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Posted by ブクログ 2022年01月12日
陸奥歴史ロマンの超大作、第1巻。
安倍頼良の息子である貞任の婚儀に陸奥守・藤原登任が招待されるところから物語が始まる。
黄金に目が眩んだ登任がまんまと戦を仕掛けるが、安倍一族の軍事力の前に為す術もない。
本作の主人公・藤原経清は陸奥守側だが、とんでもない上司を持つ部下は苦労するなぁとため息。
経清自...続きを読む身はまさに武者、しかも腕が立つし賢く、蝦夷からも源氏からも引く手が数多である。
源義家との出会いのシーンが素晴らしかった。
また、安倍貞任のつはものっぷり!まさか阿弖流爲が守護神とは……2巻も楽しみ。
Posted by ブクログ 2019年03月11日
なんだこれ!めっちゃおもしろいじゃないか!
というのが率直な感想。こんなおもしろい小説に出会えてラッキーだ。
この小説を見つけたのは些細なきっかけだった。
古文の授業で『奥の細道』をやった。
この紀行文の中に、作者の松尾芭蕉が、奥州藤原氏の跡を訪ねて涙を流す「平泉」という箇所がある。
説明...続きを読むしながら、「そういえば奥州藤原氏についてはおれもちゃんと知らないなあ」と思い、奥州藤原氏を描いた小説はないものか、と探してこの小説を見つけた。
読んでみてとてもおもしろいのでびっくり。
全5巻でこれが1冊目。とにかく面白い。展開が熱い。歴史もよくわかるし、登場人物たちがみんなキャラが立っていて魅力的。
東北の、しかもこの時代を描いた歴史小説なんか他にはないんじゃないか。
この先の展開が楽しみすぎて、史実を辞典で調べられない。
きっとこの主人公の藤原経清(こんな人も初めて聞いた)が東北側について、奥州藤原氏の祖になるんだろうな、と推測して楽しんでいる。
源頼朝の父、義家も登場してきて、この後藤原氏と義経とどうつながるのかも楽しみ。
Posted by ブクログ 2017年05月20日
念願だった平泉を観光できることになり、行きの道中で読み始めた。
作品の当時から長い年月が経過しているものの、登場する場所の雰囲気が想像できるだけに臨場感をもって読むことができ、とても贅沢で楽しい経験になりました。あまり記録か残っていないという奥州の歴史ですが、高橋氏がどのような世界を見せてくれるか楽...続きを読むしみです。
Posted by ブクログ 2019年01月09日
ミステリー、SF、伝奇と言った分野が多い高橋克彦氏であるが、正統的歴史物語である。と言うのもNHKの大河ドラマの原作として書かれているからだ。陸奥の藤原三代は歴史的にも有名だが、この物語はその一代前、当時蝦夷と呼ばれた安倍貞任に共鳴した藤原経清から始まる。大和朝廷にとって陸奥とは何だったのか、源氏と...続きを読む陸奥の関わりを明快に示してくれている。
八幡太郎義家が義経に、経清が泰衡に転生するという筋書きには頷ける所がある。
惜しむらくは、高橋氏の執筆が放送に追いつかなくなって、大河ドラマが途中から原作を無視したことである。高橋氏自身が途中からドラマを見たくなくなったそうである。
Posted by ブクログ 2014年10月07日
高橋克彦氏で一番始めに読んだ歴史小説。平安時代の東北地方の話。
主人公がかっこいい。慎重で腕が立つ。情勢をよく見ている。義兄弟を見捨てない。☆
Posted by ブクログ 2014年06月17日
私を歴史好きにさせてくれた作品。
とにかく、経清、貞任がかっこいい。
漢のなかの漢!!!というかんじ。
蝦夷から見た歴史、という観点は新鮮であったし、中央の歴史以外の歴史が日本にはたくさんあったんだろうな、と思わされた。
戦、戦、戦…。
戦っても戦っても、まだ戦い続ける人間の悲しさというものも感...続きを読むじた。
Posted by ブクログ 2014年05月18日
高橋克彦の奥州藤原氏を描いた歴史小説。前に読んだアテルイの時代から3世紀ほど後の11世紀の話。
第一巻は前九年の役の始まりというところ。陸奥安倍氏、出羽清原氏、源氏の興亡が展開されるわけですが、高橋克彦はアテルイが非常に面白かったので、今後に期待。
