高橋克彦のレビュー一覧
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ネタバレ武士の美学…。新渡戸稲造が言ってたニワカBUSHIDOなんかじゃなくて、これぞ武士道。こんな大きな死に方見たことない。
源義経の高橋克彦流の解釈。かなり『吾妻鏡』とは違う。
吾妻鏡では、泰衡が秀衡に義経を守るように託されるも、頼朝に恭順すべく義経の首を差し出し、さらに義経に心酔していた弟の忠衡も誅滅したという。それによって頼朝に許しを得ようとするも、頼朝は勅令に背いたは大罪として断固として奥州藤原氏を討ち亡ぼすよう攻め込んだとしている。泰衡は逃げ続けたが最後は郎従の河田次郎に首を獲られたとされている。
吾妻鏡は鎌倉幕府のつくった史書であり、ご都合主義が採用されていると思われる。 -
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ネタバレ後三年の役を舞台にした東北武士の物語。ここから奥州藤原氏は始まる。源義経を理解するならここから読み始めろ!!
東北の歴史はブツブツと知る程度だけれど、脈々と続いていたことがよくわかって、歴史の勉強としても非常に理解が深まる。確かに正史ではないかもしれないけれど、この解釈は非常に納得がいく。というか、気持ちいい。
前巻までの安部貞時や藤原経清らのように熱い感じは少ない。だけれど、生き残るには生死をかけないといけない、弱肉強食の時代を感じられる壮絶さを描いている。迫力ある描写は読みごたえあり。なんていうか…ページをめくるとその先は、血でべっとりしてる!!
藤原清衡は…、我慢強か -
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源氏による蝦夷奥州討伐の話。
この時代の時代小説は珍しく、また日本の成り立ちのイメージも膨らみ、歴史に対する好奇心が広がって楽しかったな。
1巻2巻は「前九年の役」
3巻4巻は「後三年の役」
5巻は「源義経」の話
源義経の話は多いが、藤原氏視点と言うのは珍しいのではないか。興味深かった。
【メモ】
平将門の乱が平定されて100年後、蝦夷の反乱は、小規模ながら有るものの朝廷がよく機能し収めていた。朝廷は平氏や源氏を筆頭とする武士団に対して警戒するようになっていく。
この国はもともと我らの祖先が開いた国、そこに帝の祖先が兵を率いて襲ってきた。我らの祖先はその時出雲を本拠地としていたが、追わ -
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ミステリー、SF、伝奇と言った分野が多い高橋克彦氏であるが、正統的歴史物語である。と言うのもNHKの大河ドラマの原作として書かれているからだ。陸奥の藤原三代は歴史的にも有名だが、この物語はその一代前、当時蝦夷と呼ばれた安倍貞任に共鳴した藤原経清から始まる。大和朝廷にとって陸奥とは何だったのか、源氏と陸奥の関わりを明快に示してくれている。
八幡太郎義家が義経に、経清が泰衡に転生するという筋書きには頷ける所がある。
惜しむらくは、高橋氏の執筆が放送に追いつかなくなって、大河ドラマが途中から原作を無視したことである。高橋氏自身が途中からドラマを見たくなくなったそうである。 -
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ネタバレ東北にスポットを当てた歴史戦争もの。西国が日本史の主流だけど、東北でこそ雪をも熔かす熱い戦いが繰り広げられていた。
戦が始まった!源頼義との闘いが始まったぞ!!アツイ!アトゥイ!!心昂るぅ!!!謀略、謀略ぅ!!!
源頼義のずるさが出る。でも、武士は武士だった。この頃からこんなに武士の倫理はあったのかなぁ?
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p9 鬼切部の後
藤原登任というアホ陸奥守を安倍頼良が誅伐してその後、新たな陸奥守の着任は遅れた。朝廷は登任という誤った人選をしたことを自分たちの責任と認めてはいけない。次の陸奥守はきちんと実力のあるものを選んで、安倍氏を力でも支配における者を置かないと、後の反 -
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宮沢賢治の生まれ育った町・岩手を含む東北地方に住む蝦夷たちの物語。
自然が雄大だなぁ、と思う。
歴史物は戦闘シーンが想像しにくくて読み飛ばしちゃうことがあったんだけど、これはすごく丁寧に書いてくれてるからじっくり読んでしまった。
阿弖流為、母礼を始めとする蝦夷たちの友情は温かくて、阿弖流為と佳那、飛良手と滝名の恋愛は微笑ましくて、人間模様も素敵に描かれている。
坂上田村麻呂の名前は(お、出てきましたな)って感じで登場してて、これからどうなるかは知ってても下巻が楽しみになる。
こんな美しい東北に地震と津波があってから、そろそろ4年になるのだなぁ。