感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2024年01月22日
「自我とか意識とか」
80年代末に書かれたダークな短編たち。
個人的に村上春樹の短編はもう4、5冊目になるけど、本作は全体的にダークな印象。
後に発表される『ねじまき鳥クロニクル』とか『アフターダーク』とかに続きそうな空気が全面に感じられる。
村上春樹は自我/自己とか意識/無意識みたいな対比が...続きを読むちょくちょく出てくる。
本作もそんな対比の中で揺り動かされる主人公たちがポップの殻を被って描かれている。でも作中に見え隠れする闇を感じずにはいられないんだよなぁ。
表題にもなってるTVピープルなんて特にそう。
奴らは大胆に姿を現しているのに、それがあたかも、
「いや、私らなんて全然無害な存在なんですよぉ」って感じでむっつり出てくる。
それが腹立たしくもおもしろい。
その片方で自分の世界と照らし合わせて読んだらちょっと怖くもある。
悪いやつが堂々と表通りを闊歩しているのにそれが自然になってて、しかもみんな見向きもしない、ってのは妙に落ち着かないよね。
そんなざわざわした気持ちにさせてくれる短編たち。
どこか愛おしさを感じるのは村上マジックのせいだけど。
日常に飽き飽きしてる人ほど、どこか引っかかるものがあるはず。ぜひご一読を。
Posted by ブクログ 2020年10月04日
外出自粛期間中に読んだ本。久しぶりに小説を読むにあたり、村上春樹の本なら読めるかなと思ってチョイス。
結果、面白かった。独特の雰囲気芸と、オシャレ感、あまり物事に真剣になっていない感じは自分は好きじゃないはずだが、村上先生の本は好きなのだ。
Posted by ブクログ 2023年08月31日
奇妙なお話の短編。
やっぱり村上春樹は読みやすい。
スーッと入ってくる。
奇妙でも。
「眠り」が一番記憶に残る。
話の持っていき方が面白いし、世界観の広げ方が共感できる流れで好きだった。
眠りと死について。
その関係性について興味を持った。
村上春樹にしてはファンタジー過ぎない。
Posted by ブクログ 2022年04月01日
ちょっと評価をつけるのが難しいけども、、ノルウェイの森を読み終え、1Q84の途中でのこの本。
大事な友達が色々と気分が落ち込んでた時に貸してくれた本です。
分からない短編はほんとに分からなかったですが、読んで良かったです。
村上春樹さんを全部読んだことがあるわけではないので、一概には言えないけれ...続きを読むど、読んだ感想として「村上春樹は、分からないやつはほんとに分からないけど、響くやつはほんとに響く」
と思いました。特に、我らの時代のフォークロアと眠りはすごい好きだったし、加納クレタ、ゾンビも面白く読めました。
「深い哀しみにはいささかの滑稽さが含まれている」
う~ん。分かる。
Posted by ブクログ 2022年03月02日
「眠り」が読めたので、この本を買ってよかった。他の作品はどうなのかというと、おもしろいのだけれど、手放しにそれをおもってはいけないような何かがある。ひとりの友人と村上春樹についての話をするときに、その人は作品性をこんなふうに評する。何もない、残らない、と。この一言二言だけを言ってもそのテクストの全て...続きを読むは伝わらないにちがいない。どうか曲解はしないでほしい。ここでそれを深く説明したりはしないけれど、たまたま耳に入った街の声くらいにおもってほしい。ただ友人に言われて僕はなんだか腑に落ちる。読み終わるときにその先、がないような気になる。読み方の問題はあるとおもうけれど。
「眠り」はよかった。ああ、ちゃんと最後まで書いてあるという安心と満足感があった。いい女性主人公がいた。アンナ・カレーニナを読みたくなった。こういう僕にとってのいい短編があるからこれからもぽつぽつと村上春樹を読みつづけるのだろうとおもう。
Posted by ブクログ 2021年09月08日
TVピープル
