斜線堂有紀のレビュー一覧
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全6編の豪華書き下ろしアンソロジー。
「ヤツデの一家」新川帆立
疑心暗鬼が仕掛ける見えない罠。短編でも冴える描きぶり。
「大代行時代」結城真一郎
Z世代の生き様を描く。いっそ清々しいほどの割り切りが印象的。
「妻貝朋希を誰も知らない」斜線堂有紀
他人の本質は最後まで掴みきれない。果たして誰の罪だったのか。
「供米」米澤穂信
直木賞受賞後の小品ながら、丁寧に紡がれた物語。亡き夫の罠にかかりにいった妻。
「ハングマン」中山七里
副題の雛鵜は、無知ゆえ罪に落ちる若者の象徴か。操られた末の強盗事件。
「ミステリ作家とその弟子」有栖川有栖
弟子は師匠作家の教えを実行する。作品と現実が重なる趣 -
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景の人物像が全然定まらなかった。
愛想が良く、みんなに好かれているのに本心が全く見えない。
結局はエピローグで入見刑事が話した事が全てなのかな。
始めから、本当に始めっから操られていたって事か。
この小説は「ブルー・ホエール・チャレンジ」という、海外のSNSで流行した自殺教唆ゲームに着想を得て書かれたそうだ。
人の言葉に流されて、自殺までしてしまうなんてどうかしてる。そこまでの精神状態になってしまう言葉ってどんなものだったのだろう。
「人間を死に向かわせるのは、究極的には希望なんだよ」
入見刑事の言葉が印象的だった。
弱っていると人の言葉に頼りたくなる。
流されず、自分で物事を判断できる人 -
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ネタバレまたまた朝井リョウさんの紹介本。
斜線堂作品は2冊目だが、『星が人を愛すことなかれ』とは同じ著者が書いたと思えないぐらい全く毛色が違う作品でびっくり!
ミステリ短編集なのだが、それぞれの作品が全然違う世界観でどれも変わった作品ばかりで斬新だった。
SFっぽいものや外国のギャングスタを題材にしたもの…。
振れ幅が大き過ぎて、ついていくのが大変だった。
結構現実離れした内容なので、読み手の想像力が試される気がする。
ミステリといえばトリックや謎解きを楽しむものだと思っていたが、この本はどちらかといえば展開や個々の登場人物を楽しむものなのかなと思った。
最後の短編『ゴールデンレコード収録物〜』は -
Posted by ブクログ
ネタバレ神や天使の存在意義や天国の有無がどうとか探偵の使命がどうとか、そのへんがあまり乗り切れませんでしたが、2人が死ぬと地獄に落ちる世界でいかにして連続殺人が起こるかという魅力的な特殊設定ミステリで、犯人がここまでするに至った動機などに説得力があり、トリック等も細部までよく練られています。
【以下かなり詳細なネタバレがあるので注意】
私が根本的なところを勘違いしているのかもしれないが、前半の三つの殺人で黒幕が実行犯に自殺を唆した理由がわからない。そのまま放置しておけば、実行犯が焼死して良い感じじゃないか?実行犯がアッチではなく、アッチと判明することで何か不都合があったのか…?