高橋克彦のレビュー一覧

  • 炎立つ 壱 北の埋み火

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    転居で今までより東北が近くなった。そのうち行ってみようと思うから、その予習に再読。
    奥州3部作のなかで、これが一番好きだった。

    続きが楽しみ。

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    2025年09月07日
  • 緋(あか)い記憶

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     東京でデザイナーをしている〈私〉は、共に盛岡での高校時代を一緒に過ごした友人である加藤から古本屋で、古い盛岡の住宅地図を買ったことを聞かされる。古い地図から過去の自分自身の記憶を振り返るのが趣味だというのだ。〈私〉には淡い記憶があった。彼に倣って住宅地図で過去を振り返ろうとした〈私〉は、記憶の中にある一軒の家を探した。確かにあったはずの家がどこにも見つからない。あの家の正体は。そしてあの思い出は。ラストに恐怖と切ない余韻が残る――「緋い記憶」

     東北の民家が中心の画集の中に描かれた断崖の側に建てられた大きな宿屋の絵。〈私〉はその絵を見て、胸騒ぎがした。幼い頃、〈私〉はその岩手の山の奥の温泉に行ったことがある。なぜ母は郷里でもない岩手に。三十年以上の月日を隔てて、〈私〉はその宿を訪れる。母親が死んだその宿で、そこで〈私〉は美しい女性、静子と出会う。意外性もあり、奇妙な味わいのあるラストが印象的な――「ねじれた記憶」

     記憶というのは、いまではなくなってしまった時点、必ずどこかがぼやけてしまっているものです。だからこそ無性に怖くなってしまう時があります。そのぼやけて、分からなくなってしまったところで、自分はとんでもないことをしでかしてしまったのではないか、と。本書は全七篇、記憶にまつわる短編が残っています。どこにでもある自然な一幕に不穏さが滲み出しくる導入と切れ味良くも決して合理では割り切ろうとしないラストが、全体的に素晴らしかったです。特に表題作の「緋い記憶」が印象的で、これからも読み継がれていって欲しい作品集だ、と思いました。

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    2025年07月27日
  • 写楽殺人事件 新装版

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    ミステリー小説ですが、個人的にこの物語で起こる殺人事件に関してだけでみたらそこまで素晴らしいとは思わないかもしれません。
    しかしこの小説は異常な面白さでした。浮世絵を全く知らない私でしたがこれから浮世絵のことをさらに知りたいと感じてしまうくらいでした。中盤までは専門的な用語や人物が多く退屈しそうな部分もあります。しかし、登場人物の情熱や交わす言葉のどれもが素敵で魅了されます。
    写楽の謎から始まる殺人事件ということで浮世絵をミステリーの道具としていますが浮世絵の部分が完璧すぎました。
    こんなミステリー小説でもいいのだとまた新たに読書が好きになりそうです。

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    2025年04月13日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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    前編より続く。
    敵情視察に訪れた京で見たのは、蝦夷に対する蔑みと敵意。そして宿敵坂上田村麻呂との出会い。
    朝廷の威信と蝦夷の尊厳を賭けた戦いは朝廷の敗退が続き、業を煮やした帝は田村麻呂に討伐を命ずる。そして決着の時、征夷大将軍田村麻呂率いる十万の軍勢とアテルイ率いる精鋭部隊一万三千が陸奥の地で相見える。
    この物語はここから結末までがとにかく感動的。一族の安寧を願うアテルイの決断に思わず目頭が熱くなる。
    人類の歴史は侵略の歴史。一握りの受益者と数多の犠牲者。延々と続く負の遺伝。人は自らを理性を有する無二の生物とするに、欲望に際限がないのは何故か。
    当時の日本の総人口は600万人前後と言われている中、十万の軍勢など想像を絶する規模。そこまでして得なければならないものとは何か。
    人間とはそれほど愚かな生き物なのだろうか。

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    2025年04月06日
  • 火怨 上 北の燿星アテルイ

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    一氣読み。引き込まれた。
    時代は平安遷都の前後、国家の大事業とともに大規模な征討がおこなわれた。その標的となった未開の地、陸奥に住まう蝦夷一族が尊厳と平和な暮らしを求めて抗う話し。日本人なら一度は耳にしているだろう「征夷大将軍」は、この蝦夷征伐の総大将に与えられた特別な官職。武家の最高職となったのは後のこと。
    異民族として人にあらずの扱いを受けるが故に朝廷への臣従を拒否する蝦夷一族に侵略の手が伸びる。行く末を案じる長らの期待を背負い、やがて名実ともに総大将となるアテルイと名参謀のモレら若者が中心になって反旗を翻した。圧倒的な武力を持つ朝廷に対し、一度たりとも負けることが許されない終わりなき戦いが始まる。
    戦いの間隙を縫って、アテルイ、モレ、イサシコら中心メンバーは後援者の天鈴の発案で敵情視察に京へのぼる。そこでは・・・
    ぐっと心を掴まれる熱い物語は後編へと続く。

