高橋克彦のレビュー一覧

  • 風の陣【裂心篇】
     最終巻は伊治鮮麻呂が主役。4巻までが嶋足・天鈴の京視点の蝦夷だったため、少し残念と思っていたが、最後まで読んでそもそも4巻までが鮮麻呂の物語の御膳立てだったのだと思い構成に舌を巻いた。
     本巻は陸奥三部作に劣らない「熱」があった。内外両方から敵と見做されながら耐え続けてきた鮮麻呂の保っていた糸が切...続きを読む
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ
    朝廷との戦いも数十年に渡り、次世代に蝦夷の志を継ぐためにはどうすればよいか…朝廷側に坂上田村麻呂がいたからこその結末。
    著者の解釈でしかないが、いかにもそうであったろうと思わせる説得力がある。
  • 噴怨鬼

    久方ぶりの新刊

    弓削是雄シリーズ、まだまだ続くか?!
    次を期待せざるを得ない!!
  • ツリー 下
    高橋克彦作品、特に総門谷、ずいぶんと長いこと結末を待ってきましたが、氏の結末がこれなんだと理解しました。
    40年以上、楽しませていただきました。
    高橋克彦先生、ありがとうございました。
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ
    名前と結末は知識として知っていたけど読んで良かったな。
    日本の正史の影の部分から見た日本みたいな視点ってあまりない。
    朝廷を外側から見るってのは新鮮だったな。
    後、正史によく出る北九州から関東あたり、花形の関西から関東あたりではない地域にも勿論その時の歴史があるっていうね。
    そういうのにも更に興味が...続きを読む
  • 炎立つ 四 冥き稲妻
    久しぶりの「炎立つ」だけれど、4巻のみ。
    むか~し、夢中になっていた頃は、経清と安倍一族ばかり読んで、
    今で言う「聖地めぐり」までしていた。
    その分、後半の4,5巻の記憶が抜けている。
    (あらすじはわかっているけれど)
    後三年の役の舞台となった、出羽を旅するにあたり、読み返したわけ。
    いや~、止まら...続きを読む
  • 噴怨鬼
    陰陽師 弓削是雄シリーズ

    『噴怨鬼』と名乗る強力な鬼の怪異から都、ひいては民を護る為、神の見せた夢を仲間と共に辿る、王道ファンタジー
    前作を読んでいなくても楽しめます

    鬼の正体は?
    陸奥に眠る艮の金人とは?
    蘇我氏に中央から追われた物部氏の背景にも興味は尽きません
    爽やかな仲間の絆にとても心満た...続きを読む
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

    武士の生き様

    アテルイとモレ達の生き様がとても潔い。
    最後まで勝って、処刑された武士。
    後世が舞台の「炎立つ」を先に読んだのですが、そちらよりスッキリとまとまっていて好きです。
    良かった。本当にいい作品でした。
  • 風の陣【大望篇】
    権力争いの様が読んでいて苦しい。
    天鈴や嶋足が、その為に戦っているのではないから少し気が晴れるというか、爽やかな空気になるというか。
    いや、だからこそ、権力争いの醜さが際立つのか。
  • 風の陣【立志篇】
    人間って汚い。自分もそうだけど、どこまで人間て汚いのかと嫌になった。
    なんのために?が重要。

    嶋足はいいやつだけど、流されやすいし染まりやすい。すごいわかる。
    天鈴が、一体何者なのか。キレすぎ。
  • 火怨 上 北の燿星アテルイ
    表紙を見たとき、これは読まなければと思った。
    心もってかれる本だ、とわかった。

    東北の歴史に目を向けた事がなかった。
    そういった意味でも、驚きと新鮮さと、感動がある。
    蝦夷にこそ大和魂を感じた。
    息をつかせぬ展開で、寝不足になりながら下巻へ。
  • 水壁 アテルイを継ぐ男
    火怨の後に読んだからか、比較してしまった。
    アテルイを継ぐ天日子に、期待しすぎていたと思う。今にまで名が残っているアテルイの存在が大きすぎる。
    それでもやっぱり感動する、蝦夷の心。
    いいなあ。私もそういう風にありたい。
  • 鬼九郎鬼草子 舫鬼九郎2

    痛快時代小説要素全部乗せ

    舫九郎も魅力ある剣客だが、天海大僧正、柳生十兵衛、高尾太夫、幡随院長兵衛に唐犬権兵衛、天竺徳兵衛などなど…とこの時代の主人公になるような人物が脇を固め、加藤明成と堀主水の因縁話まで出てくる全部盛り状態。面白くないわけがない。
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ
    これは人権の話だ…。下巻の途中までは単なる中央にまつろわぬ民の英雄譚なのか〜と読んでいました。が、アテルイが戦いの意味を少し変えたくらいから、この話はマジョリティの差別に立ち向かうマイノリティの物語で、人間が人間らしく生きるためにどうしてそんな試練と策略がなくてはいけないんだろうと胸が詰まりました。...続きを読む
  • 炎立つ 弐 燃える北天
    源頼義が陸奥守に任命され多賀城へ。
    安倍のため、奥六郡のため忍耐を貫く頼時ら安倍一族だが、源氏の名を確固たるものにし義家に継がせるという頼義の執念が再び戦さへと向かわせる。
    経清は頼時の娘・結有と結ばれ、従五位の位を授けられて亘理権太夫となった。そして陸奥守代理に。
    頼時からは、安倍の血を守るために...続きを読む
  • 炎立つ 参 空への炎
    前九年の戦さが終結し、安倍一族は滅亡した。
    安倍を支えた貞任と経清という二本柱の壮絶な最期に涙腺が緩んだ。特に経清の最期といったら……頼義との愛憎が安倍を巻き込んだと言っても良いのでは、とすら思う。
    しかし、あれだけの強さを誇った一族が身内の裏切りによって呆気なく敗れてしまうのだ。
    敵を手引きした身...続きを読む
  • 炎立つ 四 冥き稲妻
    藤原経清と結有の子・清衡が主人公となり、前九年の役後から後三年の役後までを描いている。
    清衡の半生はひたすら忍耐に次ぐ忍耐の日々で、読んでいるこちらも辛く、ときには我慢ならなくなりながら物語を追った。
    清衡は「経清と貞任の思い描いた楽土の夢」「民のための国」という念願を成就させるために耐え続け、つい...続きを読む
  • 炎立つ 壱 北の埋み火
    陸奥歴史ロマンの超大作、第1巻。
    安倍頼良の息子である貞任の婚儀に陸奥守・藤原登任が招待されるところから物語が始まる。
    黄金に目が眩んだ登任がまんまと戦を仕掛けるが、安倍一族の軍事力の前に為す術もない。
    本作の主人公・藤原経清は陸奥守側だが、とんでもない上司を持つ部下は苦労するなぁとため息。
    経清自...続きを読む
  • 炎立つ 伍 光彩楽土
    ついに最終巻。読み終えた達成感と充足感、そして読み終えてしまった…という寂しい気持ちとで半々。
    確かに歴史伝奇小説なんだけれど、俗説を拾い上げて正史の行間を埋めるように昇華しきっていると感じた。
    特に藤原泰衡は、こういう人物像もあり得るんじゃないかと思わされる。義経との絆には泣かされたし、泰衡の最期...続きを読む
  • 緋(あか)い記憶
    記憶をテーマにした七篇。
    粒揃いな中、表題作とねじれた記憶は舌を巻く巧さ。重厚で好み一直線のホラー作品。