高橋克彦のレビュー一覧
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女の謎の死体を巡って、柳生十兵衛、天海大僧正、左甚五郎たちを巻き込む壮絶な戦いに挑む、凄腕の美剣士、舫鬼九郎の活躍を描く。
新しい時代劇のヒーローといってもいい、謎の美剣士、舫鬼九郎が大好きな柳生十兵衛とともに活躍する展開とあって、それだけで読むのに夢中になってしまいました。
魅力的で多彩な人物、剣劇シーンやエロティックな場面、そしてミステリー仕立てな展開など、娯楽時代小説の王道といった感じで十分楽しめました。
多彩な登場人物たちは今後もまだ絡んでいく感じがしますし、主人公の生い立ちも少しずつ明らかになっていくようなので、次巻からの展開も気になります。 -
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高橋克彦作品、ハマってしまったかも……
というのも、主人公が浮世絵の研究をしていたりと、浮世絵三部作を思い出したり、なんとなく関連性を感じたりもして楽しい。
最初はアクが強すぎて、うっと思っていた登場人物(チョーサク)も読み進めていくうちに、
友達になる過程のように、あなたはそういう人だよね(笑)、という印象に変わっていたりして面白い。
ある意味冬の密室物としては王道っぽいけれど、
タイムカプセルや、キーパーソンの名前がパンドラという好奇心をくすぐられる設定がたまらない。
ラストは、終章タイトルパンドラ・サッドケースにふさわしく、かなしく寂しい。
エピローグはなんとなく期待をしていた展開になっていて、「こういうの好き!」という感じでした。
著作リストを見ると、ホラーも書いているようなのでそちらも読みたい。 -
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ドールズシリーズの最終作。
前作で「箱神」を追って、死んだ聖夜のお葬式から始まりますよ。
で、壮大な冒険になっていくのだが…。
ちょっと駆け足だったかな。でも、様々なことへの膨大な知識に圧倒される。
が、それを生かすために(?)ちょっとご都合かねっという展開が…。
まぁいいんだけど。
でも、やばげな展開になったからこそ、怜ちゃんと目吉の混在っていうのがなくなっていて、それが面白いのに残念だったかも。まあ、そこで怜ちゃんがどうのってなると、彼女のトラウマになりそうだから、むしろなくてよかったんだろうけど。
なんか、ホラーで始まったシリーズだったけど、最後はほんわか暖かい光に満ちていた。
人は望むかぎり、光に手を伸ばそうとする限り、前にむいて進んでいけるという、多分そういうこと。
智内兄助氏の表紙が今回も素敵でした。
(そもそも表紙買いだったしね) -
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前作全部引っ越しの時にギブアップしてしまったんで、イマイチ細かい内容が思い出せず、こんな”総門谷”っぽい話やったっけ??いや、もっとしっとりと美少女の中に同居する名探偵目吉センセーが活躍する別なノリのお話だったような、、と思うんだが。ま、それはともかくスッカリ忘れているお陰で非常に楽しく読めました。蘭陽が出て来て嬉しかった。ていうか、やっぱり総門的高橋ストーリーで決着して大団円でした。満足。ただ、なんとなく総門谷や龍の柩の時よりも、登場人物のバランスが微妙というか、、全員が同じ場で居る筈なのに居ないような錯覚を起こすというか、例えば最後は味方グループは現代人5人(3人+陰陽師親子)、ご当地人3人に霊が3体とかなりの人数なんだけど、なんかいつも2、3人しか居らんような錯覚を起こすというか、スカスカした感じがするんよねぇ。それに箱神との対決自体がちょっと肩すかし的でザ割愛っぽいのがナニでして、不完全燃焼気味ではありますが、でもまぁ、いままでドールズを読んでいたら読まずには済まされまいよ。ま、ぶよぶよエイリアンを期待して読みましたが、果たして多分あれはそうなんでしょうねぇ。大変高橋本らしくてそこらへんで満足でした。
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ネタバレものすごく時間のかかってしまった読書。
時は平安遷都の少し前。奈良に都があったころ。
着々と地方を制定して勢力を拡大していた朝廷からも放っておかれていた辺境の土地。みちのく。
そこに金山が発見されたことから、俄然朝廷の動きが慌ただしくなる。
金に興味のない蝦夷たちは、放っておいてくれさえしたらよかったのだが、金も土地も全てを支配したがる朝廷と、対峙しなければならないことになってしまう。
圧倒的な物量を誇る朝廷の大軍に対して、小競り合い程度の争いしかできない蝦夷たち。
