【感想・ネタバレ】東京奇譚集(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年04月24日

作者の短編集読み漏らし③

個人的にぐうの音も出ない傑作だった。
全ての作品が、設定や描写とは違う部分で勝負している。
日常に異界の雫を一滴落とした様なバランス感に、池澤夏樹の作品世界に通ずるものを感じた。とにかく読みやすい筆力に、“洗練”という単語が浮かぶ。
読み終えた後、自分若しくは誰かをどこか...続きを読む肯定したくなる様な、作者の押し付けがましくない物事に対する考え方の提示がある。
5篇どれも甲乙付け難いが、『ハナレイ・ベイ』は特に琴線に触れる良さだった。

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Posted by ブクログ 2024年04月16日

特に『偶然の旅人』と『ハナレイ・ベイ』が好きだった。
サチみたいな女性に憧れる。

品川猿が目的で読んだ本だったけれど、読めて良かった。
『品川猿』もそこで出てくるんだ、と。

今度はもう一度、一人称単数の品川猿を読み返してみたい。

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Posted by ブクログ 2024年02月01日

これはトミー・フラナガンとアルバム、J.J.ジョンソン「ダイアル j.j.5」が好きになる小説である。最初の3ページから登場。
僕個人的には逆で、そのアルバムを中学生の頃に買って、全ての曲の主要メロディーを口ずさんでいた。そのアルバムの2番目の曲の素晴らしさを並べる村上春樹に参ってしまった。
つまり...続きを読むアルバムやプレーヤーが好きなだったので、作家を好きになってしまったのであります。

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Posted by ブクログ 2023年10月31日

長編ほどのクドさがなくとても読みやすい。一方で、どの短編をとっても、主人公はどこか欠けていて(人間的に何かしら欠落している部分がある、もしくは喪失の渦中にいる)、そういうところがとても村上春樹の作品らしいと感じた。

『品川猿』は、インフルエンザの時に見る夢を文章に書き起こしたみたいな作品で、特にお...続きを読む気に入り。ギリギリ理解できるが意味不明な展開でプロットが淡々と進んでいく感覚が、心地よい滑稽味と多少の不安感をもたらした。

摩訶不思議だけどミステリーではなくリアリティーがあり、「もしかしたらこの世界のどこかで本当にこういうことが起こっているのかもしれない」という錯覚を起こさせるようなリアルさがそこにある短編集。我々にとって、喪失のリスクは日常に転がっているものなのだ。

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Posted by ブクログ 2023年07月26日

村上春樹さん、今まであまり好きではなかったけど、この作品は好きだった。
リアルを描いているようで、実はファンタジー。不思議な気分になった。
「日々移動する腎臓のかたちをした石」が好きだった。キリエの職業は一瞬AV女優かと思ったが違った。「職業というのは本来、愛の行為であるべき。便宜的な結婚みたいなも...続きを読むのじゃなくて」この言葉が好きだな。

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Posted by ブクログ 2023年07月08日

新作『街とその不確かな壁』を読んだことで春樹熱が高まって手にとった。

 幻想的で日常と非日常の境があいまい、といういつもの村上春樹作品とは雰囲気を異にする。「日常のすぐ隣にある不思議」といった感触の話たちはいわば、村上春樹のショートショート。
かなり読みやすくて村上春樹ビギナーに勧めるとしたら本作...続きを読むだ。★5

 なかでも印象的だったのは、水難事故で亡くした息子に対する心の整理のために事故現場のハワイに毎年通い続ける母親の話、「ハナレイ・ベイ」。映画化もされているようだ。文中にとても印象的な言葉があったので備忘録として以下に残しておく。

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正直なことを言えば、サチは自分の息子を、人間としてはあまり好きになれなかった。もちろん愛してはいた。世の中のほかの誰よりも大事に思ってはいた。 しかし人間的にはーそれを自分で認めるまでにはずいぶん時間がかかったのだがーどうしても好意が持てなかった。

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愛していたし大事に思ってはいたが、好きになれなかった。この感覚がとてもよく分かる。というよりも、最近抱えている人間関係の悩みは「まさにこんな気持ち!!」と膝を打ったほど。

 最後に、別エピソードについて自分の妄想を述べて終えることにする。
短編「日々移動する腎臓のかたちをした石」は、村上春樹が"医師を揺さぶる石の意思"というダジャレから想起•発展させたショートショートではないか、と勝手に想像してニヤニヤしている。