自分だけが気づいている世界のちょっとした違和感がどんどん増幅して行って、ついには平穏な日常が奪われる。しかし、そのことに気づいた時にはもう遅くて、日常は帰ってこない。なぜならもう駄目だから。
TVピープルがなんで小さいのか、なんでテレビを運び込むだけなのか、妻はどうしていなくなったのか...続きを読む、疑問点はたくさんあるけれどなによりも哀しい話として読んだ。そもそもTVピープルって悪なるものなのかな?そこもはっきりしないところが春樹っぽい。
我らの時代のフォークロア
人生のある一時点でしか成立し得ない男女のみずみずしいケミストリーみたいなものが年月を経て、失われるのを見るとなんとも言えない寂寞とした思いに包まれる。初恋の人に久々に会って幻滅したみたいな話とはまた訳が違う物悲しさ。彼女との関係性という視点で自分の人生を相対化してみた時にどこにも辿り着かない、虚無感だけが残ったのだろう。
眠り
全体として不気味な雰囲気が漂う。私が子供につける視線がなんとも言えず悲しい。「結局は他人なんだ、と私は思った。この子は大きくなったって、私の気持ちなんか絶対に理解しないだろうなと私は思った。」
究極的には人生は孤独だということに気づき、自分の冷たさに驚きつつも孤独という真理自体は揺らぐことはない。
眠るという行為が単調にすぎていく人生の意味をある種曖昧に「してくれる」。眠るという行為無くしては人間の意識は極端に先鋭化する。そして、今まで無思考に自明としてきた数多くのものが自明には思えなくなってくる。
Posted by ブクログ 2021年02月23日
「ゾンビ」と「眠り」に出てくる女性たちの心の動きにひたすら共感しました。もちろん全く同じ出来事ではないけれど、足の裏にじんわり汗をかいて冷たくなっていくあの感覚を、村上春樹さんはこうやって表現するんだと思いました。じっとりと思い起こさせられて背筋がヒンヤリしました。
Posted by ブクログ 2021年01月04日
「TVピープル」は、日曜日の夕方、3人のTVピープルが僕の部屋にやってきてテレビを運び込むという、首をひねりたくなるような不思議な話。
「我らの時代のフォークロア」と、「眠り」が面白かった。
この先何が起こるのだろうと期待しながら読み進めるのだけれど、結局何も起こらず、決定的なオチもなく、そのことが...続きを読むかえってこちらをホッとさせる。
村上作品は、すべてが現実離れしているようだけど、意外と現実を鋭い目で見てるのではと思える部分がある。
だからこそ共感できるし、不可解だけど面白い。
Posted by ブクログ 2020年10月04日
飛行機の話の、温度の低い感じがかなりすきです。天井からぶらさがる色とりどりの紐、まさに地下2階だこれは…と思いました。後半の作品はこわすぎて(ホラー苦手)、個人的にはもう読めない、もちろん素晴らしいです。
Posted by ブクログ 2020年10月03日
日常のなかのちょっとした違和感から底のない暗闇にひきづり込まれていく感じ。理解できないものへの恐怖ではなく、自分ですらも気づいていないことを追体験をしたような恐怖。非現実なようで、どこまでも現実的に感じる不思議。この現実と非現実の狭間で揺れられる時間、最高の娯楽だなぁ。
Posted by ブクログ 2020年07月14日
むらかみさん二つ目。息子の本棚から読みやすそうなこれを選ぶ。
TVピープル、わけがわからなかった。きっと電気屋さんが三人係りでテレビを納品に来たのだろう、ぐらいに思ったのだが違ったようだ。難解そのもの。後であれこれ考える。
我らの時代のフォークロアは強烈だった。ミスタークリーンが過去を回想する。確...続きを読む固たる意志で拒み続ける彼女。愛し合っているのに結ばれないふたり。消化不良だ。気鬱な気分だ。
加納クレタは、ますますわからなくなるが、奇想天外で面白い。ゾンビも。
一番は「眠り」だ。主人公の女性は、ずっと眠れていないそうだ。だけど周りは気づかない。つらつらと綴れた心境がわかることも多くて、自分に似てるところもあって。
