斜線堂有紀のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ小学五年生の幕居梓は、命を捨てに訪れた踏切にて、敬愛してやまない天才小説家「遥川悠真」と出会う。
その後、遥川の家に遊びに来てご飯を食べたり、一緒に遊園地に行ったり、家族のように絆を深めていきます。
しかし、遥川は次第に小説を書けなくなり、そこから物語は地獄へと向かっていく…
•序盤の梓の家パートかきつかった。
夜の七時から朝の七時まで押し入れに閉じ込められたり、家に帰る時間は秒単位で7時ぴったりでない等々、母親の躾は普通のことのように思って生きてきた梓。
しかし、母親が何日も帰ってこなくなることが増え、母親の自分に対する言動や扱いが異常なことに気づき、愛されていないという悲しさが凄く切ない。
•梓はたまたま出会えた天才小説家の遥川のそばで、彼が小説を書く姿を間近でみてきました。
3作目にて彼は多くの批評を浴びるのですが、その時の遥川の乱れっぷりがなんだかとても憐憫で、悪い意見だけでなく良い意見も沢山あるのに、悪い部分ばかり目についてしまう遥川は、人間味が凄くて、物事に本気で向き合う人だけが見せる気迫さが文字を通して伝わってきました。
•梓から見る遥川は次第に摩耗していき、もはや才能を消費し切った”終わった”天才のように映ります。
•梓は「小説が大好きでとにかく書き続ける遥川」が好きなので、とっくに小説家として終わっている遥川の”ゴーストライター”として、代わりに小説を書き続けるというとんでもない展開が待ち受けています。
ゴーストライターとして梓が書いた小説の中には、「遥川悠真の最高傑作」と評されるものも出てきたり、世間からみたらとても順調にみえる流れでした。
が、この物語では梓と遥川の関係性が密に描かれていて、遥川は自分を超えた梓を最早憎んでいるし同時に大切にも思っているのがよく分かりました。斜線堂さんは、このような人間の一筋縄ではいかない感情を描くのが本当に上手いです。
•ラストシーン(遥川が飛び込み自殺したホームにて、梓がホームから飛び降りようとしている)には、最後いったい生死どちらを選んだのか?!
希望的観測では、梓は遥川の分まで生きて小説を書いて生きていくことを選択したのではないかと祈っています。
天才が天才じゃなくなる展開は辛すぎるし、梓は大好きな遥川を結局自分の理想から外れることを許さないことで、結果として遥川を追い詰めることをしてしまったのだなと、少し切なくなりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ斜線堂有紀さん初めましてでした。
どの作品もすごく良かったです。
回樹
判断基準のわからない他者に愛を測られてたまるかと思いました。他人からどう思われようと、関係が悪かろうと主人公の行いは愛そのものだと思います。
骨刻
骨にタトゥーを入れるという設定こそSFですが、その技術が一部のマニアから一般的になり、宗教団体に利用され、廃れていくという一連の流れが素晴らしかったです。本当にありそうだと思いました。
BTTF葬送
映画が大好きなのでこんな世界絶対に耐えられないと思いました。主軸がネバーエンディングストーリーとBTTFというのも熱いです。
不滅
例えば土葬で自然に還ること、火葬で灰になり好きだった場所に撒かれることと、宇宙港の土台になることに違いはあるのだろうかと考えてしまいました。倫理的にということを置いておけばそんなに変わらないような気がします。それにその後の人類に役に立つなら倫理的に悪いのか?とも思います。宇宙へ飛ばすと偽って遺体を集めたことは問題ですが…。また、自分はいいけど自分の大切な人が埋められるのはいい気がしないというのは納得出来ます。ただ、そこに行けば会えるのなら宇宙に放たれるよりはいいかもとも思います。
奈辺
「罪人たち」のような世界観がたまらなかったです。白人による黒人迫害の時代に緑色の宇宙人が現れるという。リアルな世界観に異質なものが1つだけあるというのがたまらなく好きでした。常々分かり合えないのは分かり合おうとしてないからだと思っています。どうしようもなく悪い人はいますがどうしようもなく悪い人種・民族はいないと思うので。
回祭
回樹のその後。試し行動でしか愛を表現できない亜麻音と、最初はお金のためでしたが次第に亜麻音のために離れない決意をした蓮華。愛がないようで固く結ばれている二人とその結末が、回樹の裏返しのようで面白かったです。回樹も回祭も愛だと思うので、やはり得体のしれない青い物体に愛を測られたくないなと思いました。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ大学一年生の祝部が正当防衛によって暴漢を殺害してしまい、呆然としているところに現れる三年生の織賀。
一緒に死体を埋めてやると言われ助かったと思うのも束の間、彼の車にはすでにもう一体死体が乗っていた。
めっちゃ好きな感じの作品だった…
斜線堂さんの作品の中でなんか評価いいなと思って手に取ったけど納得の一作。
2人の行う夜の犯罪行為に対して、2人の仲が昼の大学生活によってどんどん縮められて、読む側も得体のしれない織賀を好きになっていく。
彼の過去に触れてたくなっていく。
相変わらず斜線堂さんの登場人物は変わった名前なのに意味があって、結局はベストな名付けになるからすごい。
屠り部からの祝部…
最後、祝部がドアノブを握る時の気持ちは、きっとわたしも同じだと思う。
続編も一緒に買ったのでわくわくしながらこの感想を書いてる。