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Posted by ブクログ 2023年04月29日

偶然の旅人
ハナレイ・ベイ
どこであれそれが見つかりそうな場所で
日々移動する肝臓のかたちをした石
品川猿

品川猿、またいた。
あって話をしたい。

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Posted by ブクログ 2024年03月27日

村上春樹3冊目だったけど1番分かりやすく、読みやすかった。
どの話も何がどうなるのか予想がつかず、思わぬ着地をするものばかりで楽しい読書だった。

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Posted by ブクログ 2024年02月18日

人生で初めて、村上春樹の本を読み終えた。(たぶん)
すごい人なのは知っているけれど、文章の感覚が合わなかったらどうしよう、と食わず嫌いで避けて通ってきた。文章の感覚は気にならなかった。これから読んでいけそう。

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Posted by ブクログ 2024年02月01日

村上春樹の短編を初読み。
んなアホな!とツッコミたくなる話ばかりだけれどなぜか憎めないし、心のどこかでこの話が本当だったら素敵やなと思っている自分がいて。
おそらくどの物語も完全にフィクションなんだろうけど(作者本人による前書きはとりあえず置いといて笑)、そこはやはり村上春樹でオシャレなファンタジー...続きを読むという印象。
そして、本当に文章が上手い。上手すぎる故にスルスルと読めてしまうから、読む側にとっては瞬時に意味をとらえることができるからどうしても物語そのものが読む側にとって軽い印象になってしまう。
この軽い感じが、私の村上春樹の苦手な所だったけれど、今回短編を始めて読んでみて完全に頭が切り替わった。上手いんやこの人!超絶上手いんや。
そして軽い印象が残る理由もうひとつ分かった。
結末がなぜか明るいんや!それも太陽のような明るさ。
どんなに途中が暗くて理解し辛くても、最後はカラッと抜けている。
最後の猿の話がめちゃくちゃ良かった!動物への愛も感じられて。

短編でもやっぱり村上春樹作品の苦手な所見つけてしまう自分だけれど、ようやく好きな所もいっぱい見つけることができて、これからそれも踏まえて作品を楽しめると思うとワクワクしかない^_^

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Posted by ブクログ 2023年12月11日

ノルウェイの森のあとに読んだからかクセが強くなくて、感情移入するところもあり、でも不思議な世界観もあり、すごく読みやすかった。

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Posted by ブクログ 2023年10月06日

車中の共に選んで~すべて、既読3回目
だが何度読んでも底が深く、新たな視点や見える深奥の景色が異なっていく。

5編の短編作品が掲載・・私的には色、匂い、温度感が共通しているように思えた。
東京、現実味のある風景~ハルキ氏の自叙伝的要素も感じられたのもあって、混迷の中での読書ではなく、サクッと読めた...続きを読む

今回は「ハナレイ・ベイ」が最も視覚的に立ち上がってきた想い。
前回読んだ時、これが映画化されたのは知らなかった。
今回読むと、まさに視覚化にそぐう。
【イワクニから機関の米国人とサチとの対峙・・その場面を思い浮かべると・・・・米国人の言い分が当時のアメリカの最大公約的に感じられたし、若者2人の感触は当時の日本人の最大公約的に感じ取れた。

「どこであれ・・・」の作品の淡白さが逆に、何とも軽快なリズムで脳に響き、楽しかった~ようこそ、三角形の世界へ戻ってきてくれてという語り、不安神経症の母親とアイスピックのようなヒールを履いた妻。なんということのない表現に煌めきを覚える。

「日々移動する・・」の作品・・哲学的というか腎臓石が眼前で見えるような感覚を覚えさせる。謎めいて、訳が分からない展開。綱渡りの女性と相まっての効果が半端ない。

「品川猿」これは不条理の極めつけ・・ありえない設定の基に存する役所課長。カウンセラーがその妻って・・もっともらしく語りをする猿・・アハっていう読後。

東京に片隅を切り取るシーンがくっきり映像を結ぶ

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Posted by ブクログ 2023年07月24日

短編集だけど、良い読後感でした。村上作品にしては説明書きがあって分かりやすいなぁと感じた。
5つどれも面白いけど、日々移動する腎臓のかたちをした石が個人的には1番気に入ったかな。失って初めて気づくんだよね。最初から意味があるかどうかではなくて、それは後で勝手に決めればいい。一つ一つを大切にしてその時...続きを読むにできる精一杯をやる。そうして良い経験を重ねたいと思った。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年06月02日

