あらすじ
自分の消費期限は、もう切れているのかーー
小学生でデビューし、天才の名をほしいままにしていた小説家・綴喜文彰は、ある事件をきっかけに新作を発表出来なくなっていた。孤独と焦りに押し潰されそうになりながら迎えた高校三年生の春、綴喜は『レミントン・プロジェクト』に招待される。それは若き天才を集め交流を図る11日間のプロジェクトだった。「また傑作を書けるようになる」という言葉に参加を決める綴喜。そして向かった山中の施設には料理人、ヴァイオリニスト、映画監督、日本画家、棋士の、若き五人の天才たちがいた。やがて、参加者たちにプロジェクトの真の目的が明かされる。
招かれた全員が世間から見放された元・天才であること。このプロジェクトが人工知能「レミ
ントン」とのセッションを通じた、自分たちの「リサイクル計画」であることをーー。
俊英が贈るAI×青春小説!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
読後感が心地よい青春小説でした。
各分野の元天才少年少女のリスタートのお話なんだと思う。
そして、人生に消費期限なんて無いんだよと教えてくれている気がする。
その道が閉ざされたり、嫌になれば新しい道に進めば良いんだよ。
Posted by ブクログ
この作家さんの世界観が大好きなんですよね。少し暗い感じがして。この本はある理由で小説が書けなくなった元、天才小説家、綴喜文彰のもとへレミントンプロジェクトの案内状が来る。何人もの元天才たちが集められ、天才に戻すリサイクル計画だったのです。
文章が頭に入ってきやすくてすらすらと読むことが出来ました。
Posted by ブクログ
今まで読んできた小説の中で個人的には一番面白かった。
人間がAIとどう関わっていけば良いのか、というテーマが根底にあって、その中で落ちこぼれの天才である登場人物一人ひとりが葛藤する…と言ったストーリー。情景や心情描写がわかりやすい。斜線堂先生の文章もAIが作成してたりして…笑
自分は特に天才でもなんでもないただの凡人なのだが、登場人物一人ひとりに共感を覚えた。
進路に悩んでいる高校生が読んだら刺さるんじゃないかな。と思った。
Posted by ブクログ
元、天才たちの話
「好き」がいつのまにか「義務」のように感じ、苦しくなる。「依存」してしまう。「楽しい」と感じなくなってしまう。
承認欲求というものは誰にでもあって、
他人から良い評価をもらいたい。
褒められたい。
認められたい。
そんな気持ちが自分の背中を崖から落ちるギリギリまで押してしまうことがある。
天才、と一度でも呼ばれてしまえば、元に戻ることはできない。期待や重圧を過度に受け、耐えられなくなった者は壊れてしまう。
何が正解なのか、わからなくなる。
そんな人たちが、救われてほしいと思う本。
Posted by ブクログ
元天才と呼ばれる若者が集められ、AIの力で再起させようという国家プロジェクトのお話。
AIの助けを借りた作品や実力は、自分のものと言えるのか。Chat GPT等が台頭してきている今だからこそ読んでいて刺さる作品だった。
斜線堂有紀さんのスラスラ読める文章に気になる設定で一気に読んでしまった。
終盤の展開は少し弱く感じたが、結末は綺麗にまとまっていたので高評価。
Posted by ブクログ
斜線堂作品8冊目。かつて天才小説家だった綴喜(つづき)に『レミントン・プロジェクト』 への招待状が届く。かつては栄光を有したが、すでに消費期限が過ぎた6人、ヴァイオリニスト、料理人、画家、映画監督、棋士、小説家が人工知能を用いてリサイクルされる!どうすればかつての栄光を再度手にできるのか、AIの力を借りるという他力本願。そしてAIによって自分よりも優れた才能を見せつけらてしまう。こいう時代がもう来ている。人間の力ではなく、人工知能によって世界は動いている。AIによる小説にあの読友さんは涙するのだろうか?⑤
Posted by ブクログ
結果が出せない、居場所が足元からぐらついていく。
好きなはずのものが、苦痛になっていく。
