あらすじ
令和最注目の作家・斜線堂有紀が描く、推し(アイドル)の恋。ウェブ掲載の作品に書き下ろしを加えて書籍化!! 解散寸前だった地下アイドル「東京グレーテル」を、ひとりのカリスマ―赤羽瑠璃―が躍進させた。人気グループとなり輝きだした「東グレ」。しかし光の中のアイドルたちも、ステージを降りれば人生が待っている。推される側の“恋”と“生”の物語。「見ててね。私が最高の人生、使い切るところ――」 『ミニカーを捨てよ、春を呪え』冬美は結婚を意識している恋人・渓介がいる。けれど、恋人は赤羽瑠璃というアイドルを推しており、全てにおいて彼女を優先する。推しと恋人、本当に愛されているのはどっち?/『星が人を愛すことなかれ』「東京グレーテル」の元メンバー・雪里は、Vtuberとして活動している。生活時間のすべてを配信のために捧げる彼女は、いまや百万人に愛される人気Vのひとりだ。その代わり、雪里は次第に恋人との時間すらとれなくなっていく。/『枯れ木の花は燃えるか』「東京グレーテル」のメンバー・希美は地下メンズアイドル・ルイと付き合っている。ある日、ファンとのベッド写真が流出してルイのSNSが炎上。希美は復讐の為にルイと関係を持ったファンと会い、炎上を加速させてルイを叩き潰そうとするが──。/『星の一生』「東京グレーテル」のカリスマ・赤羽瑠璃。かつて自分のファンである渓介に恋をし、ストーキングのあげく部屋まで侵入した女。それでも渓介を諦められない瑠璃は、彼のSNSアカウントを監視し続けてしまう。そしてある日瑠璃は、渓介が恋人と結婚式を挙げることを知る――。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
日常の恋愛と推しの恋。
全4つの物語の点が徐々に線に繋がっていく。
200ページとちょっと、言葉一つ一つに一切の無駄がない。現代の推し文化を上手く融合し、共感とフィクションの中で人物がいきている。
人間の感情や情緒はこんなにも身近で難しく、とても尊いが滑稽であることを描いた傑作なのでは。
自身久しぶりのヒット作。
Posted by ブクログ
面白すぎた!!
心の中ではこう思ってるけど、ぶつける相手には心の中で思ってることではないことを言ってしまう。あるあるだし、恋愛においてはありすぎる話でわかる!!と思いながらあっという間に読み終わってしまいました。
語彙の破壊力がすごい。言葉の選び方が秀悦でとても、好き。
あと、赤羽瑠璃が推しなので彼女の話がいつも一番心震えます。
Posted by ブクログ
2時間弱で一気読み!めちゃくちゃおもしろかったです!
推しとかアイドルの心模様に興味ありまくりなので、実際のあの人もこんな風に思ってるのかなぁとか、こんな辛いことがあるけど頑張ってるのかなぁとか、想像しまくりながら時には涙も流しながら読みました。
一話の段階では冬美目線で、そりゃ彼氏がアイドル推しまくりだったら寂しいし嫉妬もするよねー、なんて気軽に読んでたのに、四話の瑠璃を読んじゃうと、んもーーー!早くめるすけ奪いにいけーーー!とばねるり応援しまくりで、自分の変わり身の早さにびっくりでした笑
文章がうますぎて、アイドルを疑似体験できた気持ちで、実際のアイドルたちにこれを読んで実態に合ってるのか答え合わせを是非聞きたいです。
帯の『見ててね。私が最高の人生、使い切るところ』ってなんて素敵な言葉なんでしょう。胸が熱くなります‼︎ そんな覚悟で臨んでくれるなら一生推す! 笑
前作あるの知らなかったので、すぐ読みます!