一見、平穏ななんの不自由もない生活に身を委ねる女性だが・・最後のほうに太字でこう綴っている。
「何かが間違っている」と。
読み手によって、取り方は違ってくると思う。女性がノイローゼなのは間違いないと思った。ちょっと頭が痛くなった。
Posted by ブクログ 2020年03月11日
村上春樹作品って難解なかんじなんですが
こちらは短編ということでさらっと読めることができました。
特にお気に入りのお話は「ゾンビ」主人公が彼氏に夢の中で罵倒される。
「ああ、いやな夢だった」と目を覚ますけど実は…みたいな
村上春樹バージョンの世にも奇妙な物語感がある短編。
短いお話だけど、いい意味...続きを読むで村上春樹っぽくない怖い話を読むことができました。
あと、短編の3話の「我ら時代のフォークロア」というお話と
最後の「眠り」というお話が繋がってたり
他の村上春樹作品にも登場するキャラクターのお話を読めたりと
村上春樹作品は一作だけ読んでも完全には理解できない作家だと再確認
一作だけで敬遠せずに他の作品も読んで作品の共通点があることに気づいて
色んな考察をできるのが村上春樹の楽しみかたなんだなと感じることができた作品でした。
Posted by ブクログ 2019年11月27日
久々の村上春樹。
読書という一連の私の中の営みの中で
村上春樹を読むということは一種、「休憩」
のような行為。
それほど私の中のリズムとあっている。
その村上春樹のリズムを存分に楽しめる短編集。
Posted by ブクログ 2019年07月25日
ありきたりの日常が「ちょっと」違う違和感。「ちょっと」がこんなにも奇妙で不気味な世界になる。村上春樹作品の後半で度々味わう非日常の異世界感、そこを取り出したような短編集である。TVピープルやクレタ・マルタなど、その後の作品に通じるモチーフが登場し、村上氏のまた違った一面を味わえる。個人的なお気に入り...続きを読むは「我らの時代のフォークロア」である。
Posted by ブクログ 2024年03月17日
最初、短編集と分からず「tvピープルの再登場は?」等を予想しながら、読み進める。
しかし、一向に出てこないので、短編集と理解。
短編間の相関性?も無さそうなので、フワフワしたまま、終了。
短編自体は面白いけど、何だかモヤモヤ。
Posted by ブクログ 2024年02月02日
不気味な話が多かったなと言うのが最初の感想だった。
初めはファンタジーちっくな話ばかり!と思っていたけど、どの主人公もちょっとおかしな点が多いことに気づいて少し怖くなった。
「加納クレタ」は本当に意味がわからなかったし、怖かった。クレタがなぜ殺されなければいけなかったのか、クレタが成功したのを狙って...続きを読むいたかのように襲った大きな男は、クレタたちと関係があったのかとても気になる。
「眠り」も主人公は何かしらの病気を抱えてるのかな〜と思った。自分では魅力的に映っているのかもしれないが、側から見ると17日も眠らず、毎日プールで1時間も泳いでいるのは結構異常だ。最後の男から窓を叩かれるのも眠っていないことからくる幻聴、幻覚なのではないかと思った。
Posted by ブクログ 2023年12月19日
「飛行機」「眠り」「我らの時代のフォークロア」は自分が奥底に閉じ込めていた主体性がふとしたきっかけで疼きだすという感じか。
TVピープルや騎士団長など、春樹作品に登場する小さな登場人物にはなんだか愛着を感じてしまう。
「人は眠りの中でかたよって使用された筋肉を自然にほぐし、かたよって使用された思考回...続きを読む路を鎮静し、また放電する。」
確かに。
Posted by ブクログ 2023年07月29日
女性が主語の村上春樹の作品を読んだのは初めてかもしれない。「加納クレタ」と「眠り」。「ゾンビ」も視点は女性側だ。これまで村上春樹の描く女性が苦手で、なんだか本当にいない人たちみたいだと思ってきたけど、今回はそんなふうに思わなかった。特に「眠り」は、わたし、村上春樹作品のなかでも結構好きかもしれない。...続きを読む
