あらすじ
原因不明の慢性的な頭痛に悩まされ、しぶしぶ催眠療法を受けた男に甦る、存在するはずのない記憶。遠足のリュックサックの中のバナナ、青草の生えた土盛りのダム、見覚えのない同級生たち、そして暮らしたことのない岩手県盛岡の風景……その記憶の中では、自分の名前さえ異なっている。どうも、自分の生まれる前の時代らしい。なぜ覚えのない記憶がこんなにも鮮やかなのか? それは前世の記憶なのか? 表題作など八篇。直木賞受賞の『緋い記憶』に続く「記憶シリーズ」第ニ弾。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
直木賞受賞作品【緋い記憶】に続く、「記憶シリーズ」第二弾。8つの作品が収録されています。基本的には、心の奥底に封じこめていた記憶が、ふとしたきっかけで甦るというパターン。この甦る記憶というのがどの作品も結構ドロドロしたものなので、読んでいるとつい気分が暗くなってしまいます(^^;しかし、ジワジワとした恐怖がなんともいえず、今回3回目の読み直しでした♪ちなみに高橋克彦さんは、私と同じ東北在住です☆
Posted by ブクログ
受賞した「緋色の記憶」よりもこちらの方が私の好みです。
最近のホラーは品がないので嫌ですが、これはぞくっと来ました。高橋克彦はこういう感じの短編が好きです。
Posted by ブクログ
なんとなく興味のあるタイトルだったので期待してしまってたのですが、期待を超える面白さで良かったです。記憶にまつわる短編集で、どれも身近にありそうで、奥が深い内容でとても好みでした。著者さんの作品をもっと読みたいです。
匿名
郷愁を感じる
最近はグロテスクな描写で読み手を怖がらせる作品が多い中、こちらは美しさの中に怖さがあり読み手を作品の世界に引き込むうまさがあると思います。短編集なので怖さにわくわくしつつ楽しむことができます。
Posted by ブクログ
ジャンルが難しいが、フラッシュバックする忘れていた記憶と盛岡がテーマで、思い出したら怖いという短編集。
昔繰り返し聴いていたがヒットしていない曲、その楽しげなフレーズから、開かずの間を思い出す。日の当たらない開かずの間では、なぜか若い叔母と男性が楽しげに暮らしていて…。
高橋克彦の十八番である怪談とホラーの中間という点では、それぞれの単体はよく出来ている作品であろう。ただ、集めてしまうと辛いのが、全部同じパターンで、「何で思い出すかな?思い出したら人が死ぬやつだよね」と3本目くらいで変な予想をし始めるので、後半の新鮮味は感じられないのが難点。途中、親の不倫という話が被っているのも食傷。
ただ、後半になればなるほど、幕切れはマイルドになっていくのは、読んでいるものにしては、救いの有るところだろう。
全作、最後の切れ方がぼんやりとした詩のようになっているのは、この人の特徴では有るのだけど、それ必要だったかなあというものもいくつか。怖いままでブツッと切ってほしかった。
これまで読んだ髙橋作品の中では、まあまあ読みやすいので、電子書籍で買って、1本ずつ間を開けながら読むがオススメの読み方だ。