あらすじ
日本SF大賞ノミネートの奇想小説集
真実の愛を証明できる物体『回樹』をめぐるありふれた愛の顛末ほか、誰も思いつけないアイデアと、誰でも思いあたる感情の全6篇
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
大好きな斜線堂有紀先生の短編集
SFチックな話が多く、かなり読み応えがあった。
個人的には「奈辺」と「回祭」が好み。
「奈辺」
黒人を心底見下す白人のヒューソン、
優秀だが産まれから奴隷として生きるシーザー、
16世紀の差別真っ只中の時代で、
肌の色から交わるはずの無い2人が
ある日“緑色の肌”を持つ宇宙人との出会いから、
親交を育み、とある事件を起こす。
昔からSFはよく読むので、
受け入れやすいストーリー構成だった。
かなりサッパリした終わり方で、
斜線堂先生にしては珍しい(?)読後感。
「回祭」
性格の悪いお嬢様と
親を亡くし貧困に喘ぐ主人公の交流。
主従関係の百合的な属性を持つ話は
「玉野五十鈴の誉れ」「荊の城」などを読んできたが、
単なる恋や愛ではない、複雑な心境の落ちどころをどう描くかが良作足る基準だと考えている。
そこを、SFならではの特殊設定でオチをつける運びから、斜線堂先生得意の耽美で陰があり、
それでもどこか満足に至る登場人物の心理描写を
味わうことができた。
Posted by ブクログ
死体を呑み込む樹の話
最初の短編と最後の短編が繋がってる
心の証明、感情の証明
どこまでなら惰性でないのか
どこからが真の愛情なのか
「回樹」は「解呪」
「回祭」は「皆済」に掛けたタイトルだそう
SFという空想世界に紛れて主人公の気持ち、感情の揺れがこちらに伝わるような気がした
自分の感情に気づかないことはままあるし、自分の感情がわからないこともあると思っている
その感情を何かしら証明してくれるのが『回樹』という樹
短編集6編
個人的には『奈辺』が好みで、アメリカ小説っぽい
全体的に
ハラハラ続きが気になるという訳ではなく、めちゃ面白いという訳でもないけど、今まで読んだことのない本でした
ガチガチのSFはしんどいけどこんなライトなSFならとっつきやすい
とても良かった!
Posted by ブクログ
めっっっっっちゃ好き……
不滅がめちゃくちゃ好きだ〜って思いながら読んだら奈辺がそれはそれは良くて、回祭を読んで回樹が二度沁みました。
あとがきに回樹が百合SFとあったので、あちゃんと百合小説として受け取っていいんだ…!と思ったんだけど律が「生まれる子供が男だったらヤだな、」と溢した場面がもの凄く印象的で、それってかなりクソデカ感情として初露のことが好きなのではと胸を締め付けられたので純粋に百合として受け取っていいんだって喜べた。名前のついた関係性でなかったときに無闇に沸いたりできない?気がして…。
女性同士で付き合って子どものことを考えたときに、どのカップルも同じように思うわけではないけれど、相手と知らない男との子供では?とか子どもが男だったら嫌だとかそういうの、かなりあることなのか?わからないけど律はそう思ってて、初露に冷めててもその感情が湧き出ること自体がもう…な……。
不滅の「死体が残るからその人がまだ生きてるみたいに思う」が、回樹が人を縛っているのと似てるな〜と思って、亡くなった人がずっと心のそばに在り続けることって実はよくないのかもなと思ったりした。もう二度と会えない人のことを想って悲しみ続けても、空を見上げて祈るくらいの距離感の方がまだいいのかもしれない。
あとがきがすごく良くて最後まで面白かった…。
百合だけじゃなくいろんな関係性が詰まったSF短編最高でした。
Posted by ブクログ
SF短編集。6篇収録されていました
回樹→愛するものの死体を取り込むと愛していた人たちにとって回樹が「愛した人そのもの」の存在となる設定。
骨刻→骨の表面に文字を刻む技術。骨刻がもたらした人々への影響と骨刻の歴史について書かれていました。
BTTF葬送→すべての映画には魂があった、映画にも輪廻転生はあると考えられた時代の話。懐かしい傑作映画が出てきて懐かしさを感じました!斜線堂さんの発想がすごい…。
不滅→人間の死体が腐らなくなった世界の話。死体が腐らないことでどんなことが起こったのか…。1番お気に入りのお話!
