斜線堂有紀のレビュー一覧
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海外ミステリの有名な名探偵たちを取り上げたパスティーシュ作品のアンソロジー&ブックガイド。子供向けのように思えますが、大人も充分に楽しめます。初心者向けのようでもあるけれど、ミステリファンにとっても読みごたえは充分にあります。読み終えたらさらにミステリを読み漁りたくなります。国内ミステリ版も出していただけませんでしょうか。
お気に入りは水生大海「一つの石で二羽の鳥を殺す」。他の作品は面白かったけれど、だいたい真相がわかったのですが。これだけぜんっぜん解けませんでした。ミス・マープルの脱線したかのような話がきちんと関わってくるところも見事だし。
ブックガイドも古典的な定番を押さえているように見えたけれど、そうでもありませんでした。また読みたい本が増えるよ……とりあえず「世界が終わってしまったあとの世界で」が気になるなあ。 -
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銃乱射事件で閉鎖された遊園地・イリュジオンランドへ、廃墟コレクターの資産家・十嶋庵が二十年ぶりに人々を招く。
廃墟マニアの元コンビニ店員・眞上永太郎をはじめとした招待客たちは、廃園の所有権を賭けた宝さがしに挑戦することとなるが、その最中、串刺しになった着ぐるみが見つかり……。
廃遊園地を舞台にしたクローズドサークル・ミステリー小説。
個人的に、大人になった今でも1シーズンに1回はどこかの遊園地に行くほど遊園地好きなので、廃遊園地という舞台はとても惹かれます。在りし日の園内ガイドがカラーページで見られたり、舞台を生かした大掛かりかつノスタルジックな雰囲気で、期待通り面白い。
文庫化するにあたって全編リライトされているらしく、単行本の方も気になるところ。登場人物の名前も変わったりしたそうです。単行本の方は読んでないのですが、元販売員さんの名前が売野さんだったり、渉外担当さんが渉島さんだったり、設定に紐づいていて覚えやすい。
また、今年2025年にこちらの「廃墟探偵シリーズ」の第二弾が刊行される予定との事で、そちらも楽しみです。探偵役の眞上くんの過去も気になる。続刊で明かされたりするのかな? -
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ネタバレ10年以上Twitterというインターネットガンジス川を泳ぎ続けてきた身として読まんわけにはいかないってワケ。
特に深く刺さったのは『オタクどもの聖霊降臨日』と『Twitterが終了したので、ここでしか繋がっていなかった助手との関係が切れた。』の二篇。目の前で終わりが加速していくTwitterをボロクソに言いながらそれでも離れることもできず漂う私を泥水みたいな郷愁で包んでくれたので。
オタクどもの聖霊降臨日
一番好き。この鬱屈としていてどうしようもなく拗らせちゃって本当に救いようがないカスとそれをほっとけない誰かの関係性も好きだし、Twitterの澱みの味がめちゃくちゃリアルでたまらない。
どう考えてもその場所でしか生きられなさそうな人って確かに存在して、それはただ単にこちらの感傷でしかなくて本人は案外ケロッと生きていくんだろうけど、なんとかして掴んでいたい、みたいなのに弱い。
それじゃあまた、Twitterという天国で会おう。
いいタイトルだなあ。Twitterとかいう吹き溜まりにも命が芽生えるという希望と、Twitterがうちも外もカスすぎるために滅びるしかないという絶望が同時に存在している。TLを流れ起こる無数の漣の一つにこんなことがあってもおかしくないよなと思うと楽しい。
近くて遠い二人の距離
よく比較対象になるインスタさんの友情出演アツい。たとえTwitterが無くなったとしても、を書いているのはこの話だけじゃないですか。
腹が立つけど好きだし、なんだかんだ離れられない、とか、自分が見ているものと他の人が見ているものが違った、とか、美玖ってつまり“私”にとってのTwitterの投影⁉︎
Twitterの擬人化だ。
もう一人のあなたを作る方法
Twitterの擬人化だ。不在によって存在を意識するとか、興味が湧くこと、ある。Twitterくんにさんざっぱら文句をつけていたくせして、無くなるかもしれないという話を知った途端無理だよ〜〜〜〜いかないでよ〜〜〜〜になった時のことを思い出しました。
結論から言うと、ツイッターが一番性に合いました
わかる。性に合うという表現はなかなかにはまっていると思う。
それにしても主人公は人をツイッター扱いすんなよ。そういう軽視が妹に対する行動にも出たんじゃないんですか⁉︎ねえ‼︎‼︎と思わず大声が出た。そういうところじゃん。
Twitterが終了したので、ここでしか繋がっていなかった助手との関係が切れた。
関係性のオタクが書く関係性の話って面白いんだよ......。Twitterへの複雑な感情といかにその存在に救われちゃってたかを散々やった後に助手に関するこの情報群が出てくる構成の妙、さすがです。適切な距離感を保てる意思と倫理観と薄情さがあるホム沢くんじゃなきこうはならなかったんだろうと思うと、探偵として一番の功績はそこなんじゃないかと思う。 -
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ネタバレ屋上からの脱出
初心者に優しい〜!フックを作りつつも読みやすくて爽やかで、再現性がありそうなトリックがあって、シチュエーションが想像しやすくて、めちゃくちゃ脱出している。優しい。学校に天文台設備があるのいいな〜
名とりの森
所謂八幡の藪知らずってやつだ。好き!ただ、すわホラーか!?と席から立ち上がった瞬間から登場人物全員ド酷い目に合うかもしれないという過度な期待をしてしまったので読み終わった時にかなり反省しました。ホラーというより一夏の不思議な物語って感じだった。
鳥の密室
魔女裁判に関わる話は全部うっすら苦手なのかもしれないという気づきを得た。原液を飲むことによって、今まで触れてきた魔女裁判要素のある作品に対する言い表せない感情が苦手意識からくるそれだと知った、みたいな。でも同時に大好きでもあるんだよな〜〜〜〜!!!!!!!!!快と不快のあわいで高速回転しているような心地です。魔女の実存のさせ方がとても好みです。神父はマリアの目論見通りこの先一生苦しむことになる。塵のような真摯な敬虔さを持っているためにそれに殺される構図、魔女の本懐じゃない?
