高橋克彦のレビュー一覧

  • 竜の柩(5) 心霊日本編

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    シリーズ第五弾過去の世界から戻って来たはずの一行が見たものは…ん?今までとは少し主旨が変わってきてる気が…

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    2018年01月06日
  • 竜の柩(6) 交霊英国編

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    シリーズ第六弾、遂に完結。現代に帰るために遠くイギリスまで来た虹人一行。イギリスで出会ったのはホームズの産みの親コナン・ドイルだった。長かったが最後まで読み終えた。全体的に面白いシリーズだった。古代の謎に興味があるのならお勧め。

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    2018年01月06日
  • 火怨 上 北の燿星アテルイ

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    鮮麻呂の乱を別の角度から描写した冒頭から、風の陣とは打って変わって積極的に攻めに転じる蝦夷たちの行動力、戦術の巧みさ、そして阿弖流為を中心にした団結力など、思わず惹き込まれる爽快な上巻でした。
    歴史は変えられないと分かっていても、代々の蝦夷たちが夢見た、穏やかな生活を送る日が来ることを願ってしまいます。

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    2017年12月18日
  • 火怨 上 北の燿星アテルイ

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    風の陣よりも場面展開に勢いがあり、引き込まれて夜遅くにも関わらずついつい読み進めてしまいます。
    苅田麻呂/田村麻呂のそれぞれの人徳と、蝦夷との情を交えた関係を考えると、阿弖流為を討ち取る歴史的な結末にどう繋がるのかと、ハラハラするのです。

    登場人物の性格の違いが、文中のセリフで生き生きと表現されているところも魅力です。
    風の陣に引き続き、次々と策があたっていくのが爽快です。

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    2017年12月09日
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(1)

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    久々に、わくわくした。
    日本人なら誰でも知っている通り、秀吉は日本を統一した。つまり、主人公の九戸家は滅ぼされるという結末が見えていて、それはすごく悲しいことなのだけれど、それを忘れるくらい、九戸政実がかっこいい。

    他の郷士から兄貴としたわれるけど、分かる!
    ワイルドスピードのドミニクタイプで、男が惚れる男です。

    北条家の小田原城攻めに加わらず、滅びた東北の小大名たちを「時節と読み損ねたな、バーカ」と思っていたが、その認識が恥ずかしくなった。

    戦国時代は、ほとんどの大名が命をかけて、精一杯の知略や武力を尽くして、生きる道を模索している。どの人にも、そういう行動をとった背景があるはずなのだ

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    2017年11月26日
  • 時宗 巻の四 戦星

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    高橋克彦氏の小説はいつも時代イメージが広がり興奮するので楽しい。時宗を読んでみる。
    鎌倉幕府衰退の時期の話で最初あまり「ぱっとせんな」と思っていたが、「元寇」に繋がっていく。元寇に繋がるのかと思うと俄然興味がわき話にのめり込んでいく。
    最初は鎌倉、御所も巻き込んでの権力争いの話だが、元寇の脅威をだいぶ前から感じ、鎌倉の意志を統一し、元寇に備えていく。

    また時代イメージが広がり嬉しいのと、神風だよりだけで回避した訳じゃなく、色々準備をしていたのだなあと感心。

    元寇
    モンゴル帝国(大元ウルス)およびその属国の高麗王国によって2度にわたり行われた対日本侵攻1度目を文永の役(ぶんえいのえき・127

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    2017年11月22日
  • 歌麿殺贋事件

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    浮世絵シリーズは三部作だと思っていましたが、まだ続きがあったのですね。
    今回は美術現代社の杉原氏と研究家 塔馬氏の2人が浮世絵関連の詐欺師と相対する連作短編集。
    津田氏が存在しないおかげで浮世絵作家の知られざる姿を推理するという趣向は無くなったものの、詐欺をテーマにした本書は別の意味で興味深い内容でした。

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    2017年11月19日
  • 炎立つ 壱 北の埋み火

