高橋克彦のレビュー一覧
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平安の都で起こる怪事件の陰で跋扈する道鏡、菅原道真らの怨霊、邪鬼。弓削是雄、安部晴明ら陰陽師の系譜を辿り、歴史の暗部から世界を読み解いていく。
藤原氏支配の礎を築いた政変<応天門の変>の謎を陰陽師で解き明かす「髑髏鬼」他、秀逸な怪異譚全5編。『白妖鬼』へ連なる妖かしの物語の原点がここにある!
鬼とか怨霊とか、今の時代で信じる人は少ないでしょうが、この物語の舞台である平安時代、政や異常気象の裏には必ずと言っていいほど、その存在や祟りなどで騒がれたものです。
なかでも菅原道真の祟りは有名です。
この物語を読んでハッとしたことが2つ。
1つ目は、歴史の暗部には怨霊や祟りを利用した者がいるという -
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ネタバレついに蒙古軍が襲来する。
となると、時宗自身は鎌倉から動けないので、この巻の主人公は時輔。
全四巻のうち、前半2巻は父・時頼が主人公で、最後の1巻は兄・時輔が主人公。
だけど、これは蒙古襲来に対する鎌倉幕府の物語なので、父の生き方から兄の活躍に至るまでが対蒙古に焦点を絞ったことで、元寇のときの執権・時宗が全体の主人公となる。
神風が吹いたことで、日本は元寇に勝ちを収めることができた、という定説とは違い、この本では周到に元を迎え撃つ準備をしている。
だった1回、徹底的に元を叩き潰すことができたら、二度と元は日本にやってこないだろう。
負けない戦いではなく、絶対に勝たねばならない戦い。
そのため -
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高橋克彦らしい、東北を舞台にした怪談短編集。
フリーのカメラマンを志していた男が、身を固めようと決心した所、同性愛手の女性が失踪する。女性を説得しようと出身の村にたどり着くが、その村に入った人間で帰ってきたものはいないと言う…。
他の作品にもあったような、叙情的に不思議なまま終わらせてしまうような作品はほぼ無く、全体に激しいものばかりだが、短編集なのだから、これくらいでよいのだと思う。また、導入から最後まで、上記あらすじの「花嫁」以外は丁寧に書かれているため、えっ?と読み返すこともほとんど無いだろう。
高橋克彦の真骨頂の東北民話を骨に置いているため、途中の引用がちょっと読みにくかったりす -
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ネタバレこの本を読み始めるまでは、元寇と戦う時宗の話だと思っていましたが、全4巻のうちの2巻は父時頼の話。
残る2巻のうちの1巻がこの本になりますが、まだ蒙古改め元とは戦っていません。
ずっと書かれているのは、権力争いの末分裂しようとする北条一族をまとめるために、得宗(北条家の惣領)がとてつもなく苦労するということ。
力で押せば反発する。
目こぼしすればつけあがる。
その隙に将軍と、周囲を取り巻く公家が権力を握ろうと暗躍する。
北条家ではない、一般の御家人や庶民の目もあるので、安心感を与えなければならない。
まとめてもまとめても、分裂しようとする北条一族。
これはもう、幕府というシステムの最初からボ -
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ネタバレこの巻の終わりに父時頼が亡くなり、次巻よりいよいよ執権時宗の話がはじまります。
いずれは訪れるであろう蒙古襲来に向けて、時頼はできるだけのことを精力的に行います。
博多の商人謝国明・太郎の親子、松浦党の佐志房(さしふさし)、十三湊(とさみなと)を支配する安藤五郎。
外敵のことを知るには、海の民を味方につけなければならない。
対等な立場で国を守ることを約束し合う。
自分のところだけではなく、同じ国に住む同士としてのつながりを意識させたこと。
それを日本の安寧の基礎となしたところに、時頼の非凡さがあると思った。
ところで、『楊令伝』で梁山泊の取引相手のひとつであったのが日本の十三湊。
「都の藤 -
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ネタバレ巻の壱では時宗の父が主役です。
なにせ時宗、生後数か月の乳児ってところでこの巻は終わりますから。
時宗がやったこと→無事生まれる
以上。
ストーリーは、鎌倉幕府をめぐる権力闘争と、武者の生きざまについて。
自軍が有利になるように、相手が失策を犯すように、互いにじわりじわりと追い詰めていく様子は、囲碁や将棋のようでなかなか趣深いです。
しかし一番心躍ったのが、鎌倉の街並み。
先月行ったばかりなので、鶴岡八幡宮の背後に、将軍の屋敷。
鶴岡八幡宮の境内に面して、若宮大路に執権の家。
え?あの辺にあれがあったの?なんて。
ああ、こんなことなら、もっとじっくり見てくるんだったな。
地名と苗字がリン