Posted by ブクログ
・タイトル買いしたけど面白くて一気に読んでしまった。こっちが続編と知り、即前作も買っちゃった。
・性格や行動によって他者の星になる存在と、その星に魅了される関係性が好きなんだけど、星側にとっても星がいるっていうのが「好きの永久機関で芋蔓式に全員好きなってまう!!」状態だった。
・渓介、罪な男。でもばねるりが告ったとして受け入れるかどうかはちょっと想像できなかった。推しと結婚したいって思うタイプじゃなさそうだなって。ばねるりのアイドルとしての輝きに焼かれてそうだし。
・「依存でも執着でもない、お綺麗な恋を出来ている人間が」っていうのが何だか印象に残っている。それだけがお綺麗で、叶うだけが恋じゃないんだ・・・それはそう・・・
・「人が星の燃える由縁を知ることはない」まさにこれだったな〜〜。星として輝きを放つ人にも、その輝きを生むための薪があるっていうのが叩き込まれた感じ。
Posted by ブクログ
アイドルの世界というのがあまりにも自分とかけ離れすぎており、1番共感できたのが「ミニカーを捨てよ春を呪え」だった。
渓介の、恋人以外にも熱中することがあって、時間もお金もかけたいという気持ちはよくわかった。
一方で美冬の渓介(というより誰かに)に愛されたいいう気持ちにも共感できる。
美冬は自分肯定感が低いが故に他人からの愛でしか自分を肯定できない。理想の彼氏を渓介に押し付けようとする。
美冬はさっさと渓介と別れて、自分を肯定してくれる居場所(彼氏でも仕事でも)を見つけないと辛いだろうなと思って読み進めていた。
お互い譲り合えるところは譲り合うしかない。でも絶対に譲れないところが美冬と渓介で食い違っていて、美冬は自己肯定感の低さや理想の高さ、経験不足故にそれを見過ごしてしまった。
渓介に関しては彼女いるのにアイドル追いかけてるのはどうなの?と思いつつ、言葉だけでなく行動で美冬のために愛情を表現しているのは健気に思った。
自分も誰かに愛されたいという気持ちは強く、一つ間違えば美冬のようになってしまうかもしれない(というかなった)。そうならないように、色々な経験を積んで自分を愛せるように成長していきたい。
Posted by ブクログ
斜線堂有紀で1番好きかも。タイトルの通り、アイドルを取り巻く恋愛が不協和を呼ぶ連作短編集。東京グレーテルが地下出身で瑠璃だけが売れてるのが余計に辛い。推しと彼女の話「ミニカーを捨てよ、春を呪え」が身につまされたので「星の一生」で刺された。
Posted by ブクログ
【感想】
朝井リョウさんが出版区のYouTubeでお勧めされていたので初めて斜線堂有紀さんの本を読んだ。
メガインザチャーチで描かれているような線密なファンダム経済というよりは、1人のアイドル赤羽瑠璃とその周りで彼女が影響を与えている人達の物語。
推す側、推される側の恋模様や人間模様が描かれており、アイドルと人間としてどのように折り合いをつけながら生きているのかなどが描かれていて面白かった。
朝井リョウさんのコメントにもあった【人生を使い切る】というワードが現代人の生きる糧なのか。
またこういう世界で生きる事の大変さやメンタルの保ち方など描かれていたり、相手を炎上させる手段など今のSNS時代の怖さや女同士のやり取りもリアル感があった。
東京グレーテル、赤羽瑠璃という世界の中ではあるが、4つの短編のような描かれ方になっており、非常に読みやすく、あっという間に読めて、他の作品読んでみたい。
【あらすじ】
解散寸前だった地下アイドル「東京グレーテル」を、ひとりのカリスマ―赤羽瑠璃―が躍進させた。
人気グループとなり輝きだした「東グレ」。しかし光の中のアイドルたちも、ステージを降りれば人生が待っている。推される側の"恋"と"生"の物語。
「見ててね。私が最高の人生、使い切るところ――」
『ミニカーを捨てよ、春を呪え』
冬美は結婚を意識している恋人・渓介がいる。けれど、恋人は赤羽瑠璃というアイドルを推しており、全てにおいて彼女を優先する。推しと恋人、本当に愛されているのはどっち?
