斜線堂有紀のレビュー一覧
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金子玲介さんの短編が収録されているので、手に取ったが、斜線堂有紀さん、芦沢央さんと豪華なラインナップで驚いた。(法月綸太郎さんも有名だと思うが、あまり知らない。)
「最後の一行」として最もインパクトがあったのは、金子玲介さんの短編だった。
ふわふわのうさぎのような物体と少年との交流を通し、全体的に暖かな空気が流れているように感じた。物体は健気にもしばらくは自分の星に帰らず、少年が大人になるまで見守ると言ってくれるのだが、段々と弱り果てていく。
ああ、これ死んじゃうんだろうなと思うが、最後の一行で衝撃的な事実が明らかになる。
少年はものすごく後悔したと思うが、私はこの終わり方は嫌いじゃない。
物体の、打算とか、媚びとかが一切ない少年への気持ちが愛しく思えた。
芦沢さんの救いのない短編も楽しめた。まさにバッドエンド。でもこれはしょうがないと思う。
この主人公がこうなってしまったのも報いだとしか思えない。
主人公が勤めている会社が精神的にブラック過ぎて、終始、嫌な空気が漂っていた。トップに気にいられるためなら、自分も後輩も犠牲にする主人公のやり方には全く賛成できない。溜飲が下がるとまでは言わないが、ラストは、まあそうなるよねと思ってしまった。 -
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遠い宇宙の果てへの長距離ワープに挑む男。自宅にモニターを繋ぎミッションに臨もうとしていたが、そこで妻が殺害される映像をみてしまう。犯人の姿も目撃していたため、それを伝えようとするが翻訳機の故障によりフランス人通信官とは言葉が通じない状態に陥る。(「妹の夫」)
特殊設定の多いミステリー短編集。「妹の夫」ではフランス語が数多く登場するのだが、ワタクシの不勉強ゆえ全く理解できずそれ故主人公の男の追体験ができた。翻訳機の発達により外国語を学ぶ機会のなくなった近未来を舞台にしているが、この話を読んで以来、学びの重要性を強く感じた(こんな特殊な状況には陥らないとは思うが)
「ゴールデンレコード収録物選定会議予選委員会」は設定がとてもユニークだとは思うのだが、結末をどう捉えていいのか分からず困惑する。ただ、手塚治虫作品をとにかく読みたくなった。 -
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評判が良かったので気になっていた短篇集。どれも好きだった。
『奈辺』は一番心が温まった。「肌の色に囚われない」に宇宙人(グリーンマン)まで加わるとは。最初はそれぞれが馴染めず不協和音を奏でているようだったのが、徐々に打ち解けて仲間になっていくのは定番な流れだが良いものである。酒場の主人ヒューソンや娼婦のマギーやステイシーの軽快なやり取りが明るくて好き。
『回樹』と『回祭』では愛の形について考え込んでしまった。
他者との関係性はそれぞれが唯一無二だと思う。大切な人なら尚更。自分にとって大切な人にも「この人は自分が苦しんだり悲しんでいる姿を見せたくない」相手もいれば、「自分が苦しい時にこの人に隣にいてほしい」という相手もいて、どちらに対しての感情も大まかに愛というカテゴリに括られるだろうけど、これは大雑把すぎるカテゴライズではある。その関係性が相手が望む形でない場合、それが愛情であることの証明は言葉を尽くさないと難しい。でも言葉にするのって恥ずかしいし難しいし、日常にそんな場面ってなかなか無いな。 -
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ネタバレどの短編も設定がすごくてすごい。何食べたらこんな設定思いつくんだろ。設定は突飛なのに登場人物たちの感性は身近で、SF初心者でも読めちゃう距離感なのもすごいな。
とは言えSFって設定の面白さがメインで、読んでてうおおお!ってなることがないなぁと思ってました。『回樹』と『回祭』を読むまでは。
あとがきに
心の証明、感情の証明については個人的にずっと考えているテーマであり、どこまでなら惰性ではないのか、どこからが真の愛情なのか、はこの世の全ての関係性に纏わりつく命題だと思っております。
という一文がありました。すごい。すごいことをお考えになられている。
SF的設定で自分の愛情が証明される展開、すごく好きでした。自分でも自分の心なんて分からないし、これが惰性なのか真の愛情なのか執着なのか憎しみなのか別の感情なのかなんて証明できない。回樹を通して自分でも分からない自分の感情を見る主人公の様子に感情を揺さぶられました。回樹に取り込まれた死者側は口なしで、残された側の感情だけが浮き彫りにされるのが一方的すぎてちょっと怖くて、それも含めて好きでした。 -
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ネタバレ前作『死体埋め部の悔恨と青春』の続編かと思ったら、例の日の前の話だったり、不在編生存編と分かれたりということで、続編とは言えないなと少しがっかりしながら読んだけど…相変わらずめっちゃ好きだった。
祝部の重いがめっちゃ強くなってて歪んでてすごくすごくよかった…
不在編が、苦しくて救いがないのに、なぜか生存編より好きだった。
最後の、「あの暗い夜を知らない振りをして、生きていく。」が特に物悲しい祝部を表してて。
少し前にブロマンス物が読みたい!と思ってたけど結局これだと思うものに出会えなくて、ジャンプみたいなアツいのを小説で求めるのは違うのかなと思ってたけどこれはブロマンスじゃない…か…?バディものかな…でも祝部&織賀コンビはめちゃくちゃ好きなふたりだった。