高橋克彦のレビュー一覧

  • 炎立つ 四 冥き稲妻

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    ネタバレ

    後三年の役を舞台にした東北武士の物語。ここから奥州藤原氏は始まる。源義経を理解するならここから読み始めろ!!


     東北の歴史はブツブツと知る程度だけれど、脈々と続いていたことがよくわかって、歴史の勉強としても非常に理解が深まる。確かに正史ではないかもしれないけれど、この解釈は非常に納得がいく。というか、気持ちいい。


     前巻までの安部貞時や藤原経清らのように熱い感じは少ない。だけれど、生き残るには生死をかけないといけない、弱肉強食の時代を感じられる壮絶さを描いている。迫力ある描写は読みごたえあり。なんていうか…ページをめくるとその先は、血でべっとりしてる!!



     藤原清衡は…、我慢強かったから藤原清衡になれたんだろうと強く感じた。
     武士道とは「潔いこと」だと新渡戸稲造の著書で勘違いが広まってしまった。本当は、「初志貫徹」こそが武士道である。己の定めた崇高な志を実現するために、どんな困難も耐え、壁を乗り越える。
     「志」という不定形の物のために己を捨ててまで執着する。その心意気が「武士道」なのである。
     清衡にはその武士道を感じる。父である経清のようにプライドであっさり志を諦めるような体裁を気にする男じゃあない。
     江戸時代に作られた美学的武士像。そういうんじゃなない、リアリストな当時の武士像がわかる。

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    2015年09月04日
  • 炎立つ 伍 光彩楽土

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    源氏による蝦夷奥州討伐の話。
    この時代の時代小説は珍しく、また日本の成り立ちのイメージも膨らみ、歴史に対する好奇心が広がって楽しかったな。

    1巻2巻は「前九年の役」
    3巻4巻は「後三年の役」
    5巻は「源義経」の話

    源義経の話は多いが、藤原氏視点と言うのは珍しいのではないか。興味深かった。

    【メモ】
    平将門の乱が平定されて100年後、蝦夷の反乱は、小規模ながら有るものの朝廷がよく機能し収めていた。朝廷は平氏や源氏を筆頭とする武士団に対して警戒するようになっていく。

    この国はもともと我らの祖先が開いた国、そこに帝の祖先が兵を率いて襲ってきた。我らの祖先はその時出雲を本拠地としていたが、追われて諏訪や津軽に逃げた。日の本の国名は出雲に由来している。出雲の中心に斐伊川が流れていて上流には蝦夷が開いた鉱山がある。祖先は斐の本の一族と呼ばれ、日の本、日本となった。陸奥に出雲の大国主命を祀る神社が多い。蝦夷、物部の神は蛇神、帝の祖先の須佐之男尊が出雲で退治したのはヤマタノオロチ、すなわち大蛇。

    藤原経清のもと妻が奥州を平らにしたと言うことで、息子らに真衡、清衡、家衡の名前をつけ、それ以来藤原家では、○○衡が続く。

    平氏、源氏は遡れば帝の流れ、藤原は蝦夷の流れ

    藤原経清・結有(前九年の役)
     ┗清衡(後三年の役)
      ┗基衡
       ┗秀衡
        ┗安衡、忠衡

    藤原秀衡、先先代が陸奥の支配者に成ったのは源氏の後ろ楯があったから、その恩を受けて、源義経を奥州に守り引き立てる

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    2015年07月13日
  • 炎立つ 壱 北の埋み火

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    ミステリー、SF、伝奇と言った分野が多い高橋克彦氏であるが、正統的歴史物語である。と言うのもNHKの大河ドラマの原作として書かれているからだ。陸奥の藤原三代は歴史的にも有名だが、この物語はその一代前、当時蝦夷と呼ばれた安倍貞任に共鳴した藤原経清から始まる。大和朝廷にとって陸奥とは何だったのか、源氏と陸奥の関わりを明快に示してくれている。
    八幡太郎義家が義経に、経清が泰衡に転生するという筋書きには頷ける所がある。
    惜しむらくは、高橋氏の執筆が放送に追いつかなくなって、大河ドラマが途中から原作を無視したことである。高橋氏自身が途中からドラマを見たくなくなったそうである。

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    2019年01月09日
  • 竜の柩(1) 聖邪の顔編

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    とても面白かった。オカルト、考古学、古代文明の謎、オーパーツ。好きな要素ばかりで読み出したら止められなかった。

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    2015年05月13日
  • 炎立つ 弐 燃える北天

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    ネタバレ

    東北にスポットを当てた歴史戦争もの。西国が日本史の主流だけど、東北でこそ雪をも熔かす熱い戦いが繰り広げられていた。



     戦が始まった!源頼義との闘いが始まったぞ!!アツイ!アトゥイ!!心昂るぅ!!!謀略、謀略ぅ!!!

     源頼義のずるさが出る。でも、武士は武士だった。この頃からこんなに武士の倫理はあったのかなぁ?

