高橋克彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
最終巻の舞台はロンドン。
かのコナン ドイルと交流した後は、鹿角の霊とイシュタルの助けを得ていよいよ現代に戻れるかと思いきや、今度はパラレルワールドに迷い込むという最後まで超常現象と歴史上の有名人ラッシュは途切れなかった。
この壮大な物語は最初から構想にあったのか、それとも書き進むにつれてイマジネーションの暴走が止まらなくなったのか。
後者であることを願って楽しめるのが真の高橋ファンだという自負がある一方で、ビギナーにはとんでもないオカルト小説のように見えてキツイだろうな。
とにかく高橋氏の知識と独特の想像がふんだんに織り込まれた長く楽しいシリーズでした。 -
Posted by ブクログ
最後まで、自ら攻撃を仕掛ける事のなかった蝦夷。蝦夷の誇りを取り戻そうとして、闘いに挑み、最後まで破れる事はなかった。
坂上田村麻呂との阿弖流為らとの友情。坂上田村麻呂が建立した清水寺に、阿弖流為、母禮らの慰霊碑があるのも、その友情ゆえ。
弘仁5年12月1日(815年1月14日)、嵯峨天皇は「既に皇化に馴れて、深く以て恥となす。宜しく早く告知して、夷俘と号すること莫かるべし。今より以後、官位に随ひて称せ。若し官位無ければ、即ち姓名を称せ」と蝦夷に対して夷俘と蔑称することを禁止する勅を発し、ここに征夷の時代が終焉した。
誇りを取り戻すために闘った蝦夷の英雄に、感動を覚えます。 -
Posted by ブクログ
尊敬する高橋先生の新作。陸奥四部作に次ぐ5つ目の物語。
物語は「火怨」と「炎立つ」の間の時代。阿弖流為の反乱後、朝廷の支配下に入るものの、他国と同程度の扱いを受けられず、ただ租税を払うだけの立場に苦しむ時代。立ち上がったのは阿弖流為の子孫である天日子。元から部下や家族を背負い、先頭に立っていた過去3作とは異なり、徐々にリーダーとしての資質を現していく姿は青春小説としての魅力もたっぷりとあった。また、右腕の阿部幻水の存在も良い。二人の関係は、阿弖流為と母礼、貞任と経清の関係を思い出させられる。
何より元慶の乱という事件を知らなかったため、敗北という事実が分かりきっている過去作と異なり、どうい -
Posted by ブクログ
下巻。
いよいよ坂上田村麻呂が登場。阿弖流為率いる蝦夷軍との裏の裏をかく攻防戦。
終盤からはずっと泣きっぱなし。涙なしには読めませんでした。己の尊厳をかけて戦う蝦夷たちの生き様、しかと見届けました。そして、蝦夷を獣などではなく一人一人の人間として敬い、対等に戦った田村麻呂にも心を打たれた。
阿弖流為たちが命を賭けて守った東北の地に行ってみたくなりました。
原作を読んだ後に宝塚版を再視聴しましたが、オリジナルキャラが出てきたり、多少のキャラ改変や脚色はあったけど、ほぼ原作に忠実な流れで、上下巻を2時間ほどに上手にまとめてあるなぁと思いました。田村麻呂と阿弖流為が都で初対面っていう設定なのはちょっ -
ネタバレ 購入済み
日本を守ったのは20代の若者だ
【巻の壱】まだ時宗は最後の最後で産まれたばかりの第一巻。主に北条時頼が5代執権に就任した前後の権力闘争を描く。やたらと兄弟や親戚が多いから、誰と誰が味方で敵なのか把握が実に難しい。北条家内部でのお家騒動に始まり、将軍家との対立や最大豪族三浦氏との対立、源氏の復権を狙う足利氏との対立など、様々な思惑が絡み合う中で、冷静に対処していく時頼が頼もしい。また、『徒然草』の中で障子の張り替えの話に登場する時頼の母松下禅尼の賢母ぶりが、ここでもいかんなく発揮されていて、兼好法師が称賛する理由も頷ける。
【巻の弐】北条時頼の生き様が格好いい。北条家得宗としての帝王学、私利私欲のない奉仕精神、日本国の行 -
Posted by ブクログ
上巻はつまらなかったけれど、下巻は良かったです。
変な男女間のラブ要素は一切なく、男として蝦夷としての戦いと死にざまが素晴らしかった!
自分の名誉ではなく、蝦夷の名誉と将来のために生きた阿弖流為くんと母礼さんの物語を読んで、次に京都の清水寺に行ったときは彼らの慰霊碑に手を合わせて来ようと思いました。
坂上田村麻呂さんはダメな巨大組織にある良心的な部長みたいな感じで、彼の苦しみのほうが現代社会では理解しやすいかもしれない。
なので、ラストにちゃんと行動で示す田村麻呂さんの武士らしさにリアルな悲哀を感じ、最後まで涙しました。
次に読むときは上巻は無視して下巻だけ読もうかな(笑)
途中で脱落し -
Posted by ブクログ
<上下巻通してのレビュー>
辺境と蔑まれ、それゆえに朝廷の興味から遠ざけられ、平和に暮らしていた陸奥の民。八世紀、黄金を求めて支配せんとする朝廷の大軍に、蝦夷の若きリーダー・阿弖流為(アテルイ)は遊撃戦を開始した。北の将たちの熱い思いと民の希望を担って。
古代東北の英雄の生涯を空前のスケールで描く、吉川英治文学賞受賞の傑作。
涙をこぼしながら読み終えました。感情移入してしまい、もう、涙、涙なのです。
陸奥の地に平和を愛し、自然とともに住む蝦夷という民がありました。
朝廷は、この地から出る黄金を欲して蝦夷討伐に乗り出します。
蝦夷たちは自分たちの生活に必要のない黄金になど興味はなかったが