高橋克彦のレビュー一覧

  • 緋(あか)い記憶

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    24年ぶりの再読。四半世紀前の読後感は、ただただ怖いことと、ストーリーのうまさ、文章の読みやすさであった。それが故にタイトルが深く記憶に刻まれ、再読のために再び本を手にしたのだろう。そして今また恐怖を感じている。自分自身、心の奥底に押し込んできた記憶が少なからずあることを承知している。もしそれを白日の下に曝し真正面から向き合わねばならなくなったら、恥ずかしさと自分自身への嫌悪で内側から壊れてしまいそうだ。恥ずかしさは、まさに恐怖とイコールなのだ。

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    2015年03月11日
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(3)

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    読んで良かった。泣いた。薩天和尚が気持ちを代弁してくれて、すっきりするのだけど、やっぱり、とても悲しい気持ちになってしまう。

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    2014年12月06日
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(1)

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    読んで良かった。楽しい。私の大好きな要素がふんだんに鏤められている。まさに、私に読ませるために書かれた物語と思われる。すばらしい。主人公に大局的な鈍重さを感じるが局所的な明晰さで、まだ、なんとか我慢できてるし。続きが楽しみなのである。

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    2014年11月30日
  • 炎立つ 四 冥き稲妻

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    貞任と経清が前九年の戦に負け、その後の陸奥を頼義に味方した清原一族が牛耳る事になった。経清の妻の結有は、復讐を胸に清原の妻となり、清原との間に子供を持つ。最終的にはこの子(旧清原)と清丸(+頼家)が戦う後三年の戦が締結し、陸奥における黄金期のはじまりとなる。
    内紛が主題になっているのでちょっとドロドロした感じが否めないが、面白かった。当時の人がどこまで情勢を先読みしていたかは分からないが、家来や敵の心情を読みながら策を考えていたのかと思うと、現代人とあまり変わらないのではないかと思う。使う道具や、仕事が変わっただけで人間自体はあまり進化していないのかもしれない。

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    2014年10月18日
  • 完四郎広目手控3 いじん幽霊

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    完四郎広目手控シリーズ、3作目。
    完四郎と魯文は、開国後、異人居留地となっていた横浜に舞台を移す。

    12編から成る短編集なので、一話一話は短いが、それでも本格的なミステリものになっているのもあって、面白かった。今でいう広告代理店のような広目屋仕事を通して、その時代の世情も実在の人物を絡めて上手く描かれており、あまり知らなかった当時の横浜を感じ取ることが出来た。時代の流れから、瓦版から新聞へと媒体が移行していく様子もシリーズを通して描かれており、次作ではそれがどうなっていくのか興味が膨らむ。

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    2014年10月10日
  • 炎立つ 参 空への炎

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    前九年の戦の話がメイン。なす術なく京に帰任寸前の頼義達だったが、子の将来を憂う貞任の母、妻が内通者となり、安部側の情報を漏らしてしまい、それが原因で安部は滅んでしまう。全ては貞任とその親族のコミュニケーション不足による物として描かれている。怖いなと感じた。コミュニケーションは職場でも家庭でも大事な物という認識は有るが、本心を語るのは簡単なようでなかなか難しい。

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    2014年10月09日
  • 緋(あか)い記憶

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    これはミステリというか、結構ホラーですね
    しかしうまいです、ねじれた記憶のラストにはぞっとしました
    膚の記憶も、食中毒の原因を探す話がどうしてあんな結末になってしまうのか??
    手品を見るような面白さのある短編たちです

    しかし読み通すと、「記憶」というテーマに沿って作者がアイデアを搾り出すようにして書いてくれた、ある意味連作的な短編たちであることがわかります
    アンソロジーではなくて、一人の作家が一つのテーマで書き重ねた作品集であることが非常に興味深く感じました。

    続編も読みたいと思わせる作品集でした

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    2014年10月04日
  • 炎立つ 壱 北の埋み火

