斜線堂有紀のレビュー一覧
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【あの名作たちの不穏で気になるその後】
豪華メンバーによるパロディのアンソロジー!
今回の一番のお目当てはあをにまるさん。
『今昔奈良物語集』が最高にファンキーで面白かったので、期待値爆上がりで読みました。
『髭』 あをにまる
芥川の『鼻』のコンプレックスを現代風にアレンジしたハートフルコメディ。
やっとの思いで髭のコンプレックスを克服したのに、周りの反応が意外にも……「おい、それかよ!」と唸らされた。
そこで気づかされる、自分にとって髭が何だったのか。「俺の髭は観葉植物じゃない」と叫びながらも、どこか吹っ切れた感じの主人公にクスッと笑えます。原典をしっかりと踏襲しつつもユーモア溢れる作品。しかし、舞台が奈良でないせいか「あをにまる節」のキレが今ひとつで、ファンとしては少し物足りなさも。
『偽史・山月記殺人事件』 斜線堂有紀
『山月記』のifの世界を描いた続編。
柳広司さんの『虎と月』とは正反対のアプローチ。今作は「おい、いい加減に夢から覚めて現実を見ろ」と、夢追い人のお尻を強めにはたくような冷徹でブラックなミステリ。
自分の器(才能)を知るというるというのは、人間にとって一番苦しいこと……。
袁傪も李徴も、なんだかもう、うかばれなくて切ない。
ほかの3作品も、原典の出汁と著者の特徴をしっかりと活かした味付けになっていて楽しめました! -
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『ミニカーを捨てよ、春を呪え』
冬美は結婚を意識している恋人・渓介がいる。けれど、恋人は赤羽瑠璃というアイドルを推しており、全てにおいて彼女を優先する。推しと恋人、本当に愛されているのはどっち?
『星が人を愛すことなかれ』
「東京グレーテル」の元メンバー・雪里は、Vtuberとして活動している。生活時間のすべてを配信のために捧げる彼女は、いまや百万人に愛される人気Vのひとりだ。その代わり、雪里は次第に恋人との時間すらとれなくなっていく。
『枯れ木の花は燃えるか』
「東京グレーテル」のメンバー・希美は地下メンズアイドル・ルイと付き合っている。ある日、ファンとのベッド写真が流出してルイのSNSが炎上。希美は復讐の為にルイと関係を持ったファンと会い、炎上を加速させてルイを叩き潰そうとするが──。
『星の一生』
「東京グレーテル」のカリスマ・赤羽瑠璃。かつて自分のファンである渓介に恋をし、ストーキングのあげく部屋まで侵入した女。それでも渓介を諦められない瑠璃は、彼のSNSアカウントを監視し続けてしまう。そしてある日瑠璃は、渓介が恋人と結婚式を挙げることを知る――。
愛じゃないならこれは何、のばねるりとめるすけおるやんかー!
あー、サンドオリオンのテディベアがこういう風に繋がっていくのね、なるほどなるほど。
いや、面白ーい!
星は自分自身を燃やして光ってるんだよね。
まさに「星」として、全てを捧げ燃やして生きるばねるりや羊星めいめい。
エグいほどの激情がビシバシ伝わってきて、眩しい光に目が眩むような読後感でした。 -
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ネタバレ埋め部ではまって斜線堂有紀先生の2作目(3冊目)。
埋め部の時も思ったけど、まず発想がすごい。なんでこんな世界観思いつくの??2人殺したら地獄に引きずり込んでくる、ただ空を回遊し地を這い回り砂糖に群がる醜い天使って、そんな天使あり??
2人までなら殺人OKということでできた、境界というのが面白い、そこで境界を引かれたことで1人ならいいのではと赦された気になるっていうのが、なるほどなと。
それにしても、焦さんモテ過ぎ。
挟まれる、探偵事務所のみんなの幻影が本当に辛い。焦さんの思い出の中にしか存在しないみんな。
不在こそが、存在を強烈に感じさせる。神と同じように。
大切なものを失ってしまった、不在の中で生きる人の様子が、埋め部とも重なるね。
作者さんの癖でもあるのかな(好き)。 -
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初、斜線堂さん。
すごい、すごいわ…これが令和のオタクなのか。?
どのキャラクターもなかなか拗れてた。
アイドル世界とオタク界隈を垣間見たような読書体験。こんなストレートに「ブス」とか「草」とか言われたら超ゆとり世代の私は立ち直れないかもしれない…
現実にも自分にも他人にもシビアな世代なのだろうか、あまりにも温かみが感じられないキャラクターたちの心。
彼女たちの心がこんなにも冷えた原因は何なのだろう?
三宅香帆さんが『Z世代は報われたい世代』というようなことを仰っていてイマイチ理解が及んでいなかったのだけど、心が冷えているのではなく、表面を凍らせて鎧を被った状態で世の中と闘っているのであって内面は柔くて脆い部分があるからこそ何かに報われたいのだろうか、と思ったりして
それなら世代関係なく共感できるというか人間みんなそんなもんだよね、と勝手に解釈して落とし込んでいる。
言語化も鋭くドンピシャに刺さる一文に出会えたりするので斜線堂さんの本は今後もきっと新しいタイプの刺激のひとつとして手にしていくと思う。
「愛想とプライドを嫌な配分で取り違えた希美」