この子たちに並べるようなものはないけど、それでも共感してしまう。
終盤の、博士の純粋なセリフが胸に刺さる。
Posted by ブクログ
幼くして天才小説家として持て囃されていた主人公。しかし、三作目のベストセラー以後、全く作品を出せずにいた。そんなときに参加をすすめられた謎のプロジェクト。そこには主人公と同じようなかつての天才たちがいた。
天才って、神様から与えられた才能だから天才なんじゃんって思ってたけど、ずっと天才でい続けるための計り知れない努力と苦悩があって。そこがとても丁寧に描かれていて、展開と合わせて絶妙な作品でした。登場人物一人一人の設定もしっかり描き込まれててみんな魅力的でした。
それぞれが選ぶ結末も、最後まで読んでいけば納得できるものだと思うし、みんな幸せになってほしいなぁと思う。個人的には天才でい続けられないことに絶望しても、そこに必死にしがみついて生きていく御堂くんが好きです。読んでくと彼の強がりも愛おしくなってくる。凪ちゃんとの掛け合いもすき。
Posted by ブクログ
天才は期待という名のプレッシャーと、自分の分野に対する愛と、人生との板挟みにあるものなんだと思った。
よく捻られたストーリーにグッと引き込まれ、感情を強く揺さぶられた。スラスラ読めた。
作中の人物に僕が重なるシーンがいくつもあって、たくさんの共感があった。
過去の僕にはできたのかもしれないが、今の感動を自分の言葉で表すのは今となっては難しい。
だから、文中で一番共感できた、一番心に響いた主人公の台詞で代えようと思う。
"「勝手に期待されて失望されて、・・・・・・そんな目で見るなら、最後まで愛してくれればいいのに」"
(P308 L16より)
何度も読み返したい大好きな一冊になった。
Posted by ブクログ
どんな作品が人々の心を掴むのかを熟知している人工知能と、若き天才としてもてはやされた過去を持つ青年たちとの出会いから始まる物語。機械が生み出した芸術作品が素晴らしいことが分かるからこその葛藤や、自分の人生とのそれぞれの向き合い方が鮮やかに描かれていて、背中を押された。その反面、自分が感じる感動は、もし機械による芸術作品でも感じられるのかと不安にもなった。
Posted by ブクログ
元天才が集められたプロジェクトで元天才達が葛藤、成長する物語。
実際にAIをうまいこと使って何かの作品を世に出すと言うことは知らないだけで既に行われているのかもしれない。
Posted by ブクログ
芸術にAIが関わったら
評価の対象となりうるのか、
そんな倫理観をメインテーマに扱った作品だと感じました
最終的には
芸術対象を愛せているか、
という、わかりやすい落としどころで終えていますが
それも含めてよかったと思いました
Posted by ブクログ
昔神童、今はただの人はたくさんいると思う。
神童レベルが頭抜けている人は苦悩が多いのだろうか。
AIをうまく組み込んでいるなと思いました。
人里離れた秘密の場所だから成り立つ人間関係もあるのかなと思いました。読後は爽やか。
Posted by ブクログ
天才という称号は、天才の落ちこぼれにとっては非常に辛いものだと感じた。
人工知能を使ったこのプロジェクトは私の意思に反して、現実性のあるものに感じた。
Posted by ブクログ
斜線堂有紀さん、初めて読んだ。
ミステリーというよりは青春群像劇。
かつて天才少年少女と呼ばれた6人の若者たちが、レミントンプロジェクトに参加するべく集められる。
天才であることの消費期限が迫っている焦り。
天才でいるためにAIレミントンの力を借りることへの葛藤。
主人公綴喜を軸に、それぞれの心情が丁寧に描かれる。
とても読みやすく、ぐいぐい引き込まれて一気に読んだ。
最後にそれぞれが選んだ道もよかった。
Posted by ブクログ
自分のこれまでの人生を捧げてきたものを否定されるのは恐ろしいこと。ほかの生き方もあると諭されても、そんなことはわかってて、それでも縋るしかないという気持ちは、理解できないわけではない。天才だなんて持て囃されようが貶されようが、結局は自分がどう生きたいかが問題なのだなあと。好きなものをずっと好きなままでいられたらそれはしあわせなことだよね。
