斜線堂有紀のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
絶望の中に美しさと救いがある… 透明感と虚無感が押し寄せる『恋に至る病』の関連作品集 #病に至る恋
■きっと読みたくなるレビュー
斜線堂有紀先生の名作『恋に至る病』に登場する寄河景を中心に描かれた関連作、全四編からなる短編集です。
思いっきり斜線堂先生の強みが出てまして、特に『病巣の繭』『病に至る恋』はスピンオフとは思えないほど洗練されてる。気をつけないと、この二作品だけでも入り込んでしまって現実に戻れなくなりますよ。
本作は『恋に至る病』の世界観や舞台がベースになっていて、自殺ほう助SNS「青い蝶(ブルーモルフォ)」が登場。寄河景の家族や幼年期、またブルーモルフォの利用者からの視点で物 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ消えたデロリアン「BTTF」、ビデオ屋のダイイングメッセージ「ラブ・アクチュアリー」、カレイド事件の解決編「俺たちに明日はない」でいよいよフィナーレ。
・電話のアップカットのために人くらいの大きさの電話をつくったヒッチコック
・「メトロポリス」の撮影監督が考案したアナログな合成技術シュフタン・プロセス
・パルプ・フィクションの映り込み
・人影が映り込む再生品フィルム
・サイコで血糊にチョコを使った
・ボタンひとつで爆発する血糊に使用したスクィップという装置
・「桑港」の地震シーンは緻密な調節でエキストラに怪我人は出なかった
など、今回は撮影技術の蘊蓄多めで嬉しい。
試行錯誤を積み重ねてきた -
Posted by ブクログ
ネタバレそういうことか。と理解しかけていたのに、最後に消しゴムが出てきたことで訳が分からなくなり自分なりに希望込みで考察した。
景は小学生の頃から、才能と自分の快楽が人とは違うことには何となく気付いていた。
宮嶺と出会い、どんな手段を使ってでも手に入れて側に置いておきたくなった。
根津原を誘導しいじめを始めさせエスカレートさせた。
宮嶺の精神の限界が来たところで救う。
宮嶺に自分のためにそんなことまでしてくれたのかと思わせ恩を売ると同時に、自分の快楽をはっきりと自覚する。
きっかけとなったから、もしくはシリアルキラーが自分の功績を残しておくとの同じ感覚で消しゴムを持っていた。
なんにせよ宮嶺は景にと -
Posted by ブクログ
ネタバレ窃盗容疑の同級生を助ける「スタンド・バイ・ミー」、舞台女優と演出家のいざこざ「アーティスト」、中古ビデオ屋の査定の謎「バグダッド・カフェ」と、今作も映画知識が謎を解く鍵となるミステリー。
1918年のノアの箱舟の事故とかよく知ってるな...(ググッても出てこない)。スタンド・バイ・ミーはテレビ版とDVDで吹替違うとか、白黒映画の天才カール・ドライヤー監督は白に拘って壁をピンクにしたとか、バグダッド・カフェのニューディレクターズカットはBluRay用に色編集したものだとか、DVDの隠しコマンドの話とか、最早配信主流の時代に忘れられた媒体によくスポットライトが当たっていた。
「演出からカメラワ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「恋に至る病」のスピンオフ?的な短編集。
子どもの頃から景は景だったんですね。最終的に景のお母さんでさえも景の手のうちになってしまうのは恐ろしかった。
「病に至る恋」の、(おそらく)偽ブルーモルフォに絡め取られてしまった子の話はあまりにも切なすぎた。流される人はどんどん流されてしまうのだろうな、とあまりにも実感が伴っててゾッとした。止まりたくても止まれない。来世に期待を込めて命を絶つのはもはや宗教だよ。
ふつうのデートをする宮嶺と景はかわいいね、と思ったけどそんなハッピーだけで済むわけもなく。何度も思い出すしあわせな時間であることはたしかなんだろうけど。
景が不登校だったなら宮嶺はいじめられる -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ニューシネマパラダイス」は潰れかけの映画館、「独裁者」は試験中の演説、「ブレアウィッチプロジェクト」は意地悪教師への復讐劇、「セブン」は見立て殺人が題材。
全部知っている映画だし、カレイドのキャラが何とも子どもっぽくて憎めない感じでスペシャル読みやすい。ゆるい日常系安楽椅子探偵ものかと思ったら、最終話だけハード。ミステリーとしては諸々荒いし謎も読みやすいかな。
なんの説明もなく「自分の不幸をセルマと比べる」とか出てくるので、結構映画的教養が必要かもしれない。(ダンサーインザダークのことだよね?)映画のポスターの見立て殺人というのは分かりにくすぎて、よく気づいたなと。「映画は複数人が関わる -
Posted by ブクログ
ネタバレ朝井リョウさんが「本ツイ」で紹介されていた本。
初めて斜線堂有紀作品を読んだが、文章は読みやすいし面白くて一気に読めた。
アイドル、オタク、推し活…といったものに無縁の私には、新鮮な世界だった。
地下アイドルからカリスマアイドルへと成長した"ばねるり"を取り巻く4つの短編。
同じファンダムをテーマにしていても、朝井リョウの『イン・ザ・メガチャーチ』よりもかなりディープな世界だった。
ばねるりの熱狂的ファンの男性の話から始まり、最後はばねるり視点での話へ。
最後はなんか鳥肌立つ感覚。
推す側も推される側も、アイドルだって、一人の人間。
「人生を使い切る」ってそういうことか…