あらすじ
いま、もっとも注目されるミステリ作家による短編集。収録した全5編、時代背景や描かれた国、人物は異なりますが、すべての作品で共通するのは「人に伝える」ということ。今は携帯電話で他人と簡単に連絡が取れますが、では携帯電話を使うことなく大事なことを伝えるにはどうしたらよいのか? 手紙なのかチェス盤なのかカメラなのか……。伝えるのは、愛か動機か犯人か……。驚きの設定に驚きのラスト。すべてが新鮮、すべてが傑作。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
短編小説。どのお話も読み終わった途端にもう一度読み直したくなった。
記憶をなくして読み直したいくらい。
私には難しいお話が一つだけありましたが、それ以外は読みやすかったです。
Posted by ブクログ
斜線堂有紀の出す本のスピード、ジャンルの多彩さ、尽きぬアイデアに脱帽。メッセージに焦点を置いたこのミステリ短編集は特に面白かった。殺人事件に限らず幅広い分野での謎解き。自由自在。
Posted by ブクログ
短編集。どれも面白いアイディアがギューっと詰まっていて、密でディープな世界を楽しめます。
「ある女王の死」
榛遵葉は七十三になる守銭奴で冷血漢の闇金業界の金貸し。彼女の殺人現場から話が始まる。彼女は誰に殺されたのか?どんな人生を歩んできたのか?
主人公の生きざまがカッコいいのと、小道具がチェスなのと、最後に、最初の現場で何が起こったのかがわかるところがよかった。
「妹の夫」
荒城務は繰り返しワープを続けて遥か彼方へ飛ぶ有人宇宙飛行に選ばれた。しかし、彼は会えなくても妻の姿を見たくて、太陽系内だけでも自宅の映像データを見ることにした。その映像で妻に起こったとんでもない事をどうにかしてワープごとの短時間通話で相手に伝えたいのだが、こんなときに翻訳機が壊れるとは…。宇宙の科学要素(理)と言葉の伝達(文)が融合しているのが良い。
「雌雄七色」
これだけが『斬新THEどんでん返し』で既読でした。息子が母の手紙を疎遠な父に渡すのだが、その手紙は色付きで、虹の色順に読むものなのだ。
「ワイズガイによろしく」
ニューヨークのギャングスタ、シャックス・ジカルドはシチリアの家族由来のトマトグレービーを愛していて、週に4度作るし、味は誰にも負けない。最低の父親のせいで孤独になったことも、今の生き方になったことも、時々ジュークボックスから声が聞こえることも、全てがシチリアの風が吹いているようでカッコいい話。
「ゴールデンレコード収集物選定会議予選委員会」
タイトル長っ!色んな国や立場の人が宇宙に向けて発信する記憶媒体に入れるデータの選考会場の様子。ここに登場する日本代表が名探偵なんだか、変人なんだか、とらえどころがない御竈門玖水。アニメやマンガへの愛やうんちくを垂れ流すように紹介するが推しは手塚治虫。斜線堂先生の年齢を誤解させる知識関心表現です。
多少性関連叙述あり、中学校以上。
Posted by ブクログ
この謎をどう解く?的なお話が5話。どれもひねりが効いていて小気味良く、SFよりなものも盛り込まれていた。自分が好きなのは、1話と2話。
高利貸のボスとして君臨してきた女性の人生と末路、何万光年も先へ旅立つこととなりモニタ越しでしか会えなくなってしまった妻に起きた悲劇を目撃した夫がとる行動とは? どちらも予想外の結末に大満足だった。
Posted by ブクログ
大切な人にメッセージを伝えることをテーマにした短編集。どの作品も切り口が斬新で、ページを捲る手が止まらない。スラスラと読める内容でありながらも、読み終わった後には必ず心に温かいものを残してくれる傑作揃い。
Posted by ブクログ
