あらすじ
私立探偵フィリップ・マーロウ。三十三歳。独身。命令への不服従にはいささか実績のある男。ある午後、彼は資産家の将軍に呼び出された。将軍は娘が賭場で作った借金をネタに強請られているという。解決を約束したマーロウは、犯人らしき男が経営する古書店を調べ始めた。表看板とは別にいかがわしい商売が営まれているようだ。やがて男の住処を突き止めるが、周辺を探るうちに三発の銃声が……。シリーズ第一作の新訳版
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探偵フィリップ・マーロウが石油富豪一家の闇に探り込んでいく話。はっとするような比喩表現が散りばめてあり、それだけでも読んでいて面白い。それにしてもこの姉妹は現代のパーティピープルな米国セレブを描いているようだ。こういう人ってこの時代からいるんだね。
話の筋が時々分かりにくくなるけど、巻末の翻訳者・村上春樹の解説を読むとそれもOK!と思えてくる。
いくつかの殺人が話に出てくるけど、お抱えの運転手を殺したのは誰なのか?それが最後まで分からなかったなあ、よく読めばどこかに伏線があったのかなあ…と思っていた。
が、解説によると、当時チャンドラー氏に犯人を誰か聞いた人がいて、「私も知らない」と答えたそうだ……
そんな裏話を盛り込んだ解説も面白い。春樹のチャンドラーへの愛が感じられる(カズオ・イシグロ氏とチャンドラーの素晴らしさについて熱く語り合ったそうだ)。
チャンドラー氏は、三流文芸雑誌の出身。遅咲きのミステリー作家。生活費を稼ぐために型にはまった書き方をせざるを得なかったそうだけど、それが逆に氏の小説執筆における足りないところ(プロットづくり)を補ってくれたようで、生来の表現能力を存分に小説に活かすことができたそうだ。
チャンドラーもこれで3冊目。
良かった順番は、
1 ロンググッドバイ
2 大いなる眠り
3 プレイバック
有名どころをもう読んでしまったのがさびしい。
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チャンドラー氏の長編処女作、探偵フィリップ・マーロウ・シリーズの第一作。村上春樹氏の翻訳で読むチャンドラー作品は小気味いいおしゃれなハードボイルドに仕上がっている。散りばめられた幾つかの物語が最終的に折り重なって事件の真相を描く。何ものの誘惑にも負けずタフで切れ者のマーロウがカッコよすぎる。
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オススメ度は⭐︎1かもしれない。
かなりハードボイルドだった。
380ページくらい?あるけれど、230ページくらいから面白くなった気がする。
ただ、だからと言ってこの小説がダメだったかというとそうでもなく、後半はマーロウがかなりかっこよかったし、村上春樹が後書きで書いているように、わけのわからん部分もあるところが古い映画を見ているようで雰囲気があって良かった。もちろんわけがわからんのはこちらの理解不足もあるのだけれど。
ロンググッドバイも読みたくなってしまった。だから読書は辞められない。。。
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フィリップマーロウが格好いいのは言わずもがな、マーロウの一人称視点から描写される情景が細やかで洒落が効いてるのが心地いい読み味だった。マーロウと一緒にロサンゼルスで事件を追いかけてる気分で読んでいた。
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チャンドラーのフィリップ•マーローシリーズ第1作、村上春樹訳。
フィリップ•マーローは、まだ33歳で荒々しい。マーローは、資産家の将軍に呼ばれて、放蕩娘のせいで借金をネタに強請られており、マーローはその解決を約束する。
マーローは、警察組織や巨大なヤクザ組織に対しても、頑なにその姿勢を変えずに、いけ好かない男として、立ち向かっていく。
正に、西部劇のカッコ良いガンマンのように。
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▼<レイモンド・チャンドラーの長編を、村上春樹訳で発表順に再読。それが済んだら原りょうさんの作品を発表順にやっぱり再読、楽しもう>
という自己企画に沿った読書です。2~3年かかるかもしれません。その第1弾。
▼やはり傑作「長いお別れ」に比べると。いや、恐らく他のシリーズ作品全般と比べても。なんせ第1作ですから、
<フィリップ・マーローのひとり語り的文明批評>
が割と少ないですね。でもスタイルとしてはそれはもうある。
そのスタイル事態がやっぱり魅力。