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    2025年04月05日
  • 写楽殺人事件 新装版

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    新装版、大河ドラマ「べらぼう」の帯で手に取り、何十年ぶりかに再読。

    まだスマホはおろか携帯もない頃の話だか、そもそもひとつひとつ、その地に赴いて人に聞いて資料を自分で見ないと謎を解き明かせないのは同じだから、ギャップを感じずに楽しむことができました。
    読み終わってから、もう一度読みたくなります。


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    2025年02月07日
  • 竜の柩(1) 聖邪の顔編

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    中学生の時に、夢中で読みました。
    竜とは?神とは?
    自分の知らないことを知る楽しさ。
    こんな読書体験が、またできたらなー!

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    2024年11月23日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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     上・下巻合わせて1000ページ超にハマりました。長きに渡る戦いに蝦夷の先行きを想い、アテルイが下した決断の潔さと覚悟に、何度も目頭が熱くなりました。人としての誇りを守るために闘う物語に心底酔いしれ、茫然としています‥。

     立場と信念の相違により対峙するアテルイと坂上田村麻呂。心では互いに認め合いながらも、運命に翻弄されていく様子が哀しくも美しく描かれます。田村麻呂の漢気にも感無量でした。
     決して軽々しい「敗北の美学」がテーマの物語ではないのですが、形の上で負けであっても、後々どう評価されるか、そこで真価が問われるでしょうね。蝦夷の心・誇りが1000年先まで伝わったら、寧ろ勝ったのだと言えるでしょう。

     本書を読まずに東北は語れない、と思い知らされました。東北人が、度重なる飢饉や災害、中央権力に虐げられてきた(3.11の福島原発事故や復興五輪など)歴史の原点をみる思いがしました。
     蝦夷の民を束ねたアテルイの火怨は、この先も永く語り継がれ、決して屈しない東北の民の道標となり続けるのでしょう。

     ところで、MLBで活躍する大谷翔平選手の活躍を見る度、アテルイを重ねてしまいます。岩手・水沢出身で大きな体躯、人望厚く周囲から愛され、勇猛果敢に敵と戦って結果を残すのですから‥。
     ◯古代東北の英雄 → アテルイの転生じゃね?
     ◯苦難に屈しない魂 → 蝦夷の末裔じゃね?
      (蝦夷は蔑称ゆえ、お叱りを受けるかも‥)
     アテルイと大谷選手の同郷は、偶然か必然か! アテルイを知るほどに、必然と思えます。日本の宝なれど、東北魂を体現する希望の星ですね。

     発刊から四半世紀。遅きに失した感の出会いでしたが、本当に読むことができてよかったです。爆推しの上・下巻でした。

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    2024年06月04日
  • 火怨 上 北の燿星アテルイ

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     高橋克彦さん初読なのに、日本推理作家協会賞・直木賞受賞作品等を飛び越えて本作! まだ上巻ですが、読み始めて直ぐ、感激に打ち震える"傑作"の予感がし、確信に変わっていきました。「わが選択に、一片の悔いなし」です!

     今から1200年ほど前、奈良末期から平安初期の東北地方。"蝦夷(えみし)"と呼ばれる一族は、平和な日々を送っていましたが、全国平定を狙う大和朝廷に虐げられ、生活を脅かされます。

     因みに「平定」とは名ばかりで、征夷大将軍の「征夷」は、朝廷に臣従しない東北の民である蝦夷(蛮族)を征討する、という意味でした。

     そんな蝦夷一族を率い、蝦夷を獣同等と見做し蔑む朝廷と戦った男が、阿弖流為(アテルイ)でした。本書は、このアテルイの生き様を描く物語です。

     上巻のアテルイはまだ青年期ですが、周囲の心を惹きつけ高揚させる、リーダーとしての資質を備えていました。また、周囲の一人一人も個性的で、生き生きと描かれ魅力的です。
     アテルイに導かれるように軍師や腹心らが集い、蝦夷の軍事力が増強されます。同時に、アテルイの判断力・統率力も磨かれていくのでした。
     朝廷側の大軍を見事に退けるも、終わりなき闘いなのか‥。下巻に続きます。

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    2024年06月02日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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    上司に勧められ手にしたが、文句無しの傑作でした。
    脚色はあれど史実ベースとは驚き!
    故郷を守り尊厳を取り戻す為に戦う蝦夷の人々の熱き思いに心が何度も動かされます。
    また、常に数的不利でありながら巧みな戦略や罠で朝廷軍を打ち負かしていく姿は痛快です。
    朝廷側でありながら蝦夷を対等とみなし、戦以外の道を模索する田村麻呂の葛藤も見事に描かれています。
    とにかく最高の作品でした。