Posted by ブクログ 2014年03月02日
奥州藤原氏の誕生と滅亡までの歴史小説。
第一巻は、朝廷側の陸奥守藤原登任 v.s. 蝦夷の安倍家。
東北がこれほど豊かだったこと、そして、朝廷配下の勢力ではなく、蝦夷がなぜこれほどまでに豊かだったのかは、驚きを感じた。
朝廷から見た蝦夷と蝦夷から見た朝廷という構図が面白い。
安倍頼良が藤原登...続きを読む任に対して行った接待を吉次が一喝したシーンが心に残った。頼良は、登任に対して蝦夷の凄さを見せつけ、度を越した贈賄をすることで朝廷の官位を得ようとする。しかし、吉次は登任はそもそも蝦夷を人としてみていないため、今回の接待は登任の蝦夷に対する欲に火をつけただけで、蝦夷と朝廷との戦を招くだけだという指摘をした。事実はその方向に向かう。これは明らかに頼良の現状認識が甘かったことが招いた事態。
最高指揮官は自分の力の見せ方は非常に気をつけなければいかんなあと思いました。
Posted by ブクログ 2012年12月05日
歴史物にハマったきっかけの本。
登場する人々の想いに胸が高鳴ります。
歴史はみんなの想いの積み重ねでできている。
そんな風に思わせてくれた作品。
源義家に惚れたおかげで、今でも清和源氏には肩入れしてしまいます(笑)
Posted by ブクログ 2012年08月26日
平安後期の陸奥を舞台にした全五巻の長編。
第一巻~第三巻はいわゆる前九年の役での安倍氏と藤原経清、源氏を巡る話。
第四巻は藤原経清の遺児、清衡が後三年の役を通じて安倍氏の血を再興するまでの話。
第五巻は奥州藤原氏が滅亡する際の源義経との関わりを描く話。
率直に言えば、第一巻~第三巻が最も見どころ(読...続きを読むみどころ)がある。個性の際立つ安倍貞任、藤原経清、源義家の交流と戦場での邂逅に心踊らされ、それぞれ異なる立場での苦悩に多くを考えさせられた。史実として知られていることが少なく著者の自由な想像力を働かせる余地が多かったのだと思う。読者として既に多くを知ってしまっている戦国・幕末あたりの題材と比較して自分にこの時代の知識が少なかったのも先の展開の予想がつかない面白さにつながり、あっという間に読み切ってしまった。
Posted by ブクログ 2012年05月29日
前九年の役については、歴史の授業で習ったきり、一体どんな戦だったのか、歴史上どのような意味があったのか、まったく覚えてなかった(というか、覚えたことすらなかった)が、まさかこれほどまでの文化があり、そしてこれほどのドラマがあったとは・・・。面白さ驚愕の一冊。
Posted by ブクログ 2011年11月08日
1~3巻 前9年の役 阿部一族と源頼義との戦い
4巻 後3年の役 藤原清衡・源義家と清原一族の戦い
5巻 藤原一族・源義経と源頼朝との因縁の戦い
面白く一気に読める作品であった。
Posted by ブクログ 2011年10月16日
奥州藤原氏の繁栄から終焉を描いた、歴史小説です。
平安朝の頃、朝廷の権力に追従する形を取りながらも、独自の政治と文化を花開かせた、奥州藤原氏。
その基礎を築いた、藤原清衡と阿倍貞任に、敵対する源賴義・義家親子。武士として誇り高く生きた人達の、敵対しながらも互いを尊重する武士道の美しさに、感動します。...続きを読む
また藤原清衡・秀衡・泰衡と続く、民を守る棟梁としての生き方は、今の自己欲で判断する政治家たちと比べて、なんと潔く、奥深いものか…
この人たちの精神が受け継がれているなら、3.11の大震災も、きっと乗り越えて行けるはずだと、確信します。
民を守り、誇り高く生きる…感動します。
Posted by ブクログ 2011年09月19日
朝廷は蝦夷(エミシ)たちを俘囚(ふしゅう)と侮るが、蝦夷は干渉されずに静かに暮らしたいだけ。表面は服従していても、内なるプライドは消せない。黄金の楽土を築こうとした藤原氏の夢が大きな炎となって燃えあがる。『藤原経清』が蝦夷の側に立ち安部貞任とともに源頼義・「義家」に挑む戦いが炎となって空を染める。凄...続きを読む絶な戦いがみちのくの運命を変えていく。前九年後三年の役を日本史の言葉しか知らない人にも、後の奥州藤原に続くエミシの思いがわかる。読んで旅に行くと、ただの景色でも、想いが1000年飛び越える。
