高橋克彦のレビュー一覧

  • 火怨 上 北の燿星アテルイ

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    この本を手に取ったきっかけは、会社の宝塚ファンの人から借りた「阿弖流為」のDVDでした。とても良かったので原作も読みたくなって、購入。
    奈良時代、陸奥に暮らす蝦夷(えみし)と呼ばれた人々と、朝廷との戦いを描いた物語です。普段あまり歴史小説を読みなれておらず、最初は少し読みづらかったけど、ネットで昔の陸奥の地図を調べて位置関係を把握したり、高校の頃の地図帳や歴史便覧を引っ張り出してきて調べたりしながら読み進めました。(読書に関してだけは真面目なのだ!)
    歴史便覧には「坂上田村麻呂、蝦夷征伐」の一文で片付けられているけど、こんな攻防が繰り広げられていたんだと思うと胸熱。歴史って知れば知るほど面白い

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    2020年05月15日
  • ドールズ 闇から覗く顔

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    もう少し怖い内容かと思っていたけれど、実際には目吉が自分の正体を明かすことで人の悩みを解決するような人情話の色が濃くなってきた。
    現在置かれている状況を正しく認識した目吉が見せる江戸への郷愁や技術力、出現するタイミングの絶妙さやぶっきらぼうなようで優しい言動など、最初の頃の異物感は消えてすっかり魅力的な存在へと変わりました。
    最終的には消えてしまうだろうと予想するものの、しばらくはこの世界を楽しみたいです。
    惜しむらくはタイトルと装丁です。このホラー感がなければもっと多くの人に読まれる作品になったと思う。

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    2020年05月07日
  • ドールズ

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    どうやら少女に霊?が憑依しているらしい、という怖い設定ながら、江戸文化の方に興味が奪われて、いつの間にか憑依は完全に前提条件として違和感なく受け入れてしまっていた。
    この時点で既にこの後に続くシリーズの世界観に取り込まれてしまっていたのだと、後になって気付きました。
    高橋さんといえば東北か江戸のイメージが強かったのですが、今回は珍しく熊本まで手を広げたのですね。氏の知識と取材力なら、もっといろんな地方の伝統を取り上げて欲しいと思います。

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    2020年04月20日
  • 舫鬼九郎

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    とても面白い歴史ヒーロー活劇でした。
    左甚五郎をこんな悪者にしちゃってとか、柳生十兵衛が脇役なんて贅沢なとか、いろいろ突っ込みどころがありながら、最後まで一気に楽しく読めました。後書きにも書いてありましたが、山田風太郎氏を彷彿する作品です。

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    2020年04月06日
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(2)

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    ネタバレ

    学生時代、ゼミの先生に「小説の面白さはストーリではなく、プロットの確かさに依る」と言われたことを思い出しました。
    高橋克彦の書く東北の歴史小説ですからするする読めるのです。
    登場人物こそなじみは薄いですが、戦国時代が舞台となると、流れは読めてしまいます。
    秀吉が勝つに決まっている。

    だからなのでしょうか、人物が薄っぺらいのです。
    圧倒的に強くて、頭が回って、人の心をつかむ男、九戸政実。
    周りが口をそろえてほめたたえるほど、政実が薄っぺらになる。
    もちろんほめたたえる側も、敵役の北信愛(のぶちか)も。

    それだけできる男なら、私を滅して南部家を支えるなり、見切りをつけて独立するなりすればいいの

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    2020年02月13日
  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(1)

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    ネタバレ

    主人公・九戸政実が率いる九戸党は、南部家を宗家と戴いている。
    南部は隣接した地域・津軽との小競り合いが絶えない。
    そして南部家(源氏の流れ)と敵対している安東家(蝦夷の一族)。
    時は戦国。
    右を向いても左を見ても戦のたねは転がっているというのに、南部家のお館様は自分のことしか考えない、器の小さな男であった。

    政実は伊達や最上の動向を見、武田、上杉、織田などが着々と勢力を広げているのを忸怩たる思いで眺めている。
    自分もせめて東国(関東)に生まれていたら、もっと活躍できたはずなのに、陸奥で仲間内の勢力争いばかり行っていることにうんざりしている。

    結果を知る身からすると、政実は秀吉に勝たない

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    2020年01月31日
  • 風の陣【裂心篇】

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    蝦夷の誇りを守るために生きる漢たちの話です。
    命をどう使うのか?ということを考えさせられます。

    この後、火怨に続きますが、この風の陣を読んでからが、絶対おすすめです。
    火怨読んだばかりですが、もう一度読まずにはいられなくなりました。

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    2020年01月01日
  • 風の陣【風雲篇】

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    火焔を読んで興味を持ち、風の陣シリーズを読み始めました。
    4巻目で火焔の主人公がようやく登場しますが、それまでの話もいろいろな展開があり、楽しく読むことができます。
    巻を進めるごとに、読むスピードが速くなってしまいます。

    そして、天鈴、嶋足、鮮麻呂たちと数十年過ごしてきたことで、火焔の前半部分の読み方がかなり変わってきます。
    火焔、再読しないといけなそうです。

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    2019年12月24日
  • 風の陣【天命篇】

