【感想・ネタバレ】さよならに取られた傷だらけ 不純文学のレビュー

あらすじ

「私」と「先輩」はあらゆる世界、あらゆる形で出会い、あらゆる目に遭い、あらゆる物語になる――。最注目作家・斜線堂有紀がおくる、1ページで心かき乱される不可思議で不条理な250の掌編小説。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

助けて、ぜんぶ好きな話だった。
1Pで終わる超ショートストーリーなのに一話一話に浸っちゃうから、読み切るのに二週間くらいかかった。心臓が鷲掴みにされるような感覚。
設定はものすっごいぶっとんでる。すぐ死ぬし殺すし殺されるし欠損するし。でもほんと面白いんだ……。続きを読みたいっていうより、自分で妄想したくなる感じ。想像力を掻き立てられる。このあと何回も読み直すと思う。

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

「私」と「先輩」の二人は、あらゆる世界、あらゆる形で出会い、別れ、あらゆる目に遭い、あらゆる物語となる……。


斜線堂有紀さんがTwitter(X)上で「#不純文学」タグで発表された掌編250編をまとめた小説です。
「私」と「先輩」の物語は1ページ毎に目まぐるしく変わっていき、二人の関係もそれにあわせて変化していく。恋愛のような親愛のような執着のような、そっけなくも感じるのにどろりと重い感情がとても好き。
中には「君は愛しのフランシス」⇔「君は麗しのジェシカ」や、「ステーキも毎日は食べれない」⇔「フォアグラだって毎日食べたい」のように、リンクしている話もあったりするので、そんなのを探しながら読むのもまた楽しいです。
個人的に好きな話は、「人でなしの恋と献身」「誂えられた悲劇」。切なく甘く、でもハッピーなだけじゃない残酷さが好き。

ちなみに、以前宝島社からも同掌編をまとめた『不純文学』という本が出ています。
そちらの収録作が124本。この『さよならに取られた傷だらけ』には『不純文学』発売後に発表された作品もあわせ倍近い作品が載っています。
ただ、宝島社文庫の『不純文学』は見開きで1作品しか載っていないのもあって掲載作品は少ないのですが、レイアウトはそちらの方がきれいで……。こっちに載っておらず『不純文学』に載っている話もあるので、できればどちらも読んでほしい……!

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2025年04月08日

Posted by ブクログ

めちゃくちゃ好き。1ページの掌編が250も入っていてお得過ぎる。ひとつひとつ読み返したり考えたりで読む前に考えていたより読み切るのにだいぶ時間がかかった。すべてで「私」が「先輩」を愛しているわけでもなく、結ばれるわけでもなく、でもただそこにいるという設定がいい。ときどきアンサーになってる話が出てくるのも良かった。タイトルに戻って読ませるのも綺麗。


だいたい好きだけど特に好きな話

・ステーキも毎日は食べれない
ジョークをねだったことがお互いの大切な思い出になっていて、自由に話すことができなくなっても「私」を笑わせる切り札として抱えていた不器用な「先輩」が切ない。これがあれば笑ってくれるっていう真っ直ぐな気持ちがわかったうえで、楽しかった思い出が「先輩」の選択を狭めてしまっていつまで面白く笑えるか、いつまでそのボタンに意味をもたせられるのか不安になる「私」の感情の吐露がタイトルに出ていて何度読んでもいい。

・きっと来世も忘れない
対比がうますぎる。謎の設定をあるあるで済ませることで1行で片付けて、二人の関係性が描かれる。ただの先輩だったら番号を暗記なんてしないから、嬉しそうな声はそういうことで、でもこの話はこれで終わり。銃声を聞いた先輩にはもう十分呪いがかかってるんだろうけれど、「私」が遺したものじゃないことで来世も好きになることができるんだろうな。