あれー、レビュー少な。5編の短編集。『妹の夫』は前アンソロジーで読んだことあって、涙が出たやつ。今回もちょっと泣きそうになった。これはよくできてるよ。もう一つ宇宙系?の話があって、そういうのが好きな人なんだろうか。でもそれもめっちゃ面白かった。普通に吹き出しちゃった。『ゴールデンレコード収録物選定会議予選委員会』。『ワイズガイによろしく』もSFっちゃSF。『ある女王の死』も面白かったし。あれ、今見返したら人に伝える、がテーマの5編だそうだ。全然気付かなかった。
Posted by ブクログ
殺人事件は添え物。
大切なのは伝えること、の短編集。
時代も国も背景もバラバラな話だったけど、どの話もサクサク読めて面白かった。
「ある女王の死」と「妹の夫」が特に好き。
「ある女王の死」は、そうなったのも仕方ないと思わせて、それでも驚異の先読み力を生かした最期になんだか切なさを感じた。
「妹の夫」は、殺人よりも、異なる言語の中、短い時間でお互い理解し合おうとするふたりにジンときた。最後が熱い。
Posted by ブクログ
5つの短編集で構成されていてサラッと読めます。
サラッと読めるんだけど、ひとつひとつの作品の余韻がすごい。余韻の残し方は、それぞれ違ったカラーでほっこりしたり、ゾワッとしたり。個人的にはふたつめの『妹の夫』が胸に来るものがあって泣けました。
Posted by ブクログ
サブタイトルの通り、メッセージが鍵になったミステリ5編。コミュニケーションの難しさを乗り越えようとする姿勢がミステリにに仕立てた「妹の夫」が一番好き。「ある女王の死」の執念深さと終わり方や現実世界とリンクする「ゴールデンレコード~」も楽しめた。
Posted by ブクログ
ミステリ短編集。副題の「謎解きはメッセージの中に」とあるように、「伝える」ことがテーマです。様々な相手、様々な手法で、新鮮味があります。
上品なミステリでした。
Posted by ブクログ
不思議な設定なのに、読み進めると説得力のある短編5話。
どちらかというと、体温と湿度が低い作風と思います。湿度高めが好きなのですが、こういうのもいいなあ。
Posted by ブクログ
メッセージは愛… 大切な人へのメッセージをテーマにしたミステリ短編集 #ミステリ・トランスミッター
■きっと読みたくなるレビュー
大切な人へのメッセージをテーマにしたミステリー短編集。現代の日常だとLINEやメールなどのメッセージがすぐに頭に浮かぶのですが、そんなありがちなツールは登場しません。さすがは発想力に富んだ斜線堂先生、突拍子もないメッセージで楽しませてくれます。
しかも各短編バラエティに富んだ様々な時代で、さらにはクールな老女から偏屈な科学者など癖のある登場人物が目白押し。最後まで飽きずにワクワクしながら楽しむことができました。
○ある女王の死
ヤミ金女王の殺害事件、現場には血まみれのチェス盤が残されていた。彼女の壮絶な人生には何があったのか…
こんなにも濃い物語であれば、そのまま長編でいいとも思える内容。何より主人公の榛遵葉の一代記がエグすぎる。生き方としてカッコイイし、パワフルなんよ。不可解なメッセージも彼女ならと納得性が高く、腹落ち度も満点すね。
○妹の夫
妻を残して地球をはなれ、もう戻れぬ宇宙の果てに旅立った男。宇宙船には妻とコミュニケーションをとるためにモニターを設置していた。ある時彼は、モニターから妻が襲われる映像を見てしまう…
おもろい! もはや時空が歪んじゃうアイデアですね。ハイテクだかローテクだかよくわからんくなってくるんだけど、この掛け合わせがおもろいんすよね~。メッセージを伝えるのに必死になる場面にも力が入るし、結末もエモくてGOOD
○雌雄七色
母の遺品を整理していた息子は、母と別れた夫に宛てた七通の封書を見つける。その手紙は七通七色であった…
地の文が一切なく手紙だけで構成される作品。チャレンジングですね~ 最後の一通は無理に理解しようとせず、まずはじっくり文面を味わうのが吉です。
○ワイズガイによろしく
ボスに忠実なギャング、彼はある日ジュークボックスから不思議な音声を聞く。そこから発せられる音声は、ギャングである彼の命を助けるような内容で…