▼一方で、段取りが複雑で・・・・・だいぶわからない(笑)
以下一応ネタバレっちゃネタバレですが
(ネタバレしても意味は無いと思いますが)
①高齢大富豪がいて、マーローを雇う。
②大富豪にはアッパラパーな娘がふたりいる。下の娘がサインした小切手がある。これを払えと、Aさんという男がから連絡が来た。多分何かの、下の娘の醜聞を握っているのでは。これを調べて、良い子にさせてほしい。というのが依頼。
③マーローが調査。Aさんというのは本屋さんだけど裏でエロ本を扱っている。
④Aさんを尾行していたら、とある夜中の屋敷で悲鳴。中に入ると、Aさんが射殺体になっている。そばには全裸の、「アッパラパーな下の娘」がいる。ラリッてる。
⑤どうやら、「大富豪の下の娘」をラリらせて、エロ写真を撮ったんだろう。それで大富豪を脅すつもりだったんだろう。
⑥マーローは下の娘を家に帰す。事件をもみ消そうかな、と。
⑦翌朝だったか、大富豪の家の運転手が他殺体でみつかる。下の娘に惚れていたらしい。で、この運転手がどうやら、Aさんを殺して逃げた。
⑧Aさんのエロ本事業を、乗っ取ろうと、仕事の部下だった女と、その愛人の男が暗躍する。
⑨が、その男の方は、「Aさんの恋人だった若い男」に殺される。
⑩さらに、どうやら、「アッパラパーの、上の娘」の「元旦那」と関係ある「町のヤクザ」が、この件の関係者を殺して回っている。なぜか?
⑪「元旦那」が「大富豪」と仲良しで、大富豪を脅せるから。だいぶこのあたりから不明確。
⑫マーローは一部殺人が「ヤクザやの手下だ」と確かめる作業途中につかまるが、
⑬やくざの情婦になぜか助けてもらい。脱出、反撃、現場のヒットマンたちを倒す。
・・・・というようなことなんですが、やっぱり分からない(笑)
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チャンドラーの長編第一作。
春樹さんのあとがきを読んで更に魅力が増した。
自分の流儀を曲げないタフガイ。
そしてウィットに富んだセリフ回し。
格好良過ぎる。
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昔読んだはずだけど、ほとんど筋を覚えていない。
マーロウ以外の登場人物も。
今回あらためて読んで、それも無理はないと思った。
謎らしい謎もなく、マーロウ以外の人物も魅力に乏しい。魅力的なのは探偵だけ。
それでも、その文体と独特なナラティブは驚嘆に値すると思う。チャンドラーは、本当にユニークな作家だとあらためて思った。
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読むのは結構しんどいが、心地よい疲れだ。
一応ミステリだが、謎解きにあまり意味はない。ちょっととってつけたような種明かしだし。独特の比喩に一言多い登場人物、一筋縄でいかない会話。そしてとにかく行動する探偵フィリップ・マーロウ。一匹狼で妥協がない。その行動と言葉が本作の魅力。
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ロンググッドバイに続き、チャンドラーを読むのはこれが2作目。こちらが1939年に発表されたシリーズ第一作とのことで、フィリップ・マーロウはまだ33歳と若手。村上春樹の新訳も手伝って、全く古さを感じることなく、映画を楽しむように読めた。自分にはこの魅力をうまく表現出来そうにない。あっと驚く伏線回収があったり、ロジカルな推理が繰り広げられるようなところは無く、何となくモヤっとするところもあるんだけど、まんまとハマってしまった。本作の訳者あとがきもチャンドラーへのリスペクトと愛情が感じられて良いです。
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フィリップ・マーロウもの、第1作
『長いお別れ』や、『さようなら愛しいひと』と異なり、珍しく私立探偵として依頼を受けて仕事を始める形式。
少し文章が固いけれど、面白い。
撃っていいのは撃つ覚悟をもっているやつだけだ!って文章どこにあったのだろう。
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私立探偵フィリップ・マーロウシリーズの第一作目。訳者村上春樹のあとがきにもあるとおり、シリーズ一作目にしては、こなれた文章であり完成度が高い作品である。それもそのはず。仏誌にて『二十世紀の名著百冊』にも選出されている。危険を顧みず強引に突破する主人公のフィリップ・マーロウにはいつもヒヤヒヤさせられるが、その無謀さこそが彼の魅力の一つである。また、どんなに命の危険が迫っていても、臆することなく冗談をかますユーモアな一面が何より見どころであろう。
