高橋克彦のレビュー一覧
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ネタバレついに蒙古軍が襲来する。
となると、時宗自身は鎌倉から動けないので、この巻の主人公は時輔。
全四巻のうち、前半2巻は父・時頼が主人公で、最後の1巻は兄・時輔が主人公。
だけど、これは蒙古襲来に対する鎌倉幕府の物語なので、父の生き方から兄の活躍に至るまでが対蒙古に焦点を絞ったことで、元寇のときの執権・時宗が全体の主人公となる。
神風が吹いたことで、日本は元寇に勝ちを収めることができた、という定説とは違い、この本では周到に元を迎え撃つ準備をしている。
だった1回、徹底的に元を叩き潰すことができたら、二度と元は日本にやってこないだろう。
負けない戦いではなく、絶対に勝たねばならない戦い。
そのため -
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高橋克彦らしい、東北を舞台にした怪談短編集。
フリーのカメラマンを志していた男が、身を固めようと決心した所、同性愛手の女性が失踪する。女性を説得しようと出身の村にたどり着くが、その村に入った人間で帰ってきたものはいないと言う…。
他の作品にもあったような、叙情的に不思議なまま終わらせてしまうような作品はほぼ無く、全体に激しいものばかりだが、短編集なのだから、これくらいでよいのだと思う。また、導入から最後まで、上記あらすじの「花嫁」以外は丁寧に書かれているため、えっ?と読み返すこともほとんど無いだろう。
高橋克彦の真骨頂の東北民話を骨に置いているため、途中の引用がちょっと読みにくかったりす -
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ネタバレこの本を読み始めるまでは、元寇と戦う時宗の話だと思っていましたが、全4巻のうちの2巻は父時頼の話。
残る2巻のうちの1巻がこの本になりますが、まだ蒙古改め元とは戦っていません。
ずっと書かれているのは、権力争いの末分裂しようとする北条一族をまとめるために、得宗(北条家の惣領)がとてつもなく苦労するということ。
力で押せば反発する。
目こぼしすればつけあがる。
その隙に将軍と、周囲を取り巻く公家が権力を握ろうと暗躍する。
北条家ではない、一般の御家人や庶民の目もあるので、安心感を与えなければならない。
まとめてもまとめても、分裂しようとする北条一族。
これはもう、幕府というシステムの最初からボ -
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ネタバレこの巻の終わりに父時頼が亡くなり、次巻よりいよいよ執権時宗の話がはじまります。
いずれは訪れるであろう蒙古襲来に向けて、時頼はできるだけのことを精力的に行います。
博多の商人謝国明・太郎の親子、松浦党の佐志房(さしふさし)、十三湊(とさみなと)を支配する安藤五郎。
外敵のことを知るには、海の民を味方につけなければならない。
対等な立場で国を守ることを約束し合う。
自分のところだけではなく、同じ国に住む同士としてのつながりを意識させたこと。
それを日本の安寧の基礎となしたところに、時頼の非凡さがあると思った。
ところで、『楊令伝』で梁山泊の取引相手のひとつであったのが日本の十三湊。
「都の藤 -
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ネタバレ巻の壱では時宗の父が主役です。
なにせ時宗、生後数か月の乳児ってところでこの巻は終わりますから。
時宗がやったこと→無事生まれる
以上。
ストーリーは、鎌倉幕府をめぐる権力闘争と、武者の生きざまについて。
自軍が有利になるように、相手が失策を犯すように、互いにじわりじわりと追い詰めていく様子は、囲碁や将棋のようでなかなか趣深いです。
しかし一番心躍ったのが、鎌倉の街並み。
先月行ったばかりなので、鶴岡八幡宮の背後に、将軍の屋敷。
鶴岡八幡宮の境内に面して、若宮大路に執権の家。
え?あの辺にあれがあったの?なんて。
ああ、こんなことなら、もっとじっくり見てくるんだったな。
地名と苗字がリン -
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久々に、わくわくした。
日本人なら誰でも知っている通り、秀吉は日本を統一した。つまり、主人公の九戸家は滅ぼされるという結末が見えていて、それはすごく悲しいことなのだけれど、それを忘れるくらい、九戸政実がかっこいい。
他の郷士から兄貴としたわれるけど、分かる!
