【感想・ネタバレ】TVピープルのレビュー

あらすじ

ある日曜日の夕方、「僕」の部屋にTVピープルたちがテレビを持ち込んできたことで、すべては始まった――表題作「TVピープル」。男にとても犯されやすいという特性を持つ美しい女性建築家の話「加納クレタ」。17日間一睡もできず、さらに目が冴えている女「眠り」。それぞれが謎をかけてくるような、怖くて、奇妙な世界をつくりだす。作家の新しい到達点を示す、魅惑に満ちた6つの短篇を収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

三宅香帆の著作で人生を狂わす作品として紹介。
だいぶご無沙汰な村上春樹でした。初出誌が生まれ年の1989年というのに親近感。

標題作品の『TVピープル』を始め、全編不気味な雰囲気を纏っている。少し常識から踏み外した世界観から、私たちの日常生活への小さな歪みみたいなものを抉り出される感覚。

『眠り』の舞台設定が我が身と類似点があり、1番ゾワっとした。眠りを超越し、傾向的な消費から解放され自分の時間を過ごしている。そこに自分の人生を生きているという充実感を覚える。反面、昼間の生活に対する不信感や、踏み込んだ嫌悪感を意識してしまうに至る。夫と息子の寝顔を見ながらの感情の吐露は凄みがある。

さらに、「死」とは終わりではなく、暗闇の中で永遠に続く覚醒かもしれないという気づき。眠りの延長線上でしか「死」を意識していないのは私も一緒で、この考究はある種の絶望を与えられた。

ラストの誰でもない誰かに迫られる恐怖。深夜という非日常な世界における異質さと無秩序な空気感がおどろおどろしいわ。

村上春樹の奥深さと、やっぱり好きかもという懐古。勢いに任せて『ノウウェイの森』文庫を購入。久しぶりにこの代表作を読んでみよう。

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2025年06月23日

ネタバレ 購入済み

オモシロい本です!

奇抜なイマジネーションが面白いと思います。

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2017年07月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「眠り」が読めたので、この本を買ってよかった。他の作品はどうなのかというと、おもしろいのだけれど、手放しにそれをおもってはいけないような何かがある。ひとりの友人と村上春樹についての話をするときに、その人は作品性をこんなふうに評する。何もない、残らない、と。この一言二言だけを言ってもそのテクストの全ては伝わらないにちがいない。どうか曲解はしないでほしい。ここでそれを深く説明したりはしないけれど、たまたま耳に入った街の声くらいにおもってほしい。ただ友人に言われて僕はなんだか腑に落ちる。読み終わるときにその先、がないような気になる。読み方の問題はあるとおもうけれど。
「眠り」はよかった。ああ、ちゃんと最後まで書いてあるという安心と満足感があった。いい女性主人公がいた。アンナ・カレーニナを読みたくなった。こういう僕にとってのいい短編があるからこれからもぽつぽつと村上春樹を読みつづけるのだろうとおもう。

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2022年03月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ホラー文学みたいな。
よく分からない話なのに怖いという作品が多かった。加納クレタの怖さが光ってる。結局TVピープルって何なの…。
眠りが1番好き。

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2025年10月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

不気味な話が多かったなと言うのが最初の感想だった。
初めはファンタジーちっくな話ばかり!と思っていたけど、どの主人公もちょっとおかしな点が多いことに気づいて少し怖くなった。
「加納クレタ」は本当に意味がわからなかったし、怖かった。クレタがなぜ殺されなければいけなかったのか、クレタが成功したのを狙っていたかのように襲った大きな男は、クレタたちと関係があったのかとても気になる。
「眠り」も主人公は何かしらの病気を抱えてるのかな〜と思った。自分では魅力的に映っているのかもしれないが、側から見ると17日も眠らず、毎日プールで1時間も泳いでいるのは結構異常だ。最後の男から窓を叩かれるのも眠っていないことからくる幻聴、幻覚なのではないかと思った。

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2024年02月02日

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