あらすじ
世にも高貴な血筋を引く美貌の剣士・舫鬼九郎の時代活劇シリーズ完結編
己を狙う“敵”と決着をつけるべく、仲間たちと甲州街道、中山道を京へと上る!
背中一面を覆う愛染明王の刺青。
柳生新陰流を基に長くしなる剣を自在に操る、美貌の剣士・舫鬼九郎。
天皇を父に、将軍の妹を母に、そして現天皇は双子の妹という、高貴な出自でありながら、内裏と幕府の政争の具となり実父から命を狙われ続ける運命を背負う。
己をつけ狙う“敵”と決着をつけるべく、江戸から京の都へ甲州街道から中仙道を上る九郎たちに風魔衆が襲いかかる!
時は寛永二十(1643)年、三大将軍家光の治世。
柳生十兵衛、荒木又右衛門、幡随院長兵衛、天竺徳兵衛、由比正雪、左甚五郎、高尾太夫、大僧正天海、沢庵和尚、そして鄭成功まで、大江戸オールスターズが入り乱れての大激闘が絢爛豪華に開幕!
解説・西上心太
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Posted by ブクログ
鬼九郎シリーズの完結編。
京都に向かう道中で一行を襲う風魔一族を描いているうちに筆が止まらなくなってきたようで、中盤は九郎達はそっちのけであたかも風魔物語とでも言うべき展開に。山田風太郎氏を彷彿させる忍法帖を楽しんだ後は、今度は柳生一門による剣の極意に主題が移り、もはや九郎の出自はすっかり脇役的な位置付けになっています。
こんな筆の暴走は高橋作品では珍しいことではありませんが、今回はいつもに増して調子が良かった印象なので、気がすむまで一緒に楽しむことができました。
氏にとって初めての娯楽時代小説ということですが、本当に面白いシリーズだったな。
Posted by ブクログ
鬼九郎シリーズ最終巻。ツッコミどころ満載のはちゃめちゃ話だったが、作者の目指す娯楽時代小説としては満点だと思う。
1、2巻で敵対した左甚五郎が仲間になったように本作の序盤、中盤を引っ張った風魔の西鬼、南鬼、小五郎が、中盤以降の主役、高澤恒志郎、青柳元七といった強者が皆敵から味方となり、200人近くを相手に大乱闘を繰り広げる圧巻のラスト。
九郎と又右衛門が九郎の理不尽に命を狙われる境遇を嘆くシーンは高橋氏らしい熱を持っていて、明るい展開が続く中で、短い文章で泣かされた。
まだまだ続いてほしい気もするが、蛇足になりかねない気もするので丁度良い完結だったと思う。
Posted by ブクログ
己の運命に従い、今日へ向かう鬼九郎は、柳生十兵衛、荒木又右衛門たちとともに立ちふさがる敵と闘い続けるが、鬼九郎の運命は……。娯楽時代劇シリーズの完結編。
600ページを超える大作でしたが、魅力的な人物たちの活躍と強敵、風魔忍者たちの闘いや駆け引きが展開し、夢中で読み進めました。
作者お得意の闘いの裏の駆け引きも随所に描かれ、敵か味方かわからない人物も登場し、最後まで目が離せませんでした。
宿命を背負った鬼九郎の剣の強さとその生き方も魅力的でした。
ぜひ、彼の活躍を描いていほしいと感じました。
もちろん、柳生十兵衛とともに。