斜線堂有紀のレビュー一覧

  • 放課後探偵団2 書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー

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     粒ぞろい、とはこのこと!

     全5編、どれも楽しく読めました。だいたいアンソロジー読むとその中から気に入った作家さんのを見繕って2、3冊買ってしまうんだけど…さて…


    「その爪先を彩る赤」武田綾乃
     出ました百合ミステリ。あ、百合って部分ネタバレだけどいかにもな疑似餌だからそれくらい大丈夫だよね? 素敵なペアリング、そしてこのテーマもほんとうに放課後にしっくりきていて。開幕にばっちり。


    「東雲高校文芸部の崩壊と殺人」斜線堂有紀
     念願の斜線堂さん! 思っていたとおりというか、なんというか。文庫が…待てなく…なる…


    「黒塗り楽譜と転校生」辻堂ゆめ
     片想い探偵のひとね。もう

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    2020年12月03日
  • 小説の神様 わたしたちの物語 小説の神様アンソロジー

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    ネタバレ

    読後にまず思ったのは「小説の神様」であって「小説家の神様」じゃないんだ、ということ。小説に関わる人――書く人、読む人、売る人、評する人――すべての人の神様なんですね。だから、小説家以外の人達にも「小説の神様」と関わる物語があって、それぞれの人たちが小説と真摯に向き合って……というお話が生まれ、小説好きな私はそうしたところで本作が気にいったんだろうな、と思いました。

    個別の作品で言えば、収録作群の中では異色に映りますが「モモちゃん」が一番気に入りました。ラノベテイストに最初は違和感を覚えましたが、自作の世界に入り込んで自分の描写力の無さや知識の浅さを身をもって痛感するところなど、それこそ宮沢賢

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    2020年11月20日
  • キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~

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    前作最後で嗄井戸所有のDVDから隠し映像のスナッフフィルムが見つかり、否応なしに彼と彼の姉の事件に迫る事になった奈緒崎。束ちゃんのハードボイルドな胸の内も明かされ、一冊まるごと事件の話かと思っていたらますば元カノが見た消えたデロリアンの謎「バック・トゥ・ザ・フューチャー」といった穏やかさ。奈緒崎がいきなり殺人犯に疑われる2作目「ラブ・アクチュアリー」は強引な展開だと感じたけどそれが最後の直接対決「俺たちに明日はない」への心情的な布石に繋がって成る程な、と腑に落ちる。ミステリ好きとしてはダイイングメッセージな2作目ににやり。事件の犯人の登場があからさま過ぎるけどフィクションが人に影響する可能性の

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    2020年11月12日
  • キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~

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    ダメ大学生奈緒崎の周りで起こる事件を引きこもり映画オタクの嗄井戸が映画知識を活かして解決する2作目。大家にDVDを盗んだ疑惑をかけられた同級生の真相「スタンド・バイ・ミー」束ちゃんと観劇に行った主演女優宅に付けられたピンクの足跡の謎「アーティスト」査定価格に絡む遺産の行方「バグダッド・カフェ」それぞれの真実のほろ苦さとそれでも光を感じる閉じ方はしみじみする。謎の閉じ方は最初が好み。ツンデレな嗄井戸の不安定さが奈緒崎との関わりでだんだん回復していてこの仲良しさんめ!と思っていたら最後に彼の事件に関する飛び道具が。次巻は真相に迫るのか。

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    2020年11月12日
  • キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~

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    ネタバレ

    先に瀬越俊月の曜日シリーズを読んでいたので、あの菱崖小鳩が本当に死ぬ気がなかったことは知れて良かったけど、こんなあっさり死んだのかと思うと、心が乾く。
    嗄井戸と奈緒崎が幸せになるために必要な死だったけど、代わりに一人の男の幸せが一生失われてしまった。

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    2020年09月09日
  • キネマ探偵カレイドミステリー

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    ネタバレ

    ニューシネマパラダイスは見たことあったから最初から引き込まれましたし、また映画見たくなりました笑 主人公の冗談のセンスの無さ!あれがなければな〜と思ってしまいます。いや必要ではあったんですが…バディの空気は嫌いじゃないです。なんだかんだ言って認めてるんだなって…あれ?王道だな

