高橋克彦のレビュー一覧

  • 完四郎広目手控

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    高橋氏が得意とする実在の人物に活き活きと行動させる展開に加え、任意に選んだ2枚の浮世絵から物語を紡ぐという豊かな趣向の作品です。
    江戸末期に知恵を使って報道の原点とも言える活動を行い、それを通して感じた使命感が後の新聞紙設立に繋がるなんて、粋な物語を考えたものだと感心します。
    次作以降も楽しんで読めそうです。

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    2021年10月12日
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(3)

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    どんな結末なるかは、歴史的な事実もあるので、いささか気が重い感じもしていたが、想像していた結末と違って、最後まで主人公である九戸政実「らしい」結末であったという印象である。
    何より、作者の主人公への思い入れが、最後まで九戸政実という人物を際立たせ、物語を推し進める大きな力となっていたのであろう。

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    2021年07月09日
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(1)

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    とあるテレビ番組で九戸政実のことを知り、今まで其の名をまったく知らなかったこともあり、さっそく九戸政実を主人公にした全3巻の小説を買い求めた。作者のことも寡聞にして知らなかったが、読み始めてその筆力に脱帽した。続巻が楽しみである。

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    2021年07月03日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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    東北のアイヌの阿弖流為についての朝廷との戦争の小説である。最後はアテルイらの処刑で終わるが、歴史では東北の統一とひとことで片付けられてします。
     その歴史を征服される側から描いた小説であるので、歴史を再認識するのにはいいと思われる。

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    2021年04月22日
  • 火怨 上 北の燿星アテルイ

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    日本史ではほとんど学ばない東北地方の戦いの小説である。日本史では、東北地方の朝廷の制圧か征夷大将軍とひとこと書かれているだけであり、東北地方は伊達政宗と戊辰戦争での東北の動き、更に東日本大震災につきる。
     東北地方に興味を抱くにはいい小説である。

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    2021年04月08日
  • 鬼九郎孤月剣 舫鬼九郎4

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    鬼九郎シリーズの完結編。
    京都に向かう道中で一行を襲う風魔一族を描いているうちに筆が止まらなくなってきたようで、中盤は九郎達はそっちのけであたかも風魔物語とでも言うべき展開に。山田風太郎氏を彷彿させる忍法帖を楽しんだ後は、今度は柳生一門による剣の極意に主題が移り、もはや九郎の出自はすっかり脇役的な位置付けになっています。
    こんな筆の暴走は高橋作品では珍しいことではありませんが、今回はいつもに増して調子が良かった印象なので、気がすむまで一緒に楽しむことができました。
    氏にとって初めての娯楽時代小説ということですが、本当に面白いシリーズだったな。

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    2020年12月06日
  • 炎立つ 伍 光彩楽土

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    藤原経清から始まる壮大な物語。歴史はわかってはいますが、蝦夷の物語をどう完結させるのか、わかりませんでした。
    やられました。素晴らしい。
    蝦夷の国は陸奥に暮らす全ての胸のなかにある。一人ひとりが蝦夷の国。皆が生き延びてくれれば、形としての陸奥はなくなったとしても、滅びはしない。

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    2020年10月20日
  • 炎立つ 四 冥き稲妻

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    清原内部での死闘、後三年の役が始まる。清原清衡、源義家が、死闘を掻い潜り、清衡がついに勝利を収める。
    それにしても、凄まじい身内同士の死闘。清原一族には、真の武将はいなかった。
    源義家が、藤原経清の妻、結有と対面し、義家が藤原経清らをまことの武士として、いかに尊敬していたか語る場面は、本当に感動。まさに「士は己を知る者の為に死す」ですね。

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    2020年10月18日
  • 炎立つ 参 空への炎

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    前九年の役終結。源頼義、義家に、出羽清原氏が協力し、ついに安倍一族は滅びる。藤原経清は最後まで武士らしく振る舞い、安倍貞任とともに討ち取られる。
    軍事力、防衛、全て考えれば、安倍一族がこうも簡単に滅ぼされるとは、と考えてしまいます。やはり、背景には、裏切り、悲しみがあるのですね。

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    2020年10月16日
  • 緋(あか)い記憶

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    時代的古さを感じるけど、記憶をテーマにした短編で、記憶はセピア色のイメージだから、その古さが味を出していて逆にいい。
    伝奇的ミステリーだけど、どれも人の仄暗さを覗き見する気分で、昏い楽しみがある。
    共通して、岩手をテーマにしているので、遠野物語のような趣もまた風情がある。

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    2020年09月08日
  • 風の陣【裂心篇】

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    風の陣最終刊。伊治鮮麻呂を中心に展開。蝦夷を狼とし、卑しい蝦夷を刈り取り滅ぼせ、との勅令についに、鮮麻呂は決起を決意する。
    阿弖流為という次代のリーダーをみて、鮮麻呂は、
    紀広純、道嶋大楯らの首をとり、蝦夷らを一つにするため、身を捨てる覚悟をする。
    自分がかけた橋を阿弖流為らが渡っていくだろう。その先の大地は阿弖流為らが切り開く。たとえ、自分が見られなくても構わない。
    素晴らしい、壮大な物語。

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    2020年09月07日
  • 風の陣【大望篇】

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    風の陣、第二弾。藤原仲麻呂は、恵美押勝として我が世の春を謳歌。弓削道鏡が孝謙太上天皇と接近、恵美押勝が太上天皇らと対立、恵美押勝の乱にてついに失脚。牡鹿嶋足は従四位下まで大出世する。
    天鈴の妹の水鈴のほか、紀一族の益女が登場、牡鹿嶋足とどうなっていくのか期待される。
    この時代の小説がこんなにも面白いとは。素晴らしい。

