を生む。行き過ぎた信仰と執着の生む結末は運命的であり、外世界からは理解されにくいだろう。人がどうやって生きるのか、何を糧に生きるのか、個々人で違う以上他人を理解しようとするなんてことは烏滸がましいのかもしれない。そんなことを考えさせられる作品でした。自分の人生をかけるほどの敬愛を向けている相手がいる方には是非ご一読頂きたい。
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読み終わったはずなのにすごく引っ張られる感じがする話だった。バッドエンドなんだろうけどそういって言っていいのか分からないくらい梓にとってはその選択肢以外ないレベルで先生のことが大好きだったんだろうなと思った。冷静に考えれば先生はかなり犯罪者チックだけど、2人だけの空気感というか、雰囲気が好きだった。斜線堂有紀さんの作品は今回含め、いつもそこが好きです。
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才能を失った天才と、神様に救われた少女の話。早い段階でこれが恋だと気づけていてふたりが踏み出せていたらこういう結末にはならなかったのだろうなと思う。あるいは先生がもっと早く殺せていたなら、少女がここに入り浸ることがなければ。なるべくしてなった結末ではあると思うけど切なかった。先生の、神様の、いない世界で彼女は生き続けられるのかな?と思う。
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才能を失った天才小説家と彼に救われ彼を救うためにゴーストライターになった少女の関係性が最後まで不器用でどうしようもなくて、だけどどこか納得もしてしまうようなやりきれなさに支配された読後感だった。「もっと上手く立ち回れていたら」「もっとお互いの気持ちをぶつけ合えていたら」と思ってしまうのは自分が単なる第三者(読者視点)で当人達からすればもっと複雑なんだろうなぁ…
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他人の話で、なんで自分が傷ついているのか。
もっと他にも選択肢があったのに不器用すぎる。
いくらでも遣り様なんてあったはずなのに。
そう思ってしまうから涙が出る。
ただ第三者目線だと悲劇に見える物語も、当事者の遥川と梓にとっては違うのかもしれない。
歪な関係だと分かっていても結局手放せなかったんだから。
人間いつでも冷静に正しく行動できたら良いけど、そう簡単にはいかないよね。
未だにラストシーンの余韻が残ってる。
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あとがきで著者が書いていた通り、「救済の責任の問題」の話だった。
先の読める単純な「作家とゴーストライター」の話ではない、遥川と梓の想像以上に複雑な関係性がリアルに感じられた。
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『憧れの相手が見る影もなく落ちぶれてしまったのを見て、「頼むから死んでくれ」と思うのが敬愛で「それでも生きてくれ」と願うのが執着だと思っていた。』
この冒頭の一文があらためて読み返すと印象深い。
泥沼のような共存関係から、最後は綺麗なバッドエンドに集束して面白かった。
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すごい。歪な関係が上手に描かれている。
気味が悪いくらい執着心が強い主人公と、最後まで頭を抱えた先生、良くも悪くも人間らしい話だった。お腹いっぱい。
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自殺しようとした少女を止めた小説家一緒に住み始めて主人公がゴーストライターになる話。これは、けんごさんという小説紹介をしていて見始めました。最初に見たとき○○○が止まりませんでした。
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3.5 ミステリー仕立ての恋愛小説。流浪の月とモチーフは同じ。後半は一気読み。殺すほど好きは経験ないので、小説で出会えて良かったと思える。あり得ない話をあり得るようにの物語。
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はぁー大きく息を吐いてしまった
ラストは水中の中で読むような無呼吸状態に
愛、恋、ファン、尊敬?同一化?
「私が大好きな小説家を殺すまで‥」
それから
恋に至る病も読もう!