本作もかっこいいなぁ~、これも長編でいいと思うわ。先生にはぜひハードボイルドにも挑戦して欲しい。謎の声の真相へのアプローチがニクイね。
そういえばトマトグレービーソースって作ったことな… 生クリームが入るのか、今度チャレンジしてみよう。
○ゴールデンレコード収録物選定会議予選委員会
地球の生命や文化を記録し、宇宙へ発信するためのゴールデンレコード。どんな写真を保存するか委員会が開かれる。委員長である科学者と、写真を持ち込む人々のやり取りがされるのだが…
メッセージをテーマした短編集ですが、最後に地球規模のメッセージがきましたね。それにも関わらず、本作はキャラがヘンテコなんです。ボヤいてばっかりいる科学者も、一癖ありそうな日本人もキュート!ちなみに私も手塚治虫は大ファンでして、確かに先生の漫画はぜひ収録したい。
■ぜっさん推しポイント
メッセージは愛だ。
他人に何かを伝える時って、情報だけでなく、そのメッセージにどんな意図があるのかっていうのが重要なんすよね。友人とのLINEでも、仕事のメールでも、広告であっても。
メッセージを受け取る人に真の意味で伝えるためには、発信する人がいかに愛情をもって伝えようとするかがポイントすよね。この作品自体も、作者から読者に楽しんで欲しいというメッセージが伝わってきました。
Posted by ブクログ
遠くにいる相手に大切なことを伝えたいのに、何らかの理由で電話やメールが使えない。
という特殊設定が面白い短編集。
一話目の『ある女王の死』は全てにおいて最高。
榛遵葉の生き様があまりにもカッコ良すぎた。
最後の最後で彼女の意図を知った瞬間、胸が熱くなった。
二話目の『妹の夫』もなかなか凝ってる。
言葉の通じない外国人を相手に、自分の妻を殺した犯人を伝えるため試行錯誤する様子が面白い。
二人の視点が交互に書かれるため、何が伝わって何が伝わらなかったのか答え合わせできるのも良い。
Posted by ブクログ
※後半、ネタバレが多いのでご注意ください
[こんな人におすすめ]
*斬新な設定のミステリーが読みたい人
とにかく設定が面白いミステリー短編集です。タイトルや本の帯に書かれている通り、スマホがない状態でメッセージを伝えること、メッセージを読み取ることに焦点を当てていて、どの話もとても読みやすいです。それぞれのお話がキレイにまとまっているので、ストーリー自体にはストレスを感じずスルスル読むことができます。
ミステリー小説を読みすぎて既存の設定に飽きてきた人も本書なら楽しめるかもしれません。
[こんな人は次の機会に]
*勘の鋭い人、想像の斜め上のミステリーが読みたい人
設定は斬新ですが、謎解きパートや結末にはあまり驚かされないので、普段からミステリー小説が好きな人には物足りなく感じるかもしれません。謎解きより世界観を楽しむタイプのミステリー小説です。
最初から4編目までは物語の序盤で結末に気づく可能性が高いです。個人的には最後の話が人間ドラマとしても余韻が残る面白さなのでおすすめです。
Posted by ブクログ
またまた朝井リョウさんの紹介本。
斜線堂作品は2冊目だが、『星が人を愛すことなかれ』とは同じ著者が書いたと思えないぐらい全く毛色が違う作品でびっくり!
ミステリ短編集なのだが、それぞれの作品が全然違う世界観でどれも変わった作品ばかりで斬新だった。
SFっぽいものや外国のギャングスタを題材にしたもの…。
振れ幅が大き過ぎて、ついていくのが大変だった。
結構現実離れした内容なので、読み手の想像力が試される気がする。
ミステリといえばトリックや謎解きを楽しむものだと思っていたが、この本はどちらかといえば展開や個々の登場人物を楽しむものなのかなと思った。
最後の短編『ゴールデンレコード収録物〜』はよく分からず、後で調べてみたら実際の出来事をモチーフにしていたのか!
とすると玖水という架空の人物が謎過ぎる…。
こういう人物がいたら面白かっただろうな、という著者の妄想、で合ってる?
