高橋克彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
おいしいお出汁でお茶漬けをいただくように、さらさらさらさら〜っと読み終わってしまいました。面白かったです。版画の技法だとか、当時の政治とかお役目のこととかの説明もたくさん出てくるのに、リズムが良くて、本当にさらさら〜っと読めました。
舞台は田沼意次〜松平定信の頃の江戸、ドラマチックな時代です。登場人物も松平のご老中をはじめ、鬼平こと長谷川平蔵、美人画の歌麿、風景画の北斎(北斎を名乗る前の売れない頃の設定)、日本史だとか時代劇だとかでお馴染みの実在の人がたくさん出てくるので楽しい。
そして!
主人公がとてもいい男でした。腕っぷしは強く、正直で曲がったことが大嫌いな世渡り下手、でも人の情のわか -
Posted by ブクログ
いやはや、参りました。最後まで息も吐かせぬストーリー展開で、堪能しました。歌麿や北斎が御用を預かる者だったのでは、というのは実しやかに囁かれていることですが、そこにこれだけの創作を絡めて大作に仕上げるというのはやっぱりすごい。この人の作品、陸奥3部作や『竜の柩』も大好きですが、浮世絵ものも本当におもしろい。
高橋克彦氏の作品でいつも思うのは、父子の情の深さ。本作の千波は、堅いと言われながらも作中ではかなりの軽さを持っているキャラクター。それでも、父親の左門とのシーンでは、お互いの深い愛情が伝わってくる。父が子を思うのは当然ながら、子の父を慕う思いというのは往々にして描かれないし、描かれるな