あらすじ
突如失踪した人気小説家・遥川悠真。その背景には、彼が今まで誰にも明かさなかった少女の存在があった。
遥川悠真の小説を愛する少女・幕居梓は、偶然彼に命を救われたことから奇妙な共生関係を結ぶことになる。しかし、遥川が小説を書けなくなったことで事態は一変する。梓は遥川を救う為に彼のゴーストライターになることを決意するが――。才能を失った天才小説家と彼を救いたかった少女、そして迎える衝撃のラスト! なぜ梓は最愛の小説家を殺さなければならなかったのか?
あなたは、敬愛する人を殺したくなったことがありますか?
突然失踪した売れっ子小説家・遥川悠真。彼の家を捜索すると、同棲していた少女の痕跡が現れた。その少女こそ、この物語の主人公・幕居梓だった――
小学生のときに、自殺しようとしていたところを遥川に助けられた梓。そこから始まる大好きな小説家との生活は、遥川のスランプにより思わぬ方向へ進んでゆく。「小説家・遥川悠真」を救うために梓が選んだ行動とは? そして、梓はその後どうなるのか? 「才能の枯渇」という重く苦しい題材を使い、痛切な感情を描き出した一作です。
作者の斜線堂有紀先生はミステリ・SF・恋愛と幅広く手掛ける作家です。
本作を読んだ後は、同作者の『ゴールデンタイムの消費期限』もオススメ! こちらも「才能の枯渇」というテーマを扱った作品です。
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Posted by ブクログ
天才小説家が崩壊していく姿がどこか生々しくて。
救いたい一心で始めたはずの創作がその崩壊を加速させていき、次第に少女自身も壊れていく描写も痛々しくて。
お互い大切に想いあっているはずなのに、段々とかけ違えていくボタンが、解くことさえできないところまでいってしまったのがなんとも言えなくて哀しかった。
最後の結末は分からないけど、1度目の「俺はお前を、見ているからね」はまだ純粋な慈愛の気持ちから発せられた言葉のはずで、それを思いだすってことは前向きに生きていく気持ちの現れかもしれない。
でも個人的には、線を飛び越えた先で、今度こそしがらみとかそういった事柄一切なしに、敬愛でも執着でもない第三の感情で、平和な時間を二人で過ごしていて欲しいなと思う。
Posted by ブクログ
読みやすかった。
がっつり共依存で、なんとなく幸色のワンルーム思い出した。
梓が小説を書かなかったら、ふたりはずっと一緒にいられたんだろうか。
Posted by ブクログ
綺麗な純愛モノだった。読んでる途中で、「コレって作中作のギミックがあるのでは?」と邪推したがそんなことはなく、ラストにきっちり『遥川悠真』を殺して終わってくれた。
愛情は少し後ろめたい部分があったほうが健全なのかもしれない。ピュアすぎると、こういう結末を避けられなくなるんだろうなと感じた。
Posted by ブクログ
小学五年生の幕居梓は、命を捨てに訪れた踏切にて、敬愛してやまない天才小説家「遥川悠真」と出会う。
その後、遥川の家に遊びに来てご飯を食べたり、一緒に遊園地に行ったり、家族のように絆を深めていきます。
しかし、遥川は次第に小説を書けなくなり、そこから物語は地獄へと向かっていく…
•序盤の梓の家パートかきつかった。
夜の七時から朝の七時まで押し入れに閉じ込められたり、家に帰る時間は秒単位で7時ぴったりでない等々、母親の躾は普通のことのように思って生きてきた梓。
しかし、母親が何日も帰ってこなくなることが増え、母親の自分に対する言動や扱いが異常なことに気づき、愛されていないという悲しさが凄く切ない。
•梓はたまたま出会えた天才小説家の遥川のそばで、彼が小説を書く姿を間近でみてきました。
3作目にて彼は多くの批評を浴びるのですが、その時の遥川の乱れっぷりがなんだかとても憐憫で、悪い意見だけでなく良い意見も沢山あるのに、悪い部分ばかり目についてしまう遥川は、人間味が凄くて、物事に本気で向き合う人だけが見せる気迫さが文字を通して伝わってきました。
•梓から見る遥川は次第に摩耗していき、もはや才能を消費し切った”終わった”天才のように映ります。
•梓は「小説が大好きでとにかく書き続ける遥川」が好きなので、とっくに小説家として終わっている遥川の”ゴーストライター”として、代わりに小説を書き続けるというとんでもない展開が待ち受けています。
ゴーストライターとして梓が書いた小説の中には、「遥川悠真の最高傑作」と評されるものも出てきたり、世間からみたらとても順調にみえる流れでした。
が、この物語では梓と遥川の関係性が密に描かれていて、遥川は自分を超えた梓を最早憎んでいるし同時に大切にも思っているのがよく分かりました。斜線堂さんは、このような人間の一筋縄ではいかない感情を描くのが本当に上手いです。
•ラストシーン(遥川が飛び込み自殺したホームにて、梓がホームから飛び降りようとしている)には、最後いったい生死どちらを選んだのか?!
