斜線堂有紀のレビュー一覧

  • 君の地球が平らになりますように

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    『愛じゃないならこれは何』と同じ感じで恋愛短編集。
    今回も中高生に刺さりそうなお話が4話と、最初の短編の別視点オマケ一つ。愛じゃない~と登場人物繋がってるのもあります。
    前回と同じく少し狂った感じでネジがずれてる話がたまらなく脳髄を刺激してきますが、あれ?今回は意外とおばちゃんにもスルッと入るハッピーエンド…もあるのね。
    ホストに嵌まる短編で、風俗の仕事内容がさらりと表現されているので、小学校NG。
    時折挟まれる古風な語彙が好きです。新しめのワードで構成された中で時々使われているのが刺激的に脳に入る。蔑ろ、牽制、小癪、熾烈、楔(くさび)などなど。
    新しい時代を感じる文学に挑戦したい中高年にもオ

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    2023年02月23日
  • 君の地球が平らになりますように

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    恋は盲目という言葉を思い出すような話しだった。全く違う見た目、心情、立場でありながらどの人たちも共通して‘愛されたい’という気持ちを強く感じて話に説得力と独特の世界観がうまれていた。

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    2023年02月20日
  • 君の地球が平らになりますように

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    「君の地球が平らになりますように」
    「『彼女と握手する』なら無料」
    「転ばぬ先の獣道」
    「大団円の前に死ぬ」
    「平らな地球でキスはできない」
    五人の女性の濃厚な恋を描いた五話収録の短編集。

    恋は盲目とは良く言った物で、どの女性も恋にまっしぐら。
    自己中で野蛮で強かでその熱量に圧倒される。

    陽だまりの様な暖かく優しい恋愛小説を想像して手に取ると、たちまち火傷してしまう事必至。

    熱くて触れたくないけれど何故だかそんな彼女達が愛おしく思えて来る。

    決して真似出来ないし、したくもない。
    だけど彼女達の恋に対する真面目さを誰が笑えよう。

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    2023年02月18日
  • 君の地球が平らになりますように

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    恋愛小説と聞くとどうしてもつまらなそうで遠ざけてしまうが、本書は"だいぶ痛い恋愛小説"。というわけで私の好みに合っていた。他人の惚れた腫れたほどどうでもいいことはないが、惚れたを通り越して金を貢ぎまくったり、怖くなって他に彼氏を作ったり、そういう話はなかなか聞かないので面白い(笑)

    いずれの短編も良かったのだが、「大団円の前に死ぬ」が特に気に入った。
    風俗嬢の主人公が入れ込んでいるホストを姉と取り合うという話で、最早最後の方はホストへの気持ちより姉への気持ち(not好感情)の方が勝っていたと思う。
    推し被りのライバルを金の力で叩き潰す感覚、気持ち良いんだろうな~。やりたく

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    2023年02月18日
  • 放課後探偵団2 書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー

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    前作から、10年ぶりの復活となる本書は、創元推理文庫から2020年に発売された、「書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー」の第二弾で、全て1990年代生まれの作家が書かれているのが特徴ですが、どちらかというと、その若さはあまり気にならず、バラエティに富んだ多種多様な作風を、一冊で体感できた喜びが強かったです。


    武田綾乃 「その爪先を彩る赤」
    演劇部の失くなった靴を捜索する話で、犯人や動機は分かりやすいものの、その後の探偵に絡む、謎解きの細やかな伏線が見事だと思いましたし、そこに潜んでいたのは、探偵と「僕」との間における、稀少な価値観の共有で、こうした自分を認めてくれるような喜びは、学園生活で

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    2023年02月14日
  • キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~

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    カレイドシリーズ3部作の最終版。
    嗄井戸が過去の近親者の殺人の容疑がかけられ、あるDVDの隠しコマンドにスナップフィルムが隠されていたことに気づく。
    誰が犯人で誰が信じられるのかという不安定な状況で、やはり解決に導くのは、映画と嗄井戸の圧倒的映画知識だ。
    倒叙スタイルかと思いきや、犯人が思わぬ方向に流れ着いて、3部作を一気読みしてしまった。

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    2023年02月12日
  • キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~