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「長いお別れ」に続いて再びチャンドラーに挑戦。
長いお別れがあまりにも面白く、同じようにあっという間に読めるかな、と思っていたが、この本はそうではなかった。
とにかく登場人物や事件が入り組んでいて、話の筋が理解できない。
最後のどんでん返しでも、いまいちよく意味がつかめず、読み終えた。
結構時間がかかってしまった。
訳者のあとがきを読んで、納得した。
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村上春樹の訳者あとがきに、すべてが要約されている。
チャンドラーの長編第一作である本書は、1939年(著者51歳)に発表された。
わずか3カ月で、書き上げている。
細かなプロットの積み上げではなく、フィリップ・マーロウの身の動きに目を引かれる。
書きながら、手を動かしながらどんどん筋をこしらえていく。それが文章を書くことのいちばんのスリルなのだ。そしてそのダイナミズムは自然に読者にも伝わっていく。
チャンドラーは言葉を躍らせる。
我々は誰しも自由に憧れる。しかし自由であるためには、人は心身ともにタフでなくてはならない。
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ずっと読みたかった本のうちの1冊。
冷静でシュールな私立探偵・マーロウ。
何度も危うい目に遭いながらも、その飄々とした姿は、何故か安心感すら覚える。
そして、ウィスキーを飲みまくりながら真相にたどり着く…。
これを読んで、何かの教訓を得るとかそういうことはないのだが、今の自分の心には、こういう話が必要なのだ。
さて、次の事件を解決しにいこう。
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チャンドラーの作品を読むのは2冊目。おもしろいですね。マーロウの冷静でシュールな姿が素敵です。今回もミステリアスな内容になっていて、どうストーリーが展開されるのか楽しみながら読みました。
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傑作と聞き、ハードボイルド小説入門のつもりで着手。
数十ページ読んで、内容は面白いが文体が生理的に無理。と思って訳者を見たら案の定苦手な作家だったので、次から翻訳小説を読むときはきちんと訳者を確認しようと思った。
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フィリップマーロウが、本格的に登場した作品。読み終わりました。
強情、一匹狼、皮肉屋、タフ、セクシー、そんな言葉が思い浮かぶ男。
頭の内で勝手にイメージを作って楽しんでます。
映像作品もあるらしいけど、観ないほうが良いのかなあ。
探偵が出てくるミステリ―作品だが、よくある名推理ていうのは出てこないなあという印象。
行動力と直感で物語がすすんでいくのが小気味いい。
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村上春樹訳。
フィリップ・マーロウシリーズの第1作。
複数の事件をマーロウが解決していく。
村上春樹の解説が素晴らしかった。
次→さよなら、愛しい人
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マーロウは資産家の将軍に呼び出される。娘が賭場で作った借金をネタにゆすられているという。犯人らしき男が経営する古書店を調べ始めた。
2014.7.25刊 村上春樹訳 ハヤカワ文庫 購入
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村上春樹氏の翻訳が出版されるようになって、チャンドラーを改めて読み直したりしている。昔読んだ時とかなりイメージが違う部分があって、翻訳が異なるせいか、自分の年齢のせいか、はかりかねている。
といっても、この作品は初めて読む。チャンドラーの長編第1作である。
マーロウが若いな、というのが第一印象。30代前半だから当然なのだけど、もっと老成していた印象をずっと持っていた。作者の描き方なのか、翻訳の雰囲気なのか、僕の年齢なのか。これも判断に迷うところだ。
話がするすると発展していく上に、マーロウ自身が何を考えているのかさっぱり語ってくれないので、映画のシーンを観ているように、マーロウの心に映る世界をじっと眺めている感じになる。時にはそれがまだるっこしくて仕方がない時もあるけれど、自分の気分にぴたりとはまる夜には、いつまでもその世界にいたくなる。
