高橋克彦のレビュー一覧

  • 炎立つ 壱 北の埋み火

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    なんだこれ!めっちゃおもしろいじゃないか!

    というのが率直な感想。こんなおもしろい小説に出会えてラッキーだ。

    この小説を見つけたのは些細なきっかけだった。

    古文の授業で『奥の細道』をやった。

    この紀行文の中に、作者の松尾芭蕉が、奥州藤原氏の跡を訪ねて涙を流す「平泉」という箇所がある。

    説明しながら、「そういえば奥州藤原氏についてはおれもちゃんと知らないなあ」と思い、奥州藤原氏を描いた小説はないものか、と探してこの小説を見つけた。

    読んでみてとてもおもしろいのでびっくり。

    全5巻でこれが1冊目。とにかく面白い。展開が熱い。歴史もよくわかるし、登場人物たちがみんなキャラが立っていて魅

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    2019年03月11日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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    これまでの奥州についての知識とはかなり違っていて衝撃的だった。
    旅行したときも、朝廷側から見た考えが強く
    アテルイはあまり良い印象ではなかったのが、180度変わった。
    何事においても双方の立場から見てみると、全く言い分が違うのだ。

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    2018年10月17日
  • 火怨 上 北の燿星アテルイ

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    先月平泉に旅行する際にかの地の歴史を調べ、アテルイのことを知った。
    旅行した地名が出て来て想像しながら読むのはとても楽しく、下巻がとても楽しみ。

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    2018年10月17日
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(3)

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    二巻目までは、なんやかんや言いながらもフィクサーの如く他人を動かすだけで自身は殆ど行動を起こさなかった政実がついに立ち上がった。
    最終的には勝てる見込みのない戦いだと分かっていながら、決して臆することなく一戦一戦は完勝を続ける九戸党が見せる戦の強さ。最後に「負けたことがないからこの先が分からない」と笑い飛ばす潔さ。政実だけでなく、みんな格好良かった。
    この本を読んで戦国期の東北を初めて知りましたが、圧倒的少数ながら豊臣軍に引けを取らず、兵を救うために降伏しながらも、その約束を反故にされたという大筋は史実のようですね。

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    2018年09月29日
  • 非写真(新潮文庫)

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    写真に撮れば現実の裏側も真実として写し出しているかもしれない。怖い話が読みたくて買って読んだんですが、もっと違うものを感じ取ってしまったかも。小説と写真の違いとか作者はめっちゃ考えているのかなとか思った。あとは震災のこと。岩手県の方なのできっとワタシの見ていた震災のことよりももっと心のなかでどうしようもないものを感じておられるんやろうとは思う。あの時、たくさんの命を一気に連れていったことをずーっとワタシも考えている。そこから、離れられない。

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    2018年07月05日
  • 緋(あか)い記憶

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    【ねじれた記憶】
    『空耳だろうか。こっそりと忍び寄る足音が聞こえる。あれは私の足音なのだ。
    振り返って確かめたい欲望にかられた。
    ひたひたひた。
    どちらの私も息を潜めていた。

    【膚の記憶】
    『体の関係ができたのは半年前のことだ。ママは三十八。私の生活に割り込んでくるような野暮な女ではない。五十にもなって妙な言い方だが、私たちは文字通り大人の付き合いをしている。』

    【霧の記憶】
    『だが、すべてはロンドンの霧のようにぼやけている。記憶にも時効があるのだろうか。
    私はひたすらそれを願った。
    でなければ生きていけないような気がした。
    咲子を殺したのは私かも知れない。』

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    2018年06月09日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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    東北の地を巡る蝦夷のプライドをかけた戦いも大団円を迎えます。坂上田村麻呂の登場で、状況が大きく変わり物語は一気に終焉に向かって進みます。登場する男たちが本当にかっこいい!ドラマにもなっているようで、見てみたいです。

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    2018年04月01日
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(3)

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    どこまでも熱い漢達の話、第三弾。
    九戸政実なんて、日本史で習った記憶無い程知名度は低いと思うのですが、天下人秀吉にここまで抗った武将が他に居るのでしょうか。