希望的観測では、梓は遥川の分まで生きて小説を書いて生きていくことを選択したのではないかと祈っています。
天才が天才じゃなくなる展開は辛すぎるし、梓は大好きな遥川を結局自分の理想から外れることを許さないことで、結果として遥川を追い詰めることをしてしまったのだなと、少し切なくなりました。
Posted by ブクログ
才能が枯渇した天才小説家の遙川悠真と、彼の小説に救われ、彼に憧れ、彼のためにとゴーストライターにまでなった少女・幕居梓の物語。「小説家を殺す」というのが何を意味するのか。文字通り”命を絶つ”のか、それとも”小説家生命を絶つ”のか、それとも…、とページを捲る手が止まらず最後まで一気に読み進めることになりました。悲劇的な結末に至りそうなのはあらすじを読んでも分かりますが、結末に至ってなお、過程の解釈に揺れています。傑作。
Posted by ブクログ
梓は小説家の先生のことが好きで、先生も梓のことを好きで。だけど、先生のスランプと梓の才能、信仰が2人の関係を変えてしまった。
先生が本当に梓の家族の代わりになろうと思っていたこと、互いを大切に思う気持ちは本物だった。最後までずっと。
迎える結末はあまりにも救われなくて、でも2人が出会った瞬間からこの結末は決まっていたのかななんて考えてしまう。
初めてのデート、小学校の卒業式、梓が小説を持ってきた日。先生視点があったら間違いなく数週間は引きずってた。
切ないけど心に刺さる作品
梓と遙川悠真の関係性が素晴らしい。この本を一言で表すなら共依存がいちばん相応しいと感じる。遥川悠真の梓に対する感情の変化を持ちながらも結局愛していた姿も梓の遥川悠真に対する幼い頃から見てきた小説家として姿への執着も遥川悠真に対する期待と愛もとても深くて面白い。人間が相手に理想像を押し付け求め憎悪し妬み、また愛す。その姿が生々しく綺麗に描写されているところが素晴らしいと思う、人間の醜く美しいほどの執着と愛情と嫉妬が詰め込まれている作品。メリーバットエンドが好きな人、人間の生々しい感情が見たい人には是非とも奨めたい
Posted by ブクログ
文体が平易で読みやすかった。
人が人を好きになる要素は様々あるが、
その要素を失ったときに愛し続けられるか。
そんなテーマの話。
梓が遥川に向けた愛情が、
遥川にとってはすべて不幸な結末になっていて虚しい。
愛され方を知らないと愛し方はわからない。
梓が母に求められ、強制されていたように
梓は遥川に対して、偶像崇拝という形で
本人を抑圧した。
自分がされたようにしか人を愛せないものかもしれない。
原稿の送付ミスさえなければすべては丸く収まったかもしれないが、世間を欺いたら罰を受けるという因果応報の物語でもあるかもしれない。
人は衰退していくものだから、
才能も枯れるし衰えもする。
そこに向き合うことは容易ではないし、
愛情だって同程度の持続はできないかもしれない。
ピークを見送ったとき、人は虚しさも覚えるし、
落胆もする。
常に上昇するなんて夢想は捨てなければならない。
人の最期はおおよそ惨めかもしれないが、
それまでのプロセスで救われたなら、
一時でもピークを感じられたなら見方を変えれば幸せなのではないかとも思う。
殉教精神で命を捧げようとまで思えるものが
見つかることは、ただ生きながらえるよりも幸せと解釈することもできる。
遥川が自らの才能以外に対しても梓の愛情を感じられていれば、ゴーストライターという罪に手を染めることはなかったかもしれないし、いや遥川は優しいから、梓が示したその信仰と好意を無碍にすることは出来なかったのかもしれないとも思う。
人はもしもの話が好きな生き物なのは首肯する。
いずれにせよ、これがバッドエンドかは測ることはできない。
もし本当に、信仰は理解されないときが一番輝くのだとすれば。
Posted by ブクログ
小説家の失踪、残された怪文書。
怪文書は手記のようなもので、親からの虐待、小説家との出会いが書かれた少女のお話が描かれている。それに沿って物語が進む。
ロリすぎるのが気になったけど()とても深い純愛で、複雑な折り組んだ展開と美しい文章に魅了され続けた。
Posted by ブクログ
読み終わったはずなのにすごく引っ張られる感じがする話だった。バッドエンドなんだろうけどそういって言っていいのか分からないくらい梓にとってはその選択肢以外ないレベルで先生のことが大好きだったんだろうなと思った。冷静に考えれば先生はかなり犯罪者チックだけど、2人だけの空気感というか、雰囲気が好きだった。斜線堂有紀さんの作品は今回含め、いつもそこが好きです。
Posted by ブクログ
自分の命を救ってくれた小説家の堕落を目の当たりにして、助ける為に起こした行動から軋轢が生まれてしまう話。
梓がゴーストライターとして活動しだしてからの先生の態度は最悪だが、正常な精神状態ではなかっただろうし、想像しきれないほどの複雑な思いがあったのだろうなと思う。
共依存の最たるもので、共感しきれない部分もあったが、神様ほどに思っている人の為なら犯罪も起こしてしまうのかもしれない。
ラストは想像が掻き立てられる終わり方で好きだった。
読み終わった後に表紙を見ると印象がかなり変わって悲しくなる。
あと書き出しは本当に名文だと思う。