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    NHKの大河ドラマになっていたので何と無くタイトルは知っていたが読んだことは無かった。知り合いに勧められて読んだ火怨が、あまりに面白かったので、読んで見ることにした。
    火怨から約250年後の陸奥の国が舞台となる。安部頼良は蔑まれる自分達の地位向上を金の力で画策するが、欲に眩んだ藤原登任(朝廷側)が、難癖を付けて攻め入ろうとする。頼良の息子がこれを迎え撃つ事になり…。と言う形で話が進んで行く。
    潔い男達の戦いやその戦略が面白い。自然の描写が適切で、雪原の中を進軍する兵や進軍の為の道を作った人夫達の苦労も分かる気がした。双方にまともな部下がいるのに、欲に眩む人間が上にいるとそれに逆らわずに戦になっ

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    2014年09月28日
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(2)

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    奥州南部一族の九戸政実がいよいよ動き始め、秀吉が奥州の区割りを行うところまで。九戸の変は次の巻ですね。
    それにしても、相当な器がありながら、思い通りに身動きが取れないのは、この時代にあって残念。次の巻も楽しめそう。

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    2014年07月24日
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(1)

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    『火焔』、『炎立つ』に続く東北三部作目。時期は戦国時代、主人公は南部藩・九戸政実。今の岩手以北が舞台。
    中央で誰が覇権を握るか?という時期なのに、東北の奥で、大きな器量に恵まれているものの、小さく動かざるを得ない九戸政実のモヤモヤ感が伝わってくる。サブタイトルに「秀吉に喧嘩を売った男」とあるので、どうなるのか?楽しみ。

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    2014年07月10日
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(2)

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    第二巻。九戸政実と南部本家と息のつまるような政略が続く。
    後半には、いよいよ秀吉が登場し、また伊達政宗も重要な役割を担うようになり、最終巻に向けてストーリーのピッチが上がってくる。

    以下引用~
    ・「今の世にはご貴殿(伊達政宗)のごとく生きて未来に役立つ者と、死んで未来に繋げる者とがある。奥州で真っ先に秀吉どのに恭順を示した南部の中に、手前のような者がおることこそ肝要。戦さとなって果てたとしても、必ずその意を汲み取ってくれる者が出て参ろう」

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    2014年04月30日
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(1)

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    高橋克彦「火怨」「炎立つ」に続く陸奥三部作の最終章。
    尚、奥州藤原氏を描いた「炎立つ」は感動の名作で自分自身3本の指に入る歴史一冊。

    「天の衝く」の主人公は戦国時代の南部藩の武将、九戸政実。
    全三巻の内、第一巻では南部藩の御家騒動の中、政実は時代の空気を読みながら武力、政治力を駆使し勢力の拡張を試みる。

    東北を訪れると、今でも旧南部藩の地域には、その誇りを感じることがあり、必ずしも県単位では理解できない歴史、文化があることがわかる。
    その意味でもこの時代の出来事を学ぶことの意義、楽しみがある。

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    2014年04月25日
  • ドールズ 月下天使

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    シリーズものとは知らずに読み始めたので、初めは登場人物の把握に時間を少し取られましたが、読み進めるに連れて、ぐいぐい引き込まれた作品でした。

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    2014年02月25日
  • 炎立つ 伍 光彩楽土

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    1993年のNHK大河ドラマの原作小説…。

    平安時代…、
    前九年の役・後三年の役~源平合戦・奥州合戦までの、
    約150年間の蝦夷(東北地方)と中央との騒乱を描く。
    小説は、全5巻の大長編となる。

    ドラマでは、
    前九年の役~後三年の役(第1、2部)が6割、
    源平合戦~奥州合戦(第3部)が4割の構成でしたが、

    小説では、
    全5巻のうち、最終巻となる第5巻のみが、
    源平合戦~奥州合戦(第3部に相当)となっており、
    物語の着地に必要不可欠なエピローグ的な扱ぃか…?

