斜線堂有紀のレビュー一覧
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『愛じゃないならこれは何』と同じ感じで恋愛短編集。
今回も中高生に刺さりそうなお話が4話と、最初の短編の別視点オマケ一つ。愛じゃない~と登場人物繋がってるのもあります。
前回と同じく少し狂った感じでネジがずれてる話がたまらなく脳髄を刺激してきますが、あれ?今回は意外とおばちゃんにもスルッと入るハッピーエンド…もあるのね。
ホストに嵌まる短編で、風俗の仕事内容がさらりと表現されているので、小学校NG。
時折挟まれる古風な語彙が好きです。新しめのワードで構成された中で時々使われているのが刺激的に脳に入る。蔑ろ、牽制、小癪、熾烈、楔(くさび)などなど。
新しい時代を感じる文学に挑戦したい中高年にもオ -
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恋愛小説と聞くとどうしてもつまらなそうで遠ざけてしまうが、本書は"だいぶ痛い恋愛小説"。というわけで私の好みに合っていた。他人の惚れた腫れたほどどうでもいいことはないが、惚れたを通り越して金を貢ぎまくったり、怖くなって他に彼氏を作ったり、そういう話はなかなか聞かないので面白い(笑)
いずれの短編も良かったのだが、「大団円の前に死ぬ」が特に気に入った。
風俗嬢の主人公が入れ込んでいるホストを姉と取り合うという話で、最早最後の方はホストへの気持ちより姉への気持ち(not好感情)の方が勝っていたと思う。
推し被りのライバルを金の力で叩き潰す感覚、気持ち良いんだろうな~。やりたく -
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前作から、10年ぶりの復活となる本書は、創元推理文庫から2020年に発売された、「書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー」の第二弾で、全て1990年代生まれの作家が書かれているのが特徴ですが、どちらかというと、その若さはあまり気にならず、バラエティに富んだ多種多様な作風を、一冊で体感できた喜びが強かったです。
武田綾乃 「その爪先を彩る赤」
演劇部の失くなった靴を捜索する話で、犯人や動機は分かりやすいものの、その後の探偵に絡む、謎解きの細やかな伏線が見事だと思いましたし、そこに潜んでいたのは、探偵と「僕」との間における、稀少な価値観の共有で、こうした自分を認めてくれるような喜びは、学園生活で -
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大筋の嗄井戸の事件が無事(?)終幕してホッとした。というのが一番の感想。とはいえ奈緒崎はごく普通の人なので、あっさり信用して騙されるし、好意を持った相手を短絡的に庇うしで、倫理的に考えたら正しい言動とは言い切れないのだけれど、だからこそ嗄井戸は身も心も救われたのだと思うと、相変わらずこういう展開を書き切ってしまう作者が恐いなとも感じる。果たして事故か他殺か、は物議を醸すかもしれないけど、個人的には容赦の無い犠牲の上に成り立つハッピーエンドは嫌いではないので、ずるい解決法まで含めて面白かったと思ってる。ただ、『探偵は家で映画観てるよ』という、あっちもこっちも他人事みたいな決めセリフがとってもよか
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斜線堂有紀の上智卒なるほど!と思わせる英語力も見せつけられました。斜線堂ファンなら、この短編だけのために読むべき一冊です。
・石川宗生「うたう蜘蛛」
死ぬまで踊り続ける奇病が蔓延したイタリア。総督の前に、「この流行り病を収束させてみせましょう」とホーエンハイムなる錬金術師が現れる。
性描写あり、中学生には微妙ライン。
好み的には合わず。
・宮内悠介「パニック――一九六五年のSNS」
一九六五年の日本。そこには「ピーガー」というSNSが存在した。
一番心が乗らなかった作品。発想は面白い。
・斜線堂有紀「一一六二年のlovin' life」
和歌を詠むと同時に“詠訳”する平安時代。“詠語 -
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若林さんがガンガン踏み込んで面白い話を引き出してくださるので楽しかった。「こうではないですか?」と斬り込んで「そうじゃないですね」と返される場面も多かったけど、それはまあご愛嬌。
印象に残っているのはこの辺▼
・円居さんの「推理漫画よりも早く展開する頭脳バトルやギャンブル漫画のテンポが求められていると感じている」という話や、FGO他ノベライズの裏話。
・SFミステリと特殊設定ミステリの違いと阿津川さん・逸木さん・方丈さんのスタンスの違い。
・澤村さんの「ジャンルの書き手でないからこそジャンルあるあるなシチュやキャラに頼りたくない」スタンスはそういう考えもあるんだと新鮮だった。
・呉さん -
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元・天才だった人を集めレミントンと呼ばれるAIを使って甦らせる。4年間も新作を出せていない綴喜は編集者からプロジェクトへの参加を打診される。目隠しをされヘリコプターで連れていかれたのは山奥の洋館。そこには元・天才が集められていた。
もう既にビックデータを使った試みがあるのではと思うほどリアル。おそらくポップスな歌などはビックデータを解析していけば絶対に大衆にウケる歌は作れると思う。ただそこにヒトは必要かボーカロイドでも可能かとなる。この小説では日本画、料理、音楽、映画、小説、将棋を取り上げている。それぞれの元・天才たちの葛藤が興味深かった。
そしてAI開発者の雲雀博士の最後のセリフ「才能が無く -
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本書は天才といわれた子どもたち6人の葛藤を描いた小説です。私たちは才能のある人をみて「うらやましい」や「自分もあの人みたいになりたい」などの感情を抱きます。もっとひどい人は「いいよなあいつは才能があるおかげで楽に生きれるんだろう」などと嫉妬します。
本書の最大の魅力は才能を持つものがゆえに持っている葛藤です。期待されているけどうまくいかない。やればうまくいくのにできない環境になった。周りから笑われるルーティンをやめられない。そんな天才が物語を通していろんな意味で成長するのは学びの多いものでした。
本書の登場人物が学生であるという点も好感を持てました。大人なら自分の意志で本当に自分がや -
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ネタバレゴールデンタイムの消費期限
かつて天才と呼ばれその分野の才能を持っている十代後半の6人の青春物語、みんなが何らかの思いを持っている中でこのレミントンプロジェクトに参加する。
幼いころは天才と呼ばれた少年少女はまた昔のように輝くためにAIであるレミントンプロジェクトに参加する。参加することは正解なのかAIに頼ってよいのか考えさせられる作品になっている。
才能はあるが本当にそれをこれから先もやっていきたいのか一生かけて磨き続けたいのか?ここでやめてしまうと今までの時間が無駄になってしまう。もう今やっていることは嫌いになってしまっているのかもしれない、時間の無駄になってしまうのではないか?これか