斜線堂有紀のレビュー一覧
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「君の世界が平らになりますように」を読もうと思っていたおり、古本屋で見つけて先にこちらを読みました。
私は「読むことに痛みをともなうライトノベル」の原体験が「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」だった世代です。
私にとっては桜庭一樹だったもの。
それは、少し下の世代には、ある時期以降の竹宮ゆゆこだったかもしれないし。
今、思春期を生きる人たちにとっては斜線堂有紀なのかもしれないと思いました。
この物語に没入して感涙したり、痛みを感じて読後も放心したりするには、自分は少し歳をとってしまいました。
でも、中学や、高校の、教室の片隅で1人。
誰とも分かち合うこともなく胸にしまい、今もなおかさぶ -
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副題が「改変歴史SFアンソロジー」と書かれ、帯には「5人のSF作家が語る偽史」と書かれ、知っている書評家の2人が「大推薦!」としている。5人の作家はいずれも知っている人で、今回は私の嫌いな伴名練もいるが短い作品なので一応読んでみようと思う。しかし、大袈裟に歴史改変SFって言っているが、ちょこちょことタイムスリップさせる程度のレベルじゃないかと思い、あまり肩肘張らずに読み始めた。
全体を読み終えた感想としては、石川宗生が意外と健闘している、宮内悠介は全く響かなかった、斜線堂有紀は新しい概念で歴史を引き戻し、小川一水はスパイ系の要素を加え、一番驚いたのは伴名練。伴名練、やればできるじゃないか、ダ -
ネタバレ 購入済み
切ないけど心に刺さる作品
梓と遙川悠真の関係性が素晴らしい。この本を一言で表すなら共依存がいちばん相応しいと感じる。遥川悠真の梓に対する感情の変化を持ちながらも結局愛していた姿も梓の遥川悠真に対する幼い頃から見てきた小説家として姿への執着も遥川悠真に対する期待と愛もとても深くて面白い。人間が相手に理想像を押し付け求め憎悪し妬み、また愛す。その姿が生々しく綺麗に描写されているところが素晴らしいと思う、人間の醜く美しいほどの執着と愛情と嫉妬が詰め込まれている作品。メリーバットエンドが好きな人、人間の生々しい感情が見たい人には是非とも奨めたい
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幼くして天才小説家として持て囃されていた主人公。しかし、三作目のベストセラー以後、全く作品を出せずにいた。そんなときに参加をすすめられた謎のプロジェクト。そこには主人公と同じようなかつての天才たちがいた。
天才って、神様から与えられた才能だから天才なんじゃんって思ってたけど、ずっと天才でい続けるための計り知れない努力と苦悩があって。そこがとても丁寧に描かれていて、展開と合わせて絶妙な作品でした。登場人物一人一人の設定もしっかり描き込まれててみんな魅力的でした。
それぞれが選ぶ結末も、最後まで読んでいけば納得できるものだと思うし、みんな幸せになってほしいなぁと思う。個人的には天才でい続けられ -
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ネタバレついにカレイドミステリー終結!
前作が少し不穏な終わり方をしていたのでドキドキしながら読み進めましたが、最悪な結末にならなくて良かった…!
見た目普通(むしろ好青年)なのに中身が最凶に歪んでいると言うのはゾッとしますね。
無害なフリして途轍もない悪。
罰を受けさせる事が出来なかったのが少し残念だけど、全ての謎が解き明かされ、お姉さんのお墓参りにも行けるようになって本当に良かった。
この先、奈緒崎と一緒に大学にも復帰できるようになれば嬉しいな…。
否定していたけれど、教授は知っていた(と言うか分かっていた)のではないかと言う疑念が拭えない。
分かっていたけどどうする事も出来なかったから、打 -
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天才は期待という名のプレッシャーと、自分の分野に対する愛と、人生との板挟みにあるものなんだと思った。
よく捻られたストーリーにグッと引き込まれ、感情を強く揺さぶられた。スラスラ読めた。
作中の人物に僕が重なるシーンがいくつもあって、たくさんの共感があった。
過去の僕にはできたのかもしれないが、今の感動を自分の言葉で表すのは今となっては難しい。
だから、文中で一番共感できた、一番心に響いた主人公の台詞で代えようと思う。
"「勝手に期待されて失望されて、・・・・・・そんな目で見るなら、最後まで愛してくれればいいのに」"
(P308 L16より)
何度も読み返したい