Posted by ブクログ
ある女王の死、妹の夫、雌雄七色、ワイズガイによろしく、ゴールデンレコード収録物選定会議予選委員会、の5短編。チェスを道具とする金貸しの人生、返れぬ宇宙旅行で妻の殺人者を伝える、虹の7色の手紙、ジュークボックスからの声、応募写真の裏事情。
人生をかけた勝負、宇宙の彼方への旅など、さまざまな状況でやりとりされるメッセージに含まれるミステリー要素が、さまざまな状況の中でテンポよく解き明かされていくのが面白い。
Posted by ブクログ
★3.5
メッセージが謎を解く鍵となり、スッキリ読める。
強かに生きた老女の年代期ような展開で、仕掛けた罠が巧妙に作用する「ある女王の死」が好み。
「雌雄七色」は逆順じゃないかなと思ったらまさにその通りで。結末はわからないが、因果応報迎えていたら胸が空く。
Posted by ブクログ
5本入ってましたが全体にミステリというよりSFみが強かった気がします。「ある女王の死」が特に好きでした。「妹の夫」の最後は思わずにっこりして胸がスッとしました。「ゴールデン〜」は和製シャーロックホームズがいいキャラしてて長編とかで見てみたいと思いました。
Posted by ブクログ
メッセージの中には何かしらの深い意味があることを知れる小説。
5つの短編集を楽しめる小説です。
主となるのはメッセージの中の本当の思いをどのように伝えるかだと感じました。
個人的には、「ある女王の死」と「妹の夫」が好きで驚愕的でした。
「ある女王の死」は、ミステリー感が強く主人公の榛遵葉の生き様がカッコいい。
「妹の夫」は、SF小説で本当にありそうな話が興味をそそられました。
そして、メッセージ(言葉)の伝え方の難しさを感じました。また、最後が本当に良かった。
その他の話も今までにないチャレンジしている小説もあったので新鮮な感じはありました。
予想以上に楽しめた小説でした。
Posted by ブクログ
恋愛からSF,ミステリーまで幅広く書き分ける作者の短編集。独立しているもののテーマとしては「伝える」ことが挙げられるかもしれない。一番評価が高いのは「妹の夫」だろうか。SFとしてよくあるタイムスリップものを題材にどうやったら妻を殺した犯人を遠く離れた地上に伝えられるか、というのが主題。個人的には、それは・・・という思いもしたが確かに面白い。一番だったのは「ワイズガイによろしく」ギャングの世界を舞台にジュークボックスから聞こえる謎の人物に助けられていく、という話。こういった系統が斜線堂さんは得意なのではなかろうか、どうでしょう。
Posted by ブクログ
ミステリーの幅は広いのかな?ごりごりの殺人トリック謎…みたいなものではなかったです。短編集というのもあって全体的な印象は軽め。暗くて重いミステリー小説を読んた後に読むとさっぱりお口直ししてくれるような本だと思いました。
ラストの物語 ゴールデンレコードの玖水が魅力的。The日本の漫画オタクww早口で話してる姿が容易に想像出来るし、ちょいウザいwwだがそこがいいw玖水が探偵の物語待ってます!
Posted by ブクログ
短編集。
『妹の夫』は、宇宙に旅立った男の妻が殺され、犯人について懸命に伝えようとするが、翻訳機が壊れてしまって…というやきもきする話である。地球で男の通信を受けるドニという職員が優秀で、言葉が通じなくとも表情や仕草からこうまで推測できるのかと目を見張った。しかし、全てが上手く行く訳ではない。無事、妻を殺した奴について伝わるのか最後までどきどきだった。しかし、なぜ妻は殺されてしまったのだろうか、気になる。
『ゴールデンレコード…(以下略)』は、地球外生命体に人類を伝えるための写真を選考する委員会である。設定が面白い。こういうのは利害関係で雁字搦めな大人より、子どもが選んだ方が良いかもね。各人が、自分の写真を選んで欲しくて頑張って説明するが、その思惑をオタクの玖水が次々と暴いていってしまうところが小気味良い。いや、決して玖水は好きなキャラクターではないけども。ヌーディストビーチは、私ならアリだと思うが、裸に関するものはNGと結構厳しめである。結局、どんな写真が選考されたのだろう。
Posted by ブクログ
【収録作品】
「ある女王の死」
「妹の夫」
「雌雄七色」
「ワイズガイによろしく」
「ゴールデンレコード収録物選定会議予選委員会」
テーマは「伝えること」。
何を誰にどうやって伝えるのか。
携帯電話でサクッと……ができない場合に、知恵を絞ってコンタクトを取る人々の話。
「ある女王の死」は、貸金の「女王」の生き様が小気味いい。願わくは最後の願いがかなわんことを。
「妹の夫」は、本人もすごいがそのメッセージを受け取った相手が偉い。
「雌雄七色」は、虹の色の順に読むという手紙。読み方で書き手の気持ちが真逆になる工夫が面白い。
「ワイズガイによろしく」は、並行世界もののSF。テンポ良く語られる。
「ゴールデンレコード……」は、面白みがよくわからなかった。