あらすじ
令和最注目の小説家・斜線堂有紀が描く、5つの地獄の恋路。『愛じゃないならこれは何』に続く、恋愛小説集、ウェブ掲載の4編に加え、書き下ろしを加え書籍化!! 【君の地球が平らになりますように】地味で冴えない女子大生・小町は、同じサークルの東が好きだった。けれど人気者の東は、小町には到底手が届かない存在。そして数年が経ち、再会した東は変わり果てていた。いわゆる『陰謀論』にどっぷり浸かった彼は、周囲から孤立していたのだ。小町は思う。......今なら東と付き合えるかも? 【転ばぬ先の獣道】トラと月子は、学生時代からのカップル。トラはいつも誰かに頼られて、周囲には人が絶えない。彼と付き合っている月子はそれが自慢だった。でも、一緒に棲んで何年たっても、二人に結婚の話はない。このまま結婚出来ないことを危惧した月子は、マッチングアプリを使って『保険の男』を探すことに......。 【『彼女と握手する』なら無料】地下アイドルグループ『東京グレーテル』の黒藤えいらと握手するなら三千円。時間は大体十秒。三倍出してくれるなら三十秒。ファンはえいらと触れ合うために、お金を払って並んでくれる。来てくれるファンたちのことを、その瞬間だけえいらは好きになる......。そんなえいらが彼氏を作ったのは、25歳の時、アイドルとしてピークを迎えた頃だった。【大団円の前に死ぬ】仁愛は、担当ホストと結婚するのが夢だ。そのために、風俗で必死で稼いだお金を、何百万円もシャンパンに代えてきた。しかしある日、自分の担当にいきなり200万の酒をいれる女が現れた。仁愛の生き別れの姉だ。その日を境に、姉妹同士による歌舞伎町での血で血を洗う戦いがはじまった。その他書き下ろしを収録!!【著者プロフィール】斜線堂有紀(しゃせんどう・ゆうき)第23回電撃小説大賞《メディアワークス文庫賞》を『キネマ探偵カレイドミステリー』にて受賞、同作でデビュー。『コール・ミー・バイ・ノーネーム』『恋に至る病』『楽園とは探偵の不在なり』『廃遊園地の殺人』など、ミステリ作品を中心に著作多数。恋愛小説集『愛じゃないならこれは何』絶賛発売中。
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Posted by ブクログ
たまらなく好き。
解像度の高い心理描写で、物語に引き込まれていった。
やはり斜線堂先生のお話は読みやすい。
恋愛短編集はどうしても似たような話ばかりになりがちな印象だけど、こちらはそれぞれ個性があって飽きずに読み切れた。
Posted by ブクログ
もう〜〜〜全部地獄。斜線堂先生は歪な女の子の心理描写が本当に上手だなと思う。気持ちわかりすぎてグサグサ刺されるときある。この短編集も面白すぎて夢中で読んでしまった。
自分の好きな人が端から見たらやばい人種に足を突っ込んでいたら、自分の好きな人が結婚という選択肢を持たない人だったら、など色々考えさせられる。特に『『彼女と握手する』なら無料』のえいらの、「自分のことを寂しくさせない、自分のためにオーダーメイドされた愛情がほしい」という感情がわかりすぎて苦しくなった。アイドルやってると確かに恋人にもファンと同じくらいの熱量を求めてしまいそう。
斜線堂先生の本の中でトップを争うレベルに好きだった。
Posted by ブクログ
面白かった!!人の心って、恋愛ってままならないよね、会話の感じもこうなることあるよねって
斜線堂さんの振り幅マジですごいですね
ホラー、ゴシック、ミステリー…
本作は若者の恋愛(キャッチーなトピックがふんだんに。陰謀論系の自然派、地下アイドル、結婚したくない若者、ホスト)モノ
変わった形でも、恋は恋
Posted by ブクログ
短編集3冊目。今回も安定のおもしろさでした。恋愛の苦しさや悩みを描くのがうますぎて、ほんとに私の好みどんぴしゃな作者さんです。
陰謀論、地下アイドル、マッチングアプリ、ホスト…全部経験したことがないのに読み終えるとすべて体験したかのように心にすっと入ってくる文章で、幸せになりたくてもがくほどままならない主人公たちの気持ちが、苦しいほど分かる…‼︎ってなれる本です。おすすめ。
Posted by ブクログ
面白くて一気読み。表題の君の地球が平らになりますように、のタイトルが秀逸だった。
東京グレーテルやクックノックなど、前作と繋がるキーワードがあるのも嬉しい
Posted by ブクログ
地獄味強めの恋愛小説。
恋愛のキラキラ〜としたところを取り除き苦しみをじっくり抽出した本作。負のベクトルへ向う感情の描き方が本当に上手です。
表題作が好きですね!