奈辺→奴隷制度下のニューヨーク、白人と黒人と宇宙人の交流?を描く物語。宇宙人がいる奇抜な設定ですが、外見に関係なく友情や愛情を育むストーリーは素敵なものでした!
回祭→回樹の周りで一年に一度催されるお祭り。亜麻音と蓮華のお話は苦しく、最後はなんともいえないものでしたが、2人の関係に救いのあるものになってよかったです。
真実の愛とは、亡くなった人とのお別れとはということを常に考えていたように思います。
著者があとがきで書かれていた「心の証明、感情の証明については個人的にずっと考えているテーマであり、どこまでなら惰性ではないのか、どこからが真の愛情なのか、はこの世の全ての関係性に纏わりつく命題だと思っております。」という文章が印象的でした。
Posted by ブクログ
ジャンル的にはSF小説。
回樹 樹に取り込まれた愛は本物なのか
骨刻 言霊
BTTF葬送 最近の映画が面白くないのは映画が輪廻転生してないから、80年代の映画を葬送する
不滅 もし人間の身体が何をしても不滅ならどうする。行き着く先は
奈辺 黒人でもない白人でもない宇宙人
回祭 それは愛なのか
Posted by ブクログ
斜線堂有紀さん初めましてでした。
どの作品もすごく良かったです。
回樹
判断基準のわからない他者に愛を測られてたまるかと思いました。他人からどう思われようと、関係が悪かろうと主人公の行いは愛そのものだと思います。
骨刻
骨にタトゥーを入れるという設定こそSFですが、その技術が一部のマニアから一般的になり、宗教団体に利用され、廃れていくという一連の流れが素晴らしかったです。本当にありそうだと思いました。
BTTF葬送
映画が大好きなのでこんな世界絶対に耐えられないと思いました。主軸がネバーエンディングストーリーとBTTFというのも熱いです。
不滅
例えば土葬で自然に還ること、火葬で灰になり好きだった場所に撒かれることと、宇宙港の土台になることに違いはあるのだろうかと考えてしまいました。倫理的にということを置いておけばそんなに変わらないような気がします。それにその後の人類に役に立つなら倫理的に悪いのか?とも思います。宇宙へ飛ばすと偽って遺体を集めたことは問題ですが…。また、自分はいいけど自分の大切な人が埋められるのはいい気がしないというのは納得出来ます。ただ、そこに行けば会えるのなら宇宙に放たれるよりはいいかもとも思います。
奈辺
「罪人たち」のような世界観がたまらなかったです。白人による黒人迫害の時代に緑色の宇宙人が現れるという。リアルな世界観に異質なものが1つだけあるというのがたまらなく好きでした。常々分かり合えないのは分かり合おうとしてないからだと思っています。どうしようもなく悪い人はいますがどうしようもなく悪い人種・民族はいないと思うので。
回祭
回樹のその後。試し行動でしか愛を表現できない亜麻音と、最初はお金のためでしたが次第に亜麻音のために離れない決意をした蓮華。愛がないようで固く結ばれている二人とその結末が、回樹の裏返しのようで面白かったです。回樹も回祭も愛だと思うので、やはり得体のしれない青い物体に愛を測られたくないなと思いました。
Posted by ブクログ
6篇のSF短編集。
色々考えされるお話ばかりだった。斜線堂先生のSFは初めて読んだけどとても面白かったです。天才。
『回樹』『回祭』では、何を持って真実の愛とするのか、が描かれていて人間の関係・感情って複雑だなぁと思った。『回祭』の終わり方が切なすぎる。
人間の死体が腐らなくなりやり場に困り始める世界のお話『不滅』も、大切な人の遺体をどう扱うかは人によって違うし倫理を取るか未来を取るかで考え方は分かれるし難しい問題ではある。自分が当事者だったらどういう気持ちになるだろうと考えさせられた。
白人と黒人と宇宙人の人種差別を超えた友情が育まれていく『奈辺』はハートフル?で好きだった。
Posted by ブクログ
6つの短編集
最初と最後は表題作とその続編
表題作の『回樹』
PSYCHO-PASSの
シヴィラシステムを思い出した
あちらは数値化されたもので
設定も話も全く違うけど、
何を持って判断されるのか
心や気持ちとは何かを突きつけられた
BTTFって何だと思ったら、
あの名作映画の略でしたか〜笑
『奈辺』、こういう話も書けるんだ〜と
守備範囲の広さにびっくり
今回もどれも良かった!