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    恵美押勝討伐後一年、内裏では女帝の寵愛を受ける弓削道鏡が台頭し始める。
    恵美押勝討伐の功績により破格の昇進をした嶋足は道鏡の謀により最愛の女性を失う。
    帝位をも狙う道鏡の欲望をいかに阻止するのか。

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    2019年12月13日
  • 風の陣【大望篇】

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    橘奈良麻呂の乱平定後、恵美押勝の台頭と陸奥支配の野望に対し牡鹿嶋足、物部天鈴らの知略を尽くした戦い。
    平城京の激しい権力争いの中で、嶋足と天鈴が蝦夷の平和を守ろうと奮闘する。

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    2019年12月13日
  • 緋(あか)い記憶

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    タイトル通り「記憶」がテーマの短編集。
    遠い過去の記憶がいつの間にか都合よく書き換えられているのですが、書き換えられるには必ず相応の理由があり、それを思い出す過程で忘れたかった忌々しい真実が明らかになるという同じパターンの構成となっている。
    今から30年近く前にも書かれた作品であり、その当時に過去を振り返っているので、高度成長期を迎える前の東北地方という日本の原風景的な描写が少しだけ怖い雰囲気ながらどこか懐かしい印象を受けます。
    高橋氏といえば東北地方を舞台にした歴史ものか浮世絵シリーズという印象だったので、こんな作品を書いていて、かつそれで直木賞を獲ったなんて意外でした。

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    2019年12月01日
  • 炎立つ 壱 北の埋み火

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    東北で安倍貞任さんが台頭してきた頃のお話。
    NHK大河ドラマの原作だったみたいだけど、視聴していなかったのでストーリーを知らずに楽しめました。

    朝廷側のダメっぷりが今のできない政治家みたいで、こういうところは千年経っても変わらないんだな…と思いました。
    これは日本のお家芸なのか、戦国時代とか明治維新という名の反乱があっても国を治める根幹は良くも悪くも変わっていないんだよねぇ…。

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    2019年10月28日
  • 黄昏綺譚

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    ちょっと怖くて不思議な話が多めの随筆集。民話は幻想ではない。マヨイガは白望山、座敷童は嫉妬、犬神遣いは村八分、六部座頭は往復一年以上金持ち身元照会難しくよそ者、一人旅、予算と面子から犯罪捜査は薄い。5人組で連帯責任になるから隠す。
    河童は世界中に現れるので絶滅動物ではないか、牛鬼、鬼、牡牛と龍、浦島太郎、やお比丘尼。伝説と事実と宇宙人は著者の中では繋がっている。

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    2019年10月06日
  • かげゑ歌麿

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    久しぶりに歌麿登場。
    作品中で見せるかなり攻撃的な姿は、謎の浮世絵師というイメージとややかけ離れたものですが、シリーズの魅力は安定しています。

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    2019年09月21日
  • 刻謎宮(1) 彷徨篇

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    シュリーマンは、勝海舟と同じ時代の人だったのか。そのシュリーマンが勝海舟と横浜で会い(史実じゃないよな)、金時計を贈る。その金時計がミケーネの古い地層から発見される。歴史がおかしくなっている。このままでは人類の未来は大変なことにー。というわけで、沖田総司、マタハリ、アンネ・フランクが甦らされてヘラクレスの時代に送られる。そこには神話の人物たちがうようよいてー。歴史のゆがみは元に戻せるのか。
    ハチャメチャな話だけれど、登場人物たちのやり取りは面白く、次はどうなるかと次々にページをめくらされるのだ。さて、(2)はどうなるのか。

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    2019年08月27日
  • 総門谷R 白骨篇

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    どんどんみんなが超人化していくので、もはやどんな敵が出現しても負ける気がしない。
    どうやってシリーズを終わらせるのか心配になってきた。

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    2019年08月18日
  • 総門谷R 小町変妖篇

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    もはや適切なコメントも思いつかないほど、自由奔放に物語が発展して行く。なのに史実との一体感の絶妙さは見事です。

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    2019年08月10日
  • 総門谷R 鵺篇

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    このシリーズは最初はとっつきにくい印象があったものの、読み進めるうちにひきこまれてきました。
    歴史上の偉人たちをここまで好き放題に活用してしまう作品にはこれまで出会ったことがないので、不謹慎さを通りこして不思議な面白さを感じてしまいます。

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    2019年08月03日
  • 総門谷R 阿黒篇

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    勝手に高橋氏の暴走シリーズだと思っている総門谷。氏の陸奥への深い想いと古代史への造詣をミックスした結果、唯一無二の特徴を持つ作品に仕上がっています。
    本書はまだ序盤ですが、どこまでの発展を見せてくれるのか楽しみです。

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    2019年07月27日
  • 火怨 下 北の燿星アテルイ

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    熱いストーリー
    小説の構成も、戦闘に次ぐ戦闘、それ以外の描写を削ぐことで最後のアテルイの決断に共感しやすい
    田村麻呂はもう少し手強くても良かったのでは
    ⭐️4です

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    2019年05月20日