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    2020年09月03日
  • 竜の柩(6) 交霊英国編

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    最終巻の舞台はロンドン。
    かのコナン ドイルと交流した後は、鹿角の霊とイシュタルの助けを得ていよいよ現代に戻れるかと思いきや、今度はパラレルワールドに迷い込むという最後まで超常現象と歴史上の有名人ラッシュは途切れなかった。
    この壮大な物語は最初から構想にあったのか、それとも書き進むにつれてイマジネーションの暴走が止まらなくなったのか。
    後者であることを願って楽しめるのが真の高橋ファンだという自負がある一方で、ビギナーにはとんでもないオカルト小説のように見えてキツイだろうな。
    とにかく高橋氏の知識と独特の想像がふんだんに織り込まれた長く楽しいシリーズでした。

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    2020年08月21日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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    最後まで、自ら攻撃を仕掛ける事のなかった蝦夷。蝦夷の誇りを取り戻そうとして、闘いに挑み、最後まで破れる事はなかった。
    坂上田村麻呂との阿弖流為らとの友情。坂上田村麻呂が建立した清水寺に、阿弖流為、母禮らの慰霊碑があるのも、その友情ゆえ。

    弘仁5年12月1日(815年1月14日)、嵯峨天皇は「既に皇化に馴れて、深く以て恥となす。宜しく早く告知して、夷俘と号すること莫かるべし。今より以後、官位に随ひて称せ。若し官位無ければ、即ち姓名を称せ」と蝦夷に対して夷俘と蔑称することを禁止する勅を発し、ここに征夷の時代が終焉した。
     
    誇りを取り戻すために闘った蝦夷の英雄に、感動を覚えます。

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    2020年08月18日
  • 水壁 アテルイを継ぐ男

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    尊敬する高橋先生の新作。陸奥四部作に次ぐ5つ目の物語。

    物語は「火怨」と「炎立つ」の間の時代。阿弖流為の反乱後、朝廷の支配下に入るものの、他国と同程度の扱いを受けられず、ただ租税を払うだけの立場に苦しむ時代。立ち上がったのは阿弖流為の子孫である天日子。元から部下や家族を背負い、先頭に立っていた過去3作とは異なり、徐々にリーダーとしての資質を現していく姿は青春小説としての魅力もたっぷりとあった。また、右腕の阿部幻水の存在も良い。二人の関係は、阿弖流為と母礼、貞任と経清の関係を思い出させられる。

    何より元慶の乱という事件を知らなかったため、敗北という事実が分かりきっている過去作と異なり、どうい

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    2020年08月13日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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    良い意味で少年漫画のよう。
    阿弖流為と母礼の練りに練った策や戦の臨場感にワクワクする。
    そして、何でここから降伏する流れになるんだ? と読み進め、蝦夷の陸奥の未来への思いの深さに痺れてしまう。
    ラストの飛良手と田村麻呂も印象的。

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    2020年06月13日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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    下巻。
    いよいよ坂上田村麻呂が登場。阿弖流為率いる蝦夷軍との裏の裏をかく攻防戦。
    終盤からはずっと泣きっぱなし。涙なしには読めませんでした。己の尊厳をかけて戦う蝦夷たちの生き様、しかと見届けました。そして、蝦夷を獣などではなく一人一人の人間として敬い、対等に戦った田村麻呂にも心を打たれた。
    阿弖流為たちが命を賭けて守った東北の地に行ってみたくなりました。
    原作を読んだ後に宝塚版を再視聴しましたが、オリジナルキャラが出てきたり、多少のキャラ改変や脚色はあったけど、ほぼ原作に忠実な流れで、上下巻を2時間ほどに上手にまとめてあるなぁと思いました。田村麻呂と阿弖流為が都で初対面っていう設定なのはちょっ

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    2020年05月15日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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    ぜひ他の人にも勧めたい作品。戦国ものの小説や冒険ものの少年マンガにあまり興味を持たない私がこんなに入り込み、泣いてしまうとは。。坂上田村麻呂に関しては、日本史の授業で習った「征夷大将軍で東北(蝦夷)を平定した」としか記憶がなく、蝦夷に関しては蛮族とされ不遇されていたとしか知識がなかった。こんな攻防が繰り広げられていたとは…。いろいろ書くとネタバレしそうなので、抑えておくが、この熱い男たちの話を多くの人たちに読んでもらいたい!次は「風の陣」を読みます。

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    2020年05月13日
  • 炎立つ 伍 光彩楽土

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    最終巻は、戦をしない、りっぱな武士の話でした。
    以前、何も知らないで中尊寺に行きましたが、今度はしっかり参りたいと思いました。

    「まことの武士たるは安寧にあって乱に備え、乱にあるや一人平穏を保つ者である」

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    2020年05月06日
  • 鬼九郎鬼草子 舫鬼九郎2

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    シリーズ2作目にしてますます面白くなってきた。
    何の気なしに調べてみたら幡随院長兵衛や唐犬権兵衛だけでなく天竺徳兵衛、高尾太夫、夢の市郎兵衛、明石志賀之助までもが実在の人物だったとは、驚くと共に当時の江戸の街の賑やかな様子が偲ばれます。
    天海僧正の清濁合わせ飲む凄みや、左甚五郎のやや不可解な行動の裏側など、登場人物の賑やかさだけでなくストーリー展開も見逃せません。

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    2020年04月29日