高橋克彦のレビュー一覧
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8世紀中頃の黄金発見に端を発する奥州動乱と中央政権の血生臭い権力抗争を描く大河ロマン第1弾。
これまで奈良時代を舞台にした作品を読んだことがなかったので、人物等もなじみがなかったのですが、主人公の丸子嶋足をはじめ、権力に固執する藤原一族など、一人一人が生き生きと描かれ、あっという間に奈良時代の歴史舞台に入り込んでしまいました。
武士ではなく貴族の時代にあれほどまでの権力闘争が繰り広げられていたことに、正直衝撃を受けました。
陸奥の平和を目指して、躍動と葛藤を重ねていく若き蝦夷たちのこれからに期待が高まりました。
この1巻でも十分一つの作品として読むことができますが、やはり蝦夷 -
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目前に迫る十万の豊臣秀吉軍。日本中がひれ伏した敵にわずか5千の兵で九戸政実は誇りを賭けて喧嘩を売った。
最終巻にふさわしく九戸軍と豊臣軍との戦いの連続が描かれ、めくるページが止まりませんでした。
数では圧倒的に不利な九戸軍が数だけが頼りの豊臣軍を優れた作戦で次々と打ち破っていく様は読んでいて、その場の戦場の雰囲気を感じられるほど、とても爽快でした。
秀吉の時代にこんな優れた熱い武将がいたことにとても驚くと同時に、その存在をこの作品を通して出会えたことにとても幸せを感じました。
「火怨」「炎立つ」に続いてこの作品を読むことができてほんとによかったです。 -
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坂田村田麻呂の蝦夷征討の話。主人公は 蝦夷・ 阿弖流為。
「炎立つ」に負けず、心熱くなる話であった。蝦夷贔屓の著者によると、史実がこうなるのかと感心しながら読むが、引き込まれ蝦夷の心意気に熱くなる。
「4千人が呼応しての戦となれば、命令が下まで届くことこそ大事。それには馴れ合いこそが大敵と心得ねばならない。もし自分の兵を他の兵と同じに扱えるか?いや、過酷な状況に追いやって無駄に死なせることになるだろう。出身地関係無く、兵を混ぜ、将も感情に流されず、指揮する事が必要。」のくだりは現在のマネジメントにも繋がると感じ、多くの人間を部下にもつ人の考え方を垣間見れた。
【参考】
文の菅原道真と武の -
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南部の雄、九戸政実は南部一族内の権謀術数うごめく陸奥に縛られていた。そんな中、天下人となった秀吉が20万の兵を率いて東へ進軍を始める。
前巻では、政実の戦いぶりが数多く描かれ、戦国武将の強さを見せつけられましたが、この巻の前半部分では、合議の駆け引きの緊張感漂う戦いが描かれ、一気に読み進めてしまいました。
陸奥に縛られながらも南部の将来を見据えて闘い続ける政実の生きざまに心を打たれてしまいました。
政実の敵や弟たちが戦いの中で武将として成長していく様子も読みごたえがありました。
次巻の最終巻で政実が秀吉とどのような決着をつけることになるのかしっかりと見届けたいと思います。 -
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まだ日本が今ほどひとつじゃなかった頃、奈良時代末期の物語。金が採取される山があって、それをめぐる戦いが、即ち蝦夷との戦いだったんですね。授業では時間が無くて仕方が無いんだけど、年代と人物と出来事を詰め込んだだけで、どういう事件だったのかとか、背景にまつわる部分は本当に知らないことばかり。小説だけの脚色とか、もちろん多々あるんだろうけど、それにしてもこうやって描かれると、随分興味の持ち方も違ってくると思うんですけどね。いわゆるゲリラ戦で少が多を挫く、って内容に終始しているけど、ここからの後半で逆転劇が起こるんですね。ちょっと寂しいけど。ってか、敢えて苦言を呈するなら、政府軍の不甲斐なさが目立ちす