『本の背骨が最期に残る』もだけど、
物語の完成度が高いなぁ
短編しかまだ読んだことないけど、
長編も読んでみたいなぁ
『恋に至る病』とか気になる
Posted by ブクログ
初読み、斜線堂有紀さん。
日本SF大賞ノミネート作。
全6編の短編集。
この装幀が好き。
“本当の愛が判定できるなら、私のこの気持ちは何?”
帯の言葉に惹かれる。
表題作の「回樹」は、いわゆる百合なんですが、男女の恋愛に置き換えてもなんら変わりない気もしました。
最初は同じだったお互いの気持ちが、時を経て移ろう。パワーバランスが変わってしまう。恋愛にかかわらず、夫婦でも友人でもこうなると上手くいかないし、長続きしない。
よくあると言えばよくある話ですが…
本当の愛って何だろう?
退廃的で、不思議な魅力を持った作品でした。
他
「骨刻」
「BTTF葬送」
「不滅」
「奈辺」
「回祭」
長くなってしまうので割愛しますが、どの作品もよくこんな設定を思いつくなと…
最後の「回祭」は最初のお話「回樹」と繋がっています。
また違った愛の形で、うまく言い表すことができませんが、色んな感情が込み上げてきて、読み終えた後も余韻が残りました。
多分、好き嫌いは分かれるかも。
最近、自分はけっこうSFいけるくちなんだなと気づきました笑
斜線堂有紀さんの独特な表現や感情の描写、構成の妙にじわじわと癖になりそうです。
他の作品も読んでみたいなと思います。
Posted by ブクログ
弔う事に関するSF短編集。その人の執着、愛情、憎しみといった感情と、弔いという行為について描いる本で、個人的には最初と最後の話が同一世界観なこともあり印象に残った。冷めかけている恋人と、憎んでいる主人、それぞれの弔う側の感情が浮き彫りになるラストが良かった。
Posted by ブクログ
ずっと読みたかったSF短編集。ベースは斜線堂さんらしい愛の話で、日常の中に補助的にSF要素が追加されたような感じ。全体的に状況や世論の説明の割合が大きかったような印象。
表題の回樹と回祭が印象に残った。回祭の二人の関係性が好き。回祭を読み返して、もしかしたら亜麻音は蓮華が毎年回祭に訪れていることを察して、回樹として愛される可能性にかけてそのタイミングを狙ったのかな…と思った。そんな冷静になるはずないと思うから多分違うんだろうけどそうだったら少し嬉しい。「何より屈辱的だったのは最後の未練になれなかったこと」が本当にその通りで辛い。
Posted by ブクログ
死と送り方がテーマの短編集
日本が舞台のSFって初めて読んだかも
お気に入りは『奈辺』
異種間も含めた友情ものって大好き
明るい感じの話だったのがよかった
カバーかけて読んでたからタイトルのKAIJYUに気づかず読み方は回帰とかけた「かいき」だと思ってたがあとがき読んだら違いました
解呪とかかった「かいじゅ」だったんだ
Posted by ブクログ
面白かった!!!
最初の短編読み終わった時の感想と
最後の短編まで読み終わった後だと感想が、想像していた結末の印象が変わったのが良かった
好きとか愛とかってなんだろうね?
祈りのような、願望のような
妄想かもしれない
この人の他の本も読んでみたくなった!
