あらすじ
嗄井戸の部屋からスナッフフィルムを見つけた奈緒崎は過去の事件を解決するべく、フィルムアーキビスト菱崖小鳩に協力を依頼する。
嗄井戸に疑いの目を向ける束に相対しながら、嗄井戸の味方でいることを選んだ奈緒崎だが、真実に近づくにつれ、苦境に立たされていくことに。そして迎えた大晦日の夜、二人はとある決断をする――。
数々の名作の裏に隠れた事件の真相を解き明かした時、落下するのは誰なのか?
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映画を全然見ないので楽しめないかと思って手を出せずにいたのですが、もっと早く読めば良かったです。話ごとのキーになっている名作映画は見たことがなくても問題なく楽しめます。
シリーズを貫く嗄井戸くんの話は最後までドキドキでもちろん面白かったのですが、個人的に好きだったのは1冊目の「断崖絶壁の劇場演説」と3冊目の「逆行無効のトライアンフ」。ともに嗄井戸くんが「力作」「良作」とトリック(?)を仕掛けた人物の頭脳や映画愛を高く評価しています。明るくない話もある中で誰かのために使われた映画トリックは心温まって良かった、、、4冊目の新刊もとっても楽しみ!
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あとがきにもあるように「凄惨な現実をフィクションが救う」という救済と祈りの話でとてもよかったです。現実が必ずしも良いとは限らないよね、虚構だからこそ救われることだってある。奈緒崎くんの信頼の仕方はちょっとおそろしい、ちょっとというかかなり。でもその無条件の盲目とも見える信頼に嗄井戸くんは救われた部分もあるのだろうな。嗄井戸くんが部屋を出られるようになってよかった。取り上げられている映画が見たことのないものが多いので見てみたくなりますね。ノッキンオンヘブンズドアが気になる。
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嗄井戸の台詞じゃないけど、傑作だったな。
どの事件も趣向が凝らされていて面白いけど、主軸は嗄井戸高久の事件だ。
彼を解放するための、とびっきりの友情物語だ。
この際、黒幕が誰かなんて些末な事で(犯人コイツだなって予想できるぐらいだし)彼らがどうやって幕を引くのかが重要なんだよな。
クライマックスでの奈緒崎の行動には驚かされるけど、こういう性質を持った彼だからこそ救える人がいるのも事実。
嗄井戸も奈緒崎も束も全員愛おしい。
あと『俺たちに明日はない』って映画が気になる。
あそこまで熱弁されて気にならない方が無理だよなあ。
虚構が現実を超える瞬間、観てみたいよね。
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ついにカレイドミステリー終結!
前作が少し不穏な終わり方をしていたのでドキドキしながら読み進めましたが、最悪な結末にならなくて良かった…!
見た目普通(むしろ好青年)なのに中身が最凶に歪んでいると言うのはゾッとしますね。
無害なフリして途轍もない悪。
罰を受けさせる事が出来なかったのが少し残念だけど、全ての謎が解き明かされ、お姉さんのお墓参りにも行けるようになって本当に良かった。
この先、奈緒崎と一緒に大学にも復帰できるようになれば嬉しいな…。
否定していたけれど、教授は知っていた(と言うか分かっていた)のではないかと言う疑念が拭えない。
分かっていたけどどうする事も出来なかったから、打開するべく嗄井戸と奈緒崎を引き合わせたのでは?
もしそうならこの教授、なかなかに喰えない御仁だ(笑)
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カレイドミステリーついにフィナーレ!
前作で不穏な終わりをしたから犯人の話が来るかと思ってはいたけれど、意外とコンパクトにまとめてあった。
二人、いや三人の信頼関係って本当に強固ですてき。
犯人の結末についてはちょっと悔しいと思った。
嗄井戸姉弟の苦痛を味合わせてやりたい!
でもハッピーエンドで終わりも爽やかだった。
彼らのこれからも読みたかったから完結しちゃって残念。
映画にとても興味を持たせてくれた良い本でした!
