斜線堂有紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私立塀戸中の二年生に転校してきた杜屋譲(モリアーティ教授)に興味を持ち、和登尊は彼に接触、助手となる。今回は接触するきっかけになった小さい謎解きや、絶対に成績が上がるといわれている陽明塾の塾長のハラスメントを叩き潰すのが大きな流れだった。
杜屋は胡散臭い雰囲気を出しながらも今のところは教授っぽい悪はみられず。しかし、助手の和登君がなかなかに正義感があり(やる気はさほどないのが現代風)、家庭環境の会話なども新し目で良い。塾の不正を暴く方法などが今までの児童書にはあまりない感じの流れで良かった。ただ、斜線堂作品にしては登場人物の破綻度や常識度が普通。あくまで児童書の範疇に収まっていますのでファンで読む人はそこには期待しない方がいいかもです。
軽めのミステリーで児童書だとKZシリーズが好きなのですが、あれの男子が読んで楽しいバージョンみたいな方向性が欲しかったかな。KZも男子が読んでも楽しいとは思うけど、表紙が女子向けだから読みづらいよね。トム&ソーヤより闇寄りというか、キャラ寄りというか。
小学校4年生くらいから。ルビは中学年以上向け。 -
Posted by ブクログ
脱出
脱出をテーマにした短編ミステリー集
阿津川辰海 屋上からの脱出
とあるカップルの結婚式。友人として招かれた一ノ瀬。結婚式に参加しながら、二人の馴れ初め、そして彼らと共通の部活で起きたとある事件について、同じく招かれていたハルと話しながら詳細を思い出していく。
性格柄か、何をそんなに驚いているのか、事件の真相と隠された事実について、微笑ましいとまで読み取ったのだが、現代の読み手はこの様な事は想いがねじ曲がっていると感じるのだろうか。僕にはとある二人の行動は普通だと思うし、されたら嬉しいのだが。阿津川辰海は歴代短編も漏れなく面白いのだが、今作は登場人物のバッグボーン含めあまり楽しめなかった。
こんな設定でも密室にできるんだなあと感心した。
織守きょうや 名とりの森
ノスタルジーを感じる舞台設計に森に入ると出られなくなると言うオリジナリティ。唯一、自身の名前を呼ぶ事が森の外に出る為のルール。
現実的な要素では無いファンタジー的な要素の組み込みがうまく、あっという間に読み終えてしまった。各キャラクターがまだまだ確立されておらず、それぞれの登場人物の背景を広げながら長編でも読んでみたいと思った作品だ。(ほんの少しだけ、スパイス的にホラー要素があっても良いなぁと思った)主人公の年齢設定とそれに見合った友情が素敵だ)
斜線堂有紀 鳥の密室
魔女狩りをテーマにした作品は、大体が壮絶で聴くに耐えないストーリーになるのだが、今作も例に漏れず胸糞悪い背景の作品だ。
魔女と言われ捕まえられたマリアがあれだけ多くの拷問に耐えた理由に衝撃を感じ、彼女がどの様にして密室から消え去ったのかはある意味ミスリードされたトリックだと思う。僕はそうなっているだろうと予想はしたが、動機は全く違った理由で捉えていたため、動機がわかってからも衝撃は醒めなかった。
空木春宵 罪喰の巫女
文体が難しく読むのが大変な作品だった。その分、雰囲気が充満しており、知らず知らず世界に飲み込まれそうになった。ストーリーも幻想的で、戦後の設定なのでそれ程時代設定が古い訳では無いはずだが異様さに満ちている。
トリックは異様で、そして最後は驚きの結末になっており、この文体で物語を進行させた理由が読み取れる様な気がした。
罪を犯した人々とその罪を喰らう巫女、その巫女を書こう神社と謎に満ちていたが短いなかで見事に伏線を回収している。読みやすければ長編でも面白そうな作品。
井上真偽 サマリア人の血潮
今作で一番面白いのはこの作品だろう。作風へ暗くヒリヒリするが、きちんと物語が完結されており、正しく短編として面白い作品だ。
世界観は最初は理解できないが、徐々に解明されていき、それでも最後の最後まで謎を提供し続けて見事に回収までしている。トオルとカズトの関係性そのものが物語のベースだが、最後とある事実で一気に事件がひっくり返る印象だ。今後、どの様に作中の人々が生きていくのか。久しぶりに余韻に浸れた作品だ。