中性的なゲイのピアノ調律師が主人公の『偶然の旅人』、息子がハワイでサーフィンをしていたらサメに足を食いちぎられ死んでしまった母親サチの奇妙な物語『ハナレイ・ベイ』、自分の名前を忘れてしまう女性みずきが自分と向き合う『品川猿』等の短編小説5作品。

個人的なお気に入りはジャズあり、喫茶店の描写あり、女...続きを読む性との出会いありでハルキ節全開な『偶然の旅人』で、この作品の本質はLGBTQではなくユングの集合的無意識と超常的なシンクロニシティ(意味のある偶然の一致)だ。

そんな私も、つい最近ユング心理学の本を読んだばかりなのだが、その後偶然にも村上春樹の数ある作品の中からこの作品に辿り着いたのかと考えるとちょっと鳥肌が立つのである。これもシンクロニシティか。

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Posted by ブクログ 2023年03月03日

旅行のお供で持って行く本にはいつも悩む。もし外しても替えがきかないので。
小難しいのは頭に入らないし、かと言って面白すぎてストーリーをどんどん追いかけたくなるのも向いていない。
その点ではこの本は正解だった、と稚内行きの飛行機の中で最初の短編を読み終えて安堵した。
後日、この本を読み返した時には、水...続きを読む色と白のツートンになった窓の外の景色と機内サービスの珈琲の味を思い出すだろう。

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Posted by ブクログ 2023年02月16日

村上春樹の小説は、ごく普通の生活をしているように見えて、その内側に確かな絶望や哀しみを抱える人を描いているように思う。その感じが好きだ。

ハナレイ・ベイは小林聡美で映像化してそうーと思ったら、吉田羊で映画化されてた。そっちかーと思った。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年01月18日

バイト終わり、電車まで時間があったので本屋さんに寄ったらたまたま見かけたこの本。裏表紙のサーファーという文字に惹かれて購入。駅の待合席に座り、バイトの差し入れでもらったチュッパチャプスを舐めながら読んだ今年初めての小説。


ハナレイ・ベイ
鮫に襲われて片足を失い亡くなってしまった息子の命日に毎年3...続きを読む週間ハナレイの町に訪れるサチ。
そこでの日本人サーファーとの出会い。
若い彼らを息子と重ねて、きっと波乗りに明け暮れているのだろうと。
母も昔ピアノに没頭し、息子が高校をほとんどドロップアウトしてサーフィンに明け暮れていた時も仕方あるまいと思った。
しかし、自分の息子を人間としてはあまり好きになれなかった。
わがままで、集中力がなく、やりかけたことを成し遂げることができないと。
サチはレストランでピアノを弾いている時にプロなんだと言われて「遊びよ」と答えた。
若いサーファーたちをろくでもないと言ったり、
息子を目にすることができないのは自分が現実を受け入れようとしてないから。
サチは結婚も続かないしピアノも中途半端。


アメリカン・エキスプレスで息子の火葬の料金を支払っていることを非現実的と思っていた。

鮫は本当に出ると話した。
日本へ帰省後、ずんぐりにしたアドバイスは現実的。
ピアノを弾く間他のことは何も考えないし、弾かない時はハナレイのことを考える。

サチは、息子の死を通して現実に向き合い自分の生活に没頭すること、人を心から愛することができるようになったのかな。


品川猿
人の言葉を話し、人の名前を盗む人間みたいなサイズ感の猿なんて絶対に現実ではあり得ない話。
だからこそ面白おかしくて奇妙で。
そしてちょっとゾワっとさせる感じ。
すごく引き込まれた。


現実にはあり得ない話ばかりなのだけれど、どこかで本当にこんなことが起こっているんじゃないかと錯覚してしまう。不思議な短編集。現実逃避ができて楽しい。

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Posted by ブクログ 2023年01月12日

日常に存在するけれど盲点になって見逃しているであろう、不思議レベルが大から小まで幅広いお話たち。
どのお話もおもしろくて、自分の身にも奇譚みたいなことが起こってたりしてと考え、楽しくなるのです。