Posted by ブクログ
失恋の話は いつでも辛いものですが
愛されたいという気持ちが
分かるだけに苦しい
バックグラウンドが 現代風になろうと
その血まみれの叫びは
変わらんのですよ
一番好きなのは
ホスト狂いの 「大団円の前に死ぬ」
バカくさいシャンパンコールに
何十万 何百万とつぎ込んで
つぎ込んだホストもクズ なのに
姉妹の関係が美しくて
泣けてきちゃう
思う存分 ホストの横っ面を
札束で張り倒してやれ
Posted by ブクログ
面白かった。極端な恋愛に狂った短編集だったが、どの話も自分とは境遇が全く違うにも関わらず、とても共感してしまった。ホス狂姉妹の話が個人的にはとても好きだった。また、過去に作者の方の別の本を読んだことがあったため東京グレーテルの話が読めたのが嬉しかった。他の本にも登場するようなのでそちらも今度読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
恋の地獄の面を見せつけてくれる短編集。
「転ばぬ先の獣道」は辛い。
結婚、したいよね、そりゃ。
でもきっと、トラなりに主人公のことは好きだったんだよ。って信じたい。
「大団円の前に死ぬ」も切なくて好き。
お姉さんが突然現れた理由に早く気付いたらなにか変わったかな。この姉妹だと変わらなくて、ホストに2人で入れあげただけかな。
酷い話なのに、何故か読後爽やかだった。
Posted by ブクログ
斜線堂有紀先生の描く世界観が好きで、今回も手に取りました。
「東京グレーテル」再び。三作品連続でこのアイドルグループの話を読んでいるうちに、もはや他人事には思えなくなってきました。片足のひざ下くらいが「東グレ」に突っ込んでしまった感があります。
さて、『君の地球が平らになりますように』。
まずタイトルが非常にいいんです。(いい意味で、何を言っているのかわからない。笑)
本作は短編5作品が収められています。
どの作品でも、主人公は目に見えない何かと闘っています。それは、自分のエゴだったりプライドだったり。でも、当人はそのことに闘いの最中では気づかない。
むしろ、敵は他人だと思い込み、他人を攻撃してしまうのです。
まあ、自分の中に敵がいると認めるよりも、他人のせいにした方が気が楽なのは確かです。
さらに、思わぬところで他人の何気ない一言から火がついてしまうこともあります。
たとえば『転ばぬ先の獣道』。周りが結婚していく中、他人の結婚式に参加するたびに「いつ結婚するの?」と聞かれると、結婚しなきゃいけないような気がしてくる。
愛情(好きな人)よりも形式(結婚してくれる人)を選んだものの、感情がスッキリしないのは当然です。
そもそも、愛情と形式が一致すること自体が、どれほど奇跡なのか。
人間の感情は、欲望に対して合理的に割り切れないものなのだと痛感します。
とにかく、人は無我夢中で何かに執着していると、周りが見えなくなります。
「自分さえ頑張れば」
「自分はもっと丁寧に扱われる存在なのに!」
「何が何でも(私が)一番じゃないといけないの!」
これらはすべて、他人の気持ちをコントロールしたい欲望。エゴであり、プライドの塊です。
その欲望との戦いを描いた小説、と言えるかもしれません。
でも私は思うのです。
自分のエゴやプライドを守るために、そこまで自分を限界まで追い詰めて、果たして得たものは何だったのか。
そうして手に入れた結果は、本当に自分が望んだものだったのか、と。
どの短編の結末を読んでも、焦燥感が残るのは、きっとその問いが読み手の中にも残るからなのだと思います。
それにしても、斜線堂有紀先生は相変わらず意地悪です。(もちろん、いい意味で)
ここまで一貫していると、もはや尊敬しかありません!