・魔法の君の最初の一人
恋愛でありミステリであり。タイトルから好き。先輩は副作用をわかっていて使ったのか、知らずに使ったのか、最初の一人だってタイトルが言うならそうなんだろうし、今まで使ってなかったけど使いたくなったのは好意だったのか善意だったのか考えるとぐるぐるする。

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2025年02月07日

Posted by ブクログ

すごく好き。
たった1頁で心臓を掴まれる。
250通りの「私」と「先輩」の物語がここに在る。
この書き出しからこんな展開になるとは。
という驚きが毎回あって、頁を捲るのが楽しみでならない。
オチを明文化しないところも良くて、多分こういう意味だなと考えながら読む楽しさがある。
想像の余地があるということは読んだ人の数だけ解釈がありそうだな。
あと、この一冊で一生分の《吝かでない》という文字を見た気がする。
見かけるたびに『素直に嬉しいと言え』と思ったけれど、そうしない「私」のことを案外気に入ってたりもする。

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2024年12月01日

Posted by ブクログ

ひーって心の中で声をあげながら読み切った。
めちゃくちゃ良かった…。
人生の折り返しの年齢の私にも刺さるくらいなので、この本を瑞々しく多感なお年頃に読める方達が羨ましい!!
先輩と後輩の250通りのお話。
斜線堂さんの書く愛は歪でピュアで病んでて最高ですね…。

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2025年09月04日

Posted by ブクログ

いろんな世界の私と先輩のお話。
1ページ完結、登場人物は私と先輩というシバリで書かれた250話で、雰囲気としては「余命3000文字」に近いものを感じました。
1ページ完結なのでいろんなことの合間に読むのも最適、とは思うものの続けて一気に読んだほうがより魅力が感じられた気がしています。

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2025年04月21日

Posted by ブクログ

全ての作品が1ページに収まり、登場人物は基本、私と先輩。話は続いてないので、どのページから読んでも大丈夫です。クオリティ高すぎて一冊続けて読むと疲れます。250話ですからね。1日20話くらいずつがいいかなぁ。カロリー高めの食べ物は少しずつ摂取しないとね。
この本に収録されているものも含めた2019年に宝島社から出ている『不純文学』と比べてみるのもいいかもしれない。と、あとがきに書いてあるので、棚に飾っていた(私は購入すると読むのがめちゃくちゃ後回しになる)方も読んでみます。こちらは124話で、見開きにタイトル1ページと本文という構成で、2話読んでみて、このくらい薄めてくれた方が読みやすいと思いました。コスパは河出書房新社の方かな。
しょっちゅう人が死んだり首が切れたりするので中学校以上だけど、これを読んで面白い小学生にはOK。

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2025年03月30日

Posted by ブクログ

同じ設定でも展開が変わりそれぞれの先輩と後輩の関係を作るので、次はどういう2人になるのかページをめくるワクワク感がある本だった。

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2025年03月16日

Posted by ブクログ

文庫1ページという掌編の形でつづられた先輩と後輩の物語たち。短編なのでとても読みやすい。設定もシチュエーションも展開もなにもかもがバラバラでも、先輩と後輩がそこにいさえすれば良いというのがもうおもしろいです。SF、ホラー、恋愛、ミステリ、といろんなジャンルがあり、こんなにいろんな設定や展開で250本も書けるのはすごいな…とシンプルに尊敬します。

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2024年12月30日

Posted by ブクログ

 250通りの「先輩」と「私」の物語が収録された掌編集で、恋愛、SF、ホラー、ミステリーという様々なジャンルにたった1頁だけど濃密な世界観が繰り広げられていた。また「重要なことは先輩と私が居ることです。」という文が印象的だった。