Posted by ブクログ
AIによる元天才を甦らせるプロジェクトの話。途中途中で起きる事件に対してそれぞれの登場人物の背景や心情が丁寧に描かれていて、とても人間味溢れる内容。終わり方も綺麗で満足いく作品。もっと壮大な事件とかも欲しかったな。
Posted by ブクログ
元天才作家の主人公はいろんなジャンルの若き天才を集めAIでの再教育にて復活させまっせ計画「レミントン・プロジェクト」に招待されて…
今までの人生で天才やったことがいっこも無いはずやのに、何故か主人公にしっかり感情移入できて元天才の苦悩を疑似体験してしまえるのは斜線堂さんの作品の力によるものなんやろな〜さすがです。
ほんま才能ってなんなんやろう?って才能の一欠片も持っていないけど考えたけども才能が無いことは悲劇ではなくて下手こそものの上手なれじゃないけども才能がなくても好きなことがいっぱいあれば楽しい人生なのかな〜って思った。
Posted by ブクログ
はじめは若者向けかも...と危ぶんだが、アラフォーでもじゅうぶん楽しめた。小学生で小説家デビューし、中学生でベストセラーを出版。天才小説家と呼ばれた高校生の綴喜くんは国の一大プロジェクトに招待される。そこには同年代のあらゆるジャンルの天才少年少女たちが集結していた。そのプロジェクトとは。もし自分に何らかの才能があって、登場人物の立場になった時どうするのか。「自分なら」と何度も立ち止まって考えた。終盤はもう少しインパクトが欲しかったし、題名はあまり好みではないが全体的には爽やかな青春ミステリーとなっている。
Posted by ブクログ
元・天才だった人を集めレミントンと呼ばれるAIを使って甦らせる。4年間も新作を出せていない綴喜は編集者からプロジェクトへの参加を打診される。目隠しをされヘリコプターで連れていかれたのは山奥の洋館。そこには元・天才が集められていた。
もう既にビックデータを使った試みがあるのではと思うほどリアル。おそらくポップスな歌などはビックデータを解析していけば絶対に大衆にウケる歌は作れると思う。ただそこにヒトは必要かボーカロイドでも可能かとなる。この小説では日本画、料理、音楽、映画、小説、将棋を取り上げている。それぞれの元・天才たちの葛藤が興味深かった。
そしてAI開発者の雲雀博士の最後のセリフ「才能が無くなった程度で、諦めるのは悔しかろう」を読んで優しい小説だと感じた。
Posted by ブクログ
本書は天才といわれた子どもたち6人の葛藤を描いた小説です。私たちは才能のある人をみて「うらやましい」や「自分もあの人みたいになりたい」などの感情を抱きます。もっとひどい人は「いいよなあいつは才能があるおかげで楽に生きれるんだろう」などと嫉妬します。
本書の最大の魅力は才能を持つものがゆえに持っている葛藤です。期待されているけどうまくいかない。やればうまくいくのにできない環境になった。周りから笑われるルーティンをやめられない。そんな天才が物語を通していろんな意味で成長するのは学びの多いものでした。
本書の登場人物が学生であるという点も好感を持てました。大人なら自分の意志で本当に自分がやりたいことを選べばいい。小学生なら大人の期待に大きな疑問は抱かないでしょう。
しかし、本書の主人公たちは高校生が中心です。自分で自分の未来を決めるのは怖い。でも、自我も芽生えてきた時期に訪れるチャンス。物語を通して主人公たちは子どもから大人へと進化していきます。
才能がなくて葛藤する物語はよく見てきましたが、才能があることに対し葛藤する物語は新鮮でした。
Posted by ブクログ
ゴールデンタイムの消費期限
かつて天才と呼ばれその分野の才能を持っている十代後半の6人の青春物語、みんなが何らかの思いを持っている中でこのレミントンプロジェクトに参加する。