Posted by ブクログ 2011年06月18日
奥州藤原氏を描いた大作歴史小説(全5巻)。
今年は、東北地方に目を向けてみたい、との想いで読み始める。
第一巻では、陸奥の豪族の安部氏と朝廷から送り込まれてきている欲深い陸奥守藤原登任との鬩ぎ合い。安部氏の策略・戦略により見事に登任を打ち破る。
主人公でもある藤原経清は、奥州藤原4代を安部一族と結...続きを読むぶ人物になるのだが、彼の人間的魅力も存分に感じることができる。
期待通りの作品。
Posted by ブクログ 2010年09月16日
岩手に中尊寺金色堂を見に行く前に欧州藤原氏について予習を兼ねて読んだ本。
歴史事実は一部忠実に再現はされていないみたいだが、物語としては最高。
Posted by ブクログ 2012年09月28日
全5巻。
みちのく第二弾。
大河になってた。
中央に対して悠然と独立を保った
陸奥の国ができてから滅びるまでの、
藤原3代の物語。
有名人は一杯出てくるけど、
火怨の方が好き。
ちょっとやりすぎ。
最後。
でも面白い説です。
初代が好き。
本当に京都嫌いになります。
みちのく人として。
Posted by ブクログ 2020年10月12日
鎮守府将軍藤原秀郷を祖に持ち、奥州藤原氏初代当主の父である藤原経清を軸に物語は進行。
陸奥守・藤原登任が数千の兵を出して安倍氏の懲罰を試み、鬼切部で戦闘が勃発する。
朝廷と蝦夷の果てしない闘いは、坂上田村麻呂により一旦は収まっていたかに思われていたが、ここに、阿弖流為らの後継者により、熱き闘いが始ま...続きを読むる。
Posted by ブクログ 2019年10月28日
東北で安倍貞任さんが台頭してきた頃のお話。
NHK大河ドラマの原作だったみたいだけど、視聴していなかったのでストーリーを知らずに楽しめました。
朝廷側のダメっぷりが今のできない政治家みたいで、こういうところは千年経っても変わらないんだな…と思いました。
これは日本のお家芸なのか、戦国時代とか明治維...続きを読む新という名の反乱があっても国を治める根幹は良くも悪くも変わっていないんだよねぇ…。
Posted by ブクログ 2017年11月16日
司馬遼刷り込み症候群(司馬遼太郎の小説で歴史上の人物像が出来上がってしまい、他の人の小説を読めなくなった人たち)の方にオススメ。
何せ平安末期・奥州と司馬遼太郎さんが描いてない世界(もっとも5巻目は重なるが)なので、登場人物が受け入れやすい。
そういう意味ではちょっと北方謙三の世界に通じるものが...続きを読むある。主人公達が理想を追い求めるところも似ている。
全体としてはやや冗長な気もするし、登場人物が相互に相手のミスを指摘するシーンが多いのが気になるが、途中から止まらなくなって、一気に5巻読み終えました。
恐らく、歴史家の人から見れば史実とは大きく違うのでしょうが、教科書にも出てこない所のためか、抵抗無く受け入れられました。
ところで、買った後に気が付いたのですが、これはNHKの大河ドラマになった作品なんですね。道理でなんか見たことの有る題名だと思った。
Posted by ブクログ 2014年09月28日
NHKの大河ドラマになっていたので何と無くタイトルは知っていたが読んだことは無かった。知り合いに勧められて読んだ火怨が、あまりに面白かったので、読んで見ることにした。
火怨から約250年後の陸奥の国が舞台となる。安部頼良は蔑まれる自分達の地位向上を金の力で画策するが、欲に眩んだ藤原登任(朝廷側)が、...続きを読む難癖を付けて攻め入ろうとする。頼良の息子がこれを迎え撃つ事になり…。と言う形で話が進んで行く。
潔い男達の戦いやその戦略が面白い。自然の描写が適切で、雪原の中を進軍する兵や進軍の為の道を作った人夫達の苦労も分かる気がした。双方にまともな部下がいるのに、欲に眩む人間が上にいるとそれに逆らわずに戦になってしまう。武士の義理硬さが仇になる事が多々あるのだと感じた。これはこの時代に限ったことではなく、現代にも通じる物があるのではないかと感じた。