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遥川悠真
大学在学中に、とある文学賞を受賞して世に出た小説家。ファンイベントの直後、突如失踪した人気小説家。
豊島警察署捜査一課の刑事
幕居梓
小学生のころ、午後七時から朝の七時まで母親から押し入れの中に閉じめられる。遥川悠真の小説を愛する少女。十七歳。西ヶ浦高校の二年生。
梓の母親
工藤
守屋和幸
文芸部。梓の先輩。
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普段だったら手に取らない類のストーリーですが、斜線堂有紀さんの小説に最近ハマってるので読んでみました。
小説や小説家に対しての考えにしっくりくるのがあり、どこかで聞いたことあるようなストーリーながらも結末は予想できず。それなりに楽しめました。
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『憧れの相手が、落ちぶれてしまったのを見て
「頼むから死んでくれ」と思うのが敬愛で
「それでも生きてくれ」と願うのが執着』
突然失踪した人気小説家
彼の部屋に残されたノートパソコン
遺書とも思われるワードファイル
そして、謎めいたクローゼット
少女は、小学生の時ネグレクトから憧れの小説家
に助けられる
家庭を失った少女と才能を失いつつある作家の
共依存生活
恋愛小説で、少女が小説家を殺す経緯であり
そこは敬愛だったのか執着だったのかを問う
ミステリーというなかなか洗練された一作
女子学生の頃読んだら、悶えたと思います
Posted by ブクログ
話の内容が重いのに何故かスラスラ読めて個人的にとても読みやすかった本。1番初めにある憧れの相手が見る影もなく落ちぶれてしまったのを見て、「頼むから死んでくれ」と思うのが敬愛で「それでも生きてくれ」と思うのが執着。という文を見て物語を読んだ後に確かにな、と思えた
Posted by ブクログ
とても残酷で、とても美しい、小説家と少女の物語。
彼と彼女に起きたことは、きっと小説家なら誰にでも起こりうることなのでしょう。
文体はとても読みやすく、気づけばスルスルと読み進めていました。
しかし物語としては美しいけどもうちょっと気をつけなよ、と思わざるを得ないw
Posted by ブクログ
遥川の言葉の意味や気持ちが汲みきりにくい箇所がある。ただきっとそれはこの物語が梓の一人称であり、彼女が味わった気持ちなんだろう。遥川サイドの視点も描いたものがあれば見てみたい。きっと同じ事実に対しての見え方が異なるであろうと思う。
余談だが、なんとなく旧エヴァのアニメ版のシンジとアスカのような関係性が連想された。
Posted by ブクログ
ラノベっぽいような、そうでも無いような。
知人に「あなたの作品っぽい雰囲気の小説とは?」というタグで薦めてもらった作品。褒められてるのか貶されてるのかなんなのか(笑)(タイトル)
敬愛なのか執着なのか、私には敬愛なんてないと思っていたけれど、好きな作家が望む作品を出せないなら、人道を外れてしまったら、勝手に抱いている理想と違ったら。それはいなくなってもかまわないと思うかもしれない。
Posted by ブクログ
タイトル通り。
虐待を受け、親に捨てられ
自殺しようとしていた少女
それを止めた小説家
救われた少女は小説家と暮らし始める。
神様のように作者を慕う少女
素っ気なく振る舞いながらも
愛情抱く小説家(うーん、今書いててもなかなかな奴だなぁ)
警察に届け出てないというのもあるのだけど、違和感をいちいち捉えずに読んでいた。
前読んだ作品の「中学生男子と大学生女子」の関係もそうだけど、ギリギリアウトかもしれない関係性で進む話が多い作家さんなのかな?
今回は「小学生女子と社会人男性」
そして毒親も共通項
「感情揺さぶられたい」ということも小説を読む理由の一つなのだが、この話は「タイトル」がまず先にあるので「何故そうなってしまうのか」を追ううち
「なるべく感情を動かさないように読み進めようとしている自分」に気づく
現実にこんなことがあるのかどうかは置いといて、悪いほうに行かないでくれと願い、読み終えないと気持ちが鎮まらない(どうにも心は動いている)
どんどん読み進めてしまう。
相手を好き過ぎて助けようとしている行動が相手を完膚無きまでに破壊し尽くす。
壊していることに気づかないから
「壊れてしまってる」と感じ、愛している者として終わらせようとする。
うまく噛み合わないまま…結末へ
あとがき
作者さん自身が感じた疑問に対する答えを探すための実験のように物語を紡ぐ。飄々と「今回はこんな実験をしました」と語る感じがたまらない。
どうしたらうまくいった?
なんでこうなった?
アイツ一番損してない?
それともコレで良かったの?
読み終わるまでが早いのに
読み終えてから考える時間が長い。
作者の答えを読んだはずなのに
疑問(問い)を引き継いでしまった。