あらすじ
『私が大好きな小説家を殺すまで』『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』の著者が問う、祈りと執着のミステリー
☆☆☆
俺の言う通りにしていればよかったのに
――なぜ消えた
☆☆☆
一世を風靡したカリスマ霊能力者・子規冴昼が失踪して三年。
ともに霊能力詐欺を働いた要に突然連絡が入る。
冴昼はなぜか超能力者しかいない街にいて、殺人の罪を着せられているというのだ。
容疑は““非能力者にしか動機がない””殺人。
「頑張って無実を証明しないと、大事な俺が死んじゃうよ」彼はそう笑った。
冴昼の麗しい笑顔に苛立ちを覚えつつ、要は調査に乗り出すが――。
感情タグBEST3
自分達のエゴを隠さず、堂々と生きる詐欺師の二人は、読んでいてスカッとした。
二人の執着も、ストーリーに程良い歪みを出している。
ミステリー部分は引っ張り過ぎないので、初心者でも読みやすかった。
一冊だと物足りないので、ぜひ続編を読みたい。
Posted by ブクログ
タイトルと表紙に惹かれて
ストーリーが美しく、歌劇のようだった
物語の中の言葉がとても好き。台詞のひとつひとつを切り取って、ショーケースに入れて飾りたいくらいには好き。
「お前への弔辞は読まないと決めていた。いつかの葬式でだって一人お前の復活を信じてやるつもりだった。」
この言葉を見た時の衝撃をなんと表せば良いのかわからない。それなのに、その衝撃を超える台詞がいくつも出てくるものだから。
この世界観に、関係性に心酔しきってしまう。
要と冴昼の2人が、当たり前のように言い放っている台詞全て壮大な愛の告白じゃないですか…。
関係性があまりにも美しくて最高すぎる
ラストまで曖昧な所も含めて本当に素敵だな、と
謎が多くミステリアスな2人にお似合いな結末
きっとどんな世界にいても観測し続けられる。
Posted by ブクログ
当たり前のように超能力者がいる街や当たり前のように死者が蘇る街で起きた殺人事件を、きちんと解き明かした上で主人公たちに都合の良いように真相を捻じ曲げる、という捻りの効き過ぎたミステリー。正統派好みは渋い顔をしそうだけれど、逆に風変りな話をキャラを探している人ならば、作者と主人公の見事な手腕を楽しめるはず。惜しむらくは、短編2.5本の一冊といった分量で、ちょっと物足りないところ。シリーズものとしてもっと続いて欲しい。
Posted by ブクログ
この世界とひとつだけ決定的に異なる法則のある異世界で起こる、その世界ならではの事件を解き明かすミステリとしての面白さと、要と冴昼の運命と執着の話、両側面で最高に面白かった。
世界を変えて続けていけそうな設定なのでもっと読みたい気持ちもありつつ、エピローグが綺麗にまとまっていてここで終わってもそれはそれで良い。
Posted by ブクログ
性癖殴られすぎて20回くらい殺されてしまったな。284Pの要くんの心情に共感しすぎちゃってくらくらした。刺激が強い。〆の世界の穏やかさがまるで祝福みたいでしたね。でももっと騙されたい…♡まだまだ序章という感じなので続きを期待したいです。
Posted by ブクログ
詐欺師と詐欺師プロデューサーの話。神がかった浮世離れしたカリスマを持つ子規冴昼に魅入られた呉塚要が振り回される話。振り回してるのは要のようでじつは振り回されている、というのが好きな構図ですね。そもそも魅力に惹き込まれてる段階で敵わないのでしょうね。ヘルベルチカとミミの関係も好きですね…。ふたりにとってはあれが最善だったのだろうなと。"執着"という感情の恐ろしさを見せつけられた。これからも彷徨い続けるであろう冴昼とそれを追い続ける要の話をたくさん見たい気持ちと、無事に帰って来られるのを祈る気持ち、どっちもある。
Posted by ブクログ
うーわ。“エモい”ってこういう事よね。
第二話の真相なんて死ぬほど好みです。
お互いがお互いにとっての唯一無二で特別な存在。
だから異能の街だろうと地の果てだろうと迷うことなく追いかけるし、追いかけてきて欲しいと願う。
異世界転移とミステリーを道具にして、人の執着を描いた物語だと思った。
Posted by ブクログ
かつて一世を風靡した霊能力者・子規冴昼が失踪してから3年。冴昼と共に霊能力詐欺を働いていた要に、冴昼から突然連絡が入った。彼はなぜか超能力者しかいない街にいて、殺人の罪を着せられているというが……。
現実世界とは違う法則が働く異世界が舞台のミステリー小説です。超能力者しかいない街で起こった”非能力者しか引き起こさない殺人事件”など、不思議な世界での事件の話。読みようによってはちょっとブロマンスっぽくもあるかも。
主人公たちは元の世界で霊能力者として活動していた、言ってしまえば詐欺師で、事件の解決の仕方も正統派ではなく自分たちの都合の良い結末に誘導して落とし込む手法が捻りがきいていて面白いです。決して正統派ではないけれど、こういうのも楽しい。
また、皆が手を触れずに物を動かす超能力を使える世界なら、実際の手が届かないところに収納がある、とかホットドリンクにマドラーが付いてこないとか、世界観の細かいディティールが作りこまれているのがとても好き。
出来ればまた別の世界での話が読んでみたいと思います。
***
超常現象の存在する世界でのミステリはこんなのも。
『やさしい魔女の救いかた』 (井上悠宇/LINE文庫)
Posted by ブクログ
詐欺師レベルの頭脳を持った存在が、ヘンテコリンナ世界に飛ばされて、そこで事件に遭遇する話が2編収録された本格ミステリ。
現代とは違う世界構造を持った世界の中で、その世界の世界創造の中でしかなしえない事件を、一番いい形に収める流れ。
この発想の作品に前例がないわけでもないが、世界総合から味わえるパズルがとても楽しい。
こちらの世界で、霊能力者として難事件を解決してきた奇術師が、超能力てきな粘土売り気が一般的な世界や死者がよみがえる世界での事件を、その超越した推理力と奇術力でナントカしちゃう様が最高。
Posted by ブクログ
異世界だからこそ倫理観が違うので現実では起こり得ない事が謎として解決するのが面白かったのと主人公2人の言動の魅力や細かい所の設定など色んな所に好感を持てるのが良かった。
Posted by ブクログ
ミステリー文庫本。ループSF。
カリスマ詐欺師が異世界に強制転移させられ、相方が追いかける格好で出現し、行く先々でその(詐欺師的)能力を発揮しながら謎を解くSFとミステリーが融合した作品。
電話ボックスが異世界への接点という設定がゴシック調で好ましい。
いつか二人でこの世界に戻ることはできるのか?
