斜線堂有紀のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ窃盗容疑の同級生を助ける「スタンド・バイ・ミー」、舞台女優と演出家のいざこざ「アーティスト」、中古ビデオ屋の査定の謎「バグダッド・カフェ」と、今作も映画知識が謎を解く鍵となるミステリー。
1918年のノアの箱舟の事故とかよく知ってるな...(ググッても出てこない)。スタンド・バイ・ミーはテレビ版とDVDで吹替違うとか、白黒映画の天才カール・ドライヤー監督は白に拘って壁をピンクにしたとか、バグダッド・カフェのニューディレクターズカットはBluRay用に色編集したものだとか、DVDの隠しコマンドの話とか、最早配信主流の時代に忘れられた媒体によくスポットライトが当たっていた。
「演出からカメラワ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「恋に至る病」のスピンオフ?的な短編集。
子どもの頃から景は景だったんですね。最終的に景のお母さんでさえも景の手のうちになってしまうのは恐ろしかった。
「病に至る恋」の、(おそらく)偽ブルーモルフォに絡め取られてしまった子の話はあまりにも切なすぎた。流される人はどんどん流されてしまうのだろうな、とあまりにも実感が伴っててゾッとした。止まりたくても止まれない。来世に期待を込めて命を絶つのはもはや宗教だよ。
ふつうのデートをする宮嶺と景はかわいいね、と思ったけどそんなハッピーだけで済むわけもなく。何度も思い出すしあわせな時間であることはたしかなんだろうけど。
景が不登校だったなら宮嶺はいじめられる -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ニューシネマパラダイス」は潰れかけの映画館、「独裁者」は試験中の演説、「ブレアウィッチプロジェクト」は意地悪教師への復讐劇、「セブン」は見立て殺人が題材。
全部知っている映画だし、カレイドのキャラが何とも子どもっぽくて憎めない感じでスペシャル読みやすい。ゆるい日常系安楽椅子探偵ものかと思ったら、最終話だけハード。ミステリーとしては諸々荒いし謎も読みやすいかな。
なんの説明もなく「自分の不幸をセルマと比べる」とか出てくるので、結構映画的教養が必要かもしれない。(ダンサーインザダークのことだよね?)映画のポスターの見立て殺人というのは分かりにくすぎて、よく気づいたなと。「映画は複数人が関わる -
Posted by ブクログ
ネタバレ朝井リョウさんが「本ツイ」で紹介されていた本。
初めて斜線堂有紀作品を読んだが、文章は読みやすいし面白くて一気に読めた。
アイドル、オタク、推し活…といったものに無縁の私には、新鮮な世界だった。
地下アイドルからカリスマアイドルへと成長した"ばねるり"を取り巻く4つの短編。
同じファンダムをテーマにしていても、朝井リョウの『イン・ザ・メガチャーチ』よりもかなりディープな世界だった。
ばねるりの熱狂的ファンの男性の話から始まり、最後はばねるり視点での話へ。
最後はなんか鳥肌立つ感覚。
推す側も推される側も、アイドルだって、一人の人間。
「人生を使い切る」ってそういうことか… -
Posted by ブクログ
著名作家による小学生向けホラーンソロジーシリーズ。
学級日誌版より、こっちの方が読み応えあって、面白かったです。
サブタイトルになっている作品の著者が斜線堂有紀だったので、それもちょっとうれしかったかも。このメンバーだと、宮部みゆきか?って思ったのですけどね。
ルビは中学年程度です。文字も大きめで、一話に一つ挿絵があります。
「えんまさん」黒史郎
嘘をつくのが大好きで、それもとても上手に嘘をつくハルト。家族に怒られてもけろっとしています。おばあちゃんはえんまさんのことで諭します。おばあちゃんが話すえんまさんはちょっと具体的で...。
「おはよう、アンちゃん」太田忠司
絶対に空き地がなかった場所 -
Posted by ブクログ
『恋に至る病』を読み終えて、正直ずっとモヤモヤが残るような感覚でした。恋ってもっとキラキラしたものだと思ってたけど、この作品に出てくる恋はどこか歪んでて、怖くて、でも目を離せない。登場人物の気持ちが理解できそうで理解できない、そのギリギリのところを描いていて、読んでいるうちに自分まで少し狂っていくような感覚になります。特に、相手を想う気持ちがどんどん依存や支配に変わっていく描写がリアルで、「好き」って何なんだろうって考えさせられました。文章は淡々としているのに感情の熱が伝わってくる感じで、読後は静かに心がざわつきます。高校生の自分にはまだ早いようで、でもすごく刺さった一冊。恋の綺麗な部分だけじ
-