村上春樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初めての村上春樹作品。初めて手に取ったのは三年前くらいで、その時は回りくどい独特の表現に疲れてしまって(笑)これが村上春樹なんだ…!と途中で挫折してしまったが、今回は読書習慣ができてからの再開だったのでスラスラ読み進められた。
絵画でも歌でもその人の作品だとすぐ分かるのが本物の才能だなと思うけど、まさにそれで。村上春樹の世界、明け方に見る夢みたいな、夢心地になってしまう。本作はやれやれな男たちがたくさん出てきたが、描写は十分なくらいされるんだけど、心情や肝心なことはあえて描かれていない感じが想像力を刺激して尽きない。他の作品も読みたいと思う。 -
Posted by ブクログ
孤独や閉塞感、喪失感といった長編でもお馴染みの重いテーマが扱われており、読み応え充分の短編集。
以下、各話の感想や記録
「レキシントンの幽霊」
不思議な事を自然現象のようにサラリと綴る。村上春樹らしい作品。
「緑色の獣」
なんだろう。村上春樹の描く異形のものは何故か怖くない。どこか愛嬌ごあり、そこはかとなく悲しみを漂わせる。それに比べて女性は怖いな。って感想であってますかね?
「トニー滝谷」
同名の映画『トニー滝谷』の原作。映画は市川準監督、イッセー尾形、宮沢りえ主演。観たのは10年以上前だったと思う。
倉庫のような部屋で故人が残した膨大な服に対峙する宮沢りえが印象的だった。
空調の音 -
Posted by ブクログ
詩情溢れるメルヘン。そして残酷なラブ・ストーリー。
タイトルに“ballad”とあるとおり、人々が口伝えに繰り返し語り継いできたドラマに耳を傾けているかのよう。
冒頭でいきなり悲劇の結末は明かされる。
うらぶれた田舎町に住む、吝嗇で癖が強いが一目置かれてもいる人物であるミス・アミーリアに起きた、これまた風変わりな愛の行方と破局の物語だ。
なにもないいつもの夕方、訪ねてきたよそ者との出会いによってミス・アミーリアが変わり、その熱が生む磁場に引き寄せられるように町の住民も変わっていき、物語には幸福と高揚感が満ちてくる。
しかしそれと同時に、きっとなにかが起きるに違いないというカタストロフィの予 -
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Posted by ブクログ
▼フィリップ・マーロウ第4作。まさに太平洋戦争真っ最中に書かれたようです。とはいえアメリカは体力があったので、そんなに日本の戦時下ものみたいなことはなくて、余裕を感じます。
▼「警察の仕事は山ほど問題がある。
政治と似ている。
それは最良の人間を要請しているのだが、
そこには最良の人間を惹きつけるものは
皆無だ。
だから我々としては
手に入る人材でやっていくしかない。
そしてこのような結果が
もたらされることになる」。
・・・名文句。
<警察の仕事>を、ほかのなんの仕事に置き換えても、使えます。
▼大富豪の奔放な妻が行方不明に。マーロウが雇われて調査開始。夫人が滞在した湖の畔の別荘 -
Posted by ブクログ
素晴らしくよかった。
私のお気に入りは、圧倒的に「残り火」。
植物人間状態になった夫を献身的に世話し続けるロクサンヌ。「一日の殆んどの時間を夫の傍で過ごした。薬を与え、枕をなおし、あるいは話しかけたりした。人が見れば、頭の良い犬に話しかけているのかと錯覚したかもしれない。返答を求めるでも、理解を期待しているわけでもない。そこにあるものは、燃え尽きた残り火の中に微かな暖を求める、祈りにも似た想いだった」
この最後の一文が素晴らしすぎる。
なんで美しく、かつ的確な表現なんだろう。
このほかにも、「氷の宮殿」は、南部と北部ってこんなふうに違うんだなあと感じられてすごく面白かった。
「冬の夢」は、こ -
Posted by ブクログ
▼なんとなく
<フィリップ・マーロウをイチから再読して、続けて原りょう作品をイチから再読しよう計画>進行中。マーロウ長編第3作。高い窓。
▼いつも通り金持ちの腐敗した家族関係。そして前作「さらば愛しき人よ」にも通じる、しょーもない奥さん。それに心を支配された娘。高い窓から、セクハラ上司を突き落とした記憶。その弱みを握る男。強請。徐々に明らかになる、過去からの隠された真実・・・。
▼これまでの3作の中では、「第2作」「第3作」は普通にミステリとして面白かったか・・・。いや、第3作がいちばんそういう意味ではかっちりしていたような気もします。ただたしかに、辻褄を超えた、よくわからない<マーロウ節