『星が人を愛すことなかれ』
「東京グレーテル」の元メンバー・雪里は、Vtuberとして活動している。生活時間のすべてを配信のために捧げる彼女は、いまや百万人に愛される人気Vのひとりだ。その代わり、雪里は次第に恋人との時間すらとれなくなっていく。
『枯れ木の花は燃えるか』
「東京グレーテル」のメンバー・希美は地下メンズアイドル・ルイと付き合っている。ある日、ファンとのベッド写真が流出してルイのSNSが炎上。希美は復讐の為にルイと関係を持ったファンと会い、炎上を加速させてルイを叩き潰そうとするが──。
『星の一生』
「東京グレーテル」のカリスマ・赤羽瑠璃。かつて自分のファンである渓介に恋をし、ストーキングのあげく部屋まで侵入した女。それでも渓介を諦められない瑠璃は、彼のSNSアカウントを監視し続けてしまう。そしてある日瑠璃は、渓介が恋人と結婚式を挙げることを知る――
Posted by ブクログ
ストーリーも面白く、文章も読みやすいので、サクッと読めた。
私にも「推し」がいるが、彼らもこの小説の登場人物たちと同じような思いや苦しみを抱えているのかなあ…と想像しながら読むのが楽しかった。
Posted by ブクログ
推し、ファン、彼女、アイドル…それぞれの視点から描かれてておもしい。
恋愛はいつ、どこにいても、どの立場でも悩ませるものだと感じた。
アイドルが恋によって狂ってく様子や、逆にファンがアイドルにとって遠い存在だったり、自分には分からない表舞台にいる人の苦しみがあった。
アイドルやVTuberに人生を捧げる事で本来の自分の生活が決まってくる事に辛くなった。
Posted by ブクログ
アイドルの裏側を描いた作品。
短編集だが1つのアイドルグループの話なので、それぞれ独立していても、人間関係が繋がっていたりして面白かった。
スルスルと紐解かれていく感じで楽しく読めた。
Posted by ブクログ
朝井リョウさんが「本ツイ」で紹介されていた本。
初めて斜線堂有紀作品を読んだが、文章は読みやすいし面白くて一気に読めた。
アイドル、オタク、推し活…といったものに無縁の私には、新鮮な世界だった。
地下アイドルからカリスマアイドルへと成長した"ばねるり"を取り巻く4つの短編。
同じファンダムをテーマにしていても、朝井リョウの『イン・ザ・メガチャーチ』よりもかなりディープな世界だった。
ばねるりの熱狂的ファンの男性の話から始まり、最後はばねるり視点での話へ。
最後はなんか鳥肌立つ感覚。
推す側も推される側も、アイドルだって、一人の人間。
「人生を使い切る」ってそういうことか…と。
ミステリも書かれているようなので、次はそれを読みたい。
Posted by ブクログ
東京グレーテルにまつわる話が多く、個人的には面白く読めました。このシリーズはどの女性も報われないのが常ですが、なぜか赤羽瑠璃だけには報われて欲しいと思ってしまうのは私だけでしょうか?笑
赤羽瑠璃と長谷川雪里のお話は共に恋愛と仕事どっちが大事かといったことがテーマになっており、非常に現代人には刺さるのではないかと思いながら読み進めました。
結論どっちが大事なのかは人によるのでしょうが、なかなか考えさせられる一冊でした。
Posted by ブクログ
推す人と推される人の関係性の話
・推しがいる恋人(vs推し)
⭐︎恋人がいるVtuber(vs仕事)
・推される人×推される人(vsプライド)
・自分を推してくれる人にね恋人がいる(vs恋人)
⭐︎が表題作『星が人を愛することなかれ』で
1番面白かった。仕事に全力であるがために