天命、運命的に出会った二人は、今も何処かで謎を解いている。
Posted by ブクログ
失踪した霊能詐欺師・子規冴昼を追ってたどり着いた先は、本物の霊能力者たちが暮らす街だった。
異世界で繰り広げられる特殊設定ミステリ。
系統的には異世界転生の流行の一端になるのかもしれない(転生はしないけれども)。
登場人物の多いミステリが苦手なので、大掛かりすぎず且つパンチの効いた設定は読んでて楽しかった。
要は何故あんなにも冴昼に執着するのか。勿論冴昼の持ち前のカリスマ性だとかは一因だけれど、全てを理屈で説明しろというと難しい。なにしろ要があのスペードの17に感じたのは「天命」とかいうもので、明確な根拠なんて必要ないのだろう。理詰めのトリックと話術を駆使するメンタリストが「天命」だなんて、案外ロマンチストだ。
一方で、そういうものを簡単に信じたりしないのは、むしろ冴昼の方だ。彼はあの日引いたスペードの17を「偶然」としか思っていなかったし、だからこそ要の執着を信じ切れずにいた。1話で「頑張って無実を証明しないと、大事な俺が死んじゃうよ」なんて笑ってみせておいて、要にとっての自分が「大事な存在」でなくなることを恐れていたのだから、ほんとに魔性だ。ずるい。
それがエピローグで語られるのもずるい。
基本的に要視点なので、1話と2話は要から冴昼に対する執着の方が大きいとばかり思っていたのに、全くそんなことはなかった。冴昼も要のことを、少なくとも殺そうとするくらいには大好きじゃないか。それを知っていて冴昼にバイクの運転を任せた要に更にクラクラした。
序盤の電話の謎も残されていることだし、恐らく続きが想定されているのだと思う。栄光と空白と異世界への転移を経て、「特別」を確信した2人のその後を楽しみにしたい。
Posted by ブクログ
一世を風靡した霊能力者の子規冴昼が失踪して3年。「雪を見てくる」そう言って出て行った相棒を待ち続ける要の元に、冴昼から3年ぶりに連絡が入る。指定の公衆電話から教えられた番号に電話をかけると見知らぬ場所に出た。行き着いた先は超能力者しかいない世界で、冴昼は殺人の容疑をかけられているのだという。冴昼を取り戻すため、要は事件を調べ始める…。
冴昼が異世界転移者としてさまざまな世界を放浪することになってしまい、それを相棒の要が追いかけるという話。行く先で仕方なしに謎を解く。設定が突飛で面白いと思った。
要の謎解きとともに2人の距離感も大きなポイントで結構好きな感じだった。要にとって冴昼という存在は唯一無二だと感じているのだけれど、冴昼は自分の代わりはいると感じている。お互いに執着しているのに微妙に通じ合えていない。
また、2人のやっていることは人を騙す行為なんだけれど、金を騙し取ろうとかではなく、なんなら結果よかったと感じるところまでがすごい。
Posted by ブクログ
異世界での事件を追う
2編+1
設定はそれなりに面白く事件解決もさらりと
やってのける二人だが、ちょっと文章が独特というか
なんか癖があり感じがいまいちでした
設定キャラはきらいじゃない
シリーズ化もありかも
Posted by ブクログ
――
思い付いてしまったからには。
タイトルがもう…なんていうか…愛しい…
異世界ミステリ、とでも云おうかしら。コンパクトな特殊設定ミステリ2篇の詰め合わせ。
ひとつ、常識的には起こり得ないことをほんのひとつだけ引っ繰り返してみるだけで、という試み。思い付いてしまったからには、それなりの責任ってもんがだね…
しかしどの一点から思いついているんだろう、というのも興味深いところ。
本筋とは関係の無い粗が何箇所かあったけれどそれは評価には含まれておりません。
本気で何かの罠かと思ってめっちゃ警戒してしまった…☆3.4