ワイルドスピードのドミニクタイプで、男が惚れる男です。
北条家の小田原城攻めに加わらず、滅びた東北の小大名たちを「時節と読み損ねたな、バーカ」と思っていたが、その認識が恥ずかしくなった。
戦国時代は、ほとんどの大名が命をかけて、精一杯の知略や武力を尽くして、生きる道を模索している。どの人にも、そういう行動をとった背景があるはずなのだ -
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高橋克彦氏の小説はいつも時代イメージが広がり興奮するので楽しい。時宗を読んでみる。
鎌倉幕府衰退の時期の話で最初あまり「ぱっとせんな」と思っていたが、「元寇」に繋がっていく。元寇に繋がるのかと思うと俄然興味がわき話にのめり込んでいく。
最初は鎌倉、御所も巻き込んでの権力争いの話だが、元寇の脅威をだいぶ前から感じ、鎌倉の意志を統一し、元寇に備えていく。
また時代イメージが広がり嬉しいのと、神風だよりだけで回避した訳じゃなく、色々準備をしていたのだなあと感心。
元寇
モンゴル帝国(大元ウルス)およびその属国の高麗王国によって2度にわたり行われた対日本侵攻1度目を文永の役(ぶんえいのえき・127 -
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司馬遼刷り込み症候群(司馬遼太郎の小説で歴史上の人物像が出来上がってしまい、他の人の小説を読めなくなった人たち)の方にオススメ。
何せ平安末期・奥州と司馬遼太郎さんが描いてない世界(もっとも5巻目は重なるが)なので、登場人物が受け入れやすい。
そういう意味ではちょっと北方謙三の世界に通じるものがある。主人公達が理想を追い求めるところも似ている。
全体としてはやや冗長な気もするし、登場人物が相互に相手のミスを指摘するシーンが多いのが気になるが、途中から止まらなくなって、一気に5巻読み終えました。
恐らく、歴史家の人から見れば史実とは大きく違うのでしょうが、教科書にも出てこない所のためか、 -
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ジャンルが難しいが、フラッシュバックする忘れていた記憶と盛岡がテーマで、思い出したら怖いという短編集。
昔繰り返し聴いていたがヒットしていない曲、その楽しげなフレーズから、開かずの間を思い出す。日の当たらない開かずの間では、なぜか若い叔母と男性が楽しげに暮らしていて…。
高橋克彦の十八番である怪談とホラーの中間という点では、それぞれの単体はよく出来ている作品であろう。ただ、集めてしまうと辛いのが、全部同じパターンで、「何で思い出すかな?思い出したら人が死ぬやつだよね」と3本目くらいで変な予想をし始めるので、後半の新鮮味は感じられないのが難点。途中、親の不倫という話が被っているのも食傷。
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全3巻。1500ページに亘る作品です。
それだけでなく、著者のあとがきに拠れば7年を費やした大作です。
しかし、そのせいでしょうか、物語の途中で登場人物の印象が変わってきます。時に主人公の弟・実親や敵役の信直などです。いささか戸惑いを覚えます。
淡々と歴史的な見方をすれば、主人公・政実は南部の反逆者であり、やらなくてもいい騒動を(自己の権勢欲の為に)起こした人物でしょう。それをあえて"南部のため"という大儀に生きた人物に仕立て上げてます。そのために、色んなところに無理が出ているように思います。せめて信直の人物設定を"目指すところは違うが一種の英雄" -
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人間として扱われず獣としか見られなかった蝦夷たちの、朝廷との22年の闘いを描いている。
蝦夷の中心となったアテルイを筆頭に、
賢く、力強く、優しい蝦夷の武将たちが魅力的だった。
22年の戦は気が遠くなるほど長い。
読んでいる方も参ってしまうほど。
まだやるのか、という思いを蝦夷も朝廷ももっていたと思う。
そんななかで最後にアテルイたちが選んだ戦術は、予想を遥かに超えるものだった。
取実、たけひこ、いさしこの最期はとにかく壮絶。アテルイ、モレ、飛良手の最期は涙なくして読めない。(私は飛良手推しです。)
ただ、同じ人間として認め合い、家族や友達と故郷で静かに暮らしたかっただけ。それすら叶わ -
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良いですね、理想に燃える若武者。
アテルイに関する小説は先年、澤田ふじ子さんの「陸奥甲冑記」を読んでいますが、比較すればこちらの方が随分とダイナミックで(当然の事かも知れませんが)男性的な魅力があります。紹介してくれたShortさんの言われる如く、主要登場人物が皆さわやかで、しかも個性がしっかりした”イイ男”達です。戦闘シーンも随分と迫力があります。
難を言えば、ちょっと格好良すぎることでしょうか。その為かやや上滑りな感じもしないでもありません。その当りの感覚は同氏の「炎立つ」にも有ったと思います。
何れにせよ、本格的な歴史小説で、面白く読ませる作品でした。