Posted by ブクログ 2014年02月06日
※1~5巻通読の感想です
前々から奥州藤原氏が好きで、大河ドラマ『炎立つ』もDVDにて視聴したこもあり今回読んでみた。
率直な感想として、非常に面白い。
歴史を舞台にした作品の魅力は、歴史上の人物が生き生きとした一人の人間として目の前に現れる点にあると思っているが、この作品はその典型。
藤原経清、...続きを読む安倍貞任、源義家をはじめ、主要な登場人物が非常に人間臭い。史実として結末を知っていても手に汗握る展開で、頁をめくる手が止まらなかった。大河ドラマでは二部と位置付けられた、藤原清衡の艱難辛苦を堪え忍び念願を成就する展開もたまらない。
ただし、4巻辺りから人物の会話が少なくなり臨場感に欠けるようになり、時代が藤原秀衡、泰衡の代に移る5巻になると、もはや別の小説と言ってもよいテイストに。
5巻については人物造形もあまり共感できない点が多く(個人的にこの時代に思い入れが強いことも原因のひとつ)、今一つ乗りきれなかった。
ただ1点、頼朝が奥州の体制をその後の幕府体制づくりに生かしたという解釈は新鮮だった。
4巻までの評価であれば間違いなく☆5つ。これまで読んだ歴史小説の中では一番面白かった。
Posted by ブクログ 2013年01月27日
経清を始めとする武士たちの、その生き様がひたすらかっこよく、うつけと呼ばれていた貞任が力を発揮していく姿には、特に胸が熱くなりました。
冒頭で持ち上げられている割には頼良の出番が少なかったけど、次巻以降に活躍するのかな。
Posted by ブクログ 2011年09月07日
壱:北の埋み火
弐:燃える北天
参:空への炎
四:冥き稲妻
伍:北彩楽土
の全五巻。俘囚と蔑まれた陸奥の人々から見た中央との抗争の歴史。安部貞任・藤原経清と源頼義・義家の12年に渡る戦い「前九年の役」に始まり、清原家の内紛に源義家が介入して藤原清衡が権力を掌握する「後三年の役」、さらには源頼朝によ...続きを読むる藤原泰衡・源義経の征伐による奥州制圧までを描く一大スペクタルドラマ。
現存するおそらくわずかな史料を基に、鎌倉前の源氏の勃興と、中央政権の影響力の及ばない言わば独立王国を築きあげた藤原氏との関わりを描き切った著者の想像力と筆力は見事。また、源頼朝が数百年に及ぶ公家政治から武家政治への転換をわずかな期間で成し遂げたが、著者はその手本を平泉を中心とする奥州藤原氏による政治としたという説をベースに展開している。
個人的には、藤原氏による100年に及ぶ平和な「楽土」の時代にも光をあてて、もう少し触れて欲しかったが、大河ドラマの原作ということで戦乱に明け暮れた時代と理想の国を追い求める人たちの義を描くことが中心になったのだろう。
Posted by ブクログ 2011年07月23日
私が大学の頃の大河ドラマ(1993-94年)。
平安時代後半に東北で起こった、前九年・後三年の役という、日本史の授業でも1行だけで終わってるようなマイナーな戦争の話だが、かなり面白く脚色してくれており、毎週楽しみに観ていた。
おそらく話がマイナーすぎて、私に事前知識が無いがゆえに、先のストーリーが...続きを読む予測つかないことも面白さを増加させたのであろう。
とはいえ、友情と裏切り、恋愛と嫉妬、弱者(奥州)が権力に立ち向かうところなど、王道ストーリー盛りだくさんで、エンターテインメントとして楽しめる作品である。
なお、本作品は、三部構成からなっており、主人公が代々変わっていくという形態をとっている(ジョジョの奇妙な冒険のように)。
第一部 藤原経清
第二部 藤原清衡 (経清の子、奥州藤原氏初代)
第三部 藤原泰衡 (清衡のひ孫、奥州藤原氏四代目)
第三部については、一般的に認知度の高い、源義経が兄頼朝に滅ぼされる話であり、一部・二部とは少し趣が違う。
しかし、既存の奥州藤原氏・義経の話とはかなり解釈が異なり、これもまた面白い。
Posted by ブクログ 2022年08月07日
R4.7.17~24
(感想)
奥州藤原三代の歴史小説の決定版。