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Posted by ブクログ 2023年01月03日

ファンタジーよりも僅かに現実寄りの「偶然の一致」。
特に『日々移動する腎臓のかたちをした石』が秀逸。
他も珠玉級。

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Posted by ブクログ 2022年12月19日

最近、村上春樹の短編がしっくりくる。
何故だろう、歳をとったから?
久しぶり長編で未読作品にチャレンジしてみよう

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Posted by ブクログ 2022年09月20日

再読
短編でも春樹はしっかり春樹でした。

「ハナレイ・ベイ」がいちばん好きかな。
感傷と爽やかさが同居する、おもわずにやりとさせられる読後感は唯一無二でしょう。

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Posted by ブクログ 2022年08月31日

■ Before(本の選定理由)
村上春樹の、新しい(他の作品に比べたら、ということだけど)短編集。

■ 気づき
15年前、大学の頃に村上春樹の本を読んでいた際は、物語の舞台は見知らぬ土地だった。いまは自分も東京で生活し、地名も、それが示すニュアンスも距離感も分かるようになった。なんだか急に、物語...続きを読むを身近に感じた。

■ Todo
多かれ少なかれ、こういう運命めいた感覚を得るときはあると思う。でもまったく憶えていない。すぐに手放してしまわないように、大切に箱に容れておかないとな、と反省。

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Posted by ブクログ 2024年01月27日

短編集は手軽に読めるし、長編小説より必ずしも内容が薄いというわけでもなく、しっかりとストーリーとして成立しているので良い。サクサク読めて読書に対するモチベーションが上がるという点は長編小説よりも優れていると思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年10月16日

5つの短編集。5つの中だったら「日々移動する腎臓のかたちをした石」が1番面白かった。

以下ネタバレあらすじ

 昔、主人公が父親から言われた一つのこと「男が一生に出会う中で、本当の意味を持つ女は3人しかいない。」
 時を重ね小説家となった主人公は女性と出会うたびに、その言葉を自分自身に問いかける。...続きを読むそんな父の呪縛にとらわれた日々を過ごしていく中で、主人公は聡明で謎につつまれた女性と出会う。主人公は彼女との会話を通して徐々に心惹かれていき、大切な存在であることを実感する。
出会いと並行して小説を執筆し、完成させ、彼女に報告しようとした。しかし突如として彼女は姿をくらます。そのとき主人公は心を欠落を感じ、喪失感を抱えながら過ごす。そして彼女が「本当に意味を持つ女性の一人」だったことを知り、喪失感を抱えたまま人生を生きることとなった。
 主人公が執筆した小説「日々移動する腎臓のかたちをした石」の結末と彼女との結末が同じで、現実が小説に影響し、皮肉にも小説が切ない現実を暗示しているようで面白かった。

下の感想で「医師を揺さぶる石の意思」という文中に出てくるダジャレから作られたショートショートなのではないかという考察が好き。村上春樹はユーモラスな人だから現実味がある。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年10月02日

「偶然の旅人」★★★
「ハナレイ・ベイ」★★★
「どこであれそれが見つかりそうな場所で」★★
「日々移動する腎臓のかたちをした石」★★★
「品川猿」★★★

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Posted by ブクログ 2023年06月29日

村上春樹の作品は自分的には、そんなに合ってない部分もありますが、短篇の面白さが、十分出ている。
「ハナレイベイ」は映画も観ましたが、小説の方が良かった。

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Posted by ブクログ 2023年06月24日

普通にそれなりに楽しめる。短編ながらもしっかりと村上春樹らしさがあり、好きな人は面白いはず。初めての人はこんなもんなのかと思うかもしれないが、、、

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年06月11日

階段のお話は、読者に実際に徒労を体感させるというお話であったように感じます。
最後まで読んでみたけど結局どゆこと?…謎のまま。この「徒労体験」を予感させる要素が、作中の"矛盾するものごと"(でしたっけ?)として散りばめられていたのではないのでしょうか。

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Posted by ブクログ 2022年09月03日

偶然の旅人、ハナレイ・ベイは何となくわかった。他の話しは頭の後ろに何か引っかかっているけれど、それが何かわからない感じだ。

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Posted by ブクログ 2022年08月08日

めちゃめちゃ好きというわけではないが面白かった。現実から空想へグラデーションしていくような短篇集の並びが魅力的だと思う

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