幼いころは天才と呼ばれた少年少女はまた昔のように輝くためにAIであるレミントンプロジェクトに参加する。参加することは正解なのかAIに頼ってよいのか考えさせられる作品になっている。
才能はあるが本当にそれをこれから先もやっていきたいのか一生かけて磨き続けたいのか?ここでやめてしまうと今までの時間が無駄になってしまう。もう今やっていることは嫌いになってしまっているのかもしれない、時間の無駄になってしまうのではないか?これから何が学べるのか、読み終わった後にこれを思ったのは私だけではないはずです。
Posted by ブクログ
圧倒的な天才なんていなくて、みんな苦しみ努力しながら道を探す若者達の話
決して才能ばかりに価値を置いてるわけではなく、正解でも不正解でもない形が爽やかで素敵
Posted by ブクログ
作家、料理人などなど多彩な分野から集められたら若き天才たちの再生プロジェクト
天才故の苦悩や情熱が交錯する
絶望的な展開ではなく、気持ちの良い余韻が残る一冊
Posted by ブクログ
行き詰まった感のある元天才達が集められ、AIによる指導で陽の目に出るべく再挑戦していく。
AIって聞くとやはり機械に操られる、て感覚になる自分。それこそ凪寺がいうHALみたいな。古いわ。
それでも読み進めてくと悪いものでもないと修正されていく。利用できるものは使ってもいいんじゃないかな。ズルい?卑怯?雲雀博士のいう好きな事を続けるためならって考えも分かる。悪意ではないよ。
それでも諦めるメンバーもでてくる。今までの時間も無駄になっちゃう、惜しくも思える。それでもやり直せるなら人生好きな事で消費したいよね。
綺麗に纏まった感じはあるけど爽やかで好きだな。
Posted by ブクログ
元天才少年、少女たちが集められる。小説家、日本画家、料理人、バイオリニスト、映画監督、将棋棋士。AIが彼らの才能を再び開花させることができるのか?
Posted by ブクログ
AIって本当にすごいですよね。
何かするときに、人間である必要があるのかと思うけど、「人間らしい矛盾さとか、弱さとか、感情はAIには表現できないでしょ!」
と、以前の私は思ってたし、信じてたけど
今は、そういう不完全な人間らしさも、コピーできてしまうAI…恐ろしいですね。
AIが作った小説、レシピ、音楽…
言われなきゃ分からないんだろうなーと私は思います。
そして。才能って、怖い贈り物ですね。
私にはそんなものなくて、小説の中の彼らと比べるとずいぶん身軽な人生だと思うんだけど
それでも「ずっと続けてきたものや頑張ってきたことを辞める勇気」とかは、私でも分かる。
好きで居続けなきゃいけない辛さとかも。
色々やんわり考えさせられるお話でした。
でも、いまいち盛り上がりに欠けるというか、
読むスピードも乗らず
そこが⭐︎3の理由です。
Posted by ブクログ
私は天才ではないので、理解はできたが共感は出来なかった。
テーマに対してストーリーの起伏が少ないと思った。天才の苦悩の部分をもっとエグく描き上げてほしかった。
天才児というのは早熟であって、大人になるにつれて一般人との差がなくなってくるという話は聞いたことがあり、それを越えるストーリーを期待したんだが。
トレーニング用AIの使い方としても普通かなと思ってしまった。
Posted by ブクログ
ミステリ主軸ではなく若き天才達の過ぎ行く数日間に重きを置いて。
天才とは才能とは好きとは何か。
好きでいなくてはいけないのか、上り詰める事とは何か。
秘める葛藤をさらに揺さぶる器としてのレミントン。
優しいな、と思うのは決してこのプロジェクトが才能至上ではなかったこと。
埋もれる才能を惜しいと語る雲雀の言葉からは化学反応によって更に可能性を見出せるものだけではなく、レミントンによって自分のすがりついていた呪いから解放され新たな道を見つけて行くものへの想いが受け取れた。
惜しい。
それはその場にたちすくんで燻り続ける種火がただ世間などによって立ち消えさせられる事に対してなのだろうか、と感じる。
特殊設定とくれば斜線堂さんという先入観を肩透かしのように爽やかに躱してくれた一冊。