Posted by ブクログ
評判が良かったので気になっていた短篇集。どれも好きだった。
『奈辺』は一番心が温まった。「肌の色に囚われない」に宇宙人(グリーンマン)まで加わるとは。最初はそれぞれが馴染めず不協和音を奏でているようだったのが、徐々に打ち解けて仲間になっていくのは定番な流れだが良いものである。酒場の主人ヒューソンや娼婦のマギーやステイシーの軽快なやり取りが明るくて好き。
『回樹』と『回祭』では愛の形について考え込んでしまった。
他者との関係性はそれぞれが唯一無二だと思う。大切な人なら尚更。自分にとって大切な人にも「この人は自分が苦しんだり悲しんでいる姿を見せたくない」相手もいれば、「自分が苦しい時にこの人に隣にいてほしい」という相手もいて、どちらに対しての感情も大まかに愛というカテゴリに括られるだろうけど、これは大雑把すぎるカテゴライズではある。その関係性が相手が望む形でない場合、それが愛情であることの証明は言葉を尽くさないと難しい。でも言葉にするのって恥ずかしいし難しいし、日常にそんな場面ってなかなか無いな。
Posted by ブクログ
どの短編も設定がすごくてすごい。何食べたらこんな設定思いつくんだろ。設定は突飛なのに登場人物たちの感性は身近で、SF初心者でも読めちゃう距離感なのもすごいな。
とは言えSFって設定の面白さがメインで、読んでてうおおお!ってなることがないなぁと思ってました。『回樹』と『回祭』を読むまでは。
あとがきに
心の証明、感情の証明については個人的にずっと考えているテーマであり、どこまでなら惰性ではないのか、どこからが真の愛情なのか、はこの世の全ての関係性に纏わりつく命題だと思っております。
という一文がありました。すごい。すごいことをお考えになられている。
SF的設定で自分の愛情が証明される展開、すごく好きでした。自分でも自分の心なんて分からないし、これが惰性なのか真の愛情なのか執着なのか憎しみなのか別の感情なのかなんて証明できない。回樹を通して自分でも分からない自分の感情を見る主人公の様子に感情を揺さぶられました。回樹に取り込まれた死者側は口なしで、残された側の感情だけが浮き彫りにされるのが一方的すぎてちょっと怖くて、それも含めて好きでした。
Posted by ブクログ
いや~~~~~~~~よかった……!
SF苦手だから読み切れるか心配してたけど、斜線堂有紀節が効いていてかなりツボだった。
よくぞまあこんなアイデアが次々と思い浮かぶわ~と感心しながら読んだ。
「骨刻」なんて今後はやりそうだとも思ったし。
愛と憎しみは紙一重であることがよーくわかる作品ばかりで、惜しみなくちらばったキラーフレーズにやられた。
ぜんぶ好きだったけど、特に好きなのは「不滅」と「奈辺」!
「不滅」はねーよかった。燃えない腐らない死体をどう処理するかって議題だけど、まーおもろいわ。読みながらわたしだったらどう思うかって考えてた。
「奈辺」はこんな作風もかけたのかという驚き。洋画みたいでおもしろかった。
斜線堂有紀のあとがきもよかった。自分の作品をおもしろいと自信満々に言い切る人、大好き!
Posted by ブクログ
うん。気持ち悪いです(褒め言葉)。
極々私的なこだわりやらコンプレックスやら愛着やらを、SFというフォーマットに乗せてぶわぁっと拡張したら、こんな作品になりました。という短編集。
不肖鴨、普段は比較的ハード寄りのSFが好みではあるので、この作品群から感じる理屈抜きの感情の強さ、個人(「人類」でも「人間」でもなく、あくまでも「個人」)の倫理観や愛情や優しさ・辛さをベースにした暴走の針の振り切れっぷりといったモノに、少なからず衝撃を受けました。
好きか嫌いか、と問われたら、嫌いな方です。でも、この先もこの作品群を忘れることはないんだろうなぁ、と、なんとなく思っています。
基本的に「心の動き」が中心に描かれていくことにより、その作品の世界観が織りなされていく作風です。それを読み解くことが面倒だと思わない方向き。・・・そうか、ちょっと前の少女向けSFに近いと言えないこともないですね。
Posted by ブクログ
簡単に読めていい。
ぶっちゃけバズってたから読んだ。
誰も幸せにならないレズビアンの本ってそれもステレオタイプとかバイアスから来たものなんじゃないの?とか、悲恋の面白い題材みたいな側面を拾うのはありがちかな、とも思える。
人種差別も白人対黒人の対立を描いていて、アジア人が描くにはなあと思ってしまうところも少しあった。
同性愛、人種、宗教ってテーマ自体がちょっと重めだから、もう少しライトに読めばいいんだろうけど、単純に読むだけというのは難しいかも
Posted by ブクログ
SF短編集。宇宙モノとかではなくて、日常の延長線上に一つ現実ではあり得ない仕掛けがあって、その時に人の心や倫理がどう試されるのか実験したような作品。表題作のラストは著者なりの解なのか。
ストーリーとしては「BTTF送葬」が好きだった。
Posted by ブクログ
死生観が変わりそうな不思議な話。
回樹は死体を飲み込んでくれるけど、永遠に死体が残る不滅は想像するだけで恐怖。個人的にツボなのは奈辺。手塚治虫の哲学が詰まったような話。