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    カレイドシリーズ第2部、前作で火事になり銀塩荘に引っ越してきた奈良崎と引きこもりの嗄井戸の珍奇なお話。
    窃盗容疑の疑いを「スタンドバイミー」に準えて晴らしたり、有名舞台女優と舞台監督との謎を映画を交えて解き明かす姿が小気味良い。

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    2023年02月12日
  • キネマ探偵カレイドミステリー

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    英知大学という優秀な大学の留年危機に瀕するダメ学生の奈緒崎と、休学中の秀才・嗄井戸高久の映画を題材として問題を解決に導いていく三部作。

    下北沢の下宿に引きこもっている嗄井戸が圧倒的な映画のエピソードで問題を解決している様がなんとも小気味良い。

    相手方も映画好きであるが故のやりとりがとても小気味良い。

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    2023年02月12日
  • 小説の神様 わたしたちの物語 小説の神様アンソロジー

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    どの作品にも不動詩凪と千谷一夜、帆舞こまにの影を感じて新鮮だった。
    お気に入りの話は、詩凪と一夜の担当編集者河埜視点の話。原稿を待ち作家たちの輝く場をつくる編集者としての思いが描かれている。こういう生き様も格好いいなと思った。

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    2023年01月12日
  • キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~

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    大筋の嗄井戸の事件が無事(?)終幕してホッとした。というのが一番の感想。とはいえ奈緒崎はごく普通の人なので、あっさり信用して騙されるし、好意を持った相手を短絡的に庇うしで、倫理的に考えたら正しい言動とは言い切れないのだけれど、だからこそ嗄井戸は身も心も救われたのだと思うと、相変わらずこういう展開を書き切ってしまう作者が恐いなとも感じる。果たして事故か他殺か、は物議を醸すかもしれないけど、個人的には容赦の無い犠牲の上に成り立つハッピーエンドは嫌いではないので、ずるい解決法まで含めて面白かったと思ってる。ただ、『探偵は家で映画観てるよ』という、あっちもこっちも他人事みたいな決めセリフがとってもよか

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    2022年12月31日
  • キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~

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    引き続き、この映画がこんな風に面白い、という映画オタクの蘊蓄を楽しんで読んでいる。映画の内容だけではなく、撮り方にも様々な手法があったり、テレビ放送やDVD収録でも違ってくるのだと教えられたりするから、素直に感心してしまう。第二話「パステルステップ」のやり取りが好きなので、なんやかんや大団円で終わって良かった。

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    2022年12月31日
  • ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー

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    斜線堂有紀の上智卒なるほど!と思わせる英語力も見せつけられました。斜線堂ファンなら、この短編だけのために読むべき一冊です。
    ・石川宗生「うたう蜘蛛」
    死ぬまで踊り続ける奇病が蔓延したイタリア。総督の前に、「この流行り病を収束させてみせましょう」とホーエンハイムなる錬金術師が現れる。
    性描写あり、中学生には微妙ライン。
    好み的には合わず。
    ・宮内悠介「パニック――一九六五年のSNS」
    一九六五年の日本。そこには「ピーガー」というSNSが存在した。
    一番心が乗らなかった作品。発想は面白い。
    ・斜線堂有紀「一一六二年のlovin' life」
    和歌を詠むと同時に“詠訳”する平安時代。“詠語

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    2022年12月04日
  • ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー

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    歴史に生きる人々の心情を特に焦点が当たっていた話や、SF設定におもむきを置いている話、とアンソロジーの強みを活かした独自の世界観が面白かった。

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    2022年11月27日
  • 新世代ミステリ作家探訪

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    ミステリ作家とのトークイベントをまとめたもの。ミステリを俯瞰したようなテーマと、インタビュアー自身の考えも多く語られているのが特徴か。
    ミステリの面白さが多角的に見られる。最近のミステリを読めてないなと実感し、読みたい本がたんと増えた。

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    2022年11月16日
  • ゴールデンタイムの消費期限

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    はじめは若者向けかも...と危ぶんだが、アラフォーでもじゅうぶん楽しめた。小学生で小説家デビューし、中学生でベストセラーを出版。天才小説家と呼ばれた高校生の綴喜くんは国の一大プロジェクトに招待される。そこには同年代のあらゆるジャンルの天才少年少女たちが集結していた。そのプロジェクトとは。もし自分に何らかの才能があって、登場人物の立場になった時どうするのか。「自分なら」と何度も立ち止まって考えた。終盤はもう少しインパクトが欲しかったし、題名はあまり好みではないが全体的には爽やかな青春ミステリーとなっている。