名前を知らなくても鳥を追うことができること、祈りと救いの形をしている。
罪喰の巫女
社殿の描写が全部好き。ネーミングセンスも含めて。特に重戸留ノ間。まんまなのにかっこよさもあり、絶妙。
根本的に、祀っていると思いきや閉じ込めていましたという類の話が全部好きなのでこのスケールでそれを書いているということに対する感謝の念に堪えない。助かる命がある。
サマリア人の血潮
世に、罪なき者なぞ居りませぬ故 じゃないですか。まさしくもってその話だった。全員自分のために動いていて、それが結果として上手いこと噛み合って地獄に伸びた一筋の糸になる、という希望があって良かった。思考に関わらず善行は善行だからね。 -
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映画がテーマのエモさ抜群のミステリー #キネマ探偵カレイドミステリー #会縁奇縁のリエナクトメント
■きっと読みたくなるレビュー
ダメ学生の奈緒崎と休学中の映画マニアの嗄井戸高久の物語。下北沢の自宅でひきこもっている嗄井に、奈緒崎は様々な相談事を持ち掛ける。
キネマ探偵カレイドミステリーシリーズの最新刊。既刊はメディアワークス文庫から三冊でてますね。私はシリーズ初読みですが問題なく楽しめました。
やっぱり二人のキャラクターが魅力ですね。コミュ障で映画知識の豊富さと頭の回転の速さだけが取り柄の嗄井。大して取り柄がないけど、人との関わりだけは上手な奈緒崎。
今風の秩序さとふがいなさを併せ持っているという二人、それこそ西東京や地方都市のはずれでくすぶってそうな若者ですね。そんな彼らがどのように一皮むけていくのか、しっとりと味わえる作品でした
なお斜線堂先生の柔らかく美しく筆致はいつもの通り、読み終わった後のエモさも抜かりなく、この辺りは流石でした。
●作為改変のコンティニュイティ
映画研究会のサークル申請書紛失事件を追う物語。会話が軽妙で大好きですね、謎解きとしてもスタンダードで丁寧、楽しませてもらいました。特に出来の自作映画を酷評する会話にニヤニヤ。
●懐古所以のオデッセイ
「2001年宇宙の旅」のアナログフィルム版を映画館に観に行く二人、映画館で思いもよらない事件が起こる。懐かしい映画作品や技術など、映画エピソードの密度が濃い一話。謎解きが思った以上に深いところで膝を打ちました。
●断崖空壁の劇場落下
大学のCMサークルの事件、空中落下の謎を追う。嗄井戸を応援しちゃう作品、成長と挫折ぶりが可愛くて好き。そういえば「メリーポピンズ」ってまだ観てない。
●水没錯誤の幽霊譚
友人の廃墟を撮影するというバイトに付き合わされた奈緒崎、現場には…。映画を流行らせたマーケティング手法のエピソードが興味深かったですね、なるほどな~。謎解きの真相も目から鱗でした。
●一生一会のカーテンレイス
友人の叔父が亡くなり、映画関連の遺品整理をしていると相談を受ける。謎のメッセージが残され、遺品の中に大切なビデオがあるらしいのだが…。遺された物の中から、その人の想いが見えてきますね。終活なんて先の話だと思ってますが、もうそろそろ考えてもいいのかな。
●会縁奇縁のリエナクトメント
大学を卒業し、世界中を旅していた奈緒崎。モロッコの映画観光地に滞在してると、行方不明になっている人物について相談を受ける。彼は何故いなくなったのか…
最後の作品を読むと、斜線堂先生がこの作品への思い入れが良く伝わってきました。嗄井戸と奈緒崎の物語、エンドロールはまだまだ先ですね。これからの二人をもっと読んでたいと思いました。
■ぜっさん推しポイント
映画とミステリーを掛け合わせが上手にできてますよね。いろんな名作を紹介しながら、その作品の横顔をうまく引き出し、謎解き話に落とし込んでる。
連作短編だとどれも同じ話になっちゃいそうだけど、しっかりとバラエティに富んでて飽きさせないんです。楽しませていただきました、ありがとうございました。 -
Posted by ブクログ
全ての作品が1ページに収まり、登場人物は基本、私と先輩。話は続いてないので、どのページから読んでも大丈夫です。クオリティ高すぎて一冊続けて読むと疲れます。250話ですからね。1日20話くらいずつがいいかなぁ。カロリー高めの食べ物は少しずつ摂取しないとね。
この本に収録されているものも含めた2019年に宝島社から出ている『不純文学』と比べてみるのもいいかもしれない。と、あとがきに書いてあるので、棚に飾っていた(私は購入すると読むのがめちゃくちゃ後回しになる)方も読んでみます。こちらは124話で、見開きにタイトル1ページと本文という構成で、2話読んでみて、このくらい薄めてくれた方が読みやすいと思いました。コスパは河出書房新社の方かな。
しょっちゅう人が死んだり首が切れたりするので中学校以上だけど、これを読んで面白い小学生にはOK。