    素晴らしく魅力的な人物が次々と登場しますが、やはり九戸政実が断トツ。
    男が惚れる漢です。
    阿弖流為と言い貞任と言い、本当にこの作者は描き方が旨い。

    現代の野党も、このぐらい与党に筋の通った抵抗をすれば良いのに、なんて事も思ったりします。

    日本男児は是非一読を。
    東北3部作は全て、傑作です。

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    2018年01月24日
  • だましゑ歌麿

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    歌麿や北斎、蔦屋、松平定信など実在の人物が登場する歴史事件簿。
    恐らくはフィクションだと思いますが、時代背景や浮世絵に関する知識を上手く盛り込んだ、非常に面白いエンターテイメント作品に仕上がっています。
    高橋作品の新たな一面を見たようで大満足です。

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    2018年01月15日
  • 竜の柩 全6冊合本版

    購入済み

    日本古代史から続く歴史SF

    半村良、石の血脈以来のお気に入り歴史SFで楽しんでます。前者も長編で一気読み出来ませんでしたがこれはもっと無理。膨大な史料調査がベースにあってもあくまで小説、というのについ引き込まれます。まだ読み終わってませんが長い歴史を持つ日本を見つめ直し故事巡礼の旅に出たくなります。但し日本の地理と歴史に興味が無いと??かも知れません。ディスカウント合本冊で一気に入手出来て嬉しいです。

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    2018年01月11日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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    本書の舞台である平安京遷都前の東北地方について、数十年前に読んだ教科書には確か「坂上田村麻呂が初代 征夷大将軍として東北を平定」のようにすごくあっさりとだけ記述されていたような記憶があります。
    途中まで面白いように策が的中し無敵とも思える蝦夷軍が何故、どのように敗れてしまったのかと思いながら読み進めましたが、このように描いてくれた高橋氏に感謝すら覚えるほどの素晴らしい結末でした。
    本書を読んでいなければ生涯知ることがなかった可能性もある蝦夷の歴史は、非常に誇り高く、有能で、かつ魅力的な男たちの物語です。
    陸奥三部作を読んで東北地方に対するイメージがすっかり変わりました。まだ平泉に一度訪れただけ

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    2017年12月29日
  • 風の陣【大望篇】

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    1巻に引き続き、臨場感たっぷりの舞台展開。名前しか知らなかった歴史上の人物が物語の中で鮮やかに踊ります。よくぞここまで詳しく丁寧に調べ上げ、物語まで昇華なさったなと尊敬です。

    余談ですが、天皇まで人間の感情を持って行動する姿が印象的で好ましい。

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    2017年08月22日
  • 風の陣【立志篇】

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    全5巻にもかかわらず、1巻だけでも充分に見せ所が用意されており満足感が高いです。現代にも通じるような感情の機微、揺れが丁寧に描かれているところがお気に入り。
    それぞれの策略が蠢く中、誰を信じるのか。それが生死や一族の盛衰にまで関わることがこの時代の恐ろしさ。2巻もすぐに手にとって読みたくなる臨場感です。

    登場人物が多いせいか前半少し読み進みにくいですが、後半には慣れてしまいます。

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    2017年08月22日
  • だましゑ歌麿

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    ネタバレ

    驚愕の事実!内風呂の普及していない時代の「謹慎」とは、風呂屋へも行けないんである!温暖化の進んだ現代ニッポンだったら、もはや極刑だ…

    南町奉行所の同心、仙波一之進が主人公。江戸町奉行の現在位置をご存知?南町奉行が有楽町マリオン付近、北町奉行が八重洲北口付近だって。変な感じ。

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    2017年08月12日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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    故郷を舞台とした物語でありながらきちんと知らなかった事を後悔している。と言っても、阿弖流為については記録にはほとんど残っていないようなので、本当の所はわからない。
    獣と蔑まれても誇りを貫く蝦夷の姿が美しい。坂上田村麻呂と阿弖流為の敵味方を超えた信頼関係も、読んでいて嬉しいものがある。
    この作品で描かれている、政治権力・多数派から少数派・自分達とは異なるものに対する無知と侮蔑は、時代や場所が変わっても存在し続けているものだと思う。公民権運動やプライド・パレードなども連想した。千年経って技術や政治システムが進歩しても、人間そのものは千年前から大して変わっていないんだろう。例外なく人は死んで、経験も

