斜線堂有紀のレビュー一覧
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ネタバレ景が保育園児の頃から、人を操る才能があったことには驚いた。母親が保護者会でいじめられていると知ると、いじめている親の子をいじめ返すのだが、自分で直接やるのではなく、保育園の先生を懐柔して利用していた。先生自身が精神的に不安定な状態だったこともあり、そこをうまく利用したのだろうか。保育園児の頃からこんなことができたからこそ、後の恐ろしい景が生まれたのだと思うと怖い。
ブルーモルフォにハマっていく人たちの話も印象的だった。学校でうまくいかない子たちが、必死に何かにすがろうとしてブルーモルフォに答えを見出していく。前作を読んでいるので、その先に自殺が待っていることを知っているだけに、自分を追い詰めて死ぬことに意味を見出していく過程がより細かく描かれていて、いたたまれなかった。本人たちにとってブルーモルフォは悪魔ではなく、むしろ自分を救ってくれる「神」のような存在なのだろう。それが余計にえげつない。
宮嶺についても、前作を読んだときから、景は本当に彼のことが好きだったのか、それとも利用していたのか、どちらもあったのではないかと思っていた。今回、景自身が自分の人を操る能力を自覚し、それを嫌って不登校になっていたというIFの話を読んで、宮嶺だけには自分のことを話し、道をそれそうになったら守ってもらう「ヒーロー」という関係が生まれたことを知ると、やはり宮嶺は景にとって特別な存在だったのではないかと思った。
『恋に至る病』で描かれた景を別の角度から見ることができて、前作の物語や二人の関係についても改めて考えさせられる一冊だった。 -
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ネタバレ梓。完全犯罪を目論むのとサプライズパーティーを仕込むのはよく似ている。果たして私の感情はどちらに寄っていただろうか?
梓、小説を書いて悠真に見せる。
悠真の新刊、梓の書いたものだった。
梓。
先生がまた神様に戻れるのなら、代わりに食い荒らされる関係が惜しくない程、私は興奮していた。
中学卒業前の梓に悠真、キス。
悠真、本を全部燃やす。梓、石で悠真を殺しそうになるが、やめる。
間違って違う作品を担当に送ってしまう。学校の文芸部でパソコンを借りる。
文芸部部長、守屋和幸。
パソコンを貸す代わりに文芸部に入ること。
守屋から小説書いたら、と何回か言われ、悠真の文体でないものを書き、送った。
→もう先生を殺す理由はできているとは思うが、まだ殺さないのか、という感じ。
先生が梓にキスはやりすぎ。。それじゃあ、ただのロリコンじゃん。。
たまに出てくる「~似てる」のような表現は好き。
絵は上手いが、文芸部の人までイケメンなのはどうなのか。みんなイケメンだと先生のイケメン設定が霞む。。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ文体が平易で読みやすかった。
人が人を好きになる要素は様々あるが、
その要素を失ったときに愛し続けられるか。
そんなテーマの話。
梓が遥川に向けた愛情が、
遥川にとってはすべて不幸な結末になっていて虚しい。
愛され方を知らないと愛し方はわからない。
梓が母に求められ、強制されていたように
梓は遥川に対して、偶像崇拝という形で
本人を抑圧した。
自分がされたようにしか人を愛せないものかもしれない。
原稿の送付ミスさえなければすべては丸く収まったかもしれないが、世間を欺いたら罰を受けるという因果応報の物語でもあるかもしれない。
人は衰退していくものだから、
才能も枯れるし衰えもする。
そこに向き合うことは容易ではないし、
愛情だって同程度の持続はできないかもしれない。
ピークを見送ったとき、人は虚しさも覚えるし、
落胆もする。
常に上昇するなんて夢想は捨てなければならない。
人の最期はおおよそ惨めかもしれないが、
それまでのプロセスで救われたなら、
一時でもピークを感じられたなら見方を変えれば幸せなのではないかとも思う。
殉教精神で命を捧げようとまで思えるものが
見つかることは、ただ生きながらえるよりも幸せと解釈することもできる。
遥川が自らの才能以外に対しても梓の愛情を感じられていれば、ゴーストライターという罪に手を染めることはなかったかもしれないし、いや遥川は優しいから、梓が示したその信仰と好意を無碍にすることは出来なかったのかもしれないとも思う。
人はもしもの話が好きな生き物なのは首肯する。
いずれにせよ、これがバッドエンドかは測ることはできない。
もし本当に、信仰は理解されないときが一番輝くのだとすれば。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ廃遊園地の殺人
斜線堂有紀の長編ミステリー。
廃遊園地という特殊な設定とクローズドサークルを融合させた作品。謎の大富豪である十嶋庵の招待の元、過去に銃撃事件があり廃墟となった遊園地へ廃墟マニアや当時の関係者達が招かれる。
イリュジオンランド銃撃事件を背景に、当時のイリュジオンランド運営側の思惑と天衝村の人達の葛藤が描かれ、数少ない若者であった中野御津花が村を変える為にどの様に戦い、葛藤し、裏切られていったのかが幕間に語られていく。
彼女はイリュジオンランド銃撃事件の際に犯人の手により殺害されてしまう。
今回招待されたメンバーは一見、廃墟に関心のあるメンバーがほとんど、合わせてイリュジオンランドで働いていた人達が懐かしさから招待に参加している。ただし、主人公である眞上を筆頭に全ての人物達が何かしらの秘密を抱えてそうな予感があり、実際、最終的には様々な事が打ち明けられる。
眞上はコンビニ店員だが愛想が無く店長によく叱られてしまう。人間として不器用であり、コミュニケーションが苦手な側面があるが、一方で今作の探偵役であり、洞察力、推理力、そして身体的な能力も高い。本人は「コンビニのバイト」で鍛えられたと豪語するが、明らかおかしい(笑)
僕は登場人物(特に主人公)の秘密は作中無いしシリーズ中で読者に明かされている事が条件だと思っているが、今作では眞上のスペックについては触れられず、作中所々に挿入された父親との思い出についても結局は深掘りされなかった。
眞上と十嶋庵の関係については今後も続きそうな印象で、「廃墟探偵シリーズ」として眞上が登場し、真相が明かされていくスタイルなら面白そうだ。
今作では心理的なクローズドサークルの様相があり、こういったやり方も面白いと感じる。作中の登場人物達は躍動しているが何処か単発的な印象で申し訳ないが感情移入が出来なかった。
(最後、とある二人についてのドラマがもっとあって欲しかった)
また、回想シーンについてはもっと読者を騙してやろうと叙述トリックを最大に活用して欲しかった。少しトリックが中途半端になっており、もっと大袈裟な呼び名設定、真実が明かされていく事でなる程と思える様な擬装があって欲しい。
終始の不気味な印象とマスコット「ギャニーちゃん」の使い方は素晴らしい。廃遊園地と相まって世界観がとても良かった。