絶対に離れないほうがいいであろう最高のパートナーとの関係性との天秤で揺れるお話。
推しと恋は全くの別物だけれど、「1番は誰?」というところに注目すると途端にバチバチになる。誰かの1番になりたいし、1番にされている人を羨ましく思う気持ちは共通なのだと思いました。
Posted by ブクログ
Xか何かで表紙をよく見かけたので、読んでみました。
キラキラした世界の住人の“闇”を描いた短編集。
……性格が悪いせいか、こういうストーリー、けっこう好きなんです。笑
光を放っているからといって、その人のすべてが輝いているとは限らない。
むしろ、光が強ければ強いほど、その裏にある“影”は濃く深くなっていく気がします。
最近だと某女優さんの逮捕劇がありましたが、彼女にも同じような闇を感じてしまいました。
隠していた部分が表に出るとき、それはもう本人の意思では抑えきれないのかもしれません。
この小説を読みながら、そんなことをぼんやりと考えていました。
私はアイドルになろうと思ったこともなければ、推し活をした経験もありません。
だからこの世界のことはよく知らないのですが、
“ちやほやされていいなぁ”と、どこか遠目から見ていた気がします。
でも、実際はそんな簡単な話じゃないんですね。
アイドルになったらなったで、見えない制限やプレッシャー、そして何より“飽きられない努力”をずっと続けなければならない。
最も衝撃だったのは、一度ついたファンを引き留め続けることの難しさ。
承認欲求が原動力になっている分、ファンが増える喜び以上に、“去っていく痛み”の方が大きいのでは……と思ってしまいました。
時間という、誰にも抗えないものが最大の敵になるんですね。
ファンも一人の人間。人生があり、年齢とともに興味が移ろうこともある。
それを個人の努力だけでどうにかしようとするのは、あまりに過酷です。
本当に、水物商売。
自分ではどうにもできないことが増えていくほど、
心の奥底に抱える闇も、きっと深くなっていくのでしょう。
この小説を読んでから、アイドルを見る目がちょっと変わってしまいました。
どこか痛々しく見えてしまって――。
あの輝きの裏にあるものを、想像してしまいます。。。
Posted by ブクログ
一言で表すと、怖い話だった。
小説だから誇張されてたり、ありえない設定だけど、もし世の中の女性の大半が冬美や瑠璃のようなヒトだったら、とても怖い。
あと、最期の章が書き下ろしで追加されたのも怖い。
Posted by ブクログ
嫉妬 復讐 執着
黒い感情を孕みながら 悶えながら、それでも輝きながら 誰かの星になるべく生きる人々が描かれていました
共感とはまた違う気もしますが、読むのが苦しくなる程にその感情に直に触れることの出来る1冊です
Posted by ブクログ
アイドルと恋愛、ファンの相互関係を描いた短編集。リアルにここまで影響を受けているアイドルはどれくらいいるだろうかと考えると結構いるんだろうなとリアルさがうかがえた。
それでもアイドルという道を選べるのは、アイドルという職業がそれだけ魅力的であり、同時に制約の多い職業であるからなのかもしれない。
Posted by ブクログ
東京グレーテルという地下アイドルグループを軸に、愛と承認を求める女の子たちの恋の物語、4篇。
彼女たちの渇きは誰に愛されれば満たされるのか?
「ミニカーを捨てよ、春を呪え」
彼氏がドルオタの主人公の飢えと渇き。注がれたいと願う愛と熱が自分でない他の誰かに注がれてると知ったら、それがアイドルであろうと嫉妬してしまうことを誰がバカにできるだろう?