    でも…、奥州藤原氏の視点から見た、
    源平合戦~奥州合戦を読みたかったので、
    歴史長編1本として、十分に楽しめました。
    (邪道ですが

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    2014年02月24日
  • ドールズ 闇から覗く顔

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    ドールズシリーズ、2作目。

    今回は目吉センセーによる推理物、4編。時々オドロオドロしい表現が出てくるものの、目吉センセーの茶目っ気さが随所で現れ、楽しく読める。この世の人ではない目吉センセーよりも、現実の人である犯人の方がよっぽど怖いっていうのがミソ。

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    2014年02月20日
  • 火怨 上 北の燿星アテルイ

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    奈良~平安時代に朝廷は東北地方に住む蝦夷と呼ばれる人々を獣同等以下として扱っていた。蝦夷の尊厳を賭けて、蝦夷の人々は朝廷に立ち向かった。

    朝廷の権威を示すという大義

    人としての尊厳を守るという大義

    セリフが一々かっこよく、心に響く。とても面白い。

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    2014年02月08日
  • 炎立つ 壱 北の埋み火

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    ※1~5巻通読の感想です

    前々から奥州藤原氏が好きで、大河ドラマ『炎立つ』もDVDにて視聴したこもあり今回読んでみた。
    率直な感想として、非常に面白い。
    歴史を舞台にした作品の魅力は、歴史上の人物が生き生きとした一人の人間として目の前に現れる点にあると思っているが、この作品はその典型。
    藤原経清、安倍貞任、源義家をはじめ、主要な登場人物が非常に人間臭い。史実として結末を知っていても手に汗握る展開で、頁をめくる手が止まらなかった。大河ドラマでは二部と位置付けられた、藤原清衡の艱難辛苦を堪え忍び念願を成就する展開もたまらない。

    ただし、4巻辺りから人物の会話が少なくなり臨場感に欠けるようになり

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    2014年02月06日
  • 総門谷

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    極めて昭和の少年漫画的なSFオカルト小説。
    携帯とかPCと無縁の熱い男たちの友情も見所です。
    悪く言えばベタなんですが、だからこそ安心感があります。
    都合良すぎでしょ的なつっこみを入れたくなることもありますが
    先にも述べたように少年漫画的な勢いがありますので
    面白くてどんどん先に進むことができます。

    イルミナティとかピリ・レイスの地図とか月の謎とか
    今でこそテレビで放送したりしてますが、当時はそうでも
    なかったように思います。
    私もこの本を初めて読んで覚えた単語がいくつあることか。

    ただ、二冊目以降は主人公vs敵っていうのが延々と続く
    のでいまいちでした。
    竜の棺(の最初の方)の方がこちら

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    2013年12月25日
  • ドールズ

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    ネタバレ

    久しぶりに再読。
    ホラー物はいささか尻込みしてしまうのですが、このシリーズは好きなんですよね。
    ホラーというよりミステリ色が勝っているからでしょうか。
    タイトルが『ドールズ』なだけあって、人形についての蘊蓄等も非常に興味深くて、このシリーズが好きな理由の1つです。
    この1作目で明かされる真実。
    そこへ辿り着くまでの過程にぐいぐい引き込まれます。
    次の2作目からは、あの人の活躍が見れるはず。

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    2013年12月19日
  • ドールズ 闇から覗く顔

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    ネタバレ

    再読。4編の短編集です。
    影絵だとか折り紙だとか、本当に好みのツボをついてくる作品です。
    こういった専門的な部分や時代考証が、簡潔かつ丁寧に効果的に織り混ぜられていて、そういった部分も読んでいて本当に楽しいです。
    そしてなんといってもセンセーのお人柄が魅力的。
    縁の地での心中、いかほどだったかと思うと胸が苦しくなります。
    各編のタイトルも実に良いです。

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    2013年12月19日