村上春樹のレビュー一覧
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とても不思議で、一切の救いのない物語。
巨躯で訴訟好きの女性、ミス・アミーリア。圧倒的な人間嫌いのアミーリアに対し、突然出現し、一途な愛を受けることになった病的に小さなカズン・ライモン。この二人が始めたカフェが、町全体を活気づけ、奇跡のような平和をもたらした頃に現れる、前科者で過去に10日間だけミス・アミーリアと結婚していた、マーヴィン・メイシー。
この三者の、愛の一方通行を描きながら、その愛の行き着く先を示す。
マッカラーズの小説に出てくる登場人物は、皆、どこか普通ではない。
普通ではないのだけれども、普通ではないなりに、皆、不思議と歯車が噛み合っている。
そしてその噛み合い具合がとても心 -
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登場人物たちは、なぜこんなに理不尽な目に遭わなくてはいけないのか?
この世界は彼らにしか見えていないのか?
また、別の話では、何かを象徴している出来事なのか?
うっすら肌をあわ立てながらも、深掘りし始めると止まらない。
オノマトペ?でもない?不思議な音がカタカナで表されている。
【TVピープル】
TVピープルは、この人にしか見えていない「小さいおじさん」的なものなのか。
【飛行機-----あるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか】
彼、20歳になったばかり。
彼女、27歳既婚、子供あり。夫は旅行会社に勤め、月の半分は海外に行っている。家庭に問題があるわけじゃない、と彼女。なら -
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チャンドラーのほかの作品と同様。ミステリとしてはさほどではない。話が妙にこみいっているわりに、驚きの真相や、ハラハラの展開もない。本書の読み所は、そこじゃない。
疲れている。いつになく、ふてくされて、毒づいて、空虚で。そういう、疲弊したマーロウ=チャンドラーが実に味わい深い。
例えば以下のようなところ。
‘
”ふん、映画スターがなんだ。ベッドを渡り歩く達人というだけじゃないか。おい、もうよせ、マーロウ、今夜のお前はどうかしているぞ。”
(p138)
ハードボイルドだ。村上春樹や、原リョウさんへの影響を与えたのは、「長い別れ」より本書かもしれない。本書の先に、この2人の日本作家を感じた。 -
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2024.10.03~2024.10.11.
大学時代ぶりに再読。
今日に至るまでに、オーセンティックバーで2年ほど働く機会があり、当時よりずっとウィスキーとバーが近くなった。
そんな経験を踏まえて読んでみると、この本はじっくりと過ぎるバーでの時間を、ゆるりと思い起こさせてくれる。それが電車の中や、職場であっても。
口の中にジワリと広がるウィスキーの刺激と、薄暗いオレンジ色の照明、少しだけ緊張する背筋。
本を読み進めていると、必ずそこに体も心も持って行かれた。それくらい、この本は、あの空間の再現性を持っていた。
p105-l1
彼が完全にくつろいでいるということだった。こんなにくつろいで -
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小説家の村上春樹は、指揮者の小澤征爾も驚嘆するほどの鋭い耳を持っている。
そして、クラシックに関する造詣も深い。
時には、小澤も知らないような知識を披瀝して小澤を驚かせる。
村上春樹は、若い頃ジャズ喫茶を経営していたので、ジャズに関する知識は尋常ではないと思っていたが、クラシックに関しても同様だ。
音楽に対する、途轍もない情熱を持っているのだ。
その情熱が小澤征爾を刺激して、通常では語らないようなことまで語り出す。
ボストン•シンフォニーでのエピソード、師であるカラヤンとバーンスタインの差などが続々と出てきて「えっ、そうだったの」と感嘆しきり。
極付で面白い。
中でも、ジャズ•ピアニストの -
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ネタバレ村上春樹さん…有名すぎる小説家の方ですが、あまり読んだことがなく…なんだか難しそうなイメージがあって、手を出せずにいました。
でもある時「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」というタイトルを何かで聞いてから、気になってしまって。このタイトルだけでもうわくわくして開いてみたら、え?8ページ…。短くてびっくりだったのですが、とても読みやすかった。
小説を読んでいると、目から入ってくる文字を頭の中で映像化していくわけだけど、村上春樹さんの小説ってなぜだか背景が海外になってしまう。この100%も、ヨーロッパのお洒落な街並みが自動的に脳内で設定されてしまって、そして素敵 -
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18編のショート・ストーリー。
本当に短いのに、一気に世界が変わる。
読み終えたら、今、旅行に行ってきたとか、今、夢から覚めたみたいな気分になる。
さりげない日常と、さりげない非日常と、日常に違和感なく入ってくるファンタジーと、「あの街」にまつわるノスタルジー。
『5月の海岸線』がいちばん好き。
気になったのは『かいつぶり』
よく分からない。
他にも不思議な話はいくつもあるのに、なぜ『かいつぶり』だけが気になるのだろう。ずっと、「かいつぶり」が頭を離れない。
水に関係があって、五文字で、手のひらに入るけど食べることはできない、というものを考えてしまう。
気になって仕方ないのは、その合言葉は間違 -
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▼<レイモンド・チャンドラーの長編を、村上春樹訳で発表順に再読。それが済んだら原りょうさんの作品を発表順にやっぱり再読、楽しもう>
という自己企画に沿った読書です。2~3年かかるかもしれません。その第1弾。
▼やはり傑作「長いお別れ」に比べると。いや、恐らく他のシリーズ作品全般と比べても。なんせ第1作ですから、
<フィリップ・マーローのひとり語り的文明批評>
が割と少ないですね。でもスタイルとしてはそれはもうある。
そのスタイル事態がやっぱり魅力。
▼一方で、段取りが複雑で・・・・・だいぶわからない(笑)
以下一応ネタバレっちゃネタバレですが
(ネタバレしても意味は無いと思います -
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再読
クレタ島に行きたい
「君たちが結婚してから6年経った。そのあいだに、君はいったい何をした? 君がこの6年の間にやったことと言えば、勤めていた会社を辞めたことと、クミコの人生を余計に面倒なものにしたことだけだ。今の君には仕事もなく、これから何をしたいというような計画もない。はっきり言ってしまえば、君の頭の中にあるのは、ほとんどゴミや石ころみたいなものなんだよ」、綿谷ノボルはそう言った。そして僕は彼の言い分が正しいことを認めないわけにはいかなかった。客観的に見てみれば、僕は確かにこの6年の間に意味のあることなんてほとんど何ひとつしなかったし、頭の中にあるのはゴミや石ころみたいな代物だ。僕は