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    p9 鬼切部の後
     藤原登任というアホ陸奥守を安倍頼良が誅伐してその後、新たな陸奥守の着任は遅れた。朝廷は登任という誤った人選をしたことを自分たちの責任と認めてはいけない。次の陸奥守はきちんと実力のあるものを選んで、安倍氏を力でも支配における者を置かないと、後の反逆の種を撒いたままにしてしまうことになる。

    p21 戦しかない
     源頼義が新たな陸奥守に決まった。朝廷としても武士団の伸張は快く思えない。しかし、東北の東夷の勢力がこれ以上大きくなるのも快くない。目には目を、武士には武士をということか、頼義の派遣が決まった。これはもう、戦になることを見越しての人選である。それも、勝てる戦を見越しての源頼義の派遣である。
     朝廷の貴族は自分たちでは戦をしない。他人事だから東北の地の戦乱も軽く決める。この戦争で何万の兵士が死に、その家族が悲しみに暮れ、苦しい生活を送るようになるのか。考えもしないのだろう。そういう時代だった。

    p36 噂で尾ひれをつける
     頼義が陸奥守に任じられてから、それまで東国のことなど何も知らないような京の民に、俄かに東国に危機が迫っているという噂が広まった。東国で安倍氏が挙兵すれば京に攻め込み政権を奪う大合戦が起きる。そうなる前に朝廷は軍を派遣して平定してほしい。そういうように派兵はもはや民の要請になっているようだった。
     この噂はおそらく源頼義から発信されている物だと経清はいった。もし頼義がさくっと東国平定を成し遂げも「なんだ大したことなかったんじゃん」で終り、手柄にならない。仕事をする時は、手柄を大きくするために、敵は大きく仕立てるのができるやつの仕事である。

    p223 発端
     源頼義は何としても安部氏と戦をしたかった。何もしないまま帰ったところで何もない。問題はどうやって戦の口実を作るかであった。在任中、何度も安部氏に挑発をかけるも、無為に終わった。
     そこで頼義は安倍貞任に罠をかけた。頼義の軍団に護衛で就いた貞任の部隊に「頼義は貞任を罠にはめて夜討ちにかけるつもりだ、逃げろ。もし逃げなければ、頼義を奇襲したという罪を捏造され、戦争開始のきっかけにでっち上げられるぞ、逃げろ。ちなみに、陽動に使うから安部氏の旗を貸してくれ。」と密告を装い、貞任から安倍の旗をもらい、それで貞任軍を装い頼義軍に襲撃を捏造しようとした。
     ところが、義家が天然ボケを発揮してこの罠をかける前に、工作員に出会って殺してしまった。計画台無し。それでも頼義はゴリ押しで貞任の奇襲作戦を捏造し、開戦に持ち込んだ。

     不正義!!

    p285 試される
     藤原経清と藤原永衡は安倍と懇意になったが、自分の職務に順じて義頼側に付いた。しかし、頼義は二人が敵方に密通していないかを試した。そのために初戦は二人に命じた。
     経清としてもこんな戦はやりたくない。初戦もできるだけ小規模なものにしたかった。それはうまくいった。でも流れ矢で負傷した。でも、その傷のおかげで疑いは晴れた。
     しかし、永衡は無傷だった。ということで疑念は晴れず、処刑されてしまった。とはいえ確証はないのでほぼ暗殺だった。切腹ではなく背中からブスリと。
     自白を強要し、それでもだめで、「逆心を疑われるとは武士の恥だから腹を斬れ」という無理強いをした。それでも聞かず、殿の前でなら腹を切るというところまで粘った。だからもう、背中からブスリと。

     経清はこれで頼義に愛想を尽かした。


    p302 切腹の意味
     永衡にそこまで切腹を迫ったのは、あくまで逆心の罪を認めさせたかったからである。今も昔も取り調べの方法は変わっていない。自分で罪を認めさせて、正義を作り上げるのである。
     とはいえ、切腹させることには失敗した。背中の傷を隠せるように全力で工作した。

     ああ、不正義。

    ______


     結局、頼義は敗走した。正義は勝つで終わってすごくスッキリだった。

     でも歴史では安倍氏は敗れる。このあとが楽しみでしょうがない。

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    2015年05月12日
  • 総門谷

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    高橋克彦が、吉川英治文学新人賞を受賞した作品。ミステリー作家と思われていた氏が、とんでもない伝奇SFを書いてしまった。ネタが凄い、あらゆるSFのテーマがほとんどつぎ込まれている。文庫本で778ページ。上下巻に分けないところがミソ。読み始めたが最後、読み終わるまで、飯も食えない。だって私がそうだったもの。

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    2015年03月24日
  • 時宗 巻の四 戦星

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    ついに蒙古襲来
    全国の武将が日本の為に命を懸ける
    この構造を時宗親子が作り出したのだ
    倉山満の歴史観では神風なしで勝てる体制を作った時宗が世界史に一石を投じたのだ