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    2020年07月19日
  • キネマ探偵カレイドミステリー

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    語り口の軽さに油断してるとしっかり重たかった。探偵と助手の間に感情が育つのが早い……引きこもりの嗄井戸が友達になってくれた奈緒崎に執着するのはわかるんだけど、奈緒崎のほうもなかなかな執着具合で面白い。女子高生束ちゃんの軽やかな対人距離が際立つ。

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    2020年07月11日
  • 詐欺師は天使の顔をして

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    ネタバレ

    失踪した霊能詐欺師・子規冴昼を追ってたどり着いた先は、本物の霊能力者たちが暮らす街だった。

    異世界で繰り広げられる特殊設定ミステリ。
    系統的には異世界転生の流行の一端になるのかもしれない(転生はしないけれども)。
    登場人物の多いミステリが苦手なので、大掛かりすぎず且つパンチの効いた設定は読んでて楽しかった。

    要は何故あんなにも冴昼に執着するのか。勿論冴昼の持ち前のカリスマ性だとかは一因だけれど、全てを理屈で説明しろというと難しい。なにしろ要があのスペードの17に感じたのは「天命」とかいうもので、明確な根拠なんて必要ないのだろう。理詰めのトリックと話術を駆使するメンタリストが「天命」だなんて

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    2020年02月07日
  • キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~

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    ネタバレ

    前作から束ちゃんの意味深な発言が気になっていたので、(ないことはないだろうと思っていたけど)掘り下げがあってよかった。

    前作の感想でも少し書いたけれど、嗄井戸と束ちゃんだけだったなら、お互いの弱さを身の内に隠しつつ、過度に踏み込まず、親愛の情を伝えることもなく、「引きこもりと雇われのフリーエージェント」のままで停滞していたのだと思う。彼らは現実がそう上手くいかないことを誰よりも知っているし、未来の希望を掴むよりも今ある僅かな幸福を壊したくなかっただろうから、何も変えないことが最適解だ。
    だからこそ、二人が大切にしてきた「停滞」を奈緒崎がぶち壊しにきてくれてよかった。お人好しで楽観的な彼が現れ

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    2019年08月24日
  • キネマ探偵カレイドミステリー

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    ネタバレ

    「文学少女シリーズ」や「ビブリア古書堂シリーズ」のように、実在する作品を題材としたミステリー。映画に造詣が深くなくても楽しめた。
    我が道を行く自由人のようで存外寂しがりの嗄井戸と、そんな彼をなんだかんだで気にかけてしまう奈緒崎。ケンカしつつも仲のいい二人のやりとりが楽しかった。
    ちょっと尊大な嗄井戸もしかし、帰ろうとする奈緒崎を狼狽しつつ引き留めてみたり、トラウマを押しのけ宝物を擲って助けに行ったり、そんな姿を見せられたら憎めない。
    奈緒崎のために踏み出した2メートルが愛おしかった。

    ところで、「サクッと読める短編」という帯の宣伝にも関わらず後半襲いくる重すぎる展開に驚いた人は私の他にも多い

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    2019年08月17日
  • キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~

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    うまくまとめましたね、と思いました。
    それにしても、登場人物がずいぶんと信頼でつながっているものだなあ、と思います。美しい信頼ではあるのですが、ここまで育ったのはどの時点かな?まあ、過去2冊でいろいろなことがあったから、といえばそうなのでしょうね。
    映画が中心の話だけあって、登場人物が交わす会話がしゃれているように思います。このセリフ、いつか使ってみたいという気にさせます。文章内で使われている漢字も普段は見ないようなものもあって、これもまた良い雰囲気を出していると思います。
    いらないお世話の部類ですが、言葉に思い入れがある文章だと思いながらP.190の「掻き入れ時」は書き入れ時の誤りかな、とか

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    2019年04月01日
  • キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~

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    ブロマンス好きなら読んで損のない一冊だと思います。
    映画知識がなくてもペラペラ探偵役が解説してくれて安心。ミステリー部分もオチも綺麗にまとまっていて面白かったです。
    好きなお話でした。