Posted by ブクログ
幸せな恋愛小説よりも、こういう歪で破滅的な恋愛小説の方が個人的に読みやすい。
“この先”が見えない恋なんて楽しくも何とも無いのに、不思議と読後は悪くない。
もちろん毎回傷ついてはいるけど、それも嫌じゃない。
まあ単にこの人の作風に惚れてるだけかも。
でも「そんな大袈裟な!」と笑えないくらいにはシンパシー感じてます。
『転ばぬ先の獣道』がホントしんどくて、かなり好きだった。
もう正直泣いたわ。
Posted by ブクログ
「ほんタメ」であかりんが紹介していたので、気になって読んだ作品。 恋愛✖️地獄が描かれまくる短編集で、どの話も面白すぎた…!ホス狂いの話が切なくて一番好き!
Posted by ブクログ
表題作がとにかくよかった!
宗教とかに傾倒してる人は好きにならないけど、好きな人が宗教に傾倒していても嫌いにならないってザックリと自分の中で思ってたことあったけどこれはかなり刺さった。
もし、彼女が突然、怪しいものにハマったら私はどうするんだろう…
もう一つ、転ばぬ先の獣道
これも良かった。
結婚願望ない私には耳が痛かった。
Posted by ブクログ
ちょっと(いやだいぶ?)恋愛に関して拗らせている女性が主人公の短編集
自分自身がアイドルオタクだったり20代後半なので、愛に飢えているアイドルが主役の「『彼女と握手する』なら無料」と中々結婚してくれない彼氏を持つ女性が主人公の「転ばぬ先の獣道」は刺さるものがあった。
恋愛において相手に自分を合わせるのか、相手を自分の思うようにするのか、はたまた妥協していくのか... そのどれも良くないんじゃないかと思わせられるような拗らせ恋愛話が面白かった。
Posted by ブクログ
『愛じゃないならこれは何』の続編です。
前作とリンクしている話があり、面白かったです。
相変わらず、突き進むと大変なことになるのが分かっていてもやめられない恋の話です。
前作で主人公たちに意味深な言葉をかけてきた登場人物が、どんな地獄の恋をしてきたのか、繋がった快感がありました。
今回印象的だったのは表題作です。陰謀論にハマった憧れの人に、今なら近づける!と頑張る女性の話です。
地獄に耐えられなくなるのが先か、とことん突き進めるかは、短編によって違うので、結局は人によるようです。
でも、どちらの展開にしてもしんどいですね。やっぱり現実でこんな恋はしたくないです。
Posted by ブクログ
こんな恋したくない。しかし「王道の恋愛小説なんてツマンネ」と思っているそこのあなたにはピッタンコ。翔んでる彼女たちの転がりゆく愛憎が楽しめる1冊。『君の地球が平らになりますように』→地味なワタシだけどサークルの人気者に絶賛片思い中。そんな彼が陰謀論にハマった。『彼女と握手するなら無料』→誰からも愛されたいワタシは天性のアイドル。『転ばぬ先の獣道』→ワタシの彼氏は究極の人たらし。『大団円の前に死ぬ』→ホストの彼と結婚したい。その為ならワタシ何だってする!総括:ワタシの圧が凄い。お気に入りは『転ばぬ先の獣道』
Posted by ブクログ
令和の恋をテーマにした短編集。
よくもまあここまで地獄へと続く恋物語ばかり描けるものである。
徹底してドロドロ、というよりも皆が皆、どこかで平凡を諦めている癖に平凡以上を欲している。そして突き進んでいくのはおかしな世界である。斜線堂は頭のネジがどうかしてしまった男女を冷徹な視線で持って描いていく。SNS、地下アイドル、ホストに陰謀論、一癖二癖ある恋愛劇をぜひ。
Posted by ブクログ
陰謀論にハマった大学の人気者に恋する女子大生、彼氏に対してファン以上の愛情を求める地下アイドルなどなど、地獄に近すぎる恋愛短編。恋するときにまた、地獄に近接していくさまを味わえる。
Posted by ブクログ
『愛じゃないならこれは何』と同じ感じで恋愛短編集。
今回も中高生に刺さりそうなお話が4話と、最初の短編の別視点オマケ一つ。愛じゃない~と登場人物繋がってるのもあります。