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    司馬遼刷り込み症候群(司馬遼太郎の小説で歴史上の人物像が出来上がってしまい、他の人の小説を読めなくなった人たち)の方にオススメ。
    何せ平安末期・奥州と司馬遼太郎さんが描いてない世界(もっとも5巻目は重なるが)なので、登場人物が受け入れやすい。
    そういう意味ではちょっと北方謙三の世界に通じるものがある。主人公達が理想を追い求めるところも似ている。
    全体としてはやや冗長な気もするし、登場人物が相互に相手のミスを指摘するシーンが多いのが気になるが、途中から止まらなくなって、一気に5巻読み終えました。
    恐らく、歴史家の人から見れば史実とは大きく違うのでしょうが、教科書にも出てこない所のためか、

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    2017年11月16日
  • 前世の記憶

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    ジャンルが難しいが、フラッシュバックする忘れていた記憶と盛岡がテーマで、思い出したら怖いという短編集。

    昔繰り返し聴いていたがヒットしていない曲、その楽しげなフレーズから、開かずの間を思い出す。日の当たらない開かずの間では、なぜか若い叔母と男性が楽しげに暮らしていて…。

    高橋克彦の十八番である怪談とホラーの中間という点では、それぞれの単体はよく出来ている作品であろう。ただ、集めてしまうと辛いのが、全部同じパターンで、「何で思い出すかな?思い出したら人が死ぬやつだよね」と3本目くらいで変な予想をし始めるので、後半の新鮮味は感じられないのが難点。途中、親の不倫という話が被っているのも食傷。

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    2017年11月16日
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(1)

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    全3巻。1500ページに亘る作品です。
    それだけでなく、著者のあとがきに拠れば7年を費やした大作です。
    しかし、そのせいでしょうか、物語の途中で登場人物の印象が変わってきます。時に主人公の弟・実親や敵役の信直などです。いささか戸惑いを覚えます。
    淡々と歴史的な見方をすれば、主人公・政実は南部の反逆者であり、やらなくてもいい騒動を(自己の権勢欲の為に)起こした人物でしょう。それをあえて"南部のため"という大儀に生きた人物に仕立て上げてます。そのために、色んなところに無理が出ているように思います。せめて信直の人物設定を"目指すところは違うが一種の英雄"

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    2017年11月08日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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    人間として扱われず獣としか見られなかった蝦夷たちの、朝廷との22年の闘いを描いている。

    蝦夷の中心となったアテルイを筆頭に、
    賢く、力強く、優しい蝦夷の武将たちが魅力的だった。

    22年の戦は気が遠くなるほど長い。
    読んでいる方も参ってしまうほど。
    まだやるのか、という思いを蝦夷も朝廷ももっていたと思う。

    そんななかで最後にアテルイたちが選んだ戦術は、予想を遥かに超えるものだった。
    取実、たけひこ、いさしこの最期はとにかく壮絶。アテルイ、モレ、飛良手の最期は涙なくして読めない。(私は飛良手推しです。)

    ただ、同じ人間として認め合い、家族や友達と故郷で静かに暮らしたかっただけ。それすら叶わ

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    2017年11月03日
  • 星の塔

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    山奥の古い時計塔に隠された秘密を巡る表題作他、現代に甦る東北地方の奇譚七話。

    寝るなの座敷
    花嫁
    子をとろ子とろ
    蛍の女
    猫屋敷
    首継ぎ御寮
    星の塔

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    2017年10月31日
  • 火怨 上 北の燿星アテルイ

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    良いですね、理想に燃える若武者。
    アテルイに関する小説は先年、澤田ふじ子さんの「陸奥甲冑記」を読んでいますが、比較すればこちらの方が随分とダイナミックで(当然の事かも知れませんが)男性的な魅力があります。紹介してくれたShortさんの言われる如く、主要登場人物が皆さわやかで、しかも個性がしっかりした”イイ男”達です。戦闘シーンも随分と迫力があります。
    難を言えば、ちょっと格好良すぎることでしょうか。その為かやや上滑りな感じもしないでもありません。その当りの感覚は同氏の「炎立つ」にも有ったと思います。
    何れにせよ、本格的な歴史小説で、面白く読ませる作品でした。

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    2017年10月30日
  • 風の陣【風雲篇】