「星を愛すことなかれ」
人生の全ての時間を配信に捧げて彼氏を振るVtuberの話。こんなんVオタによる理想のVtuberすぎる。既婚の配信ジャンキーVtuberは居るでしょ。
「枯れ木の花は燃えるか」
地下アイドルとメン地下の恋。
この二人がお互いに求めてたのは、「地下アイドルで一番美人なアイドルと付き合える俺」と「人気メン地下と付き合える私」だったのかもしれない。
「星の一生」
一人のファンに執着するアイドルの話。
ファンが見てる彼女は生身の彼女ではなくて、手の届かない星であり理想化されたアイドルとしての彼女。
結局どんなにたくさんの人間に愛されようが、たった一人の承認を求めてしまうのかな。
Posted by ブクログ
いろんな視点で描かれるアイドルと恋愛の物語。
好きな人の好きなものは、応援したいけど、アイドルを推すとなると、少し身構えるところがある。
互いの考え方も価値観も違うから難しい。
どこまで許容できるか?そもそも「許容」という言葉の時点で違う気もするけど、お互いの妥協点を探さないと折り合いがつけられない。
付き合っているのに、アイドルを推すことは、浮気とは違うのか?
男性と女性で価値観が大きく異なっていて、これが男性アイドルを推す女性なら、また違った考え方になるんだろうなと思った。
恋愛とアイドルを両立させることは可能なのか?
現に週刊誌にリークされる人もいるなかで、私生活を投げ打って、アイドルにすべてを注ぐ人は実際にはどれくらいいるのだろう。
そしてその人たちは、第一線でずっと輝き続けられるのだろうか。
すごくワークライフバランスを考えさせられた。
↑おそらく本筋とは違うけど
アイドルの裏側みたいなのが知りたくなった。
Posted by ブクログ
地下アイドルから人気アイドルになった、ばねるりにまつわる連作短編集。
地下アイドルでありながら恋愛してて、ファンに手を出してて、ファン目線としては知りたくない不都合な真実ばかり。アイドル側で読んだら、そんなもんだよって感じなんかな?
Posted by ブクログ
アイドル/芸能人という星と、一般である人の恋愛模様について綴った短編集。
・星は星であるから手が届かないと思っている人たち。
・人から星になれた為に人との繋がりを消した星。
・隣に星がいるのに人に手を出した星。
・人が見てくれているから輝けている星。
様々な恋愛模様が見れて面白かった。
途中に出てきた「この世に幸せな人なんていない」というフレーズが刺さった。
この世に苦労していない人なんていないし、輝いている星だってずっと輝いていないといけない。
捉え方次第では幸せになれるが、本質ではみんな100点満点の幸せではないんだろうなと感じた。
Posted by ブクログ
推しもアイドルも日常も、すべてがきらめく“星”として描かれながら、その裏では誰にも言えない孤独や承認欲求が燃えている。語り手の冷めた視線に引きずられるように、彼らの日常も闇も刺さってくる。好きであることも、愛されることも、普通であることも──どれも“簡単なものじゃない”と静かに教えてくれる。軽やかな文体なのに胸に残るセリフが多く、読み終えた後も余韻が広がっていく。
Posted by ブクログ
自分と境遇が似ているからか、1番はじめの話が刺さった。最後の話はあまりに起こりえないだろうと思ってしまった。一貫してアイドルとはファンとは愛情とはを描いた、まさに自分の読みたかった作品だった。
Posted by ブクログ
地下アイドルの話。短編集。章ごとに主人公が変わる。推しを推す彼の彼女がモヤモヤしている話やアイドル自身がVtuberに転身する話など。
アイドルが真剣に仕事をするあまり私生活に大きな影響を与えている。ものすごい独りよがりな気もするが。誰にも話せないがゆえに行き詰まって結局仕事をがんばっていく姿がなんとも言えない。
Posted by ブクログ
「ミニカーを捨てよ、春を呪え」
