斜線堂有紀のレビュー一覧

  • 夏の終わりに君が死ねば完璧だったから

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    片田舎に暮らす少年・江都日向は、劣悪な家庭環境のせいで将来に希望を抱けずにいた。そんな彼が知り合ったのは、身体が金へ変質していく致死の病「金塊病」を患う女子大生・都村弥子。
    彼女は死後三億円になるという『自分』の相続を突如江都に持ち掛ける。


    身体が金へ変わっていく奇病を患う女子大生と、彼女の「相続」を持ち掛けられた中学生の少年の恋愛小説です。

    自分の存在には三億円以上の価値がある、と自信を持って言える人が、はたして世のなかにはどれだけいるものだろう。もちろん、人間や命というものはそれぞれが唯一無二で誰かにとってかけがえのない存在で、値段を付けられるものではない。でも、そんな綺麗ごとを排除してしまえば、私には価値があると断言できる人は実はそんなにいない気がします。
    自分にはとても三億円の価値なんかないけれど、それでも死んだ方が価値があると思われるのはとても辛いだろうなと思う。そう考えると自分の現在や死後の事きちんとを考え、余命わずかな中新たな人間関係を構築しようとした弥子さんはとても強い人だ。

    作中で主人公は、死後三億円になるという最愛の人への愛を、金目当てではないと周囲にどうにかして証明しようとします。本来であれば、誰かへの愛なんて周囲へ証明する必要なんてない、自分だけが、もしくはお互いだけが分かっていればいいはずのものなのに、そこに金銭のやり取りが存在するだけで周囲の目は変わってしまう。玉の輿、シンデレラボーイ。淡く美しい恋情が、周囲の感情によって汚されていくようで痛々しく胸が締め付けられます。

    初めから終わる事が決まっている二人の関係の果ての「脅かされることのない愛の証明」がほろ苦くも愛しい。

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    2025年03月24日
  • 詐欺師は天使の顔をして

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    うーわ。“エモい”ってこういう事よね。
    第二話の真相なんて死ぬほど好みです。
    お互いがお互いにとっての唯一無二で特別な存在。
    だから異能の街だろうと地の果てだろうと迷うことなく追いかけるし、追いかけてきて欲しいと願う。
    異世界転移とミステリーを道具にして、人の執着を描いた物語だと思った。

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    2025年03月24日
  • キネマ探偵カレイドミステリー

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    嗄井戸みたいなキャラ、めっちゃ好きなんだよなあ。
    頭良いけど面倒臭くて純粋で心に傷を負ってる。
    そんな彼の真反対のタイプでありながら傍にいる奈緒崎も好ましい。
    出会いは最悪で喧嘩ばかりしてるけど、少しずつ友情を育んでいく過程が良いよね。
    ホントこういうバディものは和む。
    往年の映画作品を取り入れたり、嗄井戸が映画知識を開陳する場面も楽しい。
    とは言ったものの、ストーリー自体は物騒。
    人の暗部を目の当たりにしてヒヤリとする場面もある。
    特に四話目ではガラリと雰囲気が変わるので戸惑う。
    でもラストシーンが非常に微笑ましいので読後感はとても良い。

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    2025年03月18日
  • さよならに取られた傷だらけ 不純文学

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    同じ設定でも展開が変わりそれぞれの先輩と後輩の関係を作るので、次はどういう2人になるのかページをめくるワクワク感がある本だった。

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    2025年03月16日
  • 廃遊園地の殺人

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    最初の導入部分がとにかく好きだった。真相が分かった後に読み返すと、途中で推測してたものと少しだけ違って、答え合わせしながら楽しく読ませてもらった。
    途中で過去の状況も織り交ぜながら語られていくので、少しずつ推測したり考えたりするピースを散りばめられているので読みやすいと思う。
    主人公の事、犯人の動機など、少し不可解な点もあってもう少し深掘りされてほしい感があった。けれど、それを抜きにしても面白いお話だったのでまた続きが読みたい。

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    2025年03月12日
  • 廃遊園地の殺人

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    舞台はかつて何らかの事件があり廃墟となった場所。
    そこに招待される曰くつきの人々。
    発生する連続殺人事件。
    ミステリの舞台としてはこの上ない好条件と言えるだろう。
    また、コンビニ店員が探偵役というのも面白かった。
    コンビニ業務は多岐に渡り、逐一メモをとったり、状況を把握しておかないとまわらない仕事だという。そこで培われた能力を推理に活かすというのは、なるほどと思える説得力があった。
    個人的には廃墟に対してそこまで思い入れがあるわけでもないのだが、本格ミステリとしても非常に面白く読める小説だった。

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    2025年03月03日
  • 廃遊園地の殺人

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    なんだろう……その魅力を言語化することができないんだけど、でも面白かった。
    単純に、理屈抜きで私この作者の物語が好きなんだと思います。
    ん?って思ってしまう設定や展開もあるのに、ただ面白かったっていう感想だけが残る不思議な魅力の1冊。廃墟探偵シリーズとして続編もあるらしいので、主人公の正体含めて次作も楽しみです。