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2024年12月08日

Posted by ブクログ

以前、宝島社文庫の「不純文学」を購入、余りにも面白かったので今回の作品もとてもとても楽しみにしていました。しかしやっぱり最初の不純文学が一番良かったと思ってしまう。
理由としては、1点目に単純にカラーではなくなったところ。幻想的な世界の先輩と私の物語に、あのカラーは必要だったなと改めて思う。
2点目は恋愛要素と死の要素が多すぎる。宝島社文庫の不純文学は、恋愛とは違う「絆」「運命」によって繋がる先輩と後輩が描かれていた。私の中で「先輩と後輩」といえば、早稲田大学で先輩後輩同士だったぬーすけ先輩となな湖さんのコンビが繰り広げる「琵琶湖ちゃぷちゃぷブラザーズ」の2人のYouTuberだった。2人の掛け合いがとにかく面白くて、常になな湖さんが「先輩!」と声を掛けてゲーム実況する姿が2人の絆やずっと一緒にゲームしていくんだろうな、というほんわかした気持ちにさせてくれる。良く雑談でも「もしも俺たちが原始人だったら」なんて会話もしていて、変わらず2人で馬鹿やってるんだろうな、なんて嬉しい言葉もあった。そんな2人の漫才ライブのようなものがあり、その前の気持ちを高めるために読んだから、例え斜線堂先生が先輩と後輩を男女で思い描いて書かれた作品だとしても、性別関係なく「先輩と後輩」であり、男女でも男同士でも、もちろん女同士でも成り立つ、そんな作品だと思ったし、いざそういう風に読んでも成り立つような作品が大部分を占めていた。
しかし今回の「さよならに取られた傷だらけ」の不純文学はとにかく先輩と後輩は付き合ったり結婚したりイチャイチャしたりしている。もちろん同性同士でも恋愛は出来るが、恋愛とは違う「運命の片割れ」を妄想できる作品はあまり無かった。何でもかんでも2人揃えば恋愛になると思いたくない、男女でも友情は成り立つし同性でも惹かれるものはある!な気持ちもあったのかもしれない。そして死にすぎ。次の輪廻で会えるのかもしれないけれど、死んでしまうけど運命だから…という話よりも「この時代でも私と先輩がいる、この設定でも変わらず私と先輩がいる、2人はどんなシチュエーションでも必ず出会う」の運命が好きだったからかもしれない。そこも前作が良かった。
だからこそ「さよならに取られた傷だらけ」が出版されたのかも。前作は「先輩と私は別に愛し合っているわけではないが不思議な運命の絆で必ず先輩と後輩として出会ってしまう」けど今作は「私と先輩は愛し合っているので必ず出会う運命だけど悲しい目に合うのもまた運命」って感じ。先輩と後輩じゃなくても成り立つ関係性な気がしてしまうな、なんて物足りなさがあります。
「先輩と後輩」という概念に対しての厄介オタクの意見でした。

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2025年11月14日

Posted by ブクログ

先輩と後輩の二人、まぁだいたい二人の掌編がたくさん綴られている。著者の斜線堂有紀は愛という普遍的なテーマを扱う事に一家言あるようだ、それも、愛を証明するという部分に。

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2025年07月18日

Posted by ブクログ

斜線堂有紀さんをもう少し読みたくなって
1ページ1タイトルの250の掌編

「先輩」男子と「後輩」女子の
パラレルショートショート
2018年から2020年くらいXで発表し続けた不純文学作品群
混沌としてるし死を軽めに扱ってるし
物語としてはどうだろうと思うけど
作家としてやっていこうとした気概とか
これからの著者の小説のエネルギー源とか
モチーフとして生かされていくのではと思います

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2025年06月27日

Posted by ブクログ

ほぼ「先輩」と「私」しか登場しないが、1話が1ページで綴られて、あらゆる可能性を感じます。様々な世界で出会い、理不尽なことにもけっこう巻き込まれる話が多いけど、「先輩」と一緒にいたら何があっても大丈夫なんじゃないかというような不思議な安心感を感じた。

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2025年04月06日

Posted by ブクログ

掌編と知らずに読み始めた。一頁ごとに変わる先輩と私の不思議な世界。いろんな世界が広がり面白い。
残念ながら今は長い物語を読みたい気分だった。いつかまた。

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2025年01月31日

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