彼氏が推しにハマっていたら。アイドルだって女性で、その女性のためにグッズを買ったり、ライブに行ったり、お金と時間を使っているのは事実。私にもし彼氏がいて、アイドルにぞっこんになっていたら、少し嫌な気持ちになるかもしれない。相手の好きなことは制限したくないし、好きなことはとことんして欲しいが、何故だろう。自分と同じ性別の、自分より可愛い女の子にときめいていると思うと複雑な気持ちと、劣等感に苛まれる。推し活が好きな人は、好きな人同士でしか分かり合えないのかなとも感じた。冬美は、渓介から離れ、もっとアンテナを張ればいくらでも自分を一番に愛してくれる人と出会えたのかもしれない。相手の嫌なところを許すことも大切だが、許すことで自分が傷つくのなら、相手の笑顔が煩わしく感じるのなら。それはもう、関係が破綻し始めているのかもしれない。
「星が人を愛すことなかれ」
東京グレーテル時代では、瑠璃の引き立て役の存在だった雪里は、VTuberになった途端、東京グレーテルというかつての名を利用し、瞬く間に人気になった。羊星メイメイでいる間は世界中の人から愛され、承認欲求が満たされているが、現実世界では、瑠璃には叶わないという劣等感と、自分の過去を恥じている。愛されることで、膨れ上がった承認欲求はもっともっと膨れ上がり、爆発するまで自分では分からない。恋人や友達との時間より、目に見えない人との関係を大切にしてしまう。私もそうだが、Instagramは最高の承認欲求が満たされる場だ。そこに逃げ込むしか承認欲求を満たすところがないなんて少し寂しい生き方をしているな、と自分で思った。だけど、辞められない。麻薬みたいなもの。
「枯れ木の花は燃えるか」
「東京グレーテル」のメンバーの希望はメンズ地下アイドルのルイと付き合っている。ルイから何回も好きだと言われていたのに、ルイには他にも関係を持っている女性がいた。自分にくれた言葉は嘘なのか、SNSに流出したスキャンダル写真を晒しあげ、彼をとことん地獄に突き落とすのか、しかし、彼と過ごした時間と思い出が邪魔をし、とことん突き落とすことができない。私だったら同じ言葉を他の人にも言っていたのかと思うと、一緒に過ごした時間を無駄にされた感じがして許せないが、晒して地獄まで陥れようとするなんて多分、できないと思う。
「星の一生」
「東京グレーテル」の1番星である瑠璃は、渓介のSNSの言葉でアイドルを続けられていた。推しにガチ恋するとは聞いたことあるけれど、アイドルがファンに恋をするなんて聞いたことがない。アイドルという人間ではない存在だと思うから、崇めたり、推したりするのだと思うけれど、アイドルだって所詮、人間である。恋もするし、誰かを愛することもある。それが顔も見たことがないファンの言葉に惹かれていたとしたら、渓介の言葉は瑠璃の人生に影響を与えていた。この人の言葉に救われた、この人の言葉が好きだ、と思うほど内面に惹かれていくが、惹かれた先に恋人がいて、しかも結婚すると分かると、一気に崩壊する。アイドルの私がファンに告白すれば絶対成功するだろうという自負が逆に自分を締め付けていた。
Posted by ブクログ
前作があることを知らずに読んじゃったパターン。それでも結構面白かった。
表題と「枯れ木の花は燃えるか」が特に好き。
「星の一生」は濃厚すぎてちょいきつかった。
めるすけのテディベアに関しては安心した。そこまでクズではなかった。
Posted by ブクログ
色んな方向からアイドルが描かれていて面白かった。
個人的に一番共感できたのは冬美さん。
自分の幸せのためには自分の立場を弁えないといけないっていう考えにすごく共感できた。
世の中には色んな考え持ってる人がいるってことと、アイドルも一人の人間なんだってことを改めて認識した。
今の日本はアイドルにクリーンなイメージを押し付けすぎてるところがあるのかなと感じた。
アイドルって魅力的だから入れ込んじゃう気持ちも分からなくはないけど、あくまで一人の人間っていう考えを持つことも必要なのかもなと思った。
ー
ガラスの靴は、相応しいお姫様にしか与えられない。
人間には相応の身分があり、そこからはみ出るところから不幸が始まる。
冬美が人生をうまくこなす為には、諦めなければ。
自分の手に掴める範囲を理解して、弁えなければ。