20年以上前、学生の頃に大河ドラマを見て、小説を読んで興奮した一作。
久しぶりに古本屋で買いなおして再読。
うーん、やはり高橋さんの歴史小説は、セリフ回しがくどいのが気になる。
もっと自然に話を進められないものか。
とはいえ、やはり...続きを読む時代背景は面白く、さくさく読めます。
時代は1049年、平安時代末期。
まだ清盛が出てこず(たぶん)、源氏と平家が権力争いをしている、武士の世を睨み合っている時代…かな。
これから清盛、頼朝、義経の活躍が期待されます。
Posted by ブクログ 2015年04月23日
平安時代の蝦夷を巡る抗争の物語。知名度の低い舞台だからこそ面白い。熱い武者たちの物語。このあと前九年の役。
なんというか、バトル物だね。これに八幡太郎義家とか出てきたらどれだけ熱いものになっちゃうのだろう。
平安時代なので登場人物の名前が似た者ばかりで嫌う人もいるだろうが、おもろいで。...続きを読む
学校の授業では登場しない名前ばかりでとっつきづらいかもしれないが、おもろいで。
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p31 陸奥の馬
平安時代の馬は高級品だった。特に陸奥の馬は他の馬の十倍の値で取引されるほど良品だった。
p79 頼良軍
安倍頼良の常備軍は5万くらいいるという。それがいざ戦になれば倍くらいになるだろう。当時の朝廷の常備軍で10万、しかしよく訓練された安倍軍に勝利するなら20万は必要だろう、そう藤原経清はいう。
p193 女には優しさ
頼良の娘:結有と貞任の会話にて、
「女は男の強さと優しさに惹かれる。好きになる始めは強さでも、最後には優しさを求める。」
ほぅ。
p230 東北が都を獲れない理由
東北の強者ならずぶずぶに緩みきった西国の朝廷なんてボッコボコにできるのではないのか。しかし、やはり東北は遠い…。
仮に10万の軍勢をもって京を攻め込むとしたら、その大軍団の糧食やらの経費だけで蓄えは空になる。また都までは20を超す国府がありそれをいちいち打ち破る必要がある。半年では京に辿り着けないだろう。そんなに時間をかけているうちに京では迎え撃つ準備が万端になっている。
もし京を落とすなら最低でもやはり関東に本拠地を置くくらいにならないといけないのである。鎌倉幕府が政権を握れたのは、立地的条件が大きかったのである。
p250 物部
陸奥の金山を支配するおっさん:吉次の一家。彼らはどうやら蘇我氏に敗れて朝廷を追い出された物部氏の末裔らしい。朝廷の軍事を司っていた物部氏だから東北で強い軍勢を作れたのだなー。というか、東北っていうのはこういう破れし者たちの吹き溜まりだったのだろう。
p259 アラハバキ
東北の石信仰。石を円環状に並べて神聖な結界を作る。かつては東北奥六郡のいたるところで見られたが、坂上田村麻呂の侵攻の際に邪神とされことごとく排除されてしまった。田村麻呂は邪教破壊と同時に、新たな寺院を建てて新たな仏教を広めた。
しかし、田村麻呂の本当の任務は、陸奥にひっこんだ物部氏の再興を防ぐことだった。そのために信仰をも塗り替えたのだ。
安倍頼良は朝廷の配下であるため表面上は仏教に帰依しているが、密かに物部氏の末裔と同盟を結んでいたのでアラハバキの侵攻にも帰依していたのである。
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バトルが熱い。経清と貞任のファーストコンタクトの切り合いが超かっこよかった。血の気が多すぎる。
きっとものすごくむさくるしかったんだろうな。
Posted by ブクログ 2013年02月09日
第1巻は前九年の役前夜から端緒となる鬼切部の戦いまで。この時代の東北情勢はほんと複雑で難しい。朝廷と俘囚の関係や文化的相違はなかなか見えてこない。同じ俘囚でも安倍氏のような半独立国家もあれば、清原氏のように一定の自立性を保ちながら朝廷の傘下にある勢力もあるし。坂上田村麻呂の征東から3世紀、奥州藤原氏...続きを読む滅亡まで1世紀というこの時代この地域の特殊性が作中でどう描かれていくか。次巻は河内源氏の登場かな。