前回と同じく少し狂った感じでネジがずれてる話がたまらなく脳髄を刺激してきますが、あれ?今回は意外とおばちゃんにもスルッと入るハッピーエンド…もあるのね。
ホストに嵌まる短編で、風俗の仕事内容がさらりと表現されているので、小学校NG。
時折挟まれる古風な語彙が好きです。新しめのワードで構成された中で時々使われているのが刺激的に脳に入る。蔑ろ、牽制、小癪、熾烈、楔(くさび)などなど。
新しい時代を感じる文学に挑戦したい中高年にもオススメします。あ、中高生にはとてもオススメです。
Posted by ブクログ
恋は盲目という言葉を思い出すような話しだった。全く違う見た目、心情、立場でありながらどの人たちも共通して‘愛されたい’という気持ちを強く感じて話に説得力と独特の世界観がうまれていた。
Posted by ブクログ
「君の地球が平らになりますように」
「『彼女と握手する』なら無料」
「転ばぬ先の獣道」
「大団円の前に死ぬ」
「平らな地球でキスはできない」
五人の女性の濃厚な恋を描いた五話収録の短編集。
恋は盲目とは良く言った物で、どの女性も恋にまっしぐら。
自己中で野蛮で強かでその熱量に圧倒される。
陽だまりの様な暖かく優しい恋愛小説を想像して手に取ると、たちまち火傷してしまう事必至。
熱くて触れたくないけれど何故だかそんな彼女達が愛おしく思えて来る。
決して真似出来ないし、したくもない。
だけど彼女達の恋に対する真面目さを誰が笑えよう。
Posted by ブクログ
恋愛小説と聞くとどうしてもつまらなそうで遠ざけてしまうが、本書は"だいぶ痛い恋愛小説"。というわけで私の好みに合っていた。他人の惚れた腫れたほどどうでもいいことはないが、惚れたを通り越して金を貢ぎまくったり、怖くなって他に彼氏を作ったり、そういう話はなかなか聞かないので面白い(笑)
いずれの短編も良かったのだが、「大団円の前に死ぬ」が特に気に入った。
風俗嬢の主人公が入れ込んでいるホストを姉と取り合うという話で、最早最後の方はホストへの気持ちより姉への気持ち(not好感情)の方が勝っていたと思う。
推し被りのライバルを金の力で叩き潰す感覚、気持ち良いんだろうな~。やりたくてもできないけれど。
主人公はホストのために全財産つぎ込むような愚かな女性ではあるが、どこか理性を感じる点もあり、どうにも憎めなかった。
あまり関係ないが、死んでしまえば皆善人という言葉が浮かんできた。
「転ばぬ先の獣道」が次点で好き。
最後、トラの思惑はどっちだったんだろうと考えてしまう。どっちも有り得るんだよね。普通の人の感覚ではトラの気持ちは推し量ることができなさそうだ。万人に優しい人を好きになるのは大変だが、好きになられる方もそれなりに悩んでいるのかもね。
Posted by ブクログ
どの短編も読んでいて辛い。
恋愛って楽しいはずなのに、どの女性も何故か無理をしている。あぁ、でも若い時の恋ってこうだよなぁ。周りから「やめた方がいいよ」って言われても、絶対に幸せになれるって確信のない自信。それでも、本人が納得しているなら何を言われようが突き進めばいいと思いつつ、皆、うっすらおかしい、しんどいって気づいてる。なんか、自分のしんどかった恋愛思い出して苦笑(笑)
Posted by ブクログ
大学の人気者 東と、冴えない小町。数年後、彼は陰謀論にハマり皆に煙たがれるように。今なら手が届くかもと思った小町は…(ほか短編4作)
「大団円の前に死ぬ」が好きでした。恋愛至上主義ゆえの喜怒哀楽は俯瞰で眺めるくらいがいい…。
Posted by ブクログ
ちょっとキツイ恋愛の関する短編集。
といいつつ、誇張はされてるけども、共感できる内容。誰でも、こういう気持ちになること、あるよね。って思います。
私は三話目の『転ばぬ先の獣道』に共感しまくりでした…。
Posted by ブクログ
「その先は地獄だぞ」と言いたくなるような恋の道を行く女性たちを描いた短編集。どれも恋愛の苦い部分だけが抽出されており、さらにそこに斜線堂先生らしい一捻りが加わって、苦さだけでなく酸味もあるコーヒーのような読み応え。合う人はクセになると思う。