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    2025年03月02日
  • 夏の終わりに君が死ねば完璧だったから

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    切なくて綺麗な物語だと思った。
    身体が金塊に変わる病に侵された弥子と、死後の自分を相続しないかと持ち掛けられたエト。
    戸惑いつつも、相続の条件であるチェッカーを介して徐々に心を通わせる二人。
    だけど、エトは気づいてしまう。
    弥子に対する想いも、死ねば金塊になる彼女の病のせいで嘘にされてしまうことを。
    好きだから生きていて欲しい。
    好きだから相続させて欲しい。
    お互いを想うが故の願いなのに同時に叶うことはない。
    エトが導き出した「自身の愛を証明する方法」は、悲しいけど良かった。
    でも弥子の証明の方が個人的には好き。

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    2025年02月22日
  • 彼女。

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    ネタバレ

    レズに焦点を当てた話だった。

    話によって当たり外れがあるけど、あたりの素晴らしさで⭐️4にしました〜

    前半は面白くない、後半が面白い
    あと、後半になるにつれ内容が過激に…笑
    私はエロがないと楽しめないのかもしれない笑

    あとは、有名作家さんの方が今回はハズレが多かった気がする。
    特異性を狙いすぎるからかな?

    全体として、やっぱり登場人物が毎回美人。
    百合であるためには美人であることが必須なのか。

    ◯当たり
    斜線堂有紀「百合である値打ちもない」
    相沢沙呼「微笑の対価」

    ◯ 斜線堂有紀「百合である値打ちもない」
    面白かった、本当に面白かった〜
    他の話と違って純恋愛に偏っているし、
    エッチとかリアルなのも描かれてるし、
    乃枝の性格も顔も全て完璧すぎるのに、最後のリアルな声が良かった。
    しかもリアルな声なのにもし私が言われたら全く嫌な気がしなくて、乃枝ちゃん素敵すぎる。♡
    カップル兼配信者としてのビジュアル格差と整形とかどう頑張ってもハッピーエンドにならないだろうと思ってたのにこんなに100点満点のハッピーエンドあるんだ〜

    とっても面白かった〜

    ◯ 相沢沙呼「微笑の対価」
    殺人事件と掛け合わされていた。
    ストーリーは男と女じゃなければかなりあるあるなのかもしれない。
    紫乃が冒頭から不器用でうまく生きていけない女の子のイメージだったのに、警察が訪問してきたあたりから急にえ、そんな一面あったの!?と印象がガラッと変わる。
    だんだん不信感が強まってきて、本当は悪い女だったんだろうなと思ったけどなんとかハッピーエンドに持っていけた印象。
    女性がめちゃめちゃ魔性な話が私のお好みなのかも笑

    でも、お母さんの不審死、謎の占い師、これ以上夜の仕事を続けないでと行った後から冷たくなった態度
    の謎は解かれぬまま…

    この話単体のクオリティはそんなに高くないのかもしれない。

    個人的には好きでした!

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    2025年02月16日
  • 禁断の罠

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    先に気づけばよかったのですが、
    かなりダークな感じだったので面白かったですがタイプではなかったです。

    新川帆立さんが好きなのですが、
    設定の面白さはかわらず、
    いつもと違うテイストの物語を読めたのはとても嬉しかったです!

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    2025年02月08日
  • ナゾノベル プロジェクト・モリアーティ(2) 正義の名探偵と体育祭の怪人

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    1巻では杜屋譲(もりやゆずる)と和登尊(わとたける)だけだったが、ついに写楽法太郎(しゃらくほうたろう)が登場。1巻の杜屋はモリアーティのような悪の権化って存在ではなく、2巻もその流れのまま。むしろ、融通効かない正義の裁き系写楽のほうが鬱陶しい存在として描かれていた。和登尊が2人から相棒に望まれていて、語り手の和登に共感しながら読むのに気分が良い展開。和登が善悪などの判断がハッキリしているのも共感できて、読みやすい。
    今回は運動会を阻止したい何か(誰か)が怪人を出現させるのを解き、なぜ阻止したいか考え対応する。こんな小学生向け小説なのにミステリー手法ワイダニット、フーダニット、ハウダニットなどの解説も載っていて、超贅沢な仕上がりでした。謎は読んでいると何となくはわかったけど、知らない知見出てきてヘーって、感心しました。40年以上前に理科室にあったあれやらこれやらもそうだったのか?
    個人的には本屋大賞候補になったあのシリーズより、こっちのほうが面白いです。挿絵的に子どもは断然こっちだと思うんだよね。ちょっとこっちも来年度予算で入れてみて反応みたいな。
    ということで、ルビもあるし4年以上向け。

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    2025年02月03日
  • 禁断の罠

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    罠というだけあって、読みながら予想していた展開ではない意外性のある結末が多く、読んでいて面白かった。

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    2025年01月31日
  • 彼女。

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    女たちのクソデカ感情のぶつかり合い、色んな百合が詰まっててとても良かった。学校生活の百合から大人の結構歪んだ百合まで。
    馬鹿者の恋と百合である値打ちもないが特に好きだったかな。
    有名だけどほとんど読んだことがない方々のアンソロだったので、興味持った著者の本読んでみようと思う。