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    2015年03月23日
  • 火怨 上 北の燿星アテルイ

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    宮沢賢治の生まれ育った町・岩手を含む東北地方に住む蝦夷たちの物語。
    自然が雄大だなぁ、と思う。

    歴史物は戦闘シーンが想像しにくくて読み飛ばしちゃうことがあったんだけど、これはすごく丁寧に書いてくれてるからじっくり読んでしまった。

    阿弖流為、母礼を始めとする蝦夷たちの友情は温かくて、阿弖流為と佳那、飛良手と滝名の恋愛は微笑ましくて、人間模様も素敵に描かれている。

    坂上田村麻呂の名前は(お、出てきましたな)って感じで登場してて、これからどうなるかは知ってても下巻が楽しみになる。

    こんな美しい東北に地震と津波があってから、そろそろ4年になるのだなぁ。

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    2015年03月06日
  • 炎立つ 伍 光彩楽土

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    時代が下って、平氏の台頭から奥州藤原氏の滅亡まで。泰衡が義経を逃がし、奥州の平穏を守るため、自ら滅ぶ道を選んだというのは、もちろん定説ではありませんが、これは「アテルイ」からの筆者の基本的な姿勢。まあこれはこれで良いかと。

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    2015年02月08日
  • だましゑ歌麿

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    これは、本当に面白い。
    久々に傑作の時代小説だった。
    登場人物に歌麿、北斎、蔦屋という豪華さに、主役の十手持ちの男振りの見事なこと。
    エンターテイメントとして、完璧。
    良い読書でした。

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    2015年01月17日
  • ドールズ 月下天使

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    最高

    単純なストーリーみたいで奥が深い
    このシリーズをずっと続けて欲しい
    目吉センセーの大ファンです

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    2015年01月12日
  • 炎立つ 四 冥き稲妻

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    ネタバレ

    後三年の役と奥州藤原氏の成立を描く第4巻。安倍氏と源氏の争いだった前九年の役と比べると、スケールも登場人物もスケールダウンの印象も、高橋克彦氏の筆の冴えはさすが。はずれ無しです。

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    2014年11月16日
  • 炎立つ 伍 光彩楽土

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    今までの集大成。全5巻は多いという方も、最終巻だけでもおすすめです。
    読後に奥州に旅立った方が結構いらっしゃってびっくり。…自分も旅立ちました(大笑)!

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    2014年10月07日
  • 炎立つ 四 冥き稲妻

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    3巻の主人公の子供が主人公。母親と2人で敵の館で暮らしているという過酷な生活。
    でもこの人が陸奥を纏めるようになるんです。どうやってそこまで登り詰めたのか。
    この人もすごく気丈。 

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    2014年10月07日
  • 炎立つ 参 空への炎

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    誰かがすべて悪いというわけじゃなくて。それぞれの思いが擦れ違っている所が切ない。
    登場人物も見所もすごく多い。擦れ違った思い達が繋がり、滅びが訪れる。
    ☆←ブログの方は纏め切れていませんが(汗)。

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    2014年10月07日
  • 炎立つ 弐 燃える北天

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    一巻の続き。一件落着したと思いきや、今度は源氏が陸奥に乗り込んできた。
    名を挙げるため戦に持ち込みたい源氏と、戦を避けたい安部氏の策略の応酬。
    でも防ぎきれず戦に。安部氏強い!☆

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    2014年10月07日
  • 炎立つ 壱 北の埋み火

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    高橋克彦氏で一番始めに読んだ歴史小説。平安時代の東北地方の話。
    主人公がかっこいい。慎重で腕が立つ。情勢をよく見ている。義兄弟を見捨てない。☆

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    2014年10月07日
  • 炎立つ 弐 燃える北天

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    経清と言う武士

    奥州藤原氏を知っていても、藤原経清という存在を知っている人は地元岩手県生まれの人でも、そうは居なかっただろう。
    私もその一人だった。
    もちろん作者の想像が多分にふくまれているにしろ、経清という「武士」の存在を知れた事が岩手生まれの者として非常に誇らしく思える。

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    2014年09月16日
  • 炎立つ 参 空への炎

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    ネタバレ

    奥州藤原氏を描いた歴史小説第3巻。
    前九年の役、出羽清原氏の参戦・安倍氏内部の裏切りによる安倍氏の滅亡まで。

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    2014年08月16日
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(3)

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    南部家の棟梁になるに十分な器量を備えながら、秀吉の方針で勝手に東北の区割りをされることに怒る九戸政実。その方針に反発し、九戸と同志のみで秀吉に喧嘩をふっかける。秀吉がほぼ全国を統一した後だけに勝てる見込みは無いにも関わらず・・・。秀吉の政権が早々に倒れることも見通しつつ、東北武者最後の意地を見せてくれる。

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    2014年08月09日