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    2017年07月10日
  • 炎立つ 伍 光彩楽土

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    世界遺産 平泉へ訪れるなら、この作品は必読です。何も知らずに金色堂と密集したお寺を眺めるだけではなく、「浄土を作る」というコンセプトがどんな背景からできたのか想像しながら歩くと、感動の大きさは歴然の差があると思います。

    それほどこの作品は私のような初心者にも、陸奥の歴史を鮮やかに想像させてくれました。著者の歴史への知識に裏打ちされたストーリーと、「武士」としての人間関係や判断に引き込まれます。
    お気に入りは「そうきたか」と呟いてしまうほど良い意味で期待を裏切るクライマックス。当時の武将の取る選択肢としては考えられない視野の広い人道的な感覚です。歴史的な真偽は知らないのですが、小説として大変楽

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    2017年07月09日
  • 風の陣【裂心篇】

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     奈良時代、陸奥の鮮麻呂は、蝦夷の誇りを懸けてついに決起を覚悟する。朝廷と蝦夷の戦乱を描く歴史大河ロマン最終巻。

     シリーズ最終巻の主人公は、今までの嶋足から鮮麻呂に引き継がれ、舞台は陸奥に移り、蝦夷がどれだけ朝廷からさげすまれていたのかが、描かれています。

     これまでの嶋足や天鈴の権謀術数も通じず、戦いを避けては通れなくなった鮮麻呂の苦悩がとてもよく伝わってきました。

     戦うことで蝦夷の思いを若い世代に伝えていこうとする鮮麻呂の生き方は、一人の人間として価値あるものだと感じました。

     自分が子供たちや次の世代にどんなことを伝えていくことができるのかそんなことも考えさせられました。

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    2017年06月25日
  • 炎立つ 伍 光彩楽土

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    ついに完結。
    最後まで清々しい蝦夷の志に心を打たれました。
    源平の戦いの陰に隠れた奥州平泉の物語が真実かどうかはわかりません。ただ、この作品で描かれているような高貴な魂の結果が今の日本に少しでも影響していればと願ってしまいます。
    もう一度平泉を訪れたくなりました。そして、平氏や源氏の視点から描かれた作品も読んでみたいです。
    義経の生涯は諸説ありますが、本当はどうだったのかと想像すると夢が膨らみました。

    文句なしの5点満点です。

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    2017年06月24日
  • 風の陣【風雲篇】

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     奈良時代、道鏡の権力を巡る新たな野望と暗闘に、若き蝦夷たちが立ち向かう、大河歴史ロマン第4弾。

     皇位を狙った道鏡の野望を阻止しようと嶋足と天鈴は、もてる限りの知恵と力で立ち向かっていく姿はこの巻でも健在で二人のあきらめない強さが伝わってきました。

     また、今までは舞台は都が中心でしたが、この巻では、陸奥の方にも舞台が移され、二人の活躍や葛藤の様子がさらに広げられ、物語が深まっていく感じでした。

     権力に振り回されていく人、その権力に敢然と立ち向かう人、その時代に自分はどの立場で生きていくことができるのか、とても考えさせられます。

     次巻がいよいよ最終巻、早く読みたいと気持ちと終わっ

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    2017年06月18日
  • 風の陣【天命篇】

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     奈良時代、蝦夷の存亡と誇りを懸けた、新たなる闘いを描く大河ロマン第3弾。

     この巻の大きな敵は、前巻まで共闘していたあの道鏡、嶋足と天鈴の二人が道鏡を倒すため、様々な策略を図っていくところが歴史を動かしていく醍醐味を感じさせ、読みごたえがありました。

     歴史上の人物も次々に登場し、今まであまり縁のなかった奈良時代の歴史を身近に感じることができました。

     大義を貫くため、犠牲を払わさざるを得ない苦しさに悩む嶋足の人間性にもとても魅力を感じました。

     次巻でついに道鏡が最高の権力を手にしてしまうのか、まだまだ読ませる力が止まらない感じで、とても楽しみです。
     

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    2017年06月11日