どちらかといえば地味な事件である。だからこそ、登場人物の印象がくっきりしている。それぞれがそれぞれの不幸を背負って生きていて、マーロウの動きに添って、じんわりとブレンドされ発酵していくような。
読書を楽しむというよりも、鏡を見つめているような気持ちになり、まるで試されているような気分で読み終わった。
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村上春樹による、フィリップ・マーロウ翻訳シリーズ第4作目。
原作シリーズとしてはこれが1作目だそうです。イッキ読みしなかったからか、筋書きが「ん?これなんだっけ?」と何度かなったけど、あとがき曰く、そういうところがチラホラあるらしい。
しかし、このシリーズを楽しむために大切なことは、恐らくプロットを追うことじゃない。
フィリップ・マーロウのセリフやタフなキャラクター。ミステリーでありながら、純文学のように文章そのものを楽しめばいい。
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レイモンド・チャンドラーの村上春樹翻訳シリーズ。過去に読んだ「ロング・グッドバイ」、「さよなら、愛しい人」がいずれも素晴らしかっただけに期待していたけれど、期待を裏切らない作品。
チャンドラーの作品における印象的な主人公である探偵フィリップ・マーロウが初めて登場する作品である本作も、自由に、かつシニカルに動き回る彼の姿を堪能できる。
依頼人からのさほど複雑ではない依頼を解決するために動き回るうちに、彼の周りで多くの殺人や起こり、そして行方不明になった一人の人間を見つけることが、依頼人にとっての本当に依頼ではないかと気づく。「大いなる眠り(The Big Sleep)」というタイトルは、この行方不明者の行方と、彼を待ち続ける依頼人の二人の姿を暗示する。
まっとうに面白いハードボイルド小説の極み、長らく未読の「リトル・シスター」もこれを機に再読したい。
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マーロウが格好いい
この疾走感、差し込まれるジョークなど独特の魅力を感じた
確定させない部分(運転手を誰が殺したか等)はこれはこれで、と思える
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フィルム・ノワールの傑作として名高い「深夜の告白」を始め数々の映画脚本を手掛けたチャンドラーは、小説を執筆する際も絵コンテ並の完璧なイメージが頭のなかに出来上がっていたのではないだろうか。そう思わせるほどに人物や情景、生活様式などが事細かに記されており、それらを想像しながら読むのがとても楽しい
複雑に絡まった人間関係が終盤で収束されていく展開はあまりに見事で、初めての長編となる本作で既にハードボイルド小説の王道的なものを極めてしまったと言っていいかもしれない
結びの印象深いフレーズも、これ以降あらゆる作品においての常套句になった気がする
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なるほど、ハードボイルドとはこういうものかというのはわかった気がする。行動第一、とにかく自分から動きまくって、事件に自分から潜り込んでいく。論理的な謎解きを求める人には向いてないとも思った。
終盤のマーロウの語りで明らかになる、大いなる眠り(死)に対する考え方にはドライさと情が同居するハードボイルドのかっこよさが表れていると思った。
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名誉をも守るための工作
権力のある人物は自分の「名誉」を護るため、自分ではなくある組織を頼り実行させる。その実行とは本人には危害が全く及ぼされない「法に触れるやり方を選ぶ」となる。現実政治家等に見られる起訴事件などは多くがこの種の行動であり、最後は「一才無関係」と交わす手だ。
Posted by ブクログ
初チャンドラー、初フィリップ・マーロウ。各セクション毎の展開に関連性があるようでなかったり、ミステリー作品の構成として腑に落ちない場面は多々あれど、キャラクターの魅力ひとつあれば作品は成立するという説得力に満ちている。マーロウとオールズの関係、ガイ将軍への敬意など、魅惑的な描写に感嘆しつつも、話の筋を追うのに精一杯で、達成感より疲労感が勝ってしまった。整合性を求めるのではなく、独特の言い回しや世界観を味わってみるのが正解だったのかもしれない。次回は"Don't think, FEEL!"の気持ちで挑戦だ。