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    2017年08月20日
  • 死体埋め部の回想と再興

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    なんだろうなぁ。

    正真正銘、真っ正面のエンタメミステリーなんだけど
    織賀と祝部の関係性が、あまりにも退廃的で刹那的なはずなのに、永遠で時に耽美的にさえ感じる自分はまんまと著者の思惑通りなのかも。

    ということでさえ、クスッと笑ってしまう。


    嘘をつかないためには言いたくないことは言わない。
    その通り。

    嘘を利用してまで会話を合わせる必要はない。
    言いたくないことは言わないままでいいのだ。


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    2025年12月14日
  • さよならに取られた傷だらけ 不純文学

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    先輩と後輩という縛りで、正直はじめの方は微妙と思っていたが、あるところから「次はどんなふうだろう?」となり、微妙なシチュエーションの違いなとが楽しかった。
    1作だけ選ぶとしたら「留守番電話サービスに接続します」が一番好き。

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    2025年12月12日
  • 恋に至る病

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    ネタバレ

    彼女はどこまでわかっていたのか。
    ほんとに彼女は彼を利用していたのか、
    ただただほんとに彼が好きで傍にいたのか。
    私は後者だといいなと思う。
    言霊じゃないけど、特別な人から言われた言葉って本当にすごい力を持つんだな。

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    2025年12月11日
  • 本の背骨が最後に残る

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    物語を語る者が「本」と呼ばれる国や、人から獣に転化するコミューンなど、様々な世界を描いた短編集。
    各話の世界観はそれぞれ別物ですが、いずれも根底には人間の美しさと残酷さが描かれている気がしました。
    カテゴライズが難しいですが、ヒトコワモノと言えなくもないでしょうかね。
    個人的には雨の話がお気に入りです。

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    2025年12月09日
  • 病に至る恋

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    斜線堂有紀さんの作品を数多く読んできて、その中でも気に入っている恋に至る病の続刊
    母親のシーンは面白かったが、もっと景一人称のストーリーが見たかったかな。

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    2025年12月08日
  • 恋に至る病

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    果たして恋した彼女は、どういう人間だったのだろうか?ストーリーが進むにつれ、彼女の本当の姿が見えてくる様な…見えてこない様な…。彼女の行動をどう解釈し、受け止めればいいのかラストまで気持ちがついていけず、さらに意味深な終わり方で頭がぐるぐる混乱した。
    考察サイトを読んでやっとしっくりきた。
    ただ、私はなんだかこの作品の「恋」を「恋」として受け入れることに抵抗がある。そんなこと言うと作品の否定になってしまいそうだけど、操作すること、騙すこと、盲目であること、それらを「恋のなせるわざ」として「好きだから仕方ないよね」と受け止められなかった。作品に馴染めなかった私は結構頭が硬いのかもしれない、と思っ

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    2025年12月08日
  • あなたへの挑戦状

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    ネタバレ

    2部作。てっきり読者への挑戦状かと思いきや……。
    付録とまったく同じものが後ろのページに印刷されているので、なんのために付いているのか分からなかった。

    トリックは凝っていて面白かった。しかしそんなに上手くいくかな? という疑問は最後まで捨てきれない。トリックの壮大さとしては前半の作品、事件の納得感は後半の作品が強い。

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    2025年12月06日
  • 星が人を愛すことなかれ

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    いろんな視点で描かれるアイドルと恋愛の物語。

    好きな人の好きなものは、応援したいけど、アイドルを推すとなると、少し身構えるところがある。
    互いの考え方も価値観も違うから難しい。
    どこまで許容できるか?そもそも「許容」という言葉の時点で違う気もするけど、お互いの妥協点を探さないと折り合いがつけられない。

    付き合っているのに、アイドルを推すことは、浮気とは違うのか?
    男性と女性で価値観が大きく異なっていて、これが男性アイドルを推す女性なら、また違った考え方になるんだろうなと思った。

    恋愛とアイドルを両立させることは可能なのか?
    現に週刊誌にリークされる人もいるなかで、私生活を投げ打って、アイ

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    2025年11月27日