しかし部族ごとにバラバラに戦っていては、いつかは朝廷軍に飲みこまれてしまう。
いくつもの部族を束ねたのは、まだ若いアテルイだった。
歴史の結果はもうわかっているので、この戦いがどのように行われ、決着がついたのかを読むのはちょっとつらい。
何しろアテルイはいい子なのだ。
敵も味方も少ない犠牲ですますことは出来ないかと知恵を絞る。(実際に絞るのは副将の母礼)
朝廷軍を翻弄するために行われるゲリラ戦。
これはちょっと地形がわからないと読んでいてつらい。
というわけで、国土地理院のホームページから地理院地図を開いて、北上川に沿って(作中は日高見川)地名と地形を確認。
その上に空中写真を重ねて透過率50%で見ると、森や山は開発されているとしても割と戦術がわかりやすく、何よりなかなか楽しいので、すっかり読書の方がおろそかになってしまったのだ。
倒叙ミステリのように、『なにをどうして』を楽しむのが歴史小説。
坂上田村麻呂が出てくるまでは、朝廷軍の裏をかく蝦夷たちの闘いを楽しむことにした。
ただ、金銭的な大部分を負担してくれた物部二風という人物。
蘇我氏に敗れて朝廷に追われてきた物部氏という設定だけど、この時点では蘇我氏はもう朝廷にはいないし、物部氏がお金を持っているということは、蝦夷相手ではない金儲けをしているはずで、朝廷相手に戦う(背後に隠れているとはいえ)理由がちょっと弱いかな。
下巻はつらい内容になりそうだけど、坂上田村麻呂がいい人そうなので、なんとか悲劇は最小限に抑えてほしいと思う。 -
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ネタバレ1051年前九年の役の物語、戦争終結。熱い武士の美学と、戦に勝つための策謀が活き活きと描かれる。おもしろい。
何がいいって、蝦夷の地は朝廷に敗れた者の流れ着いた地という設定がきちんとあるというところだよね。
そういう背景を背負っているからか、ジワジワくるものがある。そう、あらゆる情景がジワジワと読み手に作用していく、そんな作品。
美学について考えさせられる。
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p16 清原氏
安部氏は頼義との戦ののち、朝廷に恭順する姿勢を貫き、和議の手前まで我慢し漕ぎつけた。このまま安倍氏が存続できるようになれば、そこから力を十分に貯めて朝廷に匹敵する勢力を東北に気づくことができると考えていた。
しかし、もしそうなると困るのは清原氏である。安倍が強くなるということは、東北に勢力を持つ清原氏は潰されるか飲み込まれるかのどちらかである。だから、もし安部氏が朝廷と和議を持つようなら、頼義としてもピンチだが、清原を味方に引き入れる最後のチャンスになるのである。
p32 内部分裂
貞任の母:瑞乃が貞任の考えを裏切ることをした。
瑞乃は、今後の安部氏の本流が自分の血を継ぐ者でなくなることを恐れた。安倍頼良の側室の娘(結有)を婚姻を結んだ藤原経清が安部氏の中で重役に着くようになり、経清に安部氏を乗っ取られるのではないかと考えるようになった。血筋の良い経清は新たな陸奥国主になることが予想される。そうなれば、安部氏が経清の配下になるということ。瑞乃の孫である千代童丸が経清の子:清丸(奥州藤原三代の藤原清衡)の配下になるなんて悔しい、そんな風に甘んじるくらいなら源頼義と戦をしてどさくさに紛れて千代童丸が党首になれるように仕組んでやればいい。そういうことで、金為行(千代童丸の祖父)と安部氏の朝廷との和議不成立を画策、清原氏との内通を図った。
実に恐ろしきは、手ごわい敵よりも、愚かな味方であるなぁ・・・。
p46 罪
安倍頼時(頼良)は金で罪を造った。その金によって敵を作り東北の地の平和を乱した。安倍貞任は力で罪を作った。その強すぎる力は恐怖を産み敵を作って、これから戦を始めさせる。誰が悪いわけではない。持ちすぎる「力」が罪を作るのである。まさに「悪」は「力」だ。
これから清原が東北を納めるようになれば、そこからは清原が「悪」である。清原武則は一笑に付した。
p54 都母ノ石碑(ツモノセキヒ)
坂上田村麻呂が東北を津軽まで平定した暁に、「日本中央」の文字を刻み込んだ。それが朝廷の力の証になったが、それから百年もすると津軽の地は朝廷の入り込めない地となった。そして今の安部氏がいる。
p61 蝦夷の祖先
金売吉次は言う「この国は我らが開いた国だった。我らの祖先は出雲を本拠としていたが、帝の勢力に追われて諏訪や津軽に逃れた。斐伊川という川が出雲に流れているが、斐伊を本拠とした民ということで祖先は斐の本の民といわれた。陸奥に大國主を祀った神社が多いと思わなかったか。物部の祭神は蛇、素戔嗚が倒した八岐大蛇も蛇だ。大國主とて元は「大穴持」、火炉を持つ者よ。」