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    いよいよ舞台は陸奥へ。
    嶋足と天鈴の2人は蝦夷と物部の代表格のような立場なのに、都よりむしろ陸奥に戻った時の方がぎこちなく思い通りに進まないところに、この時代の陸奥が抱える問題の根深さを感じます。
    阿弖流為と田村麻呂の登場で期待感を煽られつつ、次がとうとう最終巻。

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    2017年10月26日
  • 風の陣【天命篇】

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    3巻目に入ってなお延々と続く内裏での勢力争い。そんな状況でも読んでいて嫌気がささないのは、偉くなっても武士の魂を忘れない嶋足の戦闘シーンのおかげかも。
    とは言うものの、このままじゃあ陸奥三部作ではなく平城京物語なので、そろそろ次の展開に進んで欲しいです。

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    2017年10月22日
  • 風の陣【大望篇】

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    2巻に入っても相変わらず内裏での権謀術数三昧。栄枯盛衰は世の常なれど、あれほど権勢を誇った押勝すらあっけなく退場を余儀なくされてしまった。権力者の最期をごく簡潔にしか表現しないのは炎立つにも共通するところがあるので、これも高橋流なのかな。
    蝦夷の立場から正義の味方のように書かれている天鈴も、反対側から見れば金の力にあかせて政治を操るフィクサーであり、善悪の基準は紙一重だとしみじみ思う。
    そんなドロドロした中で嶋足が見せるもどかしいまでの純粋さが、物語に爽やかな印象を与えています。

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    2017年10月15日
  • 風の陣【立志篇】

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    「炎立つ」にすっかり魅せられたので時代を遡って本シリーズに突入。
    第1巻はひたすら朝廷の政争に終始していますが、文明が未成熟なせいか、やり方がいちいちえげつない。但し蝦夷や物部氏を中心に個性溢れる魅力的な人物が続々登場しており、嫌気を覚えることなく先の展開を楽しみに読み進めることができました。
    既にこの時代から日本の政治家は政より権力争いに執心していたとは。ちょうど読んでいる最中に希望の党が結成された現代との類似性が、何とも情けなくて可笑しいです。

    名前が似ていて区別がつかなくなるという恐ろしい噂の「麻呂麻呂地獄」も、巻頭の人物紹介欄の助けを借りながら何とかクリアできそうかな。

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    2017年10月09日
  • 風の陣【裂心篇】

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    鮮やかに描かれる「人として扱われない苦しみ、忌まわしさ」の受け手の感覚。
    「蝦夷は人ではないこと」が普通になっている天皇を含めた大和の感覚に随分温度感があるように感じます。

    ずっと堪えてきた蝦夷がついに決起。
    やっぱりそうこなくっちゃ、と思いつつ、戦の時代に雪崩れ込む予感にゾクゾクします。

    個人的には、前半主人公の嶋足が全く出てこないで終わったのが少し残念。。

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    2017年10月01日
  • 風の陣【風雲篇】

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    悪は悪らしく清らかな心の者に成敗される。
    物語としてスッキリした読後感です。

    都の諸行無常の政がメインだったところから、陸奥にだんだんと舞台が移って行きます。

    蝦夷に理解を示す苅田麻呂が陸奥に赴いて一安心かと思いつつ、歴史の事実を知っていれば、胸が騒ぎます。陸奥の胆沢を治める長の息子である「阿弖流為」と、苅田麻呂の息子である「田村麻呂」が馬で競い合う姿に「火炎」までの物語展開が楽しみになります。

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    2017年10月01日
  • 風の陣【天命篇】

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    天皇の周りの権力者が劇的に移り変わる物語に目が離せず、はらはらしながら読み進められます。それぞれの思惑と欲望を読みながら、「策」を進めるところが見どころ。

    現代にはない「天皇への権力の集中」と「貴賎、階級制度」が、一族の栄華や滅亡を簡単に予感させるほどの激動の時代を生み出しているのかと、この時代への興味が湧きました。

    余談ですが、「麻呂」の名前が付く登場人物が多く、頭の中が「マロマロ」で一時混乱しかけました。名前の流行がこの当時からあったのかしら。

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    2017年09月18日