村上春樹のレビュー一覧
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▼(本文より)
常識というのは、決して計算間違いなぞしない、グレーの背広を着たちっぽけな男だ。しかしその男が計算しているのは常に他人の金だ。
▼(本文より)
この街の売りのひとつは、ここで働いている人間にはここに住むような経済的余裕はないということです。
▼フィリップ・マーロウ長編を発表順に再読しよう計画の最終章。第1作「大いなる眠り」は作者49歳くらい。最後の「プレイバック」は作者69歳くらい。マーロウの年齢は言及されずにあまり老けていない印象ですが、小説そのものは、より練られて、より枯れてきて、そしてややタガが緩んでいる印象。それはそれで滋味深いのですが、やはり「ロング・グッドバイ」が -
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誰かが僕らの絵を描いてくれないかな、と思う。故郷から遠く離れた三十八歳の作家とその妻。テーブルの上のビール。そこそこの人生。そしてときには午後の日だまり。
この文章がこの本の中で一番好きだった。
村上春樹ほどの人物でもやはり人間は人間であるから、心が壊れそうになったり、色んなことから逃げ出したくなったり、しがらみも何もかもを捨ててしまいたくなったり、そんな感情になるのかと思うと、何だかほっとする。
そんな彼の、イタリア時々ギリシャ、時々その他ヨーロッパでの暮らし。
食や芸術や映画、ランニング、そして執筆、それらと共にある彼の生活は、質素だけれど丁寧で、自分が憧れても憧れても届かないような、だ -
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7つのうち、最初の短編の「蛍」で、「僕」は「彼女」と中央線の電車の中で偶然に出会い、四ツ谷駅で降りる。その後、彼女は何も言わずに歩き始め、僕は、そのあとを1メートルほど離れながら歩く。四谷から飯田橋、飯田橋から神保町の交差点を経てお茶の水、さらには本郷に抜けた後で、駒込まで、僕は彼女のあとをついて歩く。そして、彼女は僕に「ここはどこなの?」と聞く。「駒込」と僕が答えると、彼女は「どうしてこんな所に来たの?」と尋ね、僕は「君が来たんだよ。僕はあとをついて来ただけさ」と答える。
グーグルマップで調べてみると、四ツ谷駅→飯田橋駅(2.1km、徒歩27分)、飯田橋駅→神保町交差点(1.2km、18分) -
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何か決定的に悪いことが起きているというわけでもないのに、なんとなく不穏なのは、妻との間がうまく行っていないためではないか?
お互いのことが分からない、間に薄紙が一枚挟まっているよう。大したことではないのに秘密ばかりが増えていく。
途中から急に戦争文学になった。
間宮氏が、自分は決して自ら軍人になりたかったわけではなく、教師を目指していた普通の青年だった、と強調したのは、その時代の青年たちはそのようにして死地に赴かされた、ということを言いたかったのと同時に、自分の好むと好まざるとに関わらず何かに巻き込まれようとしている主人公の状況もそれに似ているということを仄めかしているのかもしれない。
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村上:ほくは夢というのもぜんぜん見ないのですが
河合:それは小説を書いておられるからですよ。谷川俊太郎さんも言っておられました、ほとんど見ないって。そりゃあたりまえだ、あなた詩を書いているもんって、ぼくは言ったんです。
村上:夢を見ないものなのですか、別の形で出していると。
河合:やっぱり見にくいでしょうね。とくに「ねじまき鳥クロニクル」のような物語を書かれているときは、もう現実生活と物語を書くことが完全にバラレルにあるのでしょうからね。だから、見る必要がないのだと思います。書いておられるうえにもう無理に夢なんか見たりしていたら大変ですよ。
創造力が必要な職業の人とは逆に、きつい現実社会にい -
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またしてもどこまでもキザなハードボイルド小説。
私立探偵フィリップ・マーロウのシリーズ。
刑務所から出所したばかりのムース・マロイが
かつての恋人ヴェルマを探してロスのバーを訪れる。
しかしバーは黒人専用店に変わっており、
情報が得られず逆上したマロイは店主を殺害して逃亡。
偶然現場に居合わせ、事件に巻き込まれたマーロウは
警察の依頼でヴェルマの行方を追うことに。
それと同時に舞い込んでくる翡翠のネックレスを巡る謎の依頼。
複雑な人間関係と謎が絡み合う、そんなストーリー。
『ロング・グッドバイ』とはまた違った渋さ。
だが勿論のこと、そのキャラクター性と物語の内容は
今回もコッテリと味が濃い