あらすじ
元の世界にイシュタルのタイムマシンで戻ったはずの九鬼虹人たちは、一九一九年の日本に辿り着いていた。若き日の宮澤賢治、江戸川乱歩らに遭遇するなか、九鬼は華やかな文化が開く浅草の地で、四〇〇〇年前に生き別れた鹿角の霊魂の存在が生還の鍵を握ることに気づく。鮮やかな論理が展開するSF新境地。
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浮世絵研究家としても知られる、高橋克彦氏の著作。
氏はたびたび、荒唐無稽とすら思える超古代文明やそれにまつわる神やUFOなどの考察を書かれているが、オカルトブーム真っ只中で刊行された本作がそういった側面を期待されていなかったと言われれば嘘になるだろう。
確かに、偽書論争を巻き起こした「東日流外三郡誌」など、眉唾とも思える書物をもとに論拠を組み立て、ストーリーを形作っている部分もあるため、すべてを信じることはできない。
しかし、実際に読み進めていくと、もしかしたら…と思わされる箇所にぶつかることになる。
もしこれがばらばらに組み立てられた論拠であれば、その箇所のみ切り捨ててしまえばいい。
だが、巧妙に論拠につながりを持たせているため、それもできずにいつの間にか丸め込まれてしまい、作品に引き込まれていく。
ぜひご一読いただき、それが嘘でないことを確かめてもらいたい。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
久し振りに読んだ第5弾は、これまでとは雰囲気が一転していた。
現代に戻る予定だった4人が何かの手違いで大正時代の日本に着いてしまい、東北から東京へ旅をしながら移動する。
当時の文化や著名人の様子をどこまでリアルに再現しているのかは分かりませんが、タイムスリップものとしてとても面白く読めました。
宮沢賢治や江戸川乱歩と実際に会ったり、日本で一番栄えた街だった頃の浅草を見られるなんて、想像するだけで楽しいです。
Posted by ブクログ
『心霊日本編』ということで、旧『霊(たま)の柩』の前半にあたります。
シュメールの時代からようやく現代へ、と思ったらハレー彗星1回分
計算間違っちゃったよ、と大正時代へ飛ばされてしまった虹人たち。
若き日の宮澤賢治、江戸川乱歩と少しばかり邂逅しながら、
元の時代へ戻る方法を探して右往左往。
そのまま残って暮らしてもいいかも、と思ってしまう気持ちが
妙にリアルでした。
【収録内容】
プロローグ
再動
懐旧
瑞光
迷夢
Posted by ブクログ
タイムマシンに乗って元の世界に戻ったと思った虹人が着いた先は大正8年の日本だった。そこで宮沢賢治らに遭遇するなど,貴重な体験をする虹人だが,やはり元の世界に戻りたいと思うのであった。そこで,虹人らは幽霊と交信できる霊媒士を探すことになる。心霊現象がよく起こり,話題になるイギリスにまで足を運び,そこで有名な霊媒士に頼み,元の世界に戻るため,またしても地下の探検をするのであった。最後には,パラレルワールドになりそうになるが,虹人の機転により,仲間全員で元の世界に戻れることになったようである。5巻,6巻。