浮世絵研究家としても知られる、高橋克彦氏の著作。
氏はたびたび、荒唐無稽とすら思える超古代文明やそれにまつわる神やUFOなどの考察を書かれているが、オカルトブーム真っ只中で刊行された本作がそういった側面を期待されていなかったと言われれば嘘になるだろう。
確かに、偽書論争を巻き起こした「東日流外三郡誌」など、眉唾とも思える書物をもとに論拠を組み立て、ストーリーを形作っている部分もあるため、すべてを信じることはできない。
しかし、実際に読み進めていくと、もしかしたら…と思わされる箇所にぶつかることになる。
もしこれがばらばらに組み立てられた論拠であれば、その箇所のみ切り捨ててしまえばいい。
だが、巧妙に論拠につながりを持たせているため、それもできずにいつの間にか丸め込まれてしまい、作品に引き込まれていく。
ぜひご一読いただき、それが嘘でないことを確かめてもらいたい。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2010年12月30日
『約束の地編』ということで、第2部完結です。
3巻に引き続き、仮説の検証編という感じ。
未来を知る者は神に等しい、ということで、星の神であるイシュタルの
立場を超えてしまった虹人たち。
フィクションの筈なのに、妙な説得力があって、ずっと唸りながら読んでました(笑)。
ホントにどんな頭の構造してるん...続きを読むだ、作者。
富士の地下王宮のエピソードや、重力制御だけで敵の戦闘艇を破壊するくだりは
面白かった!
あと、虹人(コージン)という名前に秘められた意外な伏線にはビックリ。
これで普通に帰還できていれば…良かったのにねぇ(苦笑)。
【収録内容】
故国へ
新生
帰還
<解説>明石散人
Posted by ブクログ 2024年01月28日
この手の物語は主人公らに選ばれし理由というものが付与されがちで、ふしぎなちからでせかいをすくう的なかんじ?になりがちでもある。
そういう展開を身構えて読んでいたきらいもあるが、そんなことはなかった。選ばれた理由はさだかではないが、選ばれし因果が閉じているという意味で『化石の記憶』に似た読み味がある。...続きを読む
『化石の記憶』はミステリでありまた同著者が得意とする群像劇でもあり、登場人物に移入できた。
読み味が似ている印象はあるが、本作品は登場人物への移入度が低い。著者の主張が主役であるためか。
ミステリとして読むとしらけてしまう謎解きも、古代史ロマンで味付けしてあるとまあまあいけるという発見があった。おお『マリンエクスプレス』よ。
竜と牛の神とはなんぞや?から発した読書の動機は果たされた。続編は、どうしたものか。