物部氏の子孫の吉次は追われた者と言うこと。騙りだね。これ、QEDで読んだ。
p62 長髄彦
安倍の祖先は安倍長髄彦だという。神武天皇の東征で最後まで戦った近畿の豪族である。敗れて東北に逃れてきた。
p244 戦馴れ
源頼義の強さは何か。それは経験による忍耐強さにあると経清は読んだ。若さゆえに戦の勝機を逃すことがある。我慢できず無謀な戦闘をしたり、兵を死なせたショックから精神を病んだり、作戦失敗で早々に諦めてしまったり…。頼義は経験から陸奥で12年も耐えて、この戦までこぎつけた。戦のチャンスを12年かけて熟成させたのである。こんなことができるなんて、稀代の強者よ。
経清は戦慄した。
p366 女のせいで
貞任は母の瑞乃、妻の流麗のために頼義との戦に臨むことになった。女の情念のために、東北の民の命が何千と失われた。
女は正義に生きる。それも、気色悪いほど清廉潔白な正義に生きる。その清さが毒となって、息を断たれる者が出る。
女は…こわい…。
とはいえ、これは貞任も悪そうだ。流麗と会話をしなかった貞任も悪い。交流せずに、理解し合おうとするから、相手の気持ちを捏造し合うことになって、狂気に行き着く。男は黙って…がカッコイイし、当時の武士はそういうもんだろうけれど、、、
貞任、あなたに見習いたいと思う。
p372 青い炎
厨川の柵に籠城した安倍軍は義家の策の火攻めに遭っていた。流麗らは火消しの祈祷をすることにになった。それが流麗のせめてもの罪滅ぼし…、ウウッここ切ない。
祈祷で護摩にくべられた呪符を燃やすと青い炎が上がった。これは呪符の裏に燐を塗り付けてあったからだが、演出としてこういう化学的なことが行われていたんだなぁ。これがきっと魔術なんだろうなぁ…。
p433 伝承
あとがきで作者は語る。義家が厨川の柵を攻めるために陣を張った八幡の森を訪ねたら、森はとっくに削られてバイパスができていたとのこと。それに対して、、、
伝承と歴史は違う。だから史跡指定もされずに簡単に森が削られてしまったのだおうが、やはりさびしい思いを味わった。八百年の隔たりと言うことよりも、わずか2,3日張っただけの陣跡など無意味という判断だろう。こうして伝承はますます薄れていく。中央から抹殺された地方の歴史は地名や伝承に手がかりが隠されている。なのに地名を変え、伝承を持つ場所を破壊する。それを行いながら地方文化の復権を叫んだとて意味がないのではないかとつくづく感じた。せめて文字の上だけでもそれを果たしたい。それがこの巻の大きな支えとなったのは確かだ。
ほぇ~。
p435 差別
「東北人はどんな逆境にもめげず黙々とわが道をゆくエライ人。スバラシイデスネー。」
こう言われるのは褒められてると思っていたけど、よく考えたら、まるきり使役する側の理想だって。
騙りだね。「君達は偉いねぇ~。働くのが好きなんだねぇ~。さすがだよぉ。じゃあこれもお願いしちゃおうっかなぁ~。」ブラック企業のやり口だ。東北人にそうあれと、言葉で、言霊で縛りをかけている。やべぇ。
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炎立つの炎とは
QEDの読みすぎな僕からすると、タタラ場の火炉のことを指しているのかなと思う。製鉄民だった東北の人々が蜂起する。それは再びタタラ場に火が灯って、燃え盛る火炎となって朝廷の下まで燃やし尽くさん勢いを持つということなのかな。
今回の吉次とかの言葉でぐっとそう思った。
しかし、、、弱い。真面目すぎるからかなー。弱みに付け込まれて、炎は鎮火してしまう。昔からそうなのかもな、そう思ってしまう。敵を騙す強さを持っているから、朝廷は権力者になれているのだろう。
やはり「強さ」=「悪」で、「弱さ」=「美」なのだろう。武士としての在り方・美学を貫けば、悪い敵には勝てっこないのだ。
その美しくあることが東北の民には強制されているというのは…心が痛くなった。
美しさは、個人が持つもの。「他人に美しさを持たされる」この状態を見つけたら恐ろしさを覚えるようにしよう。 -
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古事記や神話を元に『竜』そのものの正体を明かしていく話。
竜=ロケット。
神様=宇宙人。
こう書いてみても、は?何それ?な感じなのですが、いやいや私も虹人(主人公)の解説に洗脳されました。
滑稽無糖な説の様に見えるのだけれど、
いつの間にか、もしかしたら本当にそうなのかも知れない!と思えてしまうから不思議。
古事記の内容をほとんど知らなかったので、
調べ調べ読み進めました。
こんなの嘘に決まってるじゃん!馬鹿馬鹿しい!と思ってしまうと多分興醒めして読み進めるのが難しくなると思います。
こんな説もあるのか、こうだったら楽しいな
と思いながら読むと、きっとワクワクすると思います。