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    2024年05月02日
  • 風の陣【裂心篇】

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     最終巻は伊治鮮麻呂が主役。4巻までが嶋足・天鈴の京視点の蝦夷だったため、少し残念と思っていたが、最後まで読んでそもそも4巻までが鮮麻呂の物語の御膳立てだったのだと思い構成に舌を巻いた。
     本巻は陸奥三部作に劣らない「熱」があった。内外両方から敵と見做されながら耐え続けてきた鮮麻呂の保っていた糸が切れた瞬間(天皇の勅令で蝦夷を獣と呼んだ場面)が鮮明な印象に残った。鮮麻呂は嶋足も同じ気持ちだったのかと思い耽る場面があるが、私はレベルが違うと思う。嶋足は重用はされずとも自ら蝦夷に手を下すことはなかったが、鮮麻呂は忠誠心を示すために仲間を殺さなければならなかった。最後に自死を選んだのはその贖罪もあるのだろうと思う。
     鮮麻呂は風、阿弖流爲は炎。風が炎の勢いを強める。まさに言い当て妙。

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    2024年03月10日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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    朝廷との戦いも数十年に渡り、次世代に蝦夷の志を継ぐためにはどうすればよいか…朝廷側に坂上田村麻呂がいたからこその結末。
    著者の解釈でしかないが、いかにもそうであったろうと思わせる説得力がある。

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    2024年01月07日
  • 噴怨鬼

    購入済み

    久方ぶりの新刊

    弓削是雄シリーズ、まだまだ続くか?!
    次を期待せざるを得ない!!

    #感動する #アツい #ハッピー

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    2023年12月08日
  • ツリー 下

    購入済み

    高橋克彦作品、特に総門谷、ずいぶんと長いこと結末を待ってきましたが、氏の結末がこれなんだと理解しました。
    40年以上、楽しませていただきました。
    高橋克彦先生、ありがとうございました。

    #笑える #深い #アツい

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    2023年11月21日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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    名前と結末は知識として知っていたけど読んで良かったな。
    日本の正史の影の部分から見た日本みたいな視点ってあまりない。
    朝廷を外側から見るってのは新鮮だったな。
    後、正史によく出る北九州から関東あたり、花形の関西から関東あたりではない地域にも勿論その時の歴史があるっていうね。
    そういうのにも更に興味が増したかな。

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    2023年11月13日
  • 炎立つ 四 冥き稲妻

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    久しぶりの「炎立つ」だけれど、4巻のみ。
    むか~し、夢中になっていた頃は、経清と安倍一族ばかり読んで、
    今で言う「聖地めぐり」までしていた。
    その分、後半の4,5巻の記憶が抜けている。
    (あらすじはわかっているけれど)
    後三年の役の舞台となった、出羽を旅するにあたり、読み返したわけ。
    いや~、止まらないわ。
    おもしろい。
    息をもつかせぬとは、このことだね。
    歴史の整理(出来事)には十分、旅の予習ができた。

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    2023年08月20日
  • 噴怨鬼

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    陰陽師 弓削是雄シリーズ

    『噴怨鬼』と名乗る強力な鬼の怪異から都、ひいては民を護る為、神の見せた夢を仲間と共に辿る、王道ファンタジー
    前作を読んでいなくても楽しめます

    鬼の正体は?
    陸奥に眠る艮の金人とは?
    蘇我氏に中央から追われた物部氏の背景にも興味は尽きません
    爽やかな仲間の絆にとても心満たされる作品です

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    2023年08月20日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

    購入済み

    武士の生き様

    アテルイとモレ達の生き様がとても潔い。
    最後まで勝って、処刑された武士。
    後世が舞台の「炎立つ」を先に読んだのですが、そちらよりスッキリとまとまっていて好きです。
    良かった。本当にいい作品でした。

    #泣ける #感動する #アツい

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    2023年06月06日
  • 風の陣【大望篇】

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    権力争いの様が読んでいて苦しい。
    天鈴や嶋足が、その為に戦っているのではないから少し気が晴れるというか、爽やかな空気になるというか。
    いや、だからこそ、権力争いの醜さが際立つのか。

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    2022年08月28日
  • 風の陣【立志篇】

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    人間って汚い。自分もそうだけど、どこまで人間て汚いのかと嫌になった。
    なんのために?が重要。

    嶋足はいいやつだけど、流されやすいし染まりやすい。すごいわかる。
    天鈴が、一体何者なのか。キレすぎ。

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    2022年08月20日