逆にこれらの作品の中では、相手役?の男性はシンボル化されていて、中には読んだら人間味が感じられないという人もいるかもしれない。本人の殻の外にいる人たちは、相対的によく分からない存在になるということなんだろうか。
「眠り」の中で描かれている気持ちは、私よくわかる…という気持ちで読んでいた。
Posted by ブクログ 2023年04月08日
「加納クレタ」とか「ゾンビ」とか、村上春樹らしい設定で村上春樹らしくない結末って感じがした。
「眠り」についてはちょっと斜め読み的になってしまったのでまたいつか。
Posted by ブクログ 2022年10月01日
「我らの時代のフォークロア」が最も共感しやすく面白かった。
自分の中にある、名前もない、形もない感情のようなもの(自分の行動を根底から決定づけてしまう支配的なもの)を捉えてユーモアのある言葉で表現できる村上春樹はやっぱり凄い。
Posted by ブクログ 2021年12月02日
短編集。表題作は、世にも奇妙な物語で映像化できそう。「加納クレタ」のお姉ちゃんがいい。過激だけど妹思い。妹の方は不条理としか言いようがない。「眠り」は、本人的に大丈夫でも、読んでいるこちらからすると全然大丈夫じゃない。問題ないように見えていたものが徐々に歪んで、ついには人知れず崩壊するような感じが不...続きを読む気味だった。
Posted by ブクログ 2021年07月04日
こわい、の種類には「ホラー的な怖さ」「絶叫マシーン的な怖さ」の2種類かと思っていたが、そうか、「言いようのない気持ち悪い怖さ」もあるだなあ……ということに気付かされた短編集。寝る前に読んで、案の定後味が悪く眠りづらくなってしまった。笑 しかし、病みつきになる面白さ興味深さがある。
そして、精神疾患...続きを読むについて最近いろいろと調べている上で村上春樹作品を読むと、登場人物たちはあるいはみんな、なんらかの疾患を抱えているからこそこのようなことになるのでは……?と思ったりする。
ところで、、
人間に対する拷問の中で、最もひどいことのうちの1つに、「その人から眠りを奪う」と言うものがあるらしい。人は寝れない日々が続くと、最後には発狂して気絶してしまうらしい。これは別の所でも最近聞いた話で、まさにこのようなモチーフが使われた短編があった。アンテナがたっているからこそ、こうして情報や類似のことが集まってくるのか。この現象もまた興味深いな、と思う。
Posted by ブクログ 2021年01月06日
好きな話もあれば面白くない話もありました。共通して言えるのは、「そこで終わるのか?」村上春樹さんを読むにあたってそこにケチをつけても仕方ないのですが。
Posted by ブクログ 2020年12月25日
初期の村上春樹作品。
現実よりもそこに生ずる些細な歪みを全開にしたような作品集。
かなりシュールレアリスティック。悪夢とは言い難い、しかし心地よい夢とはかけ離れた夢の世界。
表題TVピープルからの前半三作はまだ読んでいて安心できる話で、後半三作の怒涛の悪夢感は闇の村上春樹を覗いたように感じる。
特に...続きを読むねじまき鳥にも登場する加納クレタの話は救われない上にドライなバイオレンスで怖かった。
最終作の眠りは唐突に終わるのが村上春樹らしい。
村上春樹作品好きな人の中でも恐らく好みが分かれる本だと思う。
Posted by ブクログ 2019年06月22日
6つのストーリーからなる短編集。
潜在意識がこの本の共通のテーマであるような気がした。
普段意識していない本当の自分の存在を垣間見たとき人はどのような行動に出るのか?
村上春樹の作品には言葉では言い表せない読後感がいつもある。話の内容がうまく理解出来ない事もあるが独特の世界観に引き込まれてる。その感...続きを読む覚は病みつきになる人がいるのも頷ける。
今回は特に引き込まれて読み進めることが出来た。