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    2022年11月11日
  • 新世代ミステリ作家探訪

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    若林さんがガンガン踏み込んで面白い話を引き出してくださるので楽しかった。「こうではないですか?」と斬り込んで「そうじゃないですね」と返される場面も多かったけど、それはまあご愛嬌。

    印象に残っているのはこの辺▼
    ・円居さんの「推理漫画よりも早く展開する頭脳バトルやギャンブル漫画のテンポが求められていると感じている」という話や、FGO他ノベライズの裏話。

    ・SFミステリと特殊設定ミステリの違いと阿津川さん・逸木さん・方丈さんのスタンスの違い。

    ・澤村さんの「ジャンルの書き手でないからこそジャンルあるあるなシチュやキャラに頼りたくない」スタンスはそういう考えもあるんだと新鮮だった。

    ・呉さん

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    2022年10月27日
  • ゴールデンタイムの消費期限

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    元・天才だった人を集めレミントンと呼ばれるAIを使って甦らせる。4年間も新作を出せていない綴喜は編集者からプロジェクトへの参加を打診される。目隠しをされヘリコプターで連れていかれたのは山奥の洋館。そこには元・天才が集められていた。
    もう既にビックデータを使った試みがあるのではと思うほどリアル。おそらくポップスな歌などはビックデータを解析していけば絶対に大衆にウケる歌は作れると思う。ただそこにヒトは必要かボーカロイドでも可能かとなる。この小説では日本画、料理、音楽、映画、小説、将棋を取り上げている。それぞれの元・天才たちの葛藤が興味深かった。
    そしてAI開発者の雲雀博士の最後のセリフ「才能が無く

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    2022年09月29日
  • 詐欺師は天使の顔をして

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     詐欺師レベルの頭脳を持った存在が、ヘンテコリンナ世界に飛ばされて、そこで事件に遭遇する話が2編収録された本格ミステリ。
     現代とは違う世界構造を持った世界の中で、その世界の世界創造の中でしかなしえない事件を、一番いい形に収める流れ。
     この発想の作品に前例がないわけでもないが、世界総合から味わえるパズルがとても楽しい。
     こちらの世界で、霊能力者として難事件を解決してきた奇術師が、超能力てきな粘土売り気が一般的な世界や死者がよみがえる世界での事件を、その超越した推理力と奇術力でナントカしちゃう様が最高。

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    2022年04月29日
  • ゴールデンタイムの消費期限

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     本書は天才といわれた子どもたち6人の葛藤を描いた小説です。私たちは才能のある人をみて「うらやましい」や「自分もあの人みたいになりたい」などの感情を抱きます。もっとひどい人は「いいよなあいつは才能があるおかげで楽に生きれるんだろう」などと嫉妬します。

     本書の最大の魅力は才能を持つものがゆえに持っている葛藤です。期待されているけどうまくいかない。やればうまくいくのにできない環境になった。周りから笑われるルーティンをやめられない。そんな天才が物語を通していろんな意味で成長するのは学びの多いものでした。

     本書の登場人物が学生であるという点も好感を持てました。大人なら自分の意志で本当に自分がや

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    2022年02月20日
  • ゴールデンタイムの消費期限

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    ネタバレ

    ゴールデンタイムの消費期限

    かつて天才と呼ばれその分野の才能を持っている十代後半の6人の青春物語、みんなが何らかの思いを持っている中でこのレミントンプロジェクトに参加する。

    幼いころは天才と呼ばれた少年少女はまた昔のように輝くためにAIであるレミントンプロジェクトに参加する。参加することは正解なのかAIに頼ってよいのか考えさせられる作品になっている。
    才能はあるが本当にそれをこれから先もやっていきたいのか一生かけて磨き続けたいのか?ここでやめてしまうと今までの時間が無駄になってしまう。もう今やっていることは嫌いになってしまっているのかもしれない、時間の無駄になってしまうのではないか?これか

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    2022年02月14日