高橋克彦のレビュー一覧
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あっ、そうか、そうだったわ。
どなたかの高橋克彦の本の感想を読んで、強く思い当たり、思わず声を上げてしまいました。
まったく、今までの私は、看板に偽りありだったと気づきました。そうですね、好きな作家として挙げている本をほとんど出していませんでした。
反省しています。そして、これは、言い訳になりますが、私が好きと言って名指しで挙げている人たちについては、単に何となく好きなのではなく、ましてや、まったりと好きなのでもなく、あるいは、ほのぼのと好きなのでもなく、それはそれは熱狂的に好きなのであって、徹底的にとことん読み尽して精通しているということで(好きで好きで、そうせざるを得ませ~ん)、そして作者に関する評論も、客観的な評価も射程距離に入れているということなので、ですから、今更そういうものを書くということは恥ずかしいし安易に過ぎるという自戒を込めた決意から、ここでは、それ以外の新しい人物・本・分野に挑もうとしていたのでした。
まあ、そういう割には懐古譚とか再読なんかの話題もけっこう書きましたけれど。
本当に知っている者が発言しないでどうするんだ、という認識は、一昨年に読んだ雑誌『世界』の澤地久枝と佐高信の対談「世代を超えて語り継ぎたい戦争文学」で教わったことでしたね。
ということで、これからもっとガンガン好きな作家について書いていくつもりです。
それじゃあ、やっぱり、きっかけは高橋克彦でいきましょうか。
ほとんど同時期に、『写楽殺人事件』を初めとする浮世絵ものと、『緋い記憶』を筆頭とするホラーもの、そして『舫鬼九郎』に続く時代もの、それに本書から広がるSF伝奇もの、あるいは私自身も浮世絵そのものが好きなこともあって『江戸のニューメディア』などの研究・紹介本も含めて、本当にまったく同じ時期に異なる5つの性質のものを一気に読むことになりました。
その中でも、私を虜にしたのは、本書・総門谷シリーズです。
なんと、かつて夢中になった国枝史郎の『神州纐纈城』や、半村良の『石の血脈』『妖星伝』『産霊山秘録』などの記憶が鮮明に蘇ってきて、またしても私を血沸き肉躍る世界に誘惑してくれたのです。
この分野は、好き嫌いが明確に分かれるところですが、何を通俗的な荒唐無稽な絵空事を嬉々として興奮して読んでいるのか気が知れないと、かつての中学生の時も、この時の高校生の際にも、ドストエフスキーとかソレルスの横に携えた本を発見されて馬鹿にされた覚えがありますが、ほっといてよ、好きは好き、私にとっては両者は等価、なんの区別する謂われがあるものですかと、その頃、鼻息荒かったものです。 -
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新規購入ではなく、積読状態のもの。
2009/2/22〜2/23
源義経を主役としてのストーリーしか知らなかったが、平家と源氏の争い、奥州藤原氏の栄華と頼朝の征伐など、もちろんフィクションが沢山含まれるとはいえ、史実には不思議なことが沢山ある部分について、なるほどそうだったかもしれない、と思わせる展開。また、この全5巻を通じて、政治とは、政治家とは、ということを非常に考えさせられた。もちろん小説の中の話ではあるが、今の私利私欲しか考えない人たちに是非読んでもらいたい一冊である。
山形にいる頃、中尊寺に行ったことがあるが、是非もう一度訪れたいと思う。 -
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新規購入ではなく、積読状態のもの。
2009/2/15〜2/22
前九年の役で安倍一族が滅んだ後、清原氏が陸奥を治めることになった。経清の妻結有は敵であった武貞の後妻として清丸とともに生きながらえていた。清丸にとっては異父弟となる家衡も産まれる。清衡となった清丸は、父経清、伯父貞任らの夢を実現すべく忍従の日々を送る。清原氏の跡目相続に端を発する私闘が始まらんとするとき、因縁深き源義家が陸奥守として着任する。後三年の役の火蓋が切って落とされる。果たして清衡は夢を実現できるのか?
歴史の教科書に載っていた後三年の役がこういう裏があったとは(もちろん細かいところはフィクションであろうが)まったく知らなかった。結有、貴梨、澪丸の自害シーンは涙がこぼれそうになった。なんで10年以上も積んでおいたのかなぁ。 -
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新規購入ではなく、積読状態のもの。
2009/2/9〜2/15
陸奥守の任期が切れかけた頼義は、出羽の清原を味方につけ、安部一族の内紛から切り崩しに成功。任期ぎりぎりで攻勢にでる。守る安倍側は衣川を捨てて、厨川柵での決戦を選ぶ。後に前九年の役と呼ばれる合戦がこの巻では描かれる。高橋作品に出てくる男らしく、貞任、経清は仲間の情に厚くかつ潔い。この潔さと仲間の連帯感が高橋風ヒーローのキーワードであろう。このあたりは山形にいる頃安比スキー場へいったり八幡平スキー場へ行く途中通ったはずだが、あまり意識していなかった。機会があったらもう一度訪れてみたい。解説は早世した杉浦日向子氏。 -
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新規購入ではなく、積読状態のもの。
2009/2/3〜2/8
陸奥守として赴任した源頼義、何かにつけ戦に持ち込もうとするが、ひたすら耐える安倍一族。間に入った経清は辛い立場に立たされる。頼義の任期が切れる寸前、貞任が罠にはまってしまい、とうとう戦いの火蓋が切られてしまう。
後に前九年の役として知られる戦いであるが、昔日本史を習ったときにはあまり気にも留めなかったが(教科書は朝廷側からの視点で書かれている)、逆から見るとまったく違う様相が見えてくる好例であろう(もちろん著者があとがきで書いているようにフィクションの部分も多いが)。3巻にも期待。 -
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再読。
やはり面白い。
スケールも大きく、時代小説の熱さを存分に味わえる。
さらに、東北地方に縁のある人には絶対におすすめ。
歴史とは何か。
解釈によって、視点によってこれほどにも違って見えるものかと思う。
経清、貞任の第一部も大変な引力を持っているが、
泰衡の最終章がもっとも印象的。
そもそも四代泰衡という人は、名君藤原秀衡と対比的に国を滅ぼした愚将と語られるのが常だ。
その泰衡の真意が語られるシーンは感動的。
長らく中央政権から隔絶し、幕府権力に滅ぼされた奥州藤原氏について、
信頼できる文献史料はおそらく望めないだろう。
だから、実際の平泉がどうだったのかは、誰にもわからない。
この小説も、結局は完成度の高いフィクションでしかない。
しかしこの小説は、娯楽性を備えながらも、歴史の多面性、日本人の多様性を訴えて余りある。
東北出身の筆者の心からの訴えであろうと思う。
東北地方が、現在もなお、軽んじられる傾向にあるのは確かなことだ。
それが、軽んじられている側にしか感じられないような程度であったとしても。
奥州は、戊辰戦争でも反勢力を形成した。
日本はなまじ狭いだけに、全国統一の波にいつも飲み込まれてしまってきたけれど、
東北史を見ていると、二国共存ないし連邦制の可能性もゼロではなかったのだと思う。
同じ可能性が、日本各地にあったのだろうと思う。
地方分権、道州制が叫ばれて久しい今、「炎立つ」に
地方自治の可能性についての想像力をかきたてられる、といっては言いすぎだろうか。