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    2025年01月30日
  • ミステリ・トランスミッター 謎解きはメッセージの中に

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    ミステリ短編集。副題の「謎解きはメッセージの中に」とあるように、「伝える」ことがテーマです。様々な相手、様々な手法で、新鮮味があります。
    上品なミステリでした。

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    2025年01月22日
  • 廃遊園地の殺人

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    廃遊園地とウサギの着ぐるみの不気味さに惹かれて読みました。中身はしっかりミステリーでした。伏線もしっかり仕掛けてありました。あっこれも伏線なんだーっていうのも。
    次作も廃墟が舞台なんですかね?
    気になります。出たら読みます。

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    2025年01月19日
  • ミステリー小説集 脱出

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    若手作家陣による豪華読みきり短編集。全てのお話がタイトル通り「脱出」を軸に据えたミステリーです。なんとなく暗い、難しいイメージを持って読み始めたのですが、予想よりは読みやすく読後感も悪くなかったです。
    「屋上からの脱出」阿津川辰海
    天文部の屋上観測で起こった閉じ込め事故。それは事故なのか?
    故意だとしたらだれが何の目的で起こしたのか?
    高校生の話なので、思惑はあるにせよ殺人などもなく読み心地良好です。
    「名とりの森」織守きょうや
    民族学的昔話を調べるのが好きなノキ。皆が恐れる森に夏の探検に行こうという。しかも最も入ってはいけないという時に。そんなノキを探しに森に姉と入ったタネチン目線で話は始まる。さあ、この森の持つ条件をクリアーしてノキを見つけて、タネチンは森から出られるのか。そもそも、今何が正常なのかわからずハラハラします。
    「鳥の密室」斜線堂有紀
    魔女狩りの時代(のような設定)、ベネデッタは聖女として教会に住み、働いていた。魔女への拷問や仕置きはデルンバッハ司教が行っていたが、いつしか手伝うようになり、措置に疑問を抱く頃マリアが捕らわれる。ベネデッタはマリアに心を寄せるようになり、救済を願い出て悪魔つきと判断され、さあ、どう脱出するのか?しないのか?マリアの命運は?
    「罪喰の巫女」空木春宵
    戦後すぐくらいの時代設定。古語のような言葉で流れるように押し積められた文体で怪しい世界が描かれる。某県S郡の深山にある籠守神社にいる罪喰様の存在にひかれた私。そこは神域であり、罪を犯した者しか潜れない場所にある。
    罪喰様がどういうものか、私は何を犯し、何を求めて神域へと向かうのかを、恐ろしく感じながら読み進めました。
    「サマリア人の血潮」井上真偽
    目を覚ますと記憶はないし、輸血されている?トオルはゾンビのような人たちがたくさんいる建物から脱出しなくてはならない状況下で、スピーカーから聞こえてくる僕の親友カズトの誘導により逃げ道を探す。その中でわかってくるトオルのおかれた状況とカズトとの関係が特殊。

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    2025年01月15日
  • 廃遊園地の殺人

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    ネタバレ

    約3年前に刊行された作品の文庫版ですが、作者もあとがきで書いていますが、ほぼ書き直しという全面改訂版だそうです。登場人物の何人かは複雑で読みにくい名前が読みやすい名前になっていました。基本的な内容は変わっていないのですが、シリーズ化するための工夫が随所にみられるのと、どこがどうと言われるとあれなのですが会話の内容や複雑になりそうなところの簡潔化みたいなのがあり読みやすくなっていました。「廃墟探偵シリーズ」として年内には続編が出るという事なので期待して待ちたいと思います。

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    2025年01月15日
  • 君に贈る15ページ

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    アンソロジー初めて読んだ。
    今年読みたい本1冊読破☆

    *息継ぎもできない夜に
    *十五年後もお互い独身だったら結婚しようねと約束した二人の物語
    *いざ、さらば
    *超能力者じゃなくたって
    *星空に叫ぶラブソング
    *余白の隠れ家

    この作品達が良かったかな。
    村瀬健さんと綾崎隼さんは特に良かったので違う作品も読んでみたいなって思いました。

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    2025年01月12日
  • 廃遊園地の殺人

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    単行本版も読んだはずだが、すっかり忘れていたので再度楽しめた。廃墟であり遊園地だからこそのトリックや伏線はなかなか斬新で探偵の解決パートまでウキウキと追ってしまったし、過去の事件である銃乱射の真相もまた切実で、どうしようもない結果だからあまりにも良かった。とりあえず続編を待ちたいところ。

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    2025年01月04日
  • さよならに取られた傷だらけ 不純文学

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    文庫1ページという掌編の形でつづられた先輩と後輩の物語たち。短編なのでとても読みやすい。設定もシチュエーションも展開もなにもかもがバラバラでも、先輩と後輩がそこにいさえすれば良いというのがもうおもしろいです。SF、ホラー、恋愛、ミステリ、といろんなジャンルがあり、こんなにいろんな設定や展開で250本も書けるのはすごいな…とシンプルに尊敬します。

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    2024年12月30日