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ホラーとか残虐なのは勘弁だけど、ここに出てくる映画見てみようかな。ストーリーとそれに纏わる映画の蘊蓄具合が適度に絡んで良い感じ、、、スペシャル雑な感想だ。
今年の登録60冊目。
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消えたデロリアン「BTTF」、ビデオ屋のダイイングメッセージ「ラブ・アクチュアリー」、カレイド事件の解決編「俺たちに明日はない」でいよいよフィナーレ。
・電話のアップカットのために人くらいの大きさの電話をつくったヒッチコック
・「メトロポリス」の撮影監督が考案したアナログな合成技術シュフタン・プロセス
・パルプ・フィクションの映り込み
・人影が映り込む再生品フィルム
・サイコで血糊にチョコを使った
・ボタンひとつで爆発する血糊に使用したスクィップという装置
・「桑港」の地震シーンは緻密な調節でエキストラに怪我人は出なかった
など、今回は撮影技術の蘊蓄多めで嬉しい。
試行錯誤を積み重ねてきた映画の歴史 。素晴らしいフィクションを作るために先人たちが工夫を凝らしてきたから、映画というものは現実を超えた面白さを持てるのだと感じた。
あとがきにて「凄惨な現実をフィクションが救う」がテーマだったことを知る。正直カレイド事件の結末は、決戦に備えて警察に連絡するなり、DVD複製するなり何も準備してなかったんかい!や、こんな大事件隠し通せるか?など色々ツッコミどころはあるけれど全3巻を通してテーマは綺麗に伝わってきたので面白かったと思う。
Posted by ブクログ
カレイドシリーズ3部作の最終版。
嗄井戸が過去の近親者の殺人の容疑がかけられ、あるDVDの隠しコマンドにスナップフィルムが隠されていたことに気づく。
誰が犯人で誰が信じられるのかという不安定な状況で、やはり解決に導くのは、映画と嗄井戸の圧倒的映画知識だ。
倒叙スタイルかと思いきや、犯人が思わぬ方向に流れ着いて、3部作を一気読みしてしまった。
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大筋の嗄井戸の事件が無事(?)終幕してホッとした。というのが一番の感想。とはいえ奈緒崎はごく普通の人なので、あっさり信用して騙されるし、好意を持った相手を短絡的に庇うしで、倫理的に考えたら正しい言動とは言い切れないのだけれど、だからこそ嗄井戸は身も心も救われたのだと思うと、相変わらずこういう展開を書き切ってしまう作者が恐いなとも感じる。果たして事故か他殺か、は物議を醸すかもしれないけど、個人的には容赦の無い犠牲の上に成り立つハッピーエンドは嫌いではないので、ずるい解決法まで含めて面白かったと思ってる。ただ、『探偵は家で映画観てるよ』という、あっちもこっちも他人事みたいな決めセリフがとってもよかったので、二人のミステリをもう少し読んでいたかった。
映画から謎を解決!
なので、ナイフの指紋は…?とかいう突っ込みは無粋なのだなと思いました。
うんうん、それでこそフィクション!
でも奈緒崎くんはもう少し危機感をもって逃げたほうがいいと思います!民放観たいとか考えてる場合じゃない!
私は奈緒崎くんと嗄井戸の関係性が好きでした。そして、現実では許されないことをするフィクションさが本作ではあって好きだなと思いました。
綺麗事じゃないのが好きなので。他の作品も読んでみたいです。
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前作最後で嗄井戸所有のDVDから隠し映像のスナッフフィルムが見つかり、否応なしに彼と彼の姉の事件に迫る事になった奈緒崎。束ちゃんのハードボイルドな胸の内も明かされ、一冊まるごと事件の話かと思っていたらますば元カノが見た消えたデロリアンの謎「バック・トゥ・ザ・フューチャー」といった穏やかさ。奈緒崎がいきなり殺人犯に疑われる2作目「ラブ・アクチュアリー」は強引な展開だと感じたけどそれが最後の直接対決「俺たちに明日はない」への心情的な布石に繋がって成る程な、と腑に落ちる。ミステリ好きとしてはダイイングメッセージな2作目ににやり。事件の犯人の登場があからさま過ぎるけどフィクションが人に影響する可能性の方が主眼なんだろうからこれで良し。しかしいい感じに閉じてるけどこれ、現実的には本当に良いのか…?
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先に瀬越俊月の曜日シリーズを読んでいたので、あの菱崖小鳩が本当に死ぬ気がなかったことは知れて良かったけど、こんなあっさり死んだのかと思うと、心が乾く。
嗄井戸と奈緒崎が幸せになるために必要な死だったけど、代わりに一人の男の幸せが一生失われてしまった。
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前作から束ちゃんの意味深な発言が気になっていたので、(ないことはないだろうと思っていたけど)掘り下げがあってよかった。
前作の感想でも少し書いたけれど、嗄井戸と束ちゃんだけだったなら、お互いの弱さを身の内に隠しつつ、過度に踏み込まず、親愛の情を伝えることもなく、「引きこもりと雇われのフリーエージェント」のままで停滞していたのだと思う。彼らは現実がそう上手くいかないことを誰よりも知っているし、未来の希望を掴むよりも今ある僅かな幸福を壊したくなかっただろうから、何も変えないことが最適解だ。
だからこそ、二人が大切にしてきた「停滞」を奈緒崎がぶち壊しにきてくれてよかった。お人好しで楽観的な彼が現れないと、その役割は誰も担えない。
そんなヒーローの現れた理由が「留年の危機」という間抜けなものだったのもよかった。欠点のあるヒーローの方が、かえって愛おしくなってしまうものだと思う。
ところで、奈緒崎はもともと素直に口に出すタイプではあったと思うけど、今回やけに価値観の言語化が上手かった気がする。小宮先輩も言っていたけど、こんなに格好いいことをスラスラ語れるキャラクターだったろうか。3巻もあれば成長するのかも。
誠実さに欠ける警官が私の倫理観に合わなかったのと、悪人とはいえ人が目の前で死んでいるのに、奈緒崎なんてその死に結構関わっているのにいい感じの雰囲気になることに少し困惑したけれど、お姉さんのお墓参りに行けたのは素直によかった。今度は3人で舞台なんかを観に行って、帰りに喫茶店で感想を話し合ったりしてほしい。
Posted by ブクログ
うまくまとめましたね、と思いました。
それにしても、登場人物がずいぶんと信頼でつながっているものだなあ、と思います。美しい信頼ではあるのですが、ここまで育ったのはどの時点かな?まあ、過去2冊でいろいろなことがあったから、といえばそうなのでしょうね。
映画が中心の話だけあって、登場人物が交わす会話がしゃれているように思います。このセリフ、いつか使ってみたいという気にさせます。文章内で使われている漢字も普段は見ないようなものもあって、これもまた良い雰囲気を出していると思います。
いらないお世話の部類ですが、言葉に思い入れがある文章だと思いながらP.190の「掻き入れ時」は書き入れ時の誤りかな、とか、274の「右利きなだ。」も脱字かな、とか、変なところで引っかかってしまいました。ストーリーに起伏とスピード感があり、どんどん読み進めていたところで変なことで立ち止まらせられたのがちょっと残念でした。
Posted by ブクログ
任意同行された奈緒崎への刑事(束の兄は控え目に言って糞)の対応とか、そもそも親が(少なくとも奈緒崎の)こんなに無関係なのおかしくない?とか真犯人の取り扱いとかいろいろいろいろ突っ込みたいところや相変わらず誤字が多かったけれど、作者のパッションで最後まで完走させてくれた。
別出版社から出たこの2人のその後も読んでフィナーレを迎えなければ!
Posted by ブクログ
【収録作品】Curtain raising/逆行無効のトライアンフ-バック・トゥ・ザ・フューチャー-/依然必然のアクチュアリー-ラブ・アクチュアリー-/輪転不変のフォールアクト-俺たちに明日はない-
映画にそんなに詳しくないので、そっちの話はよくわからない。事件が残虐なだけに、犯人もイッちゃってる人だろうなと思うとすぐにわかる。登場人物も限られてるし。二人の友情が結構熱いのが一周回って新鮮。
Posted by ブクログ
彼の家から、例のフィルムが発掘された。
持って帰って、元々のきっかけを作った教授に
人を紹介してもらって…と、暗躍してみたものの
さくっと白状している主人公。
まぁ、隠し通せはしないですよね、性格的に。
そんな山場を迎える前に、元カノと遭遇してみたり
別の山場を見てみたり。
自己完結するのはよろしくない、という教訓がw
2話目では、祝容疑者になった主人公ですが
フリーエージェントの身内とも遭遇。
しかしどう考えても…とか言っている前に
ダイイングメッセージって、作ってる気力は
あるのでしょうか?
このシリーズが始まって以来、ずっと出てきていた
あの事件がようやく解決します。
こういう犯罪者いるよな、とは思うのですが
何故因果応報に関しては考